住まいの安心・安全のために、ホームセキュリティなどを検討される方が増えています。しかし、本格的なサービスを導入すると、コストが非常に高くなってしまいます。
そこで今回は、私自身の「PCやスマホを監視カメラとして使う」の体験から、監視カメラとして使うための具体的な構成や色々な方法のメリット・デメリットを紹介します。「手軽なホームセキュリティ」を実現したい方の参考になれば幸いです。
なぜ監視カメラを設置しようと思ったか?
私が自宅に監視カメラを置こうと思ったのは、犬を飼ったことがきっかけでした。昼間は家を空けていたため、私たち家族がいないときに、犬がどういう行動をしているのか、食糞やイタズラはどういうタイミングでするのか知りたくて、カメラの設置を検討しました。
7年前にパソコンを使った監視カメラを設置して、その後も、スマホを使った監視カメラを、自分の家・知人の母親の家の2箇所で設置しました。
家庭内監視カメラというと、すごく仰々しく聞こえるし、「家族を監視するなんて」と抵抗感があるかもしれませんが、“家庭内みまもりカメラ”と考えてみてください。
例えば、
- 一人暮らししている親の状況を知りたい
- 赤ちゃんのベッドでの様子を別の部屋からモニタリングできたら、安心して家事ができそう
- 不在時の玄関や家の周りへの不審者の立ち入りを把握し、防犯につなげたい
- 軒に巣を作ったツバメの観察をしたい
などのニーズに対応することができます。
一昔前だったら、監視カメラを付けるには専用の機材が必要で、かなりコストがかかりました。しかし今では、自宅にパソコンやスマホと回線があれば、思ったより簡単に監視カメラの設置ができます。
パソコンとWebCamを使った監視カメラ
私が犬のモニタリングをする為に使った機材の構成は以下の通りです。
- デスクトップパソコン(マッキントッシュ)
- ビデオチャット用のWebCam
- 監視カメラ用のアプリケーション SecuritySpy
- インターネット回線(ケーブルテレビ会社のサービスしているかなり低速な回線でした)
SecuritySpyというアプリケーションをパソコンにインストールし、WebCamをパソコンとUSB接続し設定します。設定後に、犬のケージ近くにWebCamを取り付ければ完成です。
外から画像を見たい時は、アプリケーションで指定されたURLをパソコンのブラウザに入力すれば、回線のスピードによっては多少のラグはありますが、リアルタイムで自宅の映像を見られます。
また、アプリ自体に動体検知機能があり、犬の動きがあった時だけパソコン上に静止画や動画を保存することもできたので、モニタリングをしていない時の犬の動きも後で確認できます。もちろん、パスワードでのセキュリティも付いていますので、第三者によるモニタリングの危険性もある程度解消されています。
参考:http://www.bensoftware.com/securityspy/
パソコン&Webcamのメリット
パソコン&Webcamでの監視カメラのメリットは大きく2点です。
1. 初期導入費が安い
パソコンに標準で搭載されたカメラを使う場合は、新規に購入するものはなく、費用がかからず導入できます。また、パソコンにカメラが付いていない場合でも、安価なWebcamのみを購入することで気軽に導入できます。アプリのSecuritySpyも試用版が用意されているので、動作確認をしてから、アプリの購入ができるので安心です。
2. 長時間運用が安定する
立ち上げっぱなしでも問題なく動くため、長時間の運用に関しては、スマホよりも安定性があります。
パソコン&Webcamのデメリット
一方でデメリットは「カメラの自由度」につきます。
カメラ設置の自由度が低い
USB接続のカメラの場合、パソコンから5mまでの範囲しか置くことができません。今回のケースでは、犬のケージとパソコンにそれほど距離がなかったために、問題はありませんでしたが、屋外用の監視カメラとして使おうとすると、「距離」「配線を室内から屋外に出すためにどうするか」という2つの問題を解決しなければなりません。
そのうちに犬も成長し、食糞やイタズラもなくなったので、半年あまりでこのカメラの運用は終わりました。
スマホ監視カメラ1~みまもり用の監視カメラを設置
スマホによる監視カメラの運用を検討はじめたのは約4年前でした。一人暮らしをしている母親の様子を離れた自宅から知りたいので、何かいい方法はないかという知人の相談がきっかけでした。
以前のパソコンとWebCamを用いた方法を使おうと思いましたが、知人の母親の自宅にはパソコンもインターネット回線もないとのことでした。わざわざ監視カメラの為だけにパソコンやネット回線を準備するのはもったいないと思い、違う方法を探すことにしました。
当時は、スマホも少しずつ普及し始め、そこそこ使える状況でしたので、これを使ってなんとかできないかと、スマホ用の監視カメラアプリを探したんです。また、格安スマホと言われるMVNOの回線業者も出始め、月500円程でネット接続できると分かりました。
結果として、次のような構成でスマホ監視カメラを作りました。
スマホ:P-01d
当時ドコモショップで0円で機種変更できたモデルでした。画面が3.2インチと小さいモデルでしたが、監視カメラにとって、画面の大きさは関係なく、むしろカメラとして小さい方が設置する場所を選ばず便利でした。
本来は、機種変更などで使わなくなったスマホを使うのが理想的でしたが、当時はまだその状況ではなく、型落ちを安く手に入れることで、できるだけコストを抑えました。
参考:https://www.nttdocomo.co.jp/support/utilization/product/p01d/spec.html
アプリ1:セキュコム
スマホのカメラを監視用に使えるアプリです。動体検知機能でカメラに写っている被写体に動きがあった時だけ、静止画や動画を撮ることができます。また、スマホ自体をサーバーにできるので、離れた場所からネット経由でリアルタイムにモニタリングできます。それ以外にも便利な機能が満載の監視カメラアプリです。
参考:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.wt2x.apps.securitycamera&hl=ja
アプリ2:DropBox
スマホで撮影した写真を離れた知人のパソコンと同期する為のアプリです。今回はスマホのネット回線のスピードが遅いため、サーバー機能を使ったリアルアイム映像配信はあきらめました。
動きを検知して撮影した静止画と動画を、DropBoxを経由して知人のパソコンに同期することで、少しタイムラグはあるものの、玄関での動きを把握できるようにしました。
ただ、撮影された画像が増えてストレージを圧迫するため、Autosync Dropbox - Dropsyncを併い、DropBox内に同期させた画像は、自動的にスマホから削除することにしました。
参考DropBox:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.dropbox.android&hl=ja
参考Autosync Dropbox - Dropsync:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ttxapps.dropsync&hl=ja
ネット回線:DTI ServersMan
当時、ワンコインでネット回線が使えるということで話題になったドコモの回線を使ったSIMです。ドコモと契約することなく、スマホのデータ通信を可能にするSIMです。回線スピードは遅いですが、これで試してみることにしました。
この構成で、実際の運用は、以下のようになりました。
- スマホを内玄関に置き、充電ケーブルを常時接続する
- 動きを感知すると、静止画と、5秒の動画を撮影する
- 撮影した静止画、画像はDropBoxを通じて、遠隔地の知人のパソコンの特定フォルダに同期し、スマホ内のデータは削除する
みまもり用スマホ監視カメラのメリット
パソコンに比べると設置がしやすく、また意外とラグが少ないことがわかりました。
1. 設置の自由度が高い
パソコンがない場合でも簡単に設置でき、持ち運びもしやすいです。また、パソコンと違い小さいため、邪魔もしません。この監視カメラを通じて、知人の母親が、実際は良く動いていたことが分かりました。
また、禁止していた野良猫に餌をやることを、本人はやっていないと言っていたものの続けていたなど、普段の生活が把握できました。
2. タイムラグが意外に少ない
回線スピードが遅いサービスだったにもかかわらず、アップロードがメインであった為か、比較的早く、タイムラグの少ない画像がパソコン上に届きました。
みまもり用スマホ監視カメラのデメリット
今回の構成では運用面に課題がありました。
1. アプリが落ちやすい
知人は2日に一回は母宅を訪問したので、その際にアプリを立ち上げ直して運用していましたが、その後、スマホ自体を遠隔操作できるアプリを導入することで、パソコン側からアプリを立ち上げられるようになりました。しかし、この方法を使うためは、システムの権限を変更することとなり、以後メーカーの保証が得られなくなる為、一般的にはおすすめできません。
2. アプリと相性のいいスマホの機種選択が難しい
トラブルシューティングのため、同じ機種ではないものの、私も手持ちのスマホに同じ環境を作り、テストしてみました。すると、動画の撮影を選択すると、エラーが出て止まってしまいました。3機種ほどで試してみましたが、どれも動画の撮影ができませんでした。
結局、スペック的には一番劣ると思われた、P-01dが一番安定しているという結果になりました。Androidのスマホで運用する場合、機種とアプリ(セキュコム)の相性のいいものを探すのが大変です。
スマホ監視カメラのケース2~玄関に防犯用の監視カメラを設置
昨年、我が家でも玄関にカメラを取り付けたいという話が持ち上がり、4年前の構成でテストをすることにしました。もちろん4年前から比べると、余ったスマホとはいえ、スペック的には相当に良くなっています。
セキュコムも問題なく動作すると思ったのですが、動画の撮影でエラーが出てしまう結果になりました。そこで、他の監視カメラ用のアプリを探すことにしました。4年前よりは、アプリの数も増え、何を選んでいいか、なかなか難しい選択でした。
結果、以下の構成で、監視カメラを作りました。
アプリ1:IP Webcam
前出のセキュコムと同じように、スマホを監視カメラとして使うためのアプリです。サーバー機能が優れており、遠隔地から撮影した動画をブラウザを使って、確認、削除できます。動体感知エリアの設定ができず、全画面が感知エリアになってしまうため、不要な動画が録画されることが多いのが欠点でした。
参考:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.pas.webcam&hl=ja
アプリ2:DropBox
今回もDropBoxを使って、撮影された動画を遠隔地のパソコンに同期させました。
参考:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.dropbox.android&hl=ja
ネット回線
自宅の無線LANを使って、ネット接続を行いました。光回線であったので、今回は回線スピードに関しては全く問題はありませんでした。
屋外へのスマホ×IP Webcamのメリット
玄関前への人の出入りをモニターできることはとても面白いものでした。また、以下のようにIP Webcamの良い点も分かりました。
1. 外部からデータを管理しやすい
動体感知により撮影された動画が他所のパソコンやスマホから、ブラウザを経由して確認、削除できるので、カメラ用のスマホのストレージの管理がとても楽でした。
2. 短時間なら動作は安定
12時間程度の運用であれば動作は非常に安定しており、また機種により動きにくいといった相性の癖も少なく、古いスマホでも問題なく動作しました。
屋外へのスマホ×IP Webcamのデメリット
今回の構成では以下の点がデメリットして分かりました。
1. 不要な動きを検知してしまう
今回は初めて屋外への監視カメラの設置でした。屋外の設置は屋内とは違った条件下で思わぬ問題に直面しました。動作検知エリアを絞り組む機能がなかったため、植木が風に揺れると、動体と検知してしまいます。
そのため、全く意味のない動画が、風の強い日に大量に録画され、スマホのストレージの確保のために頻繁に動画の削除をする必要がありました。前出のセキュコムであれば検知範囲を指定できたのですが、今回のアプリではできませんでした。
2. 長時間の運用が困難
原因は不明ですが、ギリギリ一日は安定稼働するのですが、それ以上になるとなぜかアプリが終了します。そのため、毎朝アプリを立ち上げて仕事に向かうというのが日課になりました。
今後の改善点
スマホでの監視カメラの運用は、やはり安定性の確保が最重要課題になります。使い終わったスマホを再利用した監視カメラですから、あまりスマホのスペックに贅沢をいえません。実際には、監視カメラ用のアプリは相当数ありますから、トライ&エラーで相性のいいアプリを探すしかないと思います。
また、一度落ちてしまったアプリを遠隔操作で立ち上げ直すための簡単な方法を探して、安定運用にこぎつけたいです。今回は防水機能がないということでiPhoneを使った監視カメラは試すことができませんでした。
Androidのスマホに比べ、iPhoneは機種に多様性がなく、アプリとの相性の問題も起こりにくいのではないかと思うので一度は試したいものです。
もし、みなさんのご家庭にも、機種変して使わなくなったスマホが転がっていたら、お手軽ホームセキュリティ試してみませんか。結構役に立ちますよ。そして、監視カメラの重要性を感じ、もっと本格的に、安定的に運用したいと思えば、今なら無線LANを使った専用の監視カメラも、1万円を切る価格で手に入れることができますよ。