
地震大国の日本においてマンション購入と切っても切れないのが、耐震性ではないでしょうか。今後も関東、東海など、大きな地震が来ると言われています。マンションにはどのような耐震対策が取られていて、どのような耐震技術があるのかをシッカリと理解しておくようにしましょう。
日本では1981年に大規模な建築法の改正があり、そのときに今の基準となる耐震性能を確保することが義務化されました。今の耐震基準では、震度5クラスの地震では建物そのものに被害が出ないように作られていますし、震度6クラスの地震でも倒壊しないように作られています。
しかし、1981年以前のマンションでは、このような基準が明確ではなく、地震に対して十分な対策が取られていないマンションも少なくありません。もし中古マンションの購入を検討しているのであれば、1981年以降に建てられている物件がひとつの目安になります。
マンションには、3つの耐震対策がある
2015年現在では、マンションの耐震対策として「耐震構造」「免震構造」「制震構造」という3つのどれかが採用されています。
耐震構造とは
真っ先に耐震対策として登場したのが、この「耐震構造」のマンションでした。新耐震基準が施工されたとき、ほとんどのマンションがこの耐震構造で建築されています。耐震構造の考え方としては、柱や壁などをより強固にして、地震そのものに耐える建物を作ることでした。多少大きな地震がきても耐えるだけの強度を保つのが「耐震構造」です。
「え?ただ頑丈に作られているだけなの?」と思われるかもしれませんが、簡単に言ってしまえばその通りです。もちろんそれでも国が定めている新耐震基準はクリアしていますので安心してください。
免震構造とは
免震構造という技術が開発されたのは、そう昔のことではありません。編集長が住宅の営業マンをしているときにやっと戸建て住宅にも免震装置を備えた住宅が出始めたので、すごく勉強した思いでがあります。
免震構造というのは、簡単に説明するとゴムを建物下部に設置することで、地震そのものの揺れを吸収するという働きがあります。建物と地面の間に揺れを吸収するゴムが設置されていることで、揺れの多くをゴムが吸収してくれます。そのため震度5クラスの地震では、テーブルの上に置いてあるコップすら倒れないというようなアピールを良く耳にします。
制震構造とは
建物内に「ダンパー」と呼ばれる装置を設置することで、地震の揺れを分散させる効果があります。また地震だけじゃなく強風などの揺れにも強く、高層マンションなどに多く採用されています。
免震装置と時を同じくして開発されており、今でも免震と制震のどちらが優れているのか、よく議論されることがあります。ただし、編集長的には免震構造と制震構造はまったく別物だと考えており、建物や立地などによって使い分けるのがベストだと思っています。
免震構造と制震構造って、どっちが優れているの?
先にも話したように免震構造のマンションと制震構造のマンションでは、どちらが優れているんでしょうか?という質問をされることが多々あります。一概にどちらが優れているというのは、名言できませんので、それぞれの特徴などを比較してみたいと思います。
免震構造と制震構造を比較
免震構造と制震構造は、甲乙付けがたい部分がありますが、それぞれに特徴があるので、それを理解しておくことで、自分たちが購入するマンションだったら、どっちの耐震装置が理想的なのか見えてくると思います。
まずは、免震構造に適しているマンションは、比較的重量があるマンションだと言われているので、S造やSRC造よりもRC(鉄筋コンクリート)造のマンションだということになります。ということは、制震構造に適しているのは比較的軽いマンションなので、S造やSRC造ということです。(※ただし、耐震壁があるようなマンションには不向きと言われています)
次にコスト面で比較してみたいと思います。
免震構造だと定期的な点検だったり、一定期間後のゴム取替えが必要だと言われていますので、メンテンナンス費用が高くなり、建築コストも高くなります。制震構造も当然建築コストは高くなりますが、比較すると免震構造の方がかなり割高になります。
免震構造を設置するだけでも建築費の5%程度のコストが掛かると言われているので、これはかなりデメリットだと言えるでしょう。このように一長一短のメリット、デメリットがありますが、備えあれば憂い無しという言葉もあるように、安心をお金で買えるのですから、決して無駄な出費ではありません。
さらに今は免震構造と制震構造を融合させたマンションなども販売されており、これから益々耐震技術は発達していくことでしょう。