このページでは売却スケジュールから業者選びのポイント、高値で売るためのポイントや陥りやすい注意点など、マンション売却のすべてをまとめました。これからマンションを売却する予定のある方はぜひブックマークして活用して下さい。
重要な項目については、詳しく解説している記事もあります。実際に売却することをイメージしながら、売却を進めていきましょう。
- 高く売るためのルール目次
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マンションを売る時の流れと必要な期間
売却が完了するまでの流れとスケジュールを理解しておくことで、マンションの引き渡し時期から逆算して、売却計画を立てることができます。
特にマンションの売却が初めての場合は、この先にどんなことが待ち受けているのか、常に把握しておくことが大事です。無計画に手続きを進めてしまうと、余計に手間や時間がかかり、思い通りに進まなくなります。
スムーズな売却計画を立てるためには、マンション売却で必要な手続きの流れを知ることが大前提だと覚えておきましょう。
マンションを売る時の流れ
マンションを売ると言っても、どこから手をつければいのか分からない人が大半です。ここでは一般的なマンション売却の流れを解説します。しっかりと頭に入れておきましょう。
いつまでに売却したいのかを決める
まずは、マンションをいつまでに売りたいのかゴールとなる時期を決め、各手順にかけられる期間を割り出していきます。
どのくらいで売れそうか、相場価格を調べる
売りに出すマンションの見積もり価格は、売却するべきかどうかの判断にも影響します。スーモやホームズなど大手不動産ポータルサイトを見て、売却する予定の物件と、築年数や間取りが似ている物件を調べてみましょう。
不動産業者に査定してもらう
不動産のポータルサイトで調べられる相場は、売れる価格ではなくあくまでも「目安」です。適正な売り出し価格を出すには、物件ごとに個別判断をする必要があります。
不動産売買を専門に扱っている不動産業者に査定してもらうと、より正確な適正価格を導きだしてくれます。普段から付き合いのある業者があれば、雑談がてら気軽に聞いてみるのもいいでしょう。
複数の業者に査定してもらうと、より信頼できる情報になります。目利きの力のないダメな業者に当たるリスクを軽減するためにも、必ず複数の業者に査定を依頼して、それぞれを比較してみてください。
理由もなく高い価格をつけてきた業者は、実力のレベルが怪しいだけでなく、依頼主の目線で営業してくれるとは思えません。
価格の高さに一喜一憂するのではなく、どうしてこの査定価格になったのか、値付けの根拠まで説明してくれるかどうかも、業者選びのひとつの基準です。
不動産業者に売却手続き(媒介契約)を依頼する
査定をしてくれた業者の中から、信頼できそうな業者を選び、媒介契約を結びます。
媒介契約の種類には3つあり、複数の業者と契約できる「一般媒介契約」、一社に絞って売却を行う「専属専任媒介契約」と「専属媒介契約」があります。
どの契約形態がいいのかは状況によって変わるため、どの媒介契約にすべきと一概には言えませんが、一般的には「専任媒介契約」を選択する売主が多いようです。
媒介契約の種類については、下の方でも解説しますが、こちらの記事「一般媒介と専任媒介契約どちらがお得?」でも詳しく解説していますので、参照して概要を理解しておきましょう。
売却価格を決める
不動産業者と相談の上、いくらで売りだすかを決めます。売却の成功を左右する大切な項目ですから、業者としっかりコミュニケーションをとって、売り出し価格決めていきましょう。
最初に出された査定価格に縛られる必要はありませんが、売主の独断で決めるのは得策ではありません。高く売りたいのは分かりますが、相場価格との差がありすぎると売れない原因にもなるので注意しましょう。
実際に売り出す
ここまで来たら、マンションを市場に出して購入希望者を募ります。ネットや業者の店頭で物件情報を広く公開し、できるだけ多くの見込み顧客の目に触れるようにします。
物件を内覧してもらう
仲介業者が出している広告やインターネット上の情報を見て、物件を見てみたいという人が現れたら、内覧を実施します。
内覧は売却活動において、とても重要なポイントです。購入を後押しすることもできますし、その逆もありえます。
マンション売却の内覧については、こちらの記事「売却中のマンションの内覧希望者を増やすためのポイント」で解説しています。
内覧前にしておくべきことや、内覧時の対応についてもしっかりと予習しておきましょう。
物件への問い合わせに対応する
内覧とは別に、購入を検討している人から、細かい問い合わせがくる場合があります。基本的には不動産業者が対応してくれますが、所有者への確認が入ることもあるので誠実に対応しましょう。
詳細を詰めるための交渉をする(買い付けの申し込み)
購入の意思がほぼ固まった段階で、買い付けの申し込みが行われます。具体的には、購入希望者が「買い付け証明書」にサインをします。一方、売主であるあなたは「売買承諾書」を交付します。
このやり取りは、「購入と売却の気持ちの表明」であり、「売買契約の成立」ではないことには注意が必要です。
買付証明書は、交渉の最中に他の人に買われてしまわないようにするための証明書で、買い手に安心して交渉に臨んでもらうための手続きだと考えて下さい。
交渉では、物件の引き渡し時期、物件の販売価格を詰めていきます。買い手の希望を聞き、譲歩できるラインを明確にしながら、自分の希望もしっかりと伝えつつ交渉を進めましょう。
売買契約の締結
諸々の条件の合意が得られれば、いよいよ売買契約の締結です。たいていの場合、不動産業者が用意した契約書のフォーマットがあるので難しいことはありません。契約内容に気になるところや加えたいところがあれば、修正したり「特約」として追記することもできます。
契約書への追記や削除には、買い手の同意が必要です。先方が知らない間にこっそりと書き換えるのはNGです。逆に、買い手からの要望が入るケースもあるので、売れたからと言って慢心せず、トラブル防止のためにもコミュニケーションは怠らないようにしましょう。
物件の引き渡し
マンションは高額なので、買主のお金の工面に時間がかかります。契約が済んだからといって、すぐにお金が支払われるわけではありません。いつまでに支払ってもらえるのかは、事前に話し合っておく必要があります。
物件の引き渡しも、支払いとの兼ね合いで決まります。物件を引き渡したのに、お金がもらえないという事態だけは避けましょう。支払いの完了と共に、物件のカギを渡すのが通例です。
売却完了までに必要な期間
物件情報を公開して、すぐに買い手がみつかる場合もありますが、なかなか売れずに一年が経過してしまうケースもあるので、十分な時間を確保しておきましょう。
売り出して3ヶ月以上経過している場合は、物件や価格設定、仲介業者などに問題がある場合があります。時間的な余裕を持っておくことで、価格の見直しや仲介業者の変更なども焦らずに進めていくことができます。
余裕のある売却手続きのためには、最低3か月程度の時間がかかると考えておいてください。業者に依頼するスパンから考えても、3か月を一区切りにして、売却活動を進めていくといいでしょう。
不動産業者と結ぶ媒介契約は、基本的に3か月ごとの更新が法律で定められています。一般媒介契約の期間は法律上の規定はないのですが、専任媒介や専属専任と同様に3か月以内が望ましいとされています。
マンション売却の流れについては、こちらの「売却までのスケジュール作成と相場のチェック」で、さらに細かいところまで解説していますので参考にしてください。
高く売却するために一番重要なのは仲介業者選び!
売却の流れを見ても分かる通り、マンションを売るには不動産業者の協力がどうしても必要です。自力で買い手を見つけることもできますが、スムーズな契約手続きには、マンションの売却に関する専門知識や経験が必要になります。
業者と媒介契約を結んだあとは、基本的には業者の営業マンに任せることになりますので、売主が介入できる場面はほぼありません。だとすれば、マンション売却がうまくいくかは、依頼した不動産業者によって決まることになります。
マンションが高く売れるかどうかは業者で決まる
マンションはただ黙っていても売れるものではありません。あらゆるビジネスと同様、プロモーションをはじめとする営業活動を行う必要があります。業者の営業力と、マンションが高く売れる可能性は比例します。
マンションの売却が初めての場合、どこを見て業者を選べばいいのか分からないと思います。ここからは、不動産業者を選ぶ際に気を付けたいポイントについて解説します。初めての人は特によく読んでおいてください。
最低でも三社以上に査定を取り比較すること
自分で足を運んだり、1社ずつ問い合わせていくことは、業者選びとしては非常に効率が悪いです。
大前提として覚えておきたいのが、優秀な業者がいる一方で、ダメな業者がいることです。ダメな業者にあたってしまうと、マンションが売れなかったり、想定した価格よりも安く売却してしまう可能性があります。
そこでうまく活用したいのが、複数の不動産業者に対して、一括で査定を依頼できる一括査定サイトです。一社ずつ連絡を取る必要がないですし、知らなかった業者とも接点ができます。
一括査定サイトのメリット
一括査定サービスのメリットは、業者の比較と相場の把握、両方を一度にできること。そして、競争原理によって、直接売却依頼をするより高い査定額を出してくれるということです。
最近の一括査定サービスは無料で利用できるため、マンション売却を成功させるために重要なツールのひとつとなっています。
査定価格で業者を見極める
マンションの売却では、高い金額だから良いというわけではありません。相場価格とのバランスの中で、最も高く売れる価格にするのがコツです。適切な値付けは、業者としての力量が問われる部分です。
たとえば、四社に査定を依頼して、1,000万円、1,200万円、1,500万円、3,000万円の査定価格が提示されたとしましょう。最も高いのは3,000万円なのですが、他の3社の査定額とは大きくかけ離れています。
売主としては3,000万円を提示した業者に依頼したいと考えてしまいますが、どうしてその査定価格なのかを確認は怠らないようにしましょう。
なぜその査定になったのか、理由を教えてくれた場合、自分が納得できるかどうかも考慮するべき点です。その理由が理解できないのであれば、しっかり納得できるまで聞いて下さい。業者が真摯に対応してくれるかも重要なポイントです。
もしもはっきりとした理由を聞いても教えてくれないのであれば、値付けの根拠がないだけでなく、顧客の質問に対してしっかりとした説明もできない業者だと判断できるので、1,500万円を提示する業者を選んだほうがよさそうと判断ができます。
おおよその相場を把握できる
相場価格を知るには、最も高い査定額と最も低い査定額を除外します。だいたい、1,200万円から1,500万円が妥当な相場価格であると判断できます。そういった意味でも、この例では1,500万円で売りに出すのがいいかもしれません。
売主であるあなたは、業者の査定価格に一喜一憂するのではなく、査定価格の根拠を確かめることを強く意識してください。
優秀な業者は価格だけでなく、「なぜこの価格で売れると判断したのか」を明確に説明してくれます。根拠もないなら適当に仕事をしている証拠と考えて差し支えないでしょう。依頼主への説明が丁寧かどうかは業者選びにとって重要なポイントとなります。
業者同士の競争原理が働く
一括査定サービスを利用するメリットがもうひとつあります。業者側が、競合となる他の業者を意識せざるを得なくなることです。
査定を依頼したのが一社しかないなら、業者にとって都合のいい査定額を出してくる場合もあります。売却が完了すれば手数料がもらえるため、業者の売りやすい価格の値付けになる可能性があります。
複数の業者に査定を依頼していることがわかれば、そのようなことをする可能性は限りなく低くなります。不当に安い価格を提示したとしても、その業者を媒介業者として選んでもらえる可能性がなくなってしまうからです。
一括査定サービスを通じて査定が依頼された業者は、他の業者にもその物件情報が渡っていることを把握するため、「自社を選んでもらうために一生懸命頑張る」という心理が働きます。
一社だけなら競合がいないので、業者としてはお殿様気分で仕事ができます。その反面、査定サービスを通した依頼では、他社の目を気にせざるを得ませんので、競争が発生します。どちらが売主にとってメリットがあるのかは明白でしょう。
大手か地域密着型の業者ではどちらに依頼するのがお得?
不動産業者は、大きく分けると大手業者と地域密着型業者の2つに分類することができます。
大手の業者はよく名前が知られている会社で、テレビコマーシャルなどでも宣伝しているような規模の大きな会社を指します。地域密着型の業者は、少人数で経営している個人商店のようなところです。
東京23区内や大都市にある物件は大手業者が強い
大手業者は、取り扱う物件数の多さや全国を網羅するネットワークに強みを持っています。物理的に取扱件数が多いため、実績の豊富さという面では地域密着店を圧倒します。
大手業者の実力がいかんなく発揮されるのが、東京23区内や大都市圏での売却です。東京を含む大都市圏は人口が多く、そのぶん不動産取引が頻繁に行われています。
大手業者は、取引数の大部分をカバーできる規模の大きさがあるため、経験値やデータが必然的に増えていきます。さらにそれらを活かし、販売戦略を練れるという好循環が生まれ、大都市圏での大手業者の支配力が広がっていくという特徴があります。
また、東京都心、大都市圏はエリアとしての魅力を兼ね備えていて、需要も安定しています。子供を育てるための環境が揃っていますし、エンターテイメント施設も申し分ありません。加えて、企業が集中しているエリアでもあります。
当然ながら、大都市圏に住みたいと考える人は多く、生活拠点となるマンションのニーズも高くなっています。他のエリアと比べると、いつまでたってもマンションが売却できないという心配はなさそうです。「売る」という最低限の目標は達成できる確率が高いので、大手業者の中から自分との相性の良しあしで選べばいいと思います。
売り手としての希望も踏まえたうえで、よりベストな売却計画を提案してくれるかかが、相性を見極めるための大事なポイントです。信頼できるかどうかを判断するうえでも、複数の業者とコミュニケーションを取ってみることから始めましょう。
1都3県内にある物件はSRE不動産へ
大手業者にもたくさんの会社があり、各会社によって特徴が異なるのですが、今もっとも注目すべき不動産業者は「SRE不動産」です。
電化製品でも有名なソニーグループの不動産会社で、ブランド力から生じる安心感も大きいのですが、SRE不動産をおすすめする理由は、不動産業界で横行している「両手仲介」を行わないと宣言していることです。
両手仲介とは、売主と買主の両方の窓口を担当する方法で、両手仲介で売買契約が結ばれた場合、その不動産業者は、買主と売主の両方から仲介手数料を得ることができます。
そして、この両手仲介をしたいがために、他社から購入希望の引き合いがあったとしても紹介を断り、情報を外部に出さないことを「囲い込み」と言います。
実は、この囲い込みが起きやすい状況を作る両手仲介は、米国など海外では禁止されていますが、日本の不動産業界ではよくある話で、問題視されています。
その一方で、SRE不動産は、両手仲介ではなく「片手仲介」を基本とするエージェント制度を導入しています。必然的に他社が買い手を探してくれる状況になるため、物件がよりよい条件で早く売れる可能性が高くなります。
自社の利益のみを考えるのではなく、あくまでも売主の立場にたって営業活動を進めてくれるのが、SRE不動産です。顧客満足度が91.7%というのも納得の数字です。(SRE不動産が2017年に実施したアンケートより算出された値)
現在は大都市でしかサービスを提供していませんが、対象エリアの物件を売るなら、まずはSRE不動産を検討してみてください。
マンション売却は一歩間違えると数百万単位で損するので、確認する意味で利用しておくことをおすすめします。
地方物件は大手ではなく地元業者が強い場合も
地域密着型の業者は、全国で展開する大手業者のような知名度や大規模なデータはありませんが、担当エリアでの売却ノウハウは非常に優れたものを持っています。
近所の大家や、不動産投資家との濃いネットワーク。地域の人と顔見知りになって、プライベートを通じて顧客情報をもらうなど、泥臭い営業も得意です。ご近所さんの紹介から縁がつながって物件が売れることもあり得ます。
それに比べ、大手業者のスタッフは、20年も30年も同じ店舗でエリアを見続けることは稀です。大手の優秀なスタッフは、都心の店舗に配属されるという事情も見え隠れしています。
担当がいつ変わるか分からない大手業者よりも、地域に密着して長く営業している小さな業者のほうが信頼できると考えることもできます。地方の物件を売る際は、ブランド力や会社の規模にとらわれる必要はありません。小さくても実力重視で業者を選びましょう。
都心部は大手、地方は小さな業者という図式が成り立ちそうですが、あくまでも大まかな傾向の話なので、地元と大手の両方から査定をとるのがベストです。
一社としか契約できない専属専任媒介契約や、専属媒介契約を締結した場合でも、他の業者と接触してはいけないという決まりはありません。常に複数の業者とコンタクトを取りつつ、一度選んだ業者に疑問を感じるのであれば、他の業者に乗りかえましょう。
そういった万一のときのリスクヘッジとしても、一社だけではなく、複数の業者の話を聞くことをおすすめしています。上手に一括査定サービスを利用しましょう。
築古、訳あり物件はある程度妥協も必要
生活のしやすさを示す周囲の環境なども価格の変動要因になりますが、基本的には、建てられてから年月が経てばたつほどマンションの価値が下がっていきます。
不動産業者は「儲かる物件」を探しています。単価そのものが低い築古物件は、業者も敬遠しがちです。人気がないばかりか、売却の手間は変わらず売れたとしても安いため、得られる利益が少ない事が理由です。
いわゆる事故物件も同様です。部屋で事件や事故があった物件は、買い手に対して事前に説明しなければなりません。過去になにかあった物件だと、どうしても買い手が見つかりにくく、業者としては敬遠したくなります。
また、間取りが独特であったり、極端に狭いなど、暮らしにくいマンションも訳あり物件なので、取り扱いを避けたいと考えるのが通常でしょう。業者としては、もっと売れやすく、利益の多い物件を扱いたいというのが本音です。
だからと言って、必ずしも業者が取り扱ってくれないわけではありません。独特の間取りを楽しめたり、事故物件を全く気にしない買い手もいます。古い物件を自分の暮らしに合わせてリノベーションしたいという人もいます。
このような買い手がいることを前提として営業している業者もいますので、なるべくたくさんの業者に査定してもらうことで、最適な業者が見つかります。
大手業者は売りやすい物件を扱いたいと考えるので、築古・訳あり物件の場合は、中小の地域密着型のお店のほうが前向きになってくれると思います。あえてニッチな物件を取り扱っている専門業者もいるので、たくさんの業者にあたってみてください。
すべての物件において、「大手だから安心」という考えはよくありません。各業者の得意分野があります。とにかくまずは、業者の規模にこだわらずに査定額を比較し、業者からの反響を探ってみるとよいでしょう。
売れにくい物件を売るコツとは
あまり人気のない築古・訳あり物件を売りに出すのであれば、「売れにくい」ということは覚悟しておいてください。ダラダラと市場に出しておくのではなく、一定期間を決めて短期集中で営業活動に取り組みましょう。
目安としては、半年くらいです。さきほど説明したように、一般的な物件が3か月単位なので、おおよそ2倍の期間をタイムリミットに設定します。
それでも売れないのであれば、物件に手を加えない限り、それ以降に買い手がつくのは難しいと思ってください。では、もうあきらめるしかないのかと言うと、必ずしもそうではありません。
築古・訳あり物件を処分するには、業者の買取りという方法もあります。リフォームをしてから改めて売りに出す業者などであれば、一般顧客よりも築古・訳あり物件を買ってくれる可能性が高まります。
通常の売却よりも利益は下がってしまうかもしれませんが、「処分すること」を優先するなら、業者買取も有効な選択肢のひとつです。なかなか売れないのであれば、業者買取を検討しましょう。
仲介業者の良し悪しを見抜くためのポイント
ここまで見てきたように、業者の存在がマンション売却の大きなウエイトを占めます。特徴や営業力を見極めたうえで、なるべく高く売ってくれる業者と媒介契約を結ぶようにするのが鉄則です。
業者への依頼経験がないと、どうしても最初の一歩を躊躇しがちです。マンションは時間とともに劣化が進み価値が下がっていくのが一般的ですから、高く売るのは時間との勝負でもあります。
業者選びで迷っているうちに時間だけが過ぎてしまうようなことにならないよう、ポイントをしっかりと理解しておきましょう。
基本は専任媒介、レインズへの登録を確認しよう
マンションを売却する手続きのすべてを個人で行うのは非効率ですし、現実的ではありません。買い手を探す営業活動から契約締結に至るまでには、実務経験やノウハウが必要となるからです。不動産情報サイトへの登録ひとつをとってみても、業者の役割は欠かせないことが分かると思います。
業者に売却を依頼する際には、3種類の契約形態があります。
- 一般媒介契約
- 専属媒介契約
- 専属専任媒介契約
大きな違いは、「専属」だと一社にしか依頼できない点です。「一般媒介」では、特定の一社だけでなく、複数の業者に同時に依頼が可能です。
この点を考えると、一般媒介契約のほうがよさそうに思えます。なるべく多くの業者に頼めば、それだけマンションを探している人の目に触れる機会が増えますから、早く売れる可能性が高まりそうです。
しかし多くの人が、専属専任媒介契約を選択しています。信頼できる一社に責任を持って動いてもらうメリットを重視しているようです。
一般媒介契約だと、複数の業者に頼める一方で、業者のモチベーションがいまいち上がりません。広告費をかけて頑張って営業活動をしたとしても、他の業者が早く売ってしまえば、手数料がまったく入らず損をしてしまいます。他社に先を越されるリスクを考えると、基本的には一般媒介の物件に全力を注ぐことはしません。
専属媒介であれば、自社が窓口になることが分かっているので、他社との競争をする必要がなく、売主側からの手数料が確保されるため、業者が売主に対して専属専任を執拗に勧めてくることもあります。広告費用や営業コストをかけたとしても、売りきることができれば先行投資が回収できて、収支が確実にプラスになるからです。
専任媒介契約は囲い込みの対策にも
専属媒介のデメリットとしては、媒介手数料の「両手取り」をしたいがために、他社から提供された買い手情報を無視する可能性が否定できないことです。専属媒介契約を締結した業者は、媒介契約締結から5日以内(専属専任媒介)または7日以内(専任媒介)にレインズに登録しなければなりません。
レインズというのは、不動産業者に関する法律の宅地建物取引業法に定められている、不動産情報ネットワークです。ここに登録された不動産情報を見た不動産業者が買い手を探してきてくれるのですが、このレインズへの登録をわざと遅らせたり、最悪の場合載せない業者もいます。これが先ほど説明した「囲い込み」に当たります。
売却に対する姿勢が大事
レインズへの即時登録を依頼するだけでなく、ちゃんと登録が済んだことの報告を受けることが大切です。レインズのことまで知っている売り手だと分かれば、しっかりと勉強しているから、あまり適当なことはできない「騙せない売主」だと、認識してくれる効果も期待できます。
本来であれば、依頼主を最優先にして動いてくれるのが不動産業者の役割のはずなのですが、残念ながらビジネス優先になっている現状もあります。マンション売却で失敗しないためには、基礎的な知識を身に付けて、自分でも防衛策を練ることが非常に重要です。
媒介契約を結んだあとも、業者に任せっきりにするのではなく、随時進捗を確認するようにしましょう。法律には、1週間に一回以上(専属専任媒介)、または2週間に一回以上(専任媒介)の頻度で、依頼主に報告する義務が定められています。しかし、業者からの連絡を待つのではなく、こちらからも積極的に業者に問い合わせる姿勢でいてください。
もちろん、細かいところまでいちいち口を出す必要はありません。業者も、自分のやり方を否定されてしまうとモチベーションが下がってしまいます。ある程度は任せて、どのような販売状況になっているのか、進捗を確認するようにする程度でいいと思います。
媒介契約の種類をはじめとする詳しい説明は、「一般媒介と専任媒介どちらがお得?」の記事で詳しく解説しているので、合わせて確認しておいてください。
ダメな業者は迷わず契約を打ち切ること
当初は信頼できると感じていても、媒介契約を結んだ後に不満が出てくることもあります。実際の仕事ぶりを見てからでみないと、どんな業者なのか、本当のところは分かりません。
最初に提示した査定価格で売り出したにも関わらず、売れないことを口実にすぐ値下げを要求してくるのは、ダメな業者の典型です。闇雲に値下げをするのは業者の営業努力の放棄です。
平均相場よりも各段に安くなれば、売れやすくなるのは当然です。そのような業者は、売主の利益ではなく、自社に入る手数料収入のことで頭がいっぱいなのでしょう。
最初のうちは懇切丁寧に対応してくれたのに、時間が経つにつれてどんどん後回しにされてしまうケースも、実際によくある話です。
さらに悪循環なのは、「売れない物件」とレッテルが貼られてしまうと、さらに買い手が現れにくくなることです。「物件そのものに問題があって売れないのかもしれない」と、疑われてしまうからです。
もし物件が売れず、業者の仕事ぶりに納得がいかないのであれば、思い切って業者の乗り換えを検討するのもひとつの手段です。疑問を持ったまま時間だけ過ぎてしまうのが、一番最悪のパターンです。
依頼主からの連絡に真摯に対応してくれないのであれば、その業者に頼んでいる理由はありません。アドバイスを求めても返ってこないなど、誰が見ても業者の姿勢に問題があるなら、早めの変更を検討したほうがいいでしょう。
業者を変更するタイミング
専属媒介契約は、自動更新ではなく、3か月ごとに契約を結びなおすのが一般的です。業者を変更するのであれば、契約期間が過ぎる段階で、契約更新をしなければいいだけです。媒介契約を結ぶ際の契約書に記載されていますので、違約金などのペナルティはありません。
しかし、契約期間である3か月のあいだで、契約を解除したいというケースもあると思います。この契約期間内であっても、契約を解除することはできるのですが、その前に違約金について書かれているか、契約書の内容をよく確認してください。
業者としても、3か月間は責任を持って物件が担当できると考えているからこそ、人件費や広告コストをかけられます。業者はそういった懸念も含めて媒介契約の中身をつくっていますので、困ったときには契約書に立ち戻るようにすればいいでしょう。
一般媒介契約であれば、契約期間に定めはありませんので、業者との合意があればいつでも変更ができます。国土交通省からは、3か月という期間が示されていますので、業者との契約内容によっては、期間が定められていることもあるでしょう。やはり、契約内容をよく確認する必要があります。
売れないときは業者変更も視野に
不満や問題を感じない業者であっても、そのままズルズルと媒介を任せてしまうのは得策ではありません。さきほども説明した通り、時間が経てば経つほどに、業者のモチベーションが下がってしまうからです。
もちろん、物件そのものにアピールポイントが足らなくて売れないこともあります。人が住みにくい地方の田舎や、事件や事故の現場となってしまった訳あり物件などは、営業手法というよりも物件に問題があります。素人判断でも分かるような問題がないのであれば、売れない状況をつくっているのは業者である可能性が高いでしょう。
いつまでも売れない状態が続くのであれば、業者の対応に不満がない場合であっても、いったん業者をリセットすることをおすすめします。運悪く「両手取り」に固執する業者に当たってしまった場合、実際は他社から問い合わせが入っているにも関わらず、売主に知らせていない可能性も否定できません。
営業手法をいったん白紙に戻す意味でも、業者の変更はとても有効です。変更後の業者が独自に持っているネットワークを利用したり、業者との付き合いがある既存顧客へアプローチしたり、また違った側面からの営業活動も可能になるからです。
業者をしっかりとチェックしよう
不動産売買が初めての場合、業者を変えることの抵抗があると思いますが、業者選びはマンション売却を成功させるために重要な事柄です。自分が損をすることにならないように、少し上から目線で業者をチェックするつもりでいるといいでしょう。
媒介契約を締結した最初の3か月は、売主として業者を見極める期間と捉え、次の3か月がタイムリミットと考えておいてください。つまり、ひとつの業者に任せる期間は半年程度が目安となります。最初の3か月で問題がないと感じた業者であっても、半年経って売れないのであれば、他の業者への切り替えを検討してください。
別の業者に乗り換えるのは、決して悪いことではありません。仲介業者の変更をして、すぐに売却できたという方も多いです。
賢く売却を進めるためには、よい業者とのめぐり合わせが不可欠です。ダメな業者に当たってしまった場合でも、我慢する必要がないことを知っておけば、初めての売却でも心に余裕ができて柔軟に対処できると思います。
悪質な業者の手口に引っかからないように注意!
ほとんどの業者が真面目に仕事をしている一方で、依頼主のことは二の次で、お金儲けしか考えていない悪徳業者もいます。
悪徳業者の代表的な例を挙げると、「最初に説明のなかった高額の広告費用を請求してくる」、「オープンハウスを開くための追加料金を要求してくる」といった、追加費用がらみが多くあります。
チラシの配布などのプロモーション費用を要求された際には、まずは一度、業者の負担で行うように話をしてみてください。広告にお金をかけることに対する業者の真剣度を確認します。業者が負担を拒むようであれば、その理由を聞き、納得できないのであれば、他社への乗り換えを検討したほうがよさそうです。
なお、依頼主からの依頼で広告を出した場合に限り、業者は依頼主に広告費用を請求できることになっています。効果的な広告もあるので広告そのものは悪くありませんが、売るための努力は本来、業者側の負担でするものです。依頼主への負担がかからないようにしながら、すぐに売ってくれる業者がいい業者だと心得ましょう。
マンションが売れない場合の対策は?
販売戦略もバッチリで、物件に問題もない。業者も一生懸命に取り組んでくれている。このように、すべてが順調に進んでいるようなときでも、どうしてもマンションの買い手が見つからないときはあります。
ここからは、売却戦略を軌道修正するためのチェックポイントをご紹介していきます。
今の売出し価格が適正かどうか確認
物件の売り出し価格は、売却できるかを左右する重大な要素です。買い手のニーズと価格のバランスによって、売れる可能性が変動します。
最近では、不動産関連の情報が、ネットで簡単に調べられる時代となりました。買い手はマンションを探す際、他の物件とあなたの物件を比較して、よりお得なほうを購入しようとします。なかなか売れないときは、買い手が適正と感じない価格になっている可能性があります。
業者から最初に提示された査定価格であったとしても、業者が計算した机上の価格に過ぎず、実際に買い手が納得する価格かどうかは別問題です。
買い手が他の物件と比較する以上、他の比べて割高になっていないかを調べてみると、売れない理由が見えてくるかもしれません。改めて、相場価格との差はないかを確認してみましょう。
インターネットで物件情報を集める
まずは、インターネットの不動産情報サイトを使い、似たような物件情報を集めます。エリアと物件の種類を選択するだけで、売りに出ている物件情報が分かるので、価格を坪数で割って坪単価を割り出してみてください。物件の広さが違っても単純比較ができます。
買い手が見るのと同じネットの情報を集めれば、買い手の立場で客観的に相場価格を見られるので、不動産情報サイトの活用はおすすめです。
自分のマンションを少しでも高く売りたいと考えるのは当然ですが、市場価格に見合った価格を設定しなければ買い手に見向きもされません。希望価格と相場価格のバランスをうまく取るのが、上手な値付けと言えるでしょう。
物件を売買できるサイトの他にも、国の役所である国土交通省の「不動産取引価格情報検索」も重要なデータになります。
不動産取引の時期、不動産の種類、地域を選択するだけで、取引物件の詳細が分かります。あなたが売りたい物件と同じような事例を比較することで、売れる価格がどのくらいかをチェックできます。
業者から査定価格をもらったあとに、この「不動産取引価格情報検索」を活用すると、業者の査定が適切なのかも調べることができます。価格を見直す際には、業者にすべてを任せるだけでなく、自分でも情報収集をする手間を惜しまないようにしましょう。
安易な値下げには注意!
相場価格を調べても問題はない場合、まず思いつく対策として、価格の値下げを検討すると思います。
相場価格より高い価格で売り出していたのであれば、他の物件の水準にまで下げてみるのはいいと思います。3か月スパンで価格を設定して、様子を見るというのも有効なやり方です。
しかし、相場価格よりも安くするのがマンションの売却にとって有効かというと、それは話が違ってきます。なぜなら相場価格とは、実際に取引があって、最も売れやすい価格だからです。
買い手も、だいたいの相場価格を把握しています。不動産業者にも問い合わせるでしょうし、ネットを使えば簡単に調べられます。
ということは、相場価格程度で売りに出ている物件であれば、買い手は価格面についての問題はないと考えていることになります。相場価格で市場に出しても売れないなら、価格以外の部分に問題があると予想できます。
価格に問題がないのに販売価格を下げてしまえば、そのぶん売主が損をしてしまいます。安ければ安いだけ早く売れる可能性は上がりますが、値下げを検討する前に、まずは他の問題を徹底的に探してみるべきです。
そこでここからは、値下げをする前にチェックすべきポイントについて、細かく見ていきます。
部屋の掃除や内覧対応などはしっかりできているか?
買い手がマンションを買うかどうかは、マイソクなどの書面から分かるスペックも影響しますが、それ以上に大事なのが実際の物件の状態です。物件を見れば、写真や文章では伝わらない雰囲気まで分かり、その後の生活がよりイメージしやすくなります。
物件を内覧すると、理屈ではなく、感覚で物件を把握できるわけです。たとえば、部屋にゴミが散らかっていたり、壁紙がはがれていたり、タバコの臭いが充満していたら、感覚的に嫌な気持ちになってしまうのは、誰でも理解できるはずです。
「価格面や間取りには問題がないから期待していたのに、実際に部屋を見たら期待外れだった」というケースは本当に多いです。図面で見た間取りとイメージが違ったというのならまだ納得できます。しかし売主の怠慢で物件の印象が悪くなっているのだとしたら、悔やんでも悔やみきれません。
内覧を売却の後押しにするためには、内覧する買い手の立場にたって、しっかりと準備をすることが大切です。マンションは高額商品だからこそ、自分の目で確認してから買いたいと考えるのは当たり前なので、商品そのものをないがしろにしないようにしましょう。
内覧準備の重要チェックポイント
内覧をしてもらう立場としては、最低限、快適な暮らしをイメージできる空間を目指して、購入希望者を迎える準備してください。ゴミが散乱していたり、水周りから臭いが漂っていたりするのだけは避けましょう。売却物件で生活をしている場合には、いつ他人が来ても大丈夫なように整理整頓は欠かせません。
重点的に見ておきたい箇所は次の通りです。
- 玄関(余計な靴を置かない、下駄箱を整理整頓、臭いのチェック)
- リビング(汚れがないか確認、カーペットは清潔かどうか)
- 寝室(クローゼットがちゃんと開くか、クローゼットの中が散乱していないか)
- トイレ(臭いがないか、汚れがひどくないか)
- キッチン(カビや臭いがないか、虫がいないか)
- バスルーム(カビや臭いがないか)
これらの場所は使用頻度が高く、劣化が激しくなる傾向にあります。毎日使うところだからこそ、買い手としても重点的にチェックしようとします。
特に、玄関扉を開けたときの第一印象は重要です。玄関が与える印象は、大きな分かれ道になると覚えておきましょう。
ポイントは、自分が内覧する気持ちで物件を見直すことです。実際に玄関を開けてみて、臭いがなくて明るいかどうかなど、自分の物件を客観的に見て、好印象を持てるように心がけましょう。
内覧は重要な営業活動
内覧をする際には、媒介を依頼した不動産業者のスタッフが買い手を案内します。売主としても、買い手に直接アピールできるチャンスなので、張り切ってしまうのは分かりますが、マナーを守らず買い手に悪い印象を与えてしまう売主もいます。
売主は普段、物件購入を検討している人との出会いはなく、商品取引の現場には慣れていないせいなのか、なぜか高圧的な態度で買い手と接する売主がいます。
ハキハキと喋り堂々と接するのは構いませんが、所有者だからと言って偉そうにするのは間違っています。買い手としては、人間的に気に入らない売主から高額なマンションを買いたいとは思いません。売却できるチャンスを逃してしまうことにもなります。
貴重な時間を使って自分の物件をわざわざ見に来てくれた、ありがたいお客様という感謝の気持ちがあれば、自然と丁寧な言葉づかいや態度になるはずです。
「内覧はマンションが売れるかどうかが決まる大切な営業活動だ」と肝に銘じてください。内覧はビジネスの場ですから、買ってくれるお客様に対して横柄な態度を取るのは慎まなければなりません。業者が間に入っているとはいえ、買い手はあなたからマンションを買うことを決して忘れないでください。
こちらの記事「1年以上マンションが売れない場合はかなりマズイ!?中古物件が売れない理由」では、内覧時の注意点や物件の売れない理由をさらに詳しく解説しているので参考にして下さい。
どうしても売れない時は業者買取も検討しよう
マンションを買ってくれる顧客は、不動産市場で物件を探している一般的な顧客だけではなく、業者も買い手になってくれます。
これを一般的な売却と比較して、「業者買取」と呼んでいます。
業者買取を選択すべきかどうかは、メリットとデメリットを理解してから検討しましょう。一般的な売却との違いを意識しながら読み進めて下さい。
顧客を探す手間が省ける
業者買取の場合、買取事業を行っている業者に問い合わせればいいので、顧客を探す手間が省けます。一般的な売却では、価格設定などの販売戦略を練ってから売りに出すまで、買い手が見つかるかどうかは分かりません。
さらに言うと、一般顧客を対象とした売却では、実力のある業者に依頼をしたとしても、必ず売れるわけでなく時間がかかります。適性価格で魅力的な物件を売っていても、マンション自体を欲しいと思う買い手がいなければ売れ残ってしまいます。
その点、業者買取は、業者が直接買い取ってくれるため、買い手を探す手間が大幅に減ります。不特定の顧客に物件をアピールして買い手を見つける必要がなくなるからです。
売却よりも早く現金化できる
買い手探しの手間が省けるということは、早く売却ができて、すぐに現金化できることを意味します。業者買取の場合は、最短数日後に現金が手に入ります。
業者との価格交渉はもちろん必要ですが、買い手のローンの審査など手続きが複雑な売却に比べると、現金化できるスピードは比べものになりません。
平均的には、1週間もかからずに売買の合意が取れます。マンションをなるべく早く現金化したい事情のある人には、業者買取が最適の取引と言えるでしょう。
売主の瑕疵担保責任がなくなる
「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」とは、物件を売却をしたあと、雨漏りや配管に不備があるなどの不具合があった場合に、売主が修繕する義務のことをいいます。「瑕疵」というのは、欠陥や不具合を指します。
しかし業者買取では、その売主の瑕疵担保責任が免除されることになっています。瑕疵が見つかった場合でも、売主に代わって業者が責任を取ってくれるのは大きなメリットです。
「瑕疵が見つかったら数百万円単位の出費になるかもしれない」と心配する必要が消え、心理的な負担と経済的な負担の両方がなくなるのは、売り主にとって大きなメリットとなります。
内覧の準備がいらない
内覧は重要な営業活動なので、一般顧客に物件を見てもらうためには、それなりの準備が必要です。部屋の整理整頓はもちろんのこと、カビや臭いなどを取っておき、いい印象を持ってもらう必要があるのは、すでに説明した通りです。
しかし、内覧があるたびに、時間を確保して物件を見せるのは大変です。内覧希望者が多い場合はなおさらです。ですが、業者買取では不特定多数の人に物件を見せなくてもいいので、内覧に関する負担が大幅に減る点も特徴的なメリットです。
当初のスケジュール通りの売却が可能
一般的な売却では、すぐに買い手が見つかるかどうかが分かりません。考えていた通りのスケジュールで売却できるかどうかは、売りに出してみないとわからず、予定が狂ってしまうことはよくあることです。
業者との価格交渉次第ですが、買取が前提で話を進められるので、最初に想定したスケジュールで買取手続きを進められますので、価格が決まってしまえば、トントン拍子で引き渡しまで完了します。価格に妥協ができれば、急いで処分することもできます。
修繕費用が節約できる
売りに出す際は、商品価値が下がらないように、最低限のメンテナンスが必要となります。築年数が経過している物件であればあるほど、水周りの整備や壁紙の取り換えなど、さまざまなリフォームや修繕にお金がかかります。
業者買取をしてもらえれば、リフォームは基本的に業者が行います。少しでも高く買い取ってもらおうと、綺麗にしたい気持ちもわかりますが、不動産業者はプロです。内装が綺麗かより、物件そのものの価値をしっかり判断します。
場合によっては、業者側が劣化した部分の修繕だけではなく、大規模に部屋をイメージチェンジするかもしれません。業者はその後の再販売を見据えながら買い取りますから、あなたがメンテナンス費用をかけなくてもよくなり、売主にとってはコストダウンが見込めます。
業者買取のデメリット
このように業者買取にはとても魅力的なメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。
メリットとのバランスに注目すると、業者買取の全体像が理解しやすくなると思います。ひとつずつ見ていきましょう。
買取価格が相場よりも安い
マンションを買い取った業者は、あなたからの買取価格に、リフォーム代や諸費用、自社の利益を上乗せして再販売をします。そのため、仕入れとなるあなたからの買取価格は、どうしても抑えざるを得ません。
業者買取の価格は、売却価格の7割程度で買い取る傾向にあると言われています。単純計算で、相場価格が5,000万円であれば、業者買取は3,500万円です。
相場価格と業者買取価格との差額の解釈は、売却完了までに時間をかけられない事情の重さによって変わってきます。安くてもいいから早く売りたいという考えも、決して間違いではありません。
もちろん、相場価格と業者買取価格との差は絶対に7割というわけではないので、実際に見積もりをもらうことが先決です。業者がリフォームをするかどうかによっても変わってきますし、交渉次第でも差を縮めることはできると思います。
買取価格を不当に下げる悪徳業者もいる
売主が売却の利益よりも、タイミングを重視していることを買取業者は感じ取っています。時間的な余裕がない弱みにつけこんで、相場よりも各段に安い価格を提示してくる業者もいます。
売主に対して誤った相場価格を説明し、業者自らが提示する不当に安い買取価格を正当化するケースもあるようなので、親身になってくれる業者を探す手間をは惜しまないようにしましょう。
一般的な売却と同じように、複数の買取業者に査定をしてもらうことが、売主としてできるベストな対策です。焦りに焦って、最初に見積もりを依頼した業者に即決するのは絶対にやめましょう。
業者買取も使いようによってはメリットが大きい
確実に早く売れるメリットと、適正な評価よりも安く売らざるを得ないデメリットをどのように捉えるのか、業者買取を選択する際はよく考える必要がありそうです。
まずは一般的な売却を進めて、どうしても売れないときの選択肢として業者買取を頭に入れておく流れが理想です。なかなか売れないときの代替案として、この業者買取があることを知っておけば、精神的にも余裕をもって売却に臨むことができます。
売れない場合のリフォームは有効なのか
売れない時間が長くなると、リフォームして生まれ変わった物件として売ればいいと考える人がいます。新築同様の雰囲気になりお得な印象が出るので、一定の効果は見込めるでしょう。しかし、売却までの手間が増えて効率も悪いため、おすすめできません。
リフォームで時間とお金の両方を消費することを考えると、むしろ業者買取にしてしまうほうがコストパフォーマンスが高いと言えます。売れないからと言って安易にリフォームに手を出すのは考え直したほうがいいでしょう。
築古物件は買取がおすすめ
特に、莫大な費用のかかる大規模修繕が必要な築古物件であれば、業者買取のほうが手間なく処分できるのでおすすめです。また、買い手が敬遠しがちで売却に時間がかかりそうな訳あり物件も、業者買取に適しています。
このように業者買取は、ケースバイケースで売主に大きなメリットをもたらしますので、デメリットとなる部分もしっかりと考慮して、どの売却方法が最適か見極めてきましょう。
もし業者買取で売却したいのであれば、業者買取の査定が出せる一括査定サービスを利用しましょう。
このマンションナビは、仲介での売却と業者買取、両方の査定を同時に出すことができるので、どちらにしようか迷っている方にもおすすめです。希望すれば賃貸にした場合の利回りも出してくれます。無料で利用できるので、まずは気軽に利用してみましょう。
マンションを売却する時に注意したいこと
売り主がマンションを売りに出すとき、買い手が見つかるかどうかに意識が集中してしまいます。売れるかどうかは最大の関心ごとだとは思いますが、それ以外にも注意しておきたいことがあります。思わぬところで足をすくわれないよう、ここからは忘れがちな注意点について解説します。
売却時にかかる手数料や税金、その他の諸費用
売却をすると実入りがありますが、反対に出ていくお金もあります。マンションが売れて安心していたところに予定していなかった支出があると、想定していた手取り収益にも影響が生じます。そうならないためにも、かかる諸費用を把握しておきましょう。
まず、マンションの売却に必要な費用の種類を並べます。現時点でちゃんと想定できているか、ひとつひとつ確認しておきましょう。
- 不動産業者に支払う媒介手数料
- 広告費用、物件調査費用
- 売買契約書に貼る印紙代(税金)
- 残っている住宅ローン(残債務)
- 住宅ローンの一括返済手数料
- 抵当権の抹消登記費用(住宅ローンがある場合)
- 譲渡所得税(税金)
これから項目ごとに説明しますので、「売るときに出ていくお金」をイメージしていきましょう。
不動産業者に支払う媒介手数料
不動産業者は媒介手数料を得るために、あなたの物件の取り扱いを引き受けます。意外に思われるかもしれませんが、不動産業者は媒介手数料を自由に設定することができません。宅地建物取引業法によって明確に定められています。もしも違反した場合には、罰金が課せられます。
媒介手数料の計算方法は、本来であれば面倒な計算式なのですが、ここでは簡易的な計算式をご紹介します。
わかりやすくするため、今回は400万円以下のマンションについては除外して考えます。この計算式は、400万円を超える物件にしか使えませんので注意してください。
媒介手数料=売却価格×3%+6万円+消費税
「3%に6万円を足したあとに消費税」、と覚えておきましょう。
仮に4,000万円のマンションであれば、4000万円×3%+6万円×1.08=1,323,000万円となります。
実は、絶対にこの媒介手数料でなくてはいけないということもなく、上限額としての計算です。計算式以上の媒介手数料を取ることは許されませんが、計算式以下であれば問題がありませんので、規定よりも安い媒介手数料を設定している業者もあります。
広告費用、物件調査費用
業者が宣伝にお金を使った際、売主に請求がいく場合があります。注意してほしいのが、業者が勝手に広告を出しておいて、追加で費用を請求されるケースです。
売主としては事前に了承をしていないため、トラブルの原因にもなります。説明のない費用をいきなり請求してくる業者と契約してしまった場合は、信頼関係を築くのは難しいと判断し、業者の変更を速やかに検討することをおすすめします。
もしも業者から広告を出すことを提案されたときには、どちらの費用負担になるのかをきちんと確認しましょう。無用な広告を頻繁に使うことで、依頼主から広告の手数料を取ろうと考える業者もいます。どんな広告を出して、どういった効果を見込んでいるのかもしっかりと確認しておいて下さい。
広告費用の請求についてはルールがあり、「依頼者の依頼による広告」に限り、依頼主である売主に広告費用を別途請求してもいいことになっています。よって通常は、あなたが頼まない限り、広告費用は請求されないと思っていて大丈夫です。
そもそも、高いコストパフォーマンスが見込める広告なら、業者が広告費を負担してくれてもいいはずです。広告宣伝は媒介の仕事の範囲内であり、業者が負担するべきものです。広告費用の負担を求めてくる業者に対しては、冷静に対応してください。
また、遠隔地での調査が必要な場合の交通費等は、別途費用としての請求が認められています。普通の業者なら事前に説明してくれるので、それほど心配する必要はないでしょう。
売買契約書に貼る印紙代(印紙税)
売却が決まると、買主とのあいだで売買契約書を締結します。印紙代(印紙税)も、マンションの売却価格に応じて決まリます。
- 1000万円以下…5,000円
- 5,000万円以下…10,000円
- 1億円以下…30,000円
契約書は売主と買主のぶんが必要なので2通作成しますが、1通ごとに印紙税がかかってくるため、双方の当事者がそれぞれで印紙税を負担することになります。
残っている住宅ローン(残債務)
ほとんどの人が住宅ローンを使ってマンションを購入します。一般的なローンの返済期間は35年ですから、マンションを購入して35年以内での売却だと、まだローンの返済が残っていることになります。
残債務がある場合には、マンションの売却で得たお金で返済します。完済ができた場合は抵当権もなくなり、売主の金銭的負担はすべて消えます。
抵当権とは、借金(ローン)の担保となる財産に付与されます。もしもローンの返済ができなくなってしまった場合には、抵当権がついている財産が抵当権者(金融機関)に没収されます。
マンションを買う際には、購入するマンションに抵当権をつけるため、ローンが返済できなければマンションが没収されてしまいます。もちろん、計画通りに返済が完了すれば、抵当権を消す手続き(抵当権抹消登記)ができます。
マンションを売ったお金でローンが完済できればいいのですが、売却で得たお金だけでは足りないこともあります。このような売却額よりもローンの残債務が多い状態を「オーバーローン」と言い、不足分を手持ちの資金で埋める必要があるため、経済的にとてもつらい状態になります。
オーバーローンに陥ったあげく、売却額と残債務の差を埋める自己資金もないとなると、ローンを借りた当時に設定した抵当権を消すことができません。
つまり、マンションの所有権が新たな買主に移ったとしても、あなたのローン返済が滞る限り、金融機関に没収されてしまう可能性があるということです。そんなリスクの高いマンションを買いたいと思う人はいないので、しっかりと資金計画を立てておきましょう。
住宅ローンの一括返済手数料
住宅ローンを一括で返済するためには、繰上返済に伴う手数料がかかります。全額繰上か一部繰上か、ネットバンキングか窓口かなど、手続き方法によって手数料額が変わりますので、なるべく安い手続き方法を選ぶようにしましょう。
金融機関によっても手数料額が異なります。三井住友銀行の例を取ると、5,400円から16,200円の手数料となり、ネットバンキングを利用した一部繰上返済の場合には無料になります。住信SBIネット銀行では、変動金利の場合には、一部繰上も全額繰上も無料とのことです。
この情報は2017年10月現在のものです。今後変更される可能性もあるため、自分が利用している金融機関の一括返済手数料がどれくらいかを確認するのを怠らないでください。
抵当権の抹消登記費用(住宅ローンがある場合)
住宅ローンを完済すれば、抵当権を抹消させます。抵当権は不動産登記によって設定されていますので、抹消登記の手続きをしていきます。
ひとつの物件につき1,000円の登録免許税が必要になります。登録免許税は、登記を主管する法務局に提出する資料に印紙を貼ることで支払います。登録免許税に司法書士報酬登記を加えた総額は、15,000円から30,000円くらいと見積もっておけば問題ないでしょう。司法書士によって若干報酬に差が出ます。
不動産登記を実際に自分でやってみるとそれほど難しくはないですし、絶対司法書士に依頼しなければならない決まりもありません。しかし、抵当権の設定や抹消は非常に重要な手続きですから、金融機関が司法書士を指定する可能性のほうが高いと思います。
もしも司法書士を自由に選べるのであれば、ホームページで確認したり直接問い合わせをすることで、なるべく安く登記申請をしてくれる司法書士を探せます。
全額自己資金で購入したマンションであれば、最初から抵当権は設定されていないので抹消手続きも必要ありません。
譲渡所得税
マンションを売却して得たお金にも税金がかかる可能性があります。「マンションの購入価格よりも売却価格のほうが多い場合」、にかかるのが譲渡所得税です。つまり、マンションを売って儲けたお金に課せられます。損をした場合には、譲渡所得税の対象とはなりません。
わかりにくいので具体例で簡単に説明します。
たとえば、3,000万円で買って5,000万円で売ったら2,000万円の儲けになり、2,000万円が課税対象となります。実際には、マンションの購入価格から諸費用や、売却にかかった費用を差しひいた「取得費」で考えます。単純に購入価格から売却価格をひいた額が対象となるわけではありません。
逆に、3,000万円で買ったマンションが2,000万円でしか売れなかったのであれば儲けは出ていないので、譲渡所得税はかかりません。
マンションを持っているだけでも固定資産税がかかるのに、売るときにも税金がかかるなんて無慈悲ですが、ちゃんと優遇措置もあります。優遇されるための要件を満たすかどうかが、譲渡所得税における最大のポイントです。
マイホームとして使っていたマンションなら、「居住用財産を売った場合の特別控除の特例」が適用となり、3,000万円の控除が受けられます。さきほどの例で出した2,000万円の利益では、譲渡所得税は支払わなくていいことになります。
特別控除を適用したいときには確定申告が必要です。申告し忘れには注意しましょう。
住民税
マンションを売って得た利益には、住民税もかかります。税額を計算する基礎となる所得額は、譲渡所得税のときと同じ計算になります。
譲渡所得税と住民税の税率
税率は、マンションの所有期間で変わってきます。
- 5年以下の所有期間…譲渡所得税が約30%、住民税が9%
- 5年を超える所有期間…譲渡所得税が約15%、住民税が5%
税率や特例は、その時の政策によって変わりますので、マンションを売るタイミングで再度確認して下さい。特例もさまざまで、「所有期間が10年を超える居住用財産を売却した場合の軽減税率」もあります。
住宅ローンの残債がどれくらいかを確認
マンションを売る際に最も注意するべきなのは、住宅ローンがどのくらい残っているのかです。売却で得たお金だけで完済できなければ、さらなる自己資金の持ち出しが必要なことはすでに説明した通りです。
住宅ローンの残債務の負担は、マンションを購入したときには想定していなかった支出です。実際にマンションを売るとき、あなたの財政状況がどうなっているのかは誰も予想がつきません。手取り収入の減少やリストラなどによって、自己資金が用意できるのかは不透明と言わざるを得ません。
築年数とともに管理費用や修繕積立金が上がっていくことも、売却価格に影響を与えます。新築当時よりも高額になった修繕費用を所有者が負担しなければならないので、マンションの売却価格も下げないと買い手が付かない事態となります。
いますぐに売却するつもりがない人も、オーバーローンになっていないかを確認することをおすすめします。マンションを売ったとしても住宅ローンが残ってしまう状態であれば、マンションがあなたの人生の足かせになってしまうことは、絶対に忘れないでください。
堅実な資金計画を立てよう
オーバーローンにならないようにするには、住宅ローンを組む段階で頭金を多く用意して、そもそものローン額を少なくしたり、時間が経っても価格の下がらない物件選びがカギとなります。
そうは言っても、将来のリスクはどうしても避けられません。無理のない堅実な資金計画を立てること以外に対策はないでしょう。
「マンションをいま売ったらいくらになるのか」を把握しておくことがオーバーローンへの意識を高めますので、実際に売りに出すつもりがないとしても、一括査定サイトを使って価値を把握しておくことをおすすめします。
思っていた以上に安くなっていたり、思いがけない高値が付いていたり、不動産市場があなたのマンションをどのように評価しているのか、参考になるはずです。
共有名義のマンションは売る前に意思確認を
マンションに限らずすべての不動産は、複数の所有者で共有とすることができます。物理的にマンションを分けることはできないのですが、法律上では、ひとつの不動産をあなたと別の人の持ちものにすることができます。
たとえば、夫婦で半分ずつ持ちあうというケースがあります。購入資金の負担分に応じて、3対1にするということもできますし、任意で持ち分割合を設定することもできます。
物理的に「ここからここまであなたのもの」ということではなく、あくまでも机上で持ち分が割り当てられているため、売却をする段階になって、共有状態であることが大きなトラブルになる場合もあります。
そのトラブルを生む原因は、共有者全員の同意がなければ売却ができないことにあります。法律では売却を処分行為と規定していて、全員の同意がないと処分行為をすることができません。たとえ夫が9割の持ち分だとしても、妻の同意なく売却することはできません。
共有者間で揉めないための解決策としては、ちゃんと話し合いができる段階で、お互いの気持ちを確認しておくことです。可能であるなら、将来の処分についてどうするか、書面に残しておくのがベストでしょう。
しかし、将来に考えが変わるかもしれませんし、現時点で同意を取るといっても難しいのが普通です。だからこそ購入する段階で、なるべく共有にしないほうがいいというのが、不動産業界でのセオリーになっています。
住み替え、買い替えで売るならタイミングが重要
マンションを手にいれてから時間が経つと、家族構成やライフスタイルが変わってきます。子供が増えたり家を出たり、会社が変わって引越しを余儀なくされたり、生活をしていれば予想を超える変化が起きてくるものです。
そういった変化に合わせて、最適なマンションに住み替えたいというのは自然なことで、マンションの売却理由でも最も多くなっています。
この住み替え時に注意すべきポイントは、売却と購入のタイミングです。まだ新居が決まっていないのに引き渡しをしたら、自分の住処がなくなってしまいます。売却と新居の購入のどちらを先に進めるべきかも悩みどころです。
売却が先か、購入が先か、これはケースバイケースとしか言えません。ただ、なにかしらの理由で引越す時期がすでに決まっている場合は、時間のかかりそうな「現住まいの売却」を進めていくのが合理的だと思います。
希望通りの間取りを探したくて、時間的な余裕もあるというのなら、売却を急ぐ理由はありません。「新居の購入」を優先的に進めていけばいいでしょう。
中古物件だと関係者が増えて余計に時間がかかる
住み替え先を中古物件で考えているのであれば、関係者が増えて、それぞれのスケジュールを考慮しないとならず、新居の購入よりもスムーズにいかないケースがあります。ざっと挙げるだけでも、以下の関係者との調整が必要です。
- 中古物件の所有者(売主)
- いま住んでいるマンションの買主
- 住宅ローンを組んでいる金融機関
- 新居を購入する住宅ローンを組む金融機関
関係者が増えれば増えるほど、調整が必要になり、自分の思い通りの流れで進まない可能性が高くなります。予定が狂うことも想定しながら、余裕を持った計画を立てる必要があります。
住み替えにも影響する住宅ローン
住宅ローンの返済が終わったタイミングであれば、住み替えもスムーズです。返済中の住み替えの場合には、残債務の清算から、新たな住宅ローンの利用まで考えなければいけません。
オーバーローンの状態での住み替えは、さらなる経済的なリスクを覚悟しなければなりません。金融機関から新たな住宅ローンを断られて、新居が予定通りに買えない場合もあるので注意しましょう。
タイミングを見計らって負担をなくす
住み替えで怖いところは、タイミングがずれて、本来不要な費用がかさんでいくことです。新居を購入するまでの仮住まいの家賃や、引越しを先にしたものの旧、マンションが売れずに税金や管理費用だけが出ていくこともあります。
経済的な負担がないように住み替えるなら、タイミングを見計らいつつ、不動産業者と協力しながら、各関係者の利害や都合を調整していく必要があります。
初めての住み替えだと戸惑うことが出ると思いますが、そんなときこそ、信頼できる不動産業者が力になってくれでしょう。
仲介業者(不動産業者)との間でよくあるトラブル
売却手続きを進めるにあたり、不動産業者と売却を進めていくことになるのですが、売主と業者とのあいだでは数々のトラブルが報告されています。
取引が成立していないのに、費用の支払いを迫られた
不動産取引の媒介手数料は成功報酬です。媒介契約の期間中に売却が決まっていないのであれば、売買が成功していない以上、報酬は発生しません。そうであるにも関わらず、契約終了時に報酬を請求されたというトラブルが報告されています。
費用をしつこく請求されると、納得がいかなくても「そういうものか」と安易に考えてしまいがちですが、これはしっかりと断るようにしてください。業者としても、売買が成立していない段階で、手数料はもらえないと知りながら請求しているはずです。このような業者との媒介契約は終わらせるべきなので、早めに別の業者へ乗り換えましょう。
報酬の名目以外にも、「相談料」を請求されるケースがあります。繰り返しとなりますが、マンションの売買取引が成功していない以上、不動産業者が行った仕事に対する対価は発生しません。
ただし、遠方の物件だから交通費がかかったというような実費であれば、売主の負担とすることが認められています。媒介契約を結ぶ段階で、実費などの請求がありそうかどうかを確認しておくと、トラブルを防止につながると思います。
媒介契約が勝手に更新されていた
媒介契約を結んだ場合、基本的に3か月が上限となります。それ以降は自動更新されず、契約が切れる段階で、再度契約を締結します。ところが、勝手に媒介契約が自動更新されていたというトラブルもあります。
契約を更新する際には、依頼主が「更新をする」旨を伝える必要があり、業者側での更新はすることができません。ですが、媒介契約書に自動更新の規定が書かれているケースもあるので注意が必要です。まずは契約書をしっかりと確認して、きちんと説明を求めるようにしましょう。
不当に安い価格での業者買取を一方的に勧められた
業者側から一方的に業者買取をすすめられたというトラブルもあります。なかなか売却が決まらないことを理由に、業者から不当なほどに安い価格で、買取を迫られたという事例です。
早く売却を成立させたい売主の足元を見て、強引な営業をしてくれる業者もいます。少しでもおかしいと感じた場合には、業者の話を鵜呑みにせず、冷静に対応しましょう。
買い主との間でよくあるトラブル
買主とも円満に取引を進めたいところですが、マンションの引き渡し後にもトラブルは発生します。中には、クレームのような要求もありますが、最低限、売主として予防できる点はしっかりと気を付けておきましょう。
瑕疵(不具合)が見つかって買主から責任を追及された
売買契約を結んだあと、マンションに不具合があった場合に、誰が責任を取るのかという問題があります。一般的には、売買契約後であっても、不具合があった場合、売主が責任を取ることになっています。これを「瑕疵担保責任」と言います。
「瑕疵(かし)」は、不具合と同じ意味です。契約時には分からなかった雨漏りや、シロアリの被害が発生した場合、事故物件だったなどが該当します。
本来であれば、買主に対して、不具合や買主が嫌がるであろうことを、契約前に伝えておかなければなりません。瑕疵の内容を事前に説明しておけば、買主も納得のうえでマンションを購入できます。
売主が把握していない瑕疵が、契約締結後に判明した場合、売主が責任を取ることになります。修繕や修理にかかった費用、賠償金の支払い、契約の解除、売買代金の返還などがあります。
瑕疵担保責任の期間は、物件引き渡しから2か月~半年程度と、不動産取引の契約書で制限します。期間に関しては売り主が設定でき、瑕疵担保責任そのものを売主が負わないという特約も可能です。
ただし、「隠れた瑕疵」であることが必要で、「隠れていない瑕疵」、つまり売主が知っていたにも関わらず、買主に黙っていた瑕疵は対象ではありません。当然ですが、「契約で定めた期間内に見つからなければいい」という考えは通用しないので、物件の状態をありのままに買主に伝えることが求められています。
「隣の部屋がうるさいのをなぜ黙っていたのか」とクレームを言われた
「隣の部屋がうるさいのを知っていたはずなのに、どうして隠していたのか」といった、直接的には売主に関係ないことでも、買主からクレームを言われ、トラブルに発展することがあります。
上の階や隣の階に小さな子供のいる家庭が住んでいる場合、子供の走る音や騒ぐ声が漏れ聞こえてしまいます。住み始めた買主は新しい環境に慣れていないため、ちょっとした生活音にも敏感になってしまうものです。
売主としては、たとえ些細だと感じることだとしても、不快な思いをする可能性があるのであれば、契約前にきちんと伝えておかなければなりません。事前に納得している事柄についてクレームを言ってくる買主はいないはずです。
ただし、どんなに丁寧に対応したとしても、クレームばかりを言ってくる買い手が少なからずいます。契約をする前の段階で、度を超えたクレーマーだと分かった場合には、売却を丁重にお断りするのもひとつの方法です。
売却後にもずっと悩まされることにもなりかねませんので、新たな買い手を見つけることに労力を費やしたほうがいい場合もあることを知っておきましょう。
まとめ
あなたのマンションが高く売れるかどうかは、良くも悪くも不動産業者の手にかかっています。適切な価格設定や営業活動など、業者の力量によって物件は高くも安くもなります。
ですが、業者はあくまでも媒介手数料をもらうまでが仕事であり、あなたが得る収益の結果責任までは負ってくれないことは忘れないでください。売主自身が主体的に取り組む姿勢でいないと、業者の売りやすい価格で売られてしまい、結果的に損をしてしまう可能性もあります。
業者選びから仕事ぶりのチェック、資金計画は適切かなど、自分でチェックができるだけの豊富な知識を持つことが大切です。
当サイトでは、マンションの売却で失敗をしないための基礎的な知識や、売却する際のポイントなどを細かく解説しています。自分なりでも構いませんので、重要だと思う部分をしっかりと理解して、少しでも不安を取り除いた状態で売却活動を進めていきましょう。
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地方の物件に強い業者や、訳あり物件に強い業者などもいるため、他のサイトで買い手が見つからなかった人も試す価値があります。
大手企業が運営していてしっかりとした実績もあり、熟練されたスタッフが在籍しているので、信頼度が高く安心して利用することができます。