湾岸エリアといえば、高層マンションが立ち並び、オリンピックを前に不動産販売の勢いが衰えない場所です。近年、日本に旅行に来る中国人の爆買いが目立ちますが、不動産の世界でも中国資本の動きは活発です。
そこで、新築マンションでもっとも活発な動きをみせている湾岸エリアを中心に、爆買いのその後を考えてみます。
まだまだ人気!湾岸エリアの需要
消費税が上がるまえの駆け込み需要が落ち着き、湾岸エリアのマンション販売は、どのような状況なのでしょうか?
新築物件では、駆け込み需要のなかに経過措置組がいます。経過措置とは、新築住宅の購入後引き渡しまでのブランクを所有権の移転時ではなく、売買契約の成約時とみなして課税する制度です。
例えば、新築マンションの購入を課税前に決め、マンションが消費税増税後に完成し引き渡された場合に、契約が増税まえなので2014年4月以降の引き渡しであっても経過措置により消費税は5%です。
この駆け込み需要+αを加味すると、現在湾岸エリアの売れ行きは落ち着いているもしくは、下がっていると思われます。しかし、今現在、このエリアではたくさんの物件が分譲中でありタワーマンションの建設も続いています。
オリンピックで注目されていることもありますが、オリンピックで使用した選手村の跡地などもマンションに変わると考えられるので、このエリアの開発は、まだまだ続き上り調子なのです。
販売価格をみても、今年に入り坪400万弱という物件があることから値上がりしたとみて間違い無いでしょう。中心販売価格は、7,000万弱が多く、低金利政策の後押しをうけ高所得サラリーマン世帯に人気です。
ファミリーに人気なため、周辺の商業施設や公共施設がキッズ・フレンドリーな作りになっていることも人気に貢献しています。
東京・交通の便で選ばれる湾岸
世界でも有名な観光スポットが数多くある東京は、日本の今と昔が交錯する場所です。日本経済の中心地であり世界中から観光客があつまる場所です。
タワーマンションの爆買いが発生するのは、この東京の中心地にアクセスが便利であり、キャピタルゲインを狙える物件がおおくあるエリアです。湾岸エリアは、アクセスだけでなく、「住む」こともポイントが高いエリアであるため、家賃の部分でも注目が集まるのです。
オリンピックを一つの指標として考えると、オリンピックまでは比較的リスクの少ない投資物件の宝庫といえるのではないかと思います。
マンションでもうけるには?
不動産を使って利益をだすには、次の2つの利益を考えます。一つ目が家賃収入であるインカムゲインで、二つ目が売却利益を狙うキャピタルゲインです。
中国人投資家が日本のマンションを購入する時、基本的にはキャピタルゲインを目指していることでしょう。しかし、円安の影響で日本のマンションには、海外の投資家から見ると若干安くなっています。
しかも、借入金利は低い部類です。前述した家賃収入も期待できます。これらの理由から日本のマンションの利回りは高いと考えることができるのです。
中国国内の不動産バブルの動向
湾岸エリアに中国資本が多く集まっているのは前述した通りですが、問題は、いつその資本が引き上げられてしまうのか?ということです。なぜなら、資本が引き上げられる=中古の物件が多くなるという状態が生まれるからです。
急激な供給の増加は、物件の価格下落を招きます。現在住んでいる人やこれから住みたい人のことを考えると、価格の下落は好ましくありません。
そこで、中国国内の状況を少し見てみましょう。中国の市場は、一般的な資本主義の国々とは異なります。例えば、株式市場は、機関投資家の活動を中国政府が制限したり、そもそもの市場を政府の管理下においている関係から、個人投資家が中心となっています。
政府がすべてを管理しているのだから、バブルの崩壊はないと考えたいところですが、そうはいかないのもまた現実です。マイナスの要因は、市場だけではありません。
日本は、バブルが弾けたとき、「一億総中流」といわれるくらい社会制度も整っていました。しかし、中国では、構造改革が進んでいるとは言いがたい状況です。
内需の成長が見込めるくらいまで国民の経済力が育っていればよいのですが、広くたくさんの国民がいる中国では、インフラ整備も十分とは言いがたく、結果としてバブルが崩壊した時の回復力に疑問が残るのです。
2014年中頃から中国では、不動産の価格が下落し始めています。このことから、中国国内では投資家が不動産への投資ではなく、株や海外不動産への投資へと移ったと考えられます。
中国の不動産バブルは終わったといってよい状態でも、株式市場がまたあります。日本の不動産へ影響がでるときは、株式市場に大きな変化が訪れたときでしょう。
爆買いの後の予測
不動産にかぎったことではありませんが、たくさんの人に買い求められた後は、市場にその商品が残ったり、あまったりして価格が下降する傾向が現れます。不動産では、爆買いの後にいつその物件が手放されるのかが問題になります。
投資家各々が各々のタイミングで手放すならよいのですが、問題は、一時期に皆が手放す状況が発生した時です。海外の投資家の事情なので、日本国内の事情とは別の要因でトリガーが弾かれてしまうのです。
急激な変化がないことを祈るばかりですが、オリンピックを一つの目安として湾岸エリアの物件の値段は、下がる傾向がくることを意識しておくとよいでしょう。自衛の手段として、売り時を見誤らないようにすれば、爆買い後の爆売りが来ても大丈夫です。
また、経済情勢と平行して、大規模修繕のタイミングなど物件のメンテナンスを考慮し今手中にある物件が一番いい状態の時を個別具体的に考えるのこともおすすめです。
物件の価値を正確に把握する
お金も人も物も、この世の中では全てが流転しています。不動産の価値を気にするあまり、本当の価値に目がいかなくなることがないように物件のもっている「才能」を正確に把握しておきましょう。
まずは、立地条件を冷静な目で測ることです。駅から近いか、学校などの公共施設はどうか、コンビニやスーパーまでの距離、都会までのアクセスの良さなどの項目を頭のすみに入れておきましょう。
不動産のほんとうの価値が頭にはいったら、日々起こりうる価格下落にすぐに対応できることでしょう。備えあれば憂いなし!