新築マンションでも中古マンションでも必ず考えておかなければならないのが、この管理費と修繕積立金の2項目です。この費用が安いほど得だと思っている人も多いようですが、それは大きな勘違いです。
マンションを購入する際に確認しておきたいのが、管理費や修繕積立金です。それぞれのお金の目的と金額相場を理解しておきましょう。
管理費は、マンションの共用部分の管理に使用されます。具体的には、エレベーターのメンテナンス費用やエントランスの清掃費用などです。
修繕積立金は、マンションを維持するために使用されます。具体的には外壁塗装や給配水管の老朽化対策などの費用です。両方とも金額は変動することがあるので、注意しておきましょう。
マンションを購入する際は、ローン返済計画に毎月の管理費や修繕積立金の支払いも忘れずに、入れておくようにしましょう。
そもそも管理費や修繕積立金って何?
マンションを購入するにあたり、毎月、管理費や修繕積立金が発生することは理解しているけど、それらの費用がどのように使われているのか理解していない人も珍しくありません。なかには管理費と修繕積立金って別物なの?って人もいるほどです。
マンション管理費って何に使われるの?
まずマンションの管理費について話をしていきたいと思います。この管理費とは、マンションの共用部分の管理に使用される金銭のことをいいます。
例えばエレベーターを安全に利用できるように業者によるメンテナンス費用だったり、エントランスなどの清掃費用、管理人さんのお給料などに充てられます。最近は警備会社と提携しているマンションも増えていますが、それらの費用も当然この管理費から毎月警備会社へ支払われていることになります。
マンションの管理費ってどれくらいが平均的なの?って質問を受けることがありますが、マンションの規模や地域によってまったく異なるので、一概には言えません。月々数千円というマンションもあれば、数万円というケースもあります。
スポーツジムだったり、病院などを併設しているマンションになれば、それだけ管理費も高く設定されることになります。
ちなみにあまり参考にはなりませんが、首都圏マンションの管理費相場は、1㎡あたり200円~250円ほどだと言われています。つまり、80㎡のお部屋であれば、一ヶ月の管理費は16,000円~20,000円ほどになると予測できます。
修繕積立金って何のために必要なの?
最近の新築分譲マンションの耐久性は50年とも100年とも言われていますが、そのためには当然それに見合うだけのメンテナンスが必要になります。何のメンテナンスもせずに50年、100年持ちこたえるマンションなんて存在しません。
外壁の塗装だったり、給配水管の老朽化など、年数が経過すれば必ず直面する問題があります。当然それらのメンテナンス費用は所有者で負担しなければなりません。そのような際に使われるのが、この修繕積立金というわけです。
管理費や修繕積立金の額は変動することもある
新築マンションを購入するときには、管理費10,000円/月、修繕積立金7,000円/月だったとしても、同じ金額がずっと続く保証はありません。
景気が良くなれば、人件費もあがりますので、清掃会社や管理会社から値上げの要求がくることも考えられますし、想定以上に老朽化が進めば計画していなかった修繕が発生することも考えられるからです。
新築マンション購入時の管理費や修繕積立金というのは、あくまでもマンション販売会社がこれまでの経験や市場相場を予測して算出した金額に過ぎません。ですので、その後の状況に応じて管理費や積立金が上がることは当然覚悟しておく必要があります。
ちなみにこれらの管理費や修繕積立金を決めるのは、最初こそマンションの販売業者なのですが、それ以降はマンション所有者の人たちです。管理組合で管理費の算出や長期補修工事の予定を組み、それに見合った金額へと変更していくのが一般的です。
中古より新築の方が管理費も積立金も安い理由
中古マンションの売却情報を見ると、管理費15,000円/月、修繕積立金20,000円/月なんていう物件も珍しくありません。
新築マンションの多くが管理費1万円程度、修繕積立金6000円程度なのですから、中古マンションの管理費と積立金の相場が相当高く設定されていることは間違いありません。
このように中古マンションに比べ、新築マンションの管理費が安いのには、2つの理由があると言われています。
理由1:中古マンションの多くが無計画過ぎた
新築マンションの管理費や積立金が安いというよりも、中古マンションの管理費や積立金が異常なほど高額になっている!というほうが正解のような気がします。
築年数20年を超えているような中古マンションの多くが、高額な管理費や積立金を徴収しているケースが目立ちます。この理由は、これまで修繕費などの計画があまりにも無計画すぎたマンションが多いから!これに尽きます。
20年ほど前に販売された分譲マンションの多くが、販売数を増やすために管理費や修繕積立金を安く設定している物件が多くありました。目先の売り上げばかりを優先したため、あのマンションよりも管理費や積立金が安い!ってことをアピールする物件が多かったのです。
当然、修繕費などもギリギリのラインで計算していたので、今になって修繕したいけど、資金が不足しているというマンションが急増しています。そうなれば、そのシワ寄せは当然入居者に跳ね返ってきます。
これまで月々6,000円だった修繕積立金が、一気に月2万円になるというケースも珍しくないのです。このような無計画だったマンションが今になってどうしようもなくなり、修繕積立金の大幅アップに繋がっているというのが現状なのです。
理由2:新築で販売を優先している
新築マンションの管理費や修繕積立金が安い理由として、販売することを優先しているケースがあります。先でも話しをしたように、数字のマジックですね。管理費や修繕積立金をギリギリまで抑えることで、買主にお手頃感をアピールする狙いがあります。
本当に入居者のことを考え、将来的なメンテナンスまで慎重に計算して管理費や修繕積立金を算出している業者もいれば、目先の契約を優先してしまい、10年後や20年後のことよりも今の契約を重要視している業者もいるということです。
管理費と積立金も返済計画に入れておく
マンションの場合は、管理費と修繕積立金は切っても切れない関係にあります。どちらの費用も必ず毎月発生する必要出費となりますので、月々の返済計画を立てるときには、住宅ローンの支払いだけじゃなく、管理費と修繕積立金のことまで考えながら物件探しをするようにしましょう。
1ヶ月2万円の出費は覚悟しておく
住宅ローンのシュミレーションで借入可能額を計算して、その金額で新築マンションを探す人がいますが、これでは管理費や修繕積立金までお金が回らなくなるので間違いです。管理費と修繕積立金は、1ヶ月2万円くらいの出費を考えておかなければなりません。
つまり、現在の生活状況から考え、1ヶ月10万円までなら住宅ローンの返済に充てられるとしましょう。その場合、月10万円の返済を35年間続けると見越して借入総額を計算することができます。
返済額10万円×12ヶ月×35年=3260万円(※固定金利2.5%で計算)
この計算であれば、緒費用などで1割引いても3000万円くらいのマンションであれば購入可能と考えてしまいます。しかし、実際には管理費と修繕積立金で月2万円の出費があるので、月々の返済可能額は10万円でなく、8万円で計算しなければなりません。
返済額8万円×12ヶ月×35年=2610万円(固定金利2.5%で計算)
つまり3260万円だと思っていた融資可能額は間違いで、正確には2610万円という計算になります。管理費と修繕積立金の2万円を計算に入れるだけで、借入総額が650万も違ってくるので要注意です。
まとめ
マンションの管理費と修繕積立金について解説してきました。つい管理費と修繕積立金が安い物件に目がいきがちですが、将来的に値上がりする可能性もあります。
どういう目的で使われているのか、いくらくらいが目安なのか、しっかり理解しておきましょう。
管理費と修繕積立金は毎月かかる費用で、毎月の住宅ローンの返済にプラスされます。その点に注意して住宅ローンを組むようにしましょう。
なお、住まいる博士では、住宅ローンの組み方についても詳しく解説しています。マンション購入を検討している人は、合わせてチェックしてください。