倒産しない家賃保証会社を選ぶ際の比較ポイント

倒産しない家賃保証会社を選ぶ際の比較ポイント

賃貸物件運営する際に、家賃保証会社を利用するケースが増えてきています。

家賃の滞納が起きた際などにオーナーとしては頼ることができる存在ですが、一方で倒産のリスクや、入居者に対する負担の増加といったデメリットもあります。

そこで家賃保証会社を利用するべきケースやデメリット、そしてどんな会社を選べば安心できるのかといった利用の際のノウハウについて解説します。

家賃保証会社のメリットとデメリットとは

賃貸物件のオーナーとして、家賃保証会社を使うメリットとデメリットはどんな点が考えられるのか。まずはそういった基本から見ていきましょう。

家賃保証会社の仕組み

家賃保証会社とは、入居者の家賃滞納時に、入居者に変わって家賃を一時的に支払ってくれる会社のことです。

ただし、入居者の支払いが免除になるわけではなく、あくまでも一時的な代理にすぎないので、入居者は改めて滞納していた家賃を家賃保証会社に支払うことになります。

2008年のリーマンショックで多くの家賃滞納者の発生が起こり、それ以降家賃保証会社を利用する不動産屋や大家が増えました。そのため今は保証人がいても家賃保証会社の利用を推奨する不動産屋も出てきています。

家賃保証会社を利用するメリット

大家にとって家賃保証会社を利用する大きなメリットは、何と言っても経営の安定につながることです。高金利で融資を受けながらアパートやマンション経営をしている場合、家賃の滞納によりローンの返済ができなくなる事態を引き起こしかねません。

そんなことが起これば最悪物件を手放さざるを得なくなってしまいますし、家賃の催促を大家がすることを負担に感じることもあるでしょう。

何より計画通りに収入が入ってこないことは、ストレスにもなります。家賃保証会社を利用していれば家賃の滞納時も代行で支払をしてくれるので、収入が減ることなく、ローン返済などにも支障が出ません。

また不動産会社としても大家の経営が安定すれば、自社への信頼が高まり、管理料収入なども安定します。このように賃貸物件を経営する側のメリットは大きくなっています。

入居者に関しても、連帯保証人がいなくても物件を借りられるというメリットがあります。最近では出産の高年齢化にともなって、大学生や社会人が物件を借りる時に親がすでに退職しているので、低収入もなく連帯保証人になれない、という事態が増えています。

さらに少子化によって、兄弟もいない、親戚の数も少ないなど、連帯保証人になれる人自体が減っているので、連帯保証人に万が一のときの家賃支払いを請求するというシステムが、世の中の流れに合わないものになってきています。

家賃保証会社があれば、連帯保証人代わりになってくれるので、身内に頼れない人でも部屋を借りることができます。

家賃保証会社のデメリット

一方で、家賃保証会社を利用するには、当然保証金を支払わなければいけません。その負担は入居者が担当することになるのですが、それは同時に入居時の負担が増えることになります。

敷金、礼金、仲介手数料、前家賃、引越し代に加えて家賃保証会社の保証金まで増えることになると、家の転居に伴い数十万円の費用が発生することになります。

大家の負担は変わらないので、「影響はないだろう」と思う人もいるかもしれませんが、それだけ転居費がかかることは入居者のハードルが高くなります。入居者のハードルを下げるには礼金をなくす、フリーレントなどをつけるといった施策も検討しなくてはいけないので、結果的に大家の収入が減る場合もあります。

入居者にとってのデメリットも、同様に転居に関する費用が多くなることに他ありません。最近では収入のある連帯保証人候補がいたとしても、家賃保証会社の利用のみというケースも増えています。

気に入った部屋があるのに家賃保証会社の利用費として、家賃0.5ヶ月分の負担が増える、といったこともあります。連帯保証人になってくれる人がいるような入居者にとっては、釈然としないシステムかもしれません。

そして大家、入居者両方のデメリットになりますが、家賃保証会社の倒産により、せっかく預けたお金が無駄になってしまうこともあります。家賃保証業界はまだ歴史が浅く、法規制も不十分な面があります。倒産リスクが少ない会社を選ぶ必要があるでしょう。

家賃保証会社を比較する際のポイント

それぞれメリット、デメリットはありますが、やはりリスクが減って収入が安定することは大家にとっては大きなメリットです。そこでいま利用者が多い代表的な家賃保証会社を比較してみましょう。

大手5社を比較

家賃保証会社を利用するにあたり、気になる点としては家賃保証をしてもらうための初期費用、そして保証範囲、また倒産リスクを考えた会社の信頼性でしょう。それらの観点で大手5社を見ていきます。

日本賃貸保証

日本賃貸保証は1995年創業、千葉県木更津市に本社を構える家賃保証会社です。社員数は546名、日本全国に30支店を持っています。

気になる家賃保証については「日本初の家賃保証システム」と謳っており、この業界のパイオニアと言える存在になっています。売上は非公開ですが、保証契約数は平成27年度で32万9千件となっています

各種プランで保証内容なども違ってきますが、基本プランの場合保証期間は24ヶ月。家賃の他に残留物撤去費用、法的手続きに関する費用なども負担してくれます。業界を作った会社だけあって規模も大きく、信頼に足るでしょう。

※参考:日本賃貸保証の家賃保証

日本セーフティー

日本セーフティーは創業が1997年、東京と大阪に本社を構えています。従業員数は476名、売上高は2016年度で113億円となっています。

家賃保証は基本のプランで24ヶ月間の保証。残留物の撤去費用や法的手続きに関する費用の他に、原状回復費用まで保証してくれるのが強みとなっています。

学生向け定額保証プランなども実施しているので、ケースによって保証内容を使い分けられるのも強みでしょう。

※参考:日本セーフティーの家賃保証

全保連

全保連は2001年創業、沖縄と東京に本社のある家賃保証会社です。全国の拠点数は本社含み18社。社員数は693名、年間申し込み件数は2016年で30万4千件となっています。

保証内容を見ると、保証期間は24ヶ月、家賃、更新料、クリーニング費用、修繕費やごみ処理費用、債務不履行に伴う手続きのための保養など、保証内容が大変幅広いのが特徴です。

※参考:全保連の家賃保証

オリコフォレントインシュア

オリコフォレントインシュアは以前、リクルートフォレントインシュアと言う社名で、2017年10月に変更になりました。

事業開始は2006年と比較的新しい会社であり、社員数は316名となっています。本社は東京にあり、事業所数は9ヶ所です。売上は2015年度が約55億円となっています。

保証内容は賃料48ヶ月(共益費や管理費は含まず)と他社よりも長いのが最大の特徴であり、原状回復や、訴訟手続きの費用も保証してくれます。

※参考:オリコフォレントインシュアの家賃保証

Casa

Casaも東京に本社を構える家賃保証会社です。全国の拠点は10ヶ所、社員数は2016年度で396人、2016年の売上は71億円となっています。2008年創業と、ここで紹介する会社の中では最も新しい会社です。

保証期間は48ヶ月と長く、法的手続きの費用や撤去物の処理費用なども負担してくれます。その他に集金代行や孤独死保険など多様なオプションがあり、確実に家賃を回収したい大家向けの会社となっています。

※参考:Casaの家賃保証

全体的に見れば後発の企業はサービスが充実していますが、大手は売上や事業所数、社員数等の数字で優位性を持っており、安定性はやはり大手のほうが高いと言えそうです。

保証会社の利用で、うまくリスク回避を

家賃保証会社それぞれの特徴がありますが、自分が利用する不動産会社によって、提携先の家賃保証会社が予め決まっているケースもあります。

選択の余地がない時は、不動産会社に新規提携をするように交渉する、家賃保証会社の担当と話し合いの場を持ち、保証内容を確認しておく、などの行動が必要になります。

しかし人口が減っている今の日本では、入居者が老人や外国人だから入れたくない、と言っていられない大家さんも多いでしょう。

そんなときリスク回避に役立ってくれる家賃保証会社は、うまく使えば非常に役立つ存在です。是非積極的に活用し、満室経営を続けられるようにしていきましょう。


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