今住んでいる住宅を建て替えるとなると、必ず出てくるのが仮住まいという問題です。部分的なリフォームとは違って、柱や屋根といった構造体以外はいったん壊してしまう場合や、すべて解体して一から建てる場合は、工事が終了するまで住宅内で生活することができないからです
建て替え中の仮住まいの物件をどう探すのか、費用はどれくらい見ておけばいいのか、工事全体の日程と合わせて事前に把握しておきたいもの。そこで今回は、建て替え中の仮住まいの探し方と引っ越し費用相場についてご紹介します。
仮住まいにかかる費用はどれくらい?
仮住まいの費用は仮住まいの方法によって変わります。また仮住まいの方法は建て替え工事がどれくらいの期間で完了するかで考えるのが一般的ですが、短期契約できる方法がいいですね。仮住まいの方法と費用の相場を見ていきましょう。
ホテル
利用日数が細かく設定できる、ランドリーサービスなどを使えば快適に過ごせるといった理由でホテルを仮住まい先として利用することがあります。
ただしホテルは日常生活を送るための仕様にはなっていませんから、仕事や学校などで必要なものをすべて持ち込んで中長期過ごすというのは現実的ではありません。また都心で暮らしている場合なら通勤圏や通学圏にホテルがあるかもしれませんが、地方で暮らしている場合は見つかりづらいというデメリットがあります。
費用の相場はビジネスホテルのシングルルームなら1日6,000~8,000円、ツインルームやダブルルームなら10,000円前後です。賃貸物件のように初期費用は必要なく純粋に部屋の利用料を支払う形です。
ウイークリーまたはマンスリーのマンション
初期費用が少なく一週間ごとや一ヶ月ごとに契約更新ができる短期契約型マンションは、キッチンやお風呂などがあり日常生活をスムーズに送ることができるため仮住まいの方法としては便利でしょう。
1~2ヶ月の工事期間であれば比較的安価に利用することができます。
ただし短期契約型マンションはワンルームや1DKといった狭い間取りの物件が多く、家族が多い場合は不向きです。また半年以上仮住まいする場合は一般の賃貸物件を借りるよりも高くつく場合がありますから、工事期間によって検討する必要があります。
また収納スペースがあまり広くありませんので、別途トランクルームを借りる必要が出てくることがあります。
費用の相場は日額で5,000円前後です。初期費用はかかりますが契約手数料のみという物件がほとんどですし、退去時も基本的には清掃代のみです。
賃貸住宅
一般の賃貸住宅は、建て替え前と同じ程度の広さが必要な場合には適した物件を探しやすいでしょう。
その代わり他の方法と比べるとどうしても初期費用がかかります。また短期契約を受け付けていない物件も多いため、短期契約OKとされている物件の中から選ぶことになります。
費用の相場は間取りによって家賃が大きく変わりますので、一ヶ月に支払ってもいいと思える賃料をもとに物件を探すといいでしょう。初期費用としては敷金や礼金、仲介手数料で一ヶ月の賃料の4~5ヶ月分がかかります。
もし希望の間取りの物件に空きがある、同じ生活圏にあるといった条件をクリアできるのなら礼金や仲介手数料が不要なUR(旧公団住宅)がおすすめです。短期契約にも対応していますから一般の賃貸住宅よりは費用を抑えることができます。
引っ越し費用の相場は?
仮住まいをする場合、日常生活を送る場所の確保だけでなく引っ越し費用も同時に発生します。
建て替え予定の自宅から仮住まい先に、仮住まい先から建て替えが完了した自宅に、計2回引っ越しすることになりますから費用としては大きいですね。引っ越し費用の相場はどれくらいなのかについてもつかんでおきましょう。
1~2人の場合
引っ越す人数が1~2人と少なく15㎞圏内の近場に引っ越す場合は、運ぶ荷物の量が平均的であれば4~5万円前後が相場です。
3人以上の場合
引っ越す人数が3人以上であれば荷物の量もそれなりに増えますから、引っ越し費用はかさみがちです。15㎞圏内の近場に引っ越す場合で7~8万円前後が相場です。
引っ越し費用を安く抑えるには?
引っ越し時期が3~4月のいわゆる繁忙期になる場合や荷物の量がかなり多い場合は、前述した相場よりも2~3割上がります。
また引っ越し費用はトラックの大きさやスタッフの人数、移動距離などが金額の上下に大きく影響します。費用を抑えたい場合は荷物をできるだけ整理する、引っ越し時期を考えるといった工夫も検討しましょう。
こうした工夫とあわせて行いたいのが複数の引っ越し業者を比較することです。
同じ条件でどれくらい金額が違うのか、2~3社の引っ越し業者に見積を取って比較することは大切です。またA社がいいがB社やC社よりも金額が高いといった場合、A社に金額交渉する際の材料としても使えますよ。
仮住まいの物件を探す際におすすめのサイト
複数の引っ越し業者に見積を取るというのは簡単そうですがなかなか手間がかかることでもありますね。そんな時にはインターネットで物件探しをするのが便利です。ここではおすすめの賃貸物件検索サイトをいくつかご紹介しましょう。
エイブル
北海道から沖縄まで全国に店舗展開している不動産会社エイブルが運営しているサイトは、物件を探す際にテーマで検索することができます。
「間取り別」「ペット可」「敷金礼金0円」「駐車場付き」「新築」など細かくテーマを分けてあるため、希望の物件が見つけやすいという特徴があります。家賃や地域の指定検索は他のサイトでもできますが、こうしたテーマ別の検索が簡単にできるのは便利ですね。
イエッティ
実店舗をもたずオンラインでの賃貸物件検索サービスに特化しているのがイエッティです。最大の特徴はチャットによる物件探しができるという点です。最初に希望条件を登録すると、担当者から連絡が入りチャット形式で物件の案内や見学予約ができます。都合のいい時間に相談できる点が人気の理由です。
仮住まい先に引っ越しする際の注意点は?
工事期間に合わせて仮住まい先が見つかったとして、そこに引っ越す際に業者探しと同時に検討しておきたい項目がいくつかあります。上手に引っ越しを行うために、次の項目をチェックしておきましょう。
家財をどうするか
仮住まいが数ヶ月にわたる場合に出てくる問題のひとつが家財道具。ソファやテレビ台、タンス、食器棚、ベッドといった家財道具はサイズも大きく仮住まい先の広さによっては持っていけない可能性がありますから、どうするかを事前に決めておく必要があります。
仮住まい先で使う場合は、これまでとほぼ同じ生活を維持することができる反面、2度の引っ越し時にいずれも運んでもらうことを想定して費用を見ておくことが大切です。
仮住まいが短期だからコンパクトに生活したいという場合は、トランクルームなどで保管することになります。家財道具が入るだけの広さのトランクルームを探す手間はかかりますが引っ越しは身軽にできるので、最近はこのパターンを選ぶ人も増えてきています。
仮住まいとはいえ快適に暮らせるのが一番。どちらの方法が合っているか、家族を含めてよく話し合って決めることをおすすめします。
子どもの学区について
子どもがいる場合、仮住まいをする上で気になるのは学区ではないでしょうか。
小学校や中学校は基本的に居住地によって子どもの通う学校が決まります。つまり現在の自宅と違う学区のエリアに仮住まい先を借りた場合、本来は通学できないという問題が発生します。
仮住まい先が同じ学区内で見つかれば問題ありませんが、もし仮住まい先が学区外になる可能性があるなら役所の窓口で相談しましょう。期間と理由によりますが、学区外から通学してもいいという許可証を発行してもらえます。引っ越し時期が決まった時点で早めに相談して、子どもの通学に影響が出ないようにしてあげましょう。
建て替えに伴う仮住まいは大変な作業ですが、念願の新しい自宅を手にするためのステップのひとつ。できるだけ費用を抑えながら快適な環境で過ごせるよう、上記を参考にしながら進めていってくださいね。