日本ではまだまだ認知度の低い民泊経営ですが、提供する側と求める側を仲介するプラットホームとして世界的に認知度の高いAirbnbの日本進出により、民泊経営に乗り出してみようという人は確実に増えています。
しかし、民泊経営で注意してもらいたいのが確定申告です。副業として行う際でもある程度の所得が出るようになれば、確定申告の必要が出てきます。それを知らずに無申告の状態を続ければ、下記のように無申告課税が加算されることになります。
- 50万円以内 15%
- 50万円超え 20%
そこで今回はそんなハメにならないためにも、民泊経営(Airbnb)における確定申告時の注意点と経費処理の方法について詳しく解説していきます。いま民泊経営を営んでいる人も、今後経営を始めようという人も、よく内容を理解して、正しく賢い確定申告をするための参考にしてください。
- 民泊経営での確定申告の注意点と経費処理
民泊経営(Airbnb)の確定申告
Airbnbを利用して民泊経営を始めたからといって、全ての人が確定申告する必要はありません。冒頭で言ったようにその所得の大きさによって必要性の有無が違ってきます。
そしてその所得計算に大きく関係してくるのが下記の2点です。
- 控除
- 経費処理
それではこの2つが確定申告時にどう影響してくるのかを見ていきながら、どうすれば賢い確定申告ができるのかを解説します。
民泊経営(Airbnb)で確定申告は必要なの?
Airbnbを利用した民泊経営で確定申告の義務が発生するのは、下記のように本業による給与所得があるかないかで違ってきます。
- 本業による給与所得がある 民泊経営(Airbnb)所得が20万円を超える場合
- 本業による給与所得がない 民泊経営(Airbnb)所得が38万円を超える場合
ここで注意してもらいたいのが所得計算の仕方です。
「所得額」=「収入」-「必要経費」-「各種控除額」
つまり、民泊経営(Airbnb)で得られた収入から必要経費と各種控除額を引いた所得額が、先に挙げた所得額を超えた場合に確定申告の義務が発生します。ここで注目してもらいたいのが必要経費と各種控除額です。
確定申告は納税する所得税額を決定することが目的ですが、経営者としては少しでも大きい節税効果を求めます。その節税効果に大きく関係してくるのが必要経費と各種控除額で、これらの額が大きくなればなるほど所得額を削れるので、どれくらいこの2つをうまく利用できるかによって得られる節税効果は違ってきます。
申告時に受けられる控除は?
控除とは所得税を計算する際に一律で差し引かれる控除額のことで、誰もが受けられる基礎控除と、受けられる人が限定される下記のような各種控除があります。
- 医療費控除
- 扶養控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 配偶者控除
- 青色申告特別控除
基礎控除は本業による給与所得のあるなしによって、受けられる額が下記のように違ってきます。
- 本業による給与所得がある 基礎控除額20万円
- 本業による給与所得がない 基礎控除額38万円
しかし、受けられる控除が多ければ多いほど、所得額を低く抑えることができるので、申告時には自分が受けられる控除にはどのようなものがあるのかを必ず確認してください。
申告時に経費計上できる科目は?
また控除と並んで大きな節税効果を生み出すのが経費です。経費計上できる科目は事業によって違ってきますが、民泊経営(Airbnb)では下記の科目が経費計上の対象となります。
- 家賃
- 固定資産税
- 各種設備の減価償却費
- 損害保険料
- 事業のための借入利息
- 水道光熱費
- 通信費
- 飲食費
- 掃除道具
- 寝具(シーツや枕カバー、家具)
- TV等の設備購入費
- 手数料
- 代行業者に委託した管理費用や清掃費用
- Airbnb関連のセミナーへの参加費、交通費
- Airbnbの知識を得るための書籍代や新聞代
基本的に経費として認められるのは事業収益を得るために必要な出費となります。経費計上するためにも領収書やレシートは必ず保管しておくようにしましょう。
また自宅の空室を民泊利用する際には、認められる経費はその空室に限定されたもののみです。ほかの住居として利用しているスペースで発生したものは経費としては認められません。自宅で民泊経営する人は間違わないよう注意しましょう。
民泊施設によって異なる確定申告
民泊経営(Airbnb)の営業形態は下記の2つに分類できます。
- 自宅の空き室を貸し出すケース
- 自宅以外の不動産を貸し出すケース
実はこの営業形態によって所得区分が違ってくるため、受けられる控除に大きな差が出てきます。その差を生むのが申告手段で、青色申告ができれば青色申告特別控除が受けられ、高い節税効果を生むことができます。
自宅の空き室を貸し出すケース
自宅の一部となる空き室を貸し出す民泊経営の所得は雑所得に区分され、申告手段は白色申告のみとなるため、青色申告特別控除を受けることができません。
このケースでの節税効果を考えるならば、誰の所得とするかという1点になってきます。先に話したように確定申告時に受けられる基礎控除額は、本業の給与所得があるかないかで下記のように違ってきます。
- 本業による給与所得がある 基礎控除額20万円
- 本業による給与所得がない 基礎控除額38万円
よって節税効果を狙うのであれば本業による給与所得がある人の所得とせずに、配偶者等のまったく所得がない人の所得とすれば18万円の節税効果が生まれます。
自宅以外の不動産を貸し出すケース
自宅以外の不動産を貸し出す民泊経営の所得は不動産所得となり、申告手段は青色申告と白色申告の2つから選択でき、青色申告特別控除を受けることができます。
青色申告控除は最大で65万円の特別控除となるので、経営者にとっては驚くほど大きな節税効果をもたらします。わざわざ民泊経営のために不動産を所得したり、賃貸マンションを借りるのにどれほどの経営メリットがあるのかは判断の分かれるところですが、民泊利用の多い外国人旅行者が多数訪れる観光地ならば青色申告特別控除を生かした民泊経営もできるでしょう。
Airbnbで確定申告する際の注意点
Airbnbはアメリカ企業のため、日本で経営を営む場合でもAirbnbによる収入がアメリカの確定申告の対象に当たらないことを確認するため書類提出が求められるケースもあります。
下記の条件に鑑みて必要と判断された場合には確定申告のフォームが発行される場合も出てきます。
- 納税ステータス
- 年間総収入
- 予約件数
Airbnbで納税者情報の登録が求められるのはこれら確認作業が必要になるからですが、Airbnbに登録して民泊経営を行う際には、できるだけ急いでこの納税者情報の登録を行うことをおすすめします。
納税者情報が未登録の間は、Airbnbが受取金の28%を源泉徴収額として米内国歳入庁(IRS)への納付が法的に義務付けられており、納付済みの源泉徴収額は返還されません。これを回避する唯一の方法が納税者情報の登録です。後悔しないためにも早めの処理を心がけましょう。
まとめ
Airbnbはアメリカ企業のため注意しなければならない点はありますが、それ以外は他の事業と同じ確定申告となってきます。
今はまだ世界の他の地域のように大きな収益が得られる事業とは言い切れないので、確定申告が必要ないという人も少なくありません。しかし、今後は外国人だけでなく日本人利用の増加が見込めるので、将来的には期待できる事業となってきます。
その際に得られる収益によっては、賢い確定申告をする必要性は高くなってきます。今回の話を参考にして、できるだけ賢い確定申告となるようにしましょう。