家を買うということは人生の中で数あるイベント中でも、最大級だといえるほど大きなイベントになります。
そうなると「どうせだったら、建売よりも自分の意志を反映させた注文住宅に住みたい」と思っている人は多くいます。
確かに注文住宅は建売よりも自由度が高いので、棲む家に家族や自分の意志や趣味を反映させやすいし、予算的にも調整が効きます。
しかし、住宅を建てる時に何をポイントにしてプランニングをしたらいいのか、どうやったら家族や自分の意志を具体的に反映することができるのかなど、ノウハウのないことが普通です。
そこで、注文住宅を建てようと思った時に何をポイントにするのかという、お役立ち情報を集めてみました。
注文住宅を建てる時の失敗しないコツ
注文住宅を考える時に、「どうやったら失敗しないで済むのか」という問題があります。
設計士に自分たちの希望を伝えることはもちろんですが、失敗しないためのポイントを要約するとそれは10あって、それは以下のとおりです。
- 収納スペースの作り方を考える
- 部屋の間取り・スペースの取り方を考える
- 生活導線を考える
- 生活音を考える
- コンセントの位置を考える
- 採光を考える
- 外からの視線を考える
- 日差し・風通しを考える
- 匂いを考える
- 屋外スペースを考える
それでは、項目別に内容を見ていきます。
収納スペースの作り方を考える
収納スペースを作るときのポイントは、床面積ではありません。物を出し入れするのは壁面です。つまり「床面積ではなく壁面積」で考えることが重要なポイントになります。LDの壁面積は7㎡程度あれば、だいたいの物は収まります。余裕があれば10㎡ぐらいのスペースで作っておけば、将来的にもゆとりのある収納スペースが確保できます。
部屋の間取り・スペースの取り方を考える
住宅の面積は限られていますから、部屋の使用目的に合わせてスペースの配分を考えておかないと、「LDが狭くて使いづらい」などということが起きます。部屋の優先順位を付けて、スペース配分を考えることが重要です。例えばLDですが15畳、キッチンは5畳が適当なスペースだと感じる人が多いといいます。
そして、たんに「ここは和室にしてください」というのではなく、その部屋に置きたい家具や作りたい設備があれば設計士に伝えておくと失敗しないで済みます。
生活導線を考える
暮らしやすさを左右するポイントの1つに、生活導線があります。
日々の生活の中で、家族が家の中を動く導線を設計士に伝えます。平日、休日、出勤・通学前、帰宅後などとシチュエーション別に洗いだしてきちんと伝えておけば、それなりに考えてもらえます。
生活音を考える
生活音にはいろいろあります。足音、テレビやオーディオ、話し声、洗濯機、ドライヤー、水の流れる音、ガレージからの車の音など発生源は多岐にわたります。
音の発生源の近くに寝室や客室が接していないか、防音材の量や質はどうかなど、設計士と確認し合うことが重要です。
コンセントの位置を考える
コンセントの位置や照明のスイッチの位置は、生活の便利度を大きく左右します。その為、使う家電をリストアップしておきます。常時使う家電の他に、季節家電も忘れないでリストに入れて設計士に伝えます。照明のスイッチは、生活導線の中に設置することも伝えると、失敗しないで済みます。
採光を考える
採光の条件は窓の大きさや季節による日差し、周囲の建物に左右されます。日々の家族の家での過ごし方など、ライフスタイルに合わせて窓の大きさや位置などを考えてもらいましょう。
外からの視線を考える
間取りチェックをするときに、立体感のない平面図だと外からの視線を想像できないケースがありますし、眺望の面を見逃すこともあります。
敷地の周辺を徒歩で回って、実際の目線で確かめることが重要です。隣の家の窓や玄関の位置、道路を歩く人の目線の位置などをしっかり確認します。また、2階から見える景色などもしっかり想像して、希望を設計士に伝えます。
日差し・風通しを考える
最近の住宅は高気密・高断熱なので、冷暖房効果が高くなっています。しかし、日差しや風通しの影響は見逃せません。
出来るだけ自然の環境を採り入れられるように設計士に伝えますが、必要に応じて間仕切りができるようにしてもらえると、使い勝手が良くなります。
匂いを考える
人が生活をしていると、さまざまな匂いを出します。料理の匂いだけではなく、整髪料やメイク、タバコなど、発生源はいろいろです。中でも、料理の匂いを気にする人は多いようです。
多くの匂いは上に昇っていきますから、2階に充満するケースが多くなります。その為、キッチンの換気扇の位置や作りを考えて、効率的に排気ができるようにしましょう。それでも気にする家族がいるようでしたら、廊下や階段、部屋ごとに換気扇を設置することも設計士に相談してみていも良いと思います。
屋外スペースを考える
マンションと違い、戸建てになると屋外スペースがあります。どの程度のスペースを残すのか、そのスペースを何に使いたいのか、具体的に設計士に伝えないとただの無駄なスペースになりかねません。
具体的に使いたい項目をしっかり出します。ガーデニング、BBQ,ガレージ、物置などと目的を設計士に伝えておきましょう。
ハウスメーカーと設計事務所の違い
注文住宅を建てようと思ったら、ハウスメーカーか設計事務所に依頼をすることになります。
しかし、どちらに依頼をするべきなのか、ハウスメーカーと設計事務所にはそれぞれどんな特徴があるのかなど、一般的には知らないことが多くあります。それに、それぞれのメリットやデメリットについても知らないことがあります。
それぞれの特徴とメリットやデメリットについて、情報を集めてみました。
ハウスメーカーの特徴
まず、ハウスメーカーの特徴ですが、一番の特徴は企業規模が大きいということです。企業規模が大きければスケールメリットを出しやすいので、材料の大量仕入れによるコストダウンも可能ですし、最新技術を駆使して開発もできます。
限られた予算と時間の中で、「これだけの建物が購入できるのなら」という、納得のしやすいプランニングをしてくれることが、大きな特徴です。
ハウスメーカーのメリット
ハスメーカーに依頼した時のメリットを要約すると4つあり、それは下記のとおりです。
- 高い安心感
- モデルハウスで仕上がりを確認できる
- 発注から引き渡しまでの時間が短い
- 資料が豊富
では、項目別に内容を見ていきます。
高い安心感
企業規模が大きければ、何かあった時の補償面などを考えると安心感はあります。また、研究開発も進んでいますから、耐震・耐火などの技術も進んでいるので、安心感があります。
モデルハウスで仕上がりを確認できる
どの程度の仕上がりをしてもらえるのか、ということは非常に気になる部分ですが、ハウスメーカーには住宅展示場があり、建売だけではなく注文住宅の仕上がりも確認することが可能です。
発注から引き渡しまでの時間が短い
施工方法や使う材料がシステム化されていますから、発注から工事完了・検査、引き渡しまでの時間が短くて済みます。
資料が豊富
過去に扱った施工件数が多い為、画像などの資料はかなり豊富です。営業担当者との打ち合わせでイメージが掴めないときなど、ビジュアル資料を使って説明してもらえますから、後でイメージ違いなどということを防げます。
ハウスメーカーのデメリット
ハウスメーカーに依頼した時のデメリットを要約すると3つで、それは下記のとおりです。
- イレギュラーな要求にはやや弱い
- 施主の意志が現場に伝わりにくい
では、項目別に内容を見ていきます。
イレギュラーな要求にはやや弱い
発注を受けてから後のことが、ほとんどシステム化しています。この為、一種テンプレートのような感じなので、ここからはみ出すような要求をされると、対応が遅れるとか別途料金が発生する、あるいは要求には応えられないというケースも出てきます。
施主の意志が現場に伝わりにくい
営業・設計・監督などの業務がほぼ完全に分業化されています。この為、営業マンとの打ち合わせの時のニュアンス的な部分が、設計士や監督に伝わらないことがあるので、どうしても施主の意志・意向が現場まで降りていかないこともあります。
設計事務所の特徴
設計事務所はシステム化されていません。その為、すべての依頼案件にたいして、完全なオーダーメイドということになるのが、一番の特徴です。
限られた予算の中でも、特に拘りがある部分には集中的に予算をかけて、他の部分を削って調整するなどのことをやってくれますから、頼りがいがあります。
設計事務所のメリット
設計事務所に依頼をしたときのメリットを要約すると3つで、それは下記のとおりです。
- 高い自由度
- オリジナルの住宅にできる
- 施主の意志が現場に伝わりやすい
では、項目別に内容を見ていきます。
高い自由度
ハウスメーカーのようにシステム化されていませんから、デザイン・設計も使う建材も、工法もまったくゼロから考えることが出来ます。
その為、自由度が高いので法律の範囲内の要求であれば、そこにはイレギュラーはありません。
オリジナルの住宅にできる
システムの範囲内でデザイン・設計をするわけではありませんから、まったくのオリジナル住宅を建築することが出来ます。
世界に2つとない、唯一無二の完全オリジナル住宅を建てることが出来ますから、施主の満足度は非常に高くなります。
施主の意志が現場に伝わりやすい
案件を受注すると、行程の全てを一人ないしは二人の人が担当します。主に、設計事務所の所長が主体になってくれますから、打ち合わせから施工の監督、検査までを一貫した流れの中でやってもらえます。
この為、施主の意志・意向が現場に伝わりやすくなるので、希望と違った出来上がりになることを防げます。
設計事務所のデメリット
設計事務所に依頼をしたときのデメリットを要約すると4つで、それは下記のとおりです。
- 発注から引き渡しまでに時間がかかる
- 事務所いるスタッフの能力に頼る部分が大きい
- 依頼しづらい
- 信頼感がやや低い
では、項目別に内容を見ていきます。
発注から引き渡しまでに時間がかかる
ハウスメーカーのようにシステム化されていませんから、すべての案件を手作りで行う感覚なので、受注から引き渡しまでの時間はどうしてもある程度の長さが必要になります。
また、途中で部分的な計画変更などにも応じてくれますから、その分余計に時間がかかることもあります。
事務所いるスタッフの能力に頼る部分が大きい
これもシステムを持っていませんから、ある意味ではシステムで仕事が出来ません。その為、すべてが事務所スタッフの能力や経験に頼ることになります。
したがって、スタッフの能力や経験が不足していると、必然的に施工結果に反映されてしまいがちです。
依頼しづらい
建築業界で働いている人でなければ、日ごろ設計事務所と接触を持つ機会はあまりないのが普通ですから、なんとなく馴染みがありません。
その為、敷居が高いような気がするので、つい敬遠してしまうこともあります。それに、どこの事務所がどんな実績を持っているのかという情報もない為、余計に依頼しづらいということがあります。
信頼感がやや低い
多くの設計事務所は、大手のハウスメーカーのような企業規模はありません。その為、何かあった時の補償が心配な部分もあります。
もっとも、何かあった時には、その何かが自分たちの命取りになることを嫌というほど知っていますから、何かあるというようなミスはしないようです。
注文住宅の相場や価格
住宅の建築価格は、建築坪単価×坪数になりますから、基本は坪あたりの建築単価になります。
しかし、この坪当たりの建築単価はハウスメーカーによってかなり開きがありますし、同じ坪数で同じような建て方をしても、施主の希望や要求の度合いによっても相当違ってきます。
同じハウスメーカーで同じような家を建てても、価格が数百万円から1千万円ぐらいの開きが出ることはざらにあるといいます。
また、建築事務所の場合だと施主が示す常識的な予算提示内の範囲で、なんとか仕上げてくれるところが多いようです。工務店も同様です。
したがって、一社、一事務所で見積もりを取るのではなく、ある程度の会社から見積もりを取って比べてみる必要があります。
坪当たりの建築単価ですが、例えば50万円という設定はほとんどのメーカーが対応していますが、中には100万円を超えることもざらにあります。また、逆に30万円ぐらいという単価もあります。
顧客の要望に対応する為、多くのメーカーは単一の単価しか用意していないわけではなく、複数の単価を用意していることが普通です。
単価の差は、そのメーカーが持っているどんな技術を使うか、どんな材料を使うのかで違ってきます。
建築価格の1つの例として、床面積40坪前後の家を建てた場合の全国平均価格ですが、3,200万円前後というデータがあります。坪当たりの建築単価は80万円前後になっています。
この数字は建物本体の工事費と、外構といわれている外回りの部分の工事費を合わせた金額になっています。建物本体だけだと、もう少し低い数字になります。
注文住宅づくりでは間取りが重要
注文住宅を建てる時に、大きなポイントになるのは間取りです。
床延べ面積は決まっていますから、ある部屋で極端に大きい面積を使ってしまうと、極端に狭い他の部屋が出てきてしまう可能性もあります。
極端に大きいとか極端に小さい部屋があると、ある意味では非常に住みづらくなるケースもありますから、バランスを取ることは非常に重要です。
その部屋に置く家具や家電の数と大きさ、テーブルの椅子を引いても他の人が通れる導線が確保できるかなど、実際にそこで暮らしていることを想定して間取りは決める必要があります。
また、LDKとトイレや浴室がつながっていると、LDKを通らないと使えなくなります。誰かがダイニングで食事をしているときにトイレを使うのも、使われるのも、両方とも気が引けるものです。
浴室も同様で、来客があってダイニングを使っていると、客が帰るまで浴室が使えない、あるいは使いづらいことになります。
書斎とトイレがつながっていることにも、やや難があります。トイレを使っている人の排泄音や、使用後の水洗をする音が聞こえてしまうことがあるからです。
このようなことにならないためには、間取りをしっかり計画的に決めることが重要です。設計士とよく話し合いましょう。