中古戸建てに比べ、中古マンションは瑕疵担保責任を免責とする売買契約も少なくありません。そうなると売主は良いのですが、買主は大きな不安を抱えることになります。そうならないためにも、住宅診断と瑕疵担保保険へ加入することを強くおすすめします。
中古戸建てに比べ、中古マンションの場合、シロアリ被害や雨漏り被害が少ないこともあり、売主の瑕疵担保責任を免除するという売買契約が目立ちます。また仮に瑕疵担保責任を付けた契約であっても、中古住宅の場合だと売主が個人の場合、平均すると2ヶ月や3ヶ月の保証期間とするのが一般的です。
新築だと最低でも10年、中古マンションの場合でも売主が業者の場合は最低2年の瑕疵担保責任を負う決まりになっていますので、個人間の売買では極端に売主が保護されているのがわかります。
中古マンションだからこそ住宅診断や瑕疵担保責任は必要
編集長の考えとしては、中古マンションだからこそ購入前の「住宅診断」や「瑕疵担保責任」は必要だと思っています。戸建て住宅のように簡単にリフォームもできなければ、修理や修繕なども大変ですし、費用もかさみます。
戸建て住宅の場合だと、シロアリ被害や雨漏り被害などを想定して瑕疵担保責任などを付帯するのですが、マンションとなればシロアリ被害や雨漏りなどより、給排水管などの劣化による傷みや損傷を気にしなければなりません。
築年数の古いマンションの場合、今のマンションのように二重床や二重天井になってない物件も多く、そうなればマンション規約で給排水管は共用設備と見なされますので、大掛かりな工事になる可能性があります。そうなれば当然管理組合の許可が必要となり、それだけ工事日数も工事内容も大掛かりになります。
中古マンションの住宅診断
中古の戸建て住宅を売買するときに、専門家の住宅診断を受けるケースは増えていますが、中古マンションの場合はまだまだ十分なほど住宅診断が浸透しているとは思えません。きっとこれは仲介している不動産業者などにも問題があるのだと思います。
「戸建て住宅は木造住宅が多いので、シロアリ被害や雨漏り被害が想定されるけど、マンションの場合は鉄骨造なので、あまりシロアリを気にする必要もないですし、雨漏りも基本的にそう心配する必要はありません」という言い方をする営業マンが多くいるからです。
たしかに戸建てに比べると、マンションの方がシロアリや雨漏りの心配は少ないかもしれません。しかし、マンションにはマンション特有の問題もあります。その一つが先ほども言ったように給排水管などの劣化問題であったり、地震や火災に対する耐震・耐火などの問題です。
このように構造的な問題になってくると、素人ではどうしても太刀打ちできません。そこで必要となるのが専門家による住宅診断なのです。どれくらいの性能(耐火・耐震・防音・断熱)のマンションなのか?それを専門的な知識から数値化してくれますので、素人でもひとめでマンションの性能を比較することができますし、あわせて給排水管などの劣化状況も調査してくれます。
費用も5万円前後なので、決して高くはありません。住宅診断は買主だけのメリットではなく、売主側としても「専門家による住宅診断済み」と告知しておくことで、売り易くなるのは明らかです。つまり、買主にも売主にもメリットがあるのですから、費用の5万円を買主と売主で折半して負担することも十分に検討できる余地があります。
中古マンションの瑕疵担保責任
- 中古マンションなので現状渡しが基本です
- 瑕疵担保責任については、シロアリ、雨漏りのみ対応で、それ以外は免責となります
- 売主の瑕疵担保責任は1ヶ月限定とします
仲介業者から契約の段階で、このように説明されると、「ああ、そうなんだ」と納得してしまいがちですが、このような決まりは一切ありません。しかし、このような売買契約が日常的に行われているのが中古マンションの現状でもあります。
つまり中古マンションにおいては、明らかに売主が優遇される条件で取引されていることが良く理解できます。これはバブル期など、売り手至上主義の取引が一般的に行われており、そのときの名残が今も続いている悪しき習慣だとも言われています。
不動産業界というのは、敷金や礼金もそうですけど、このような悪しき習慣を大事にしている変な側面があります。しかし今は東京都などの一部地域を除いては、中古住宅は完全に供給過多の時代なので、いつまでもこのような売り手至上主義のやり方は通用しません。
どちらかと言うと、今の時代は売主よりも買主が立場的には優位なので、瑕疵担保責任などについても、もっと強気で交渉すればいいのに!と思っています。例えば個人の売主に業者と同じように最低2年の瑕疵担保保証を負わせるのは酷だと思いますので、瑕疵担保責任保険に加入してもらうなど、幾らでもやり方はあります。
瑕疵担保責任保険については、国土交通証も推奨しています。瑕疵担保責任保険に加入することを売買契約の条件とすることで、売主も買主も大きなメリットとなります。もちろん費用は掛かりますが、売主と買主の双方で負担するようにすれば、さほど大きな金額負担にはなりません。
【住宅瑕疵担保責任保険協会のHP】
http://www.kashihoken.or.jp/insurance/kizonbaibaikojin/