理想の間取りを考えたのに、いざ完成して住み始めると、失敗したと感じることはよくあることです。
家の間取りを考えるのはとても難しいことです。天井の高さはどれくらいが良いのか、屋根裏やロフトは備えるべきであるか、ベランダはどの方角につけるべきか、子供部屋は目の届きやすいところがよいがどこにするべきか、などなど考え始めると様々な点に気を配らなければいけないことがわかります。
それでは、どうすれば暮らしやすい間取りを考えることができるのでしょうか。家の間取りを決める際に気を付けることや決める基準について紹介したいと思いますので、是非ご覧ください。
間取りの決める前に
間取りを失敗しないために、みなさん様々な悩みを抱えることと思います。悩み過ぎて決められないというのも問題なので、間取りを決める流れやポイントについて説明していきます。
まず、間取りを決める前に考えておいたほうがよいポイントを説明します。
土地によって間取りを決める
土地によって、間取りや家の形は変わってきます。
例えば、道路の向きによっても変わってきます。道路が土地のどこに接しているのかで玄関や駐車場の位置が変わるので、土地の形や大きさが同じでも、同じ間取りは適用できません。
土地の坪数が同じでも、長方形の土地になると縦横の長さによって、異なった間取りになります。このほか、土地がどちら向きになっているか、土地にかけられている制限、隣の家との間隔、道路からの高低差など、たくさんのことが影響して間取りは変わってしまいます。
住む土地での間取りのパターンを複数出してもらい、それから気に入った部分を取り入れていくと自然と理想の間取りになっていきます。
周辺の環境によって間取りを考える
土地の形状だけでなく、その周りの環境も踏まえた上で、間取りを考える必要があります。
目の前が人通りの多い道路の場合、そちら側に大きな窓を設置せず、外部からの視線をさけることを意識して、間取りを考えたほうが良いです。
また、ゴミ捨て場が近くにある場合、そちら側には窓を付けない、などの工夫も必要となってきます。外がきれいな自然である場合には、そちらに大きな窓を設けることで、自然の光と良い眺望を得ることができます。
何を優先するか考える
事前に、今回新築する際に今の生活から改善したいこと、これからの生活に必要な要素をしっかりと考え、その考えを軸にして間取りを決めていくことが大事になります。
「今の生活に不満がある。次に住む家では必ずここは改善したい!」という観点や、使う頻度で優先順位をつけてみることも良いでしょう。
毎日使うものなのか、たまにしか使わないものなのか、という観点で、より使用頻度の高いものを優先する、という観点も有効でしょう。
また、使い続ける期間も基準とすると良いでしょう。これから50年間住むとして、それを使い続けるのは何年間だろうかと考え、より長く使用するのは何か、という順位付けも取捨選択する基準の一つとなります。
さらに、費用対効果で見て、この間取りにするには、費用が掛かりすぎるから、ここまで費用が高くてそんなに得られるものはないな、と考えられるものは不要と考えましょう。
ここで最も大事なことは、「妥協」しないことだと思います。「ウッドデッキをあきらめて」や「子供部屋は妥協して」と口にしないようにしたいところです。なぜなら、家づくりは本来楽しいものなので、あまりネガティブな考え方をしてほしくないからです。
「ウッドデッキをやめるかわりにランドリールームを優先した」というとポジティブになります。
間取りを決めるポイント
間取りを決めるポイントは様々ですが、採光や風通し・生活動線や家具も重要です。それぞれのカテゴリ別に紹介していきます。
採光や風通り
採光や風通りは、快適な住まいづくりにはとても大事な要素となります。気持ちの良い採光が得られる住まいにするためには、どの場所の日当たりがよく、風通しが良いのか知っておくことが必要で、逆にそうでない場所も把握しておくことも大切です。
間取りを考えるときに、一般的に東西南北を意識して部屋を配置することをまず考えるとよいでしょう。リビングなどの人が長時間いる部屋では、日当たりがよく風通しもよいところがよいでしょう。日当たりの面で、南東に面した場所にリビングを配置するのが一般的です。
また、逆にトイレや浴室などの水回りは、北西の夕日が差し込む場所や採光がうまく確保できない場所に配置するのが一般的です。その土地によって採光や風通しは様々なので、東西南北だけを考えて間取りを決めてしまうのは危険です。
事前にその土地を観察して、間取りを決めていきましょう。
生活動線
「洗濯機と洗濯物を干すスペースまでが遠い」「キッチンのレイアウトや配置が悪く料理がしにくい」「1階と2階の行き来が多くて疲れる」。
このような生活のしにくさは、精神的にも体力的にもとてもつらいものです。長く住む家ですからなおさらです。こうならないような生活動線を考えることが快適な家にするためには大切です。
浴室(洗濯機)や物干しスペース、キッチンといった水回りの動線をしっかり考え、どのフロアに何を設置すべきか検討しましょう。
その人が使いやすい、と思っていればそれを採用することが、注文住宅の良いところでもあるので、固定観念に捉われず、自分にとって良い選択をしましょう。
置きたい家具や家電の配置
家電の置き場所も重要です。新築の間取りを考えたとき、どの家電を買って、その家電をどこに置くか悩むところです。家電の配置はよく考えるのですが、見落としがちなのがコンセントの配置です。
いざ家が建って生活をし始めた時に家電の配置は決めていたのにその場所にコンセントがない、ということも多々あります。コンセントをどこに配置するかは、間取り図を作成する段階で決めたほうがいいです。テレビやエアコンを置く場所はある程度固定されるからです。
しかし、空気清浄器や扇風機などの置く場所が明確でない家電に対するコンセントのことまで考えている人は少ないです。自分の生活する上でどんな家電を使用しているか思い返して、必要な家電が使用できるようなコンセントの配置にすべきです。
家電のコード(配線)は、大体2mくらいの長さであることが一般的なので、その点も考慮して考えておきましょう。
さて、生活をイメージして家電の配置を決める際に、どこに何を置くと便利で快適な空間をつくれるかをしっかり検討します。この部分をしっかり検討することで実際に暮らし始めてからの満足度が変わってきます。新築のタイミングですから、暮らしに合った設置方法をじっくり考えましょう。
その際に、本当に必要な家電かどうかを改めて見直すとよいでしょう。例えば、お米を鍋で炊けば炊飯器は不要となります。炊飯器をなくすと炊飯器を置くスペースもいらなくなるので、その分他のものに使うことができます。
同様に、湯沸かしポットや食洗器など、ひとつひとつの家電の要不要を考えましょう。家を建てるときは、つい様々な家電製品を買ってしまいがちですが、反対に取捨選択をする良い機会でもあるので、不要な家電のないスリムな暮らしができます。
外観や外構(エクステリア)で考える
新築をする際、「家の本体だけのことだけでいっぱいで、外回りまでじっくりと考えられない」「とりあえず、門扉・フェンス、車庫だけは設置しておこう」という方も多いと思います。せっかく一戸建てを立てたのに、庭(敷地)が有効活用できずに、長い間、そのままということもあります。
また、開放的な庭を好む方であれば、敷地を門扉やフェンスで囲わずに、植栽などを利用するのもありです。しかし開放的にした場合は外からの視線も気になってしまいカーテンを閉めっぱなしというケースもあるようなので、その点は考慮すべきでしょう。ウッドデッキなどを設置する場合も同じことがいえます。
「庭(敷地)」が十分に活用できない、使いこなせない原因の多くは、プランニングが十分になされていないことです。住まいづくりは、建物を建てるだけでなく敷地全体のプランニングが重要です。
しかし、建物の「間取り」は深く考えるけれど、その周囲は十分に考えないことが多いです。建物の「間取り」と同じように、外回りの「間取り」についてもしっかり検討しましょう。
ペットがいる場合
ペットと暮らすことを考え、注文住宅を建てる場合、入居してから「こうしておけばよかった」と後悔はしたくないものです。それでは、各場所毎に気を付ける点を説明していきます。
玄関
玄関は散歩から帰ってきたときのケア(犬の足を拭いたり、汚物の処理など)も念頭に、広さや収納が十分かをチェックしましょう。また、玄関と浴室やトイレが近いほうが、散歩後のケアがしやすいなどメリットも多いので、確認しておくといいでしょう。
玄関ホール
玄関ホールは犬や猫の外への飛び出しや、来客へのとびかかりを防ぐためにも、犬や猫の出入りを制限したい場所です。玄関ホールとリビングの動線が一直線でなく、かつ市販のペットフェンスなどをつけられるのが理想ですが、ペットフェンスが取り付けられる間取りなら、問題ありません。
寝室
寝室は衛生面を考えて、飼い主と犬の寝床は別々にしたいですね。
間取りでよくある失敗
間取りを考える時には、様々なことを頭に巡らせます。しかし、それでもやはり抜けはあるもの。
自分の考えが及ばない点は多々あるかと思うので、こちらに様々な例を記載します。しっかりと確認しておきましょう。
収納のつくり
家の間取り自体は成功、しかし収納は盲点だった、という声も少なくありません。タンスなどの家具を極力減らし、シンプルに住みたいというニーズは高まっている今、収納は十分に検討しなければなりません。
各部屋に収納が必要なのはいうまでもありませんが、同時に考えなければならないのが、その収納力です。部屋それぞれに収納するモノも違えば、量も違います。特に子供部屋は、お子様が大きくなった時のことまでを考え、十分な容積を確保しておかなくてはなりません。
部屋の広さ
部屋の広さで失敗することも多々あります。
例としては下記のようなものがあります。
- リビングを広くしすぎて、冷暖房効率が悪く光熱費が高くつく
- 和室を狭くしすぎて、ゲストルームに使えない
- 寝室を6帖にしたので、ダブル別途を置くとテレビやタンスを置くスペースがない
- 脱衣室が狭いので、子供と一緒に使えない
- キッチンを狭くしたら、シンクと食器棚の距離が短いので、すれ違えない
- 子供部屋を長方形にしたら、別途を置くと空きスペースが使いづらい
生活動線の考慮
生活動線に関しても、ちょっとしたことが積み重なり大きな負担となってきます。下記のような失敗をしないよう、検討しましょう。
- 玄関先が遠くなってしまう
- 居間やトイレや風呂に行くときに通路がグネグネしていて、まっすぐ歩けず足腰に負担がかかる
- 階段が玄関から直進して2階にあがる設計なので、階段も圧迫感を受ける
風通しの悪さ
風通しも、気持ちの良いマイホーム生活を送るうえで、大事な要素になります。
- 冬の寒さを考えて北側に窓を作らなかったため、風通しが悪く、冬暖かく夏は暑い構造になってしまった
- リビング窓のちょうど真向かいに隣の給湯器があり、窓を開けるとガス臭く、熱い
- 窓の位置が悪く、風通しが悪くなってしまい、リビングの料理のにおいなどがこもってしまう造りとなった
コンセントの数と高さ
図面ではなかなか確認してもわからに部分がコンセントの数とその高さです。
しかし、ここの確認を怠ってしまうと、「冷蔵庫の位置からコンセントが遠すぎる」「寝室で携帯を充電しながら寝ることができない」など様々な後悔を生むことになります。しっかりと確認しましょう。
窓と日当たり
日当たりに関しても、しっかりと検討しましょう。
日当たりといっても、日当たりが悪い失敗だけでなく、当たりすぎるのも問題となることがあります。
- 日当たりが悪く、家にいる時に気分が晴れない
- 「天窓があったら明るいだろうな」と思い、リビングにつけたが、夏は暑すぎる
- 吹き抜けからの日当たりが強すぎて、日差しの強い日はまぶしすぎて何も見えなくなる
水回りの分散化と配管
水回りの使いやすさに気を配る人は多いですが、排水恩の問題にまではなかなか気がまわらないことが多いです。
トイレを流したり、浴室のシャワーを使ったり、キッチンで洗い物をしたりなど、水回りでの作業は必ず音がするものです。
- 寝室とトイレが近くて、寝ている間に他の人がトイレにいくと目が覚めてしまう
- 食事中にトイレの音がして不快な気持ちになる
- 2階に水回りを設置したところ、1階の部屋まで排水音が響く
生活しているイメージをして視野を広く
間取りを考える際には、図面上ステキな家に見えてくることがありますが、しっかりと日々の生活をイメージしておくことが大事です。
朝起きてから夜寝るまでの生活をシミュレーションして、生活する上で不便になってしまうことがないか細かいところまで確認をしていきましょう。
どうしても、家だけを見ることが多くなってしまいますが、各個人の生活にまで落とし込んで、考えましょう。
また、家の中だけでなく、外の敷地まで周辺環境も含めて考えることで住み始めてから後悔しないマイホームづくりに近づくでしょう。
家族構成別おすすめ間取り
ここからは、各家族構成におすすめの間取りを紹介してきます。
2人暮らし
まず、おすすめは2DKになりますが、細かいポイントは下記の通りです。
お風呂とトイレは別
お風呂とトイレが同じ部屋にあると、どうしてもお風呂やトイレを使いづらくなります。
お互いの部屋が壁で区切られている
2部屋以上あって、お互いの部屋が隣り合っている間取りでは、部屋と部屋を引き戸で区切っている場合があります。
この場合、お互いの部屋の生活音がかなり聞こえてしまうので、壁で区切られていたほうがよいでしょう。
独立洗面台がある
独立洗面台がないと、片方がお風呂を使っていると洗面台や鏡も使えなかったりします。
3人暮らし(子ども)
3人家族が一番選んでいるのは2LDKの物件になります。
さて、どのような場所が必要なのでしょうか。
- リビングは、子供が遊んでいても目が届く
- 色々な用途に使える部屋(友達が来た時や仮眠などで活躍)
- 広さの理想は50~60平米くらい
- 料理や食事の片付けをしながら子供を確認できる対面キッチン
- 洗濯物がたくさん干せる広めのベランダ
- 親と子供が一緒に寝れる6畳以上の寝室
- 帰ってきてかならず顔を合わすリビング
4人暮らし(子ども2人)
4人暮らしの定番は3LDKです。ただし、リビングとつながっている部屋を1部屋としていることも多く、個室として扱うには何がある場合もあります。
「子供にそれぞれ部屋を与えたい」、「収納に使う部屋がほしい」など、3LDKで足りない感じる場合は、4LDKがおすすめです。
・子供の性別も考慮し、将来子供部屋を持たせるときに、同性の兄弟・姉妹であれば、子供部屋共有もありですが、異性の場合には難しいかもしれません
その他は、基本的に3人暮らしと同様です。
5人暮らし(子どもと親夫婦)
二世帯住宅で大事な点は下記のとおりです。
- フレキシブルに考える
- 収納量
- 2階だからできることを意識する
- 目線とプライベート
それでは、具体的におすすめの間取りを説明していきます。
階段下収納
2世帯住宅にとって、最も悩ましいことは、限られた家の大きさの中で如何に収納を確保するかというところなので、階段下収納がおすすめです。
目線抜け
玄関を広く、圧迫感を無くすための工夫として、窓配置による目線の抜けを利用しましょう。
壁の設置
庭と駐車場を区切る壁を造ることで、人目を気にせず庭を利用できます。
部屋の多機能化
収納兼書斎などのようにフレキシブルに部屋を変更できる場所をつくるとよいでしょう。
将来を考えた間取り
将来的なことも考え、あえて2階にすべての部屋を設けないことも検討して下さい。
ペットがいる場合
あくまで、ペットの困った行動を根本的に解決するのは、しつけによるところが大きいので、住まいがその補助的役割を果たす、という理解が必要です。
おすすめの間取りとしては、下記のポイントです。
タイル張りの床
床をタイル張りにすることで、水洗いや掃除を容易にすることも大事です。
タイルカーペット
タイルカーペットにすることで、すべりにくく、毛も目立たないようになります。
蔵の設置
蔵を設けることで、散歩用品やキャリングケースなど、ペットアイテムを収納できるようになります。
土間の設置
土間を設けることで、汚れた足のまま直接入ることができます。
ここまでで、間取りを決めるにあたって、気をつける点やおすすめの間取りについて説明してきました。
この記事で紹介したことも頭に入れつつ、最終的に大事になるのは、やはりこの記事の読者の方々のライフスタイル毎に異なってきます。
そのため、自分の生活をより具体的にイメージしながら間取りを決めていくことが最も重要です。素敵なマイホーム生活を送るために、きちんと検討しましょう。