
気に入った中古マンションが見つかったので、急いで契約をし手付金も払いました。あとは住宅ローンの決済を終わらせ、物件の引渡しを受けるだけだったのですが、今になってその物件が事故物件であることが解りました。なんでも、売主の父親がお風呂に入っているとき脳梗塞で死亡してしまったそうです。
そんな事故物件であれば即決せずにもっと検討したと思います。なのでその分値引きをお願いしたけど、売主は応じてくれません。瑕疵に該当すると思うので契約そのものを白紙撤回しようと思っているのですが可能でしょうか?
編集長も不動産会社で働いているとき、同じような状況を何度か経験した事があります。まずこのトラブルで一番大きな問題となるのは、売主が契約後にその事実を話したことでしょう。これが契約前であれば、何の問題もありませんし、一般的にもよくあることです。
そして2つ目の問題は、買主である質問者さんが「事故物件」だと決めて掛かっていることでしょう。自殺や事件などによって人が亡くなられた物件であれば、事故物件なのですが、病死によって死亡した場合は事故物件という判断はしません。ですので、もし契約前にその事実を告げられていれば、それを理由に値引き交渉などをするのは一般的に考えると難しいと思います。
ただし、今回はその事実を告げられたのが契約後だったということなので、それを理由に多少の値引きは可能だと思います。それでも通常の事故物件のように相場から2割減や3割減という値引きは難しいように判断します。いくらほどの売買価格なのか書かれてないので判断できませんが、30万や50万程度の値引き、最大でも100万円ほどの値引きというのが妥当ではないでしょうか。
契約の白紙撤回も可能
瑕疵という言い方は正しくないかもしれませんが、告知義務違反による契約の白紙撤回は十分に可能だと思います。瑕疵というのは、売主も知りえなかったことを指していますので、このケースには該当しません。瑕疵というよりも事実を告知しなかったことによる、告知義務違反の方がしっくりきますね。
焦点となるのは、病死が告知義務に該当するか?という点でしょう。そこが認められれば契約の白紙撤回はできます。しかしその判断は当事者同士ではどうしようもありませんので、最終的には裁判所に判断を仰ぐしかありません。
そうなると費用も時間も掛かりますし、売主と買主双方にとって大きな労力を要することになります。ですので、裁判というケースはなるべくさけ、不動産会社などに間に入ってもらい納得できる範囲で値引きを打診してみたりするのが賢明かと思います。