注文住宅を新築する際にこだわりたい項目の上位に挙がることが多いのが間取り。適した間取りにするための要素として中でも重視したいのが家族構成です。家族の人数によって必要な居室の数や間取りの配置、過ごしやすい広さなどがある程度決まってくるからです。
今回は4人家族が暮らすのに適した間取りとはどういったものなのか、居室の数や広さなどの視点からまとめてみました。
間取りを決める上で重要なポイント
新築で注文住宅を建てる際にはいろんな要望を反映させたいと考えるものですが、その中で特にしっかり考えていきたい項目のひとつが間取りです。家族のあり方は子どもの成長や親との同居といった状況に合わせて変化していくものですが、そういった変化にある程度対応できる間取りであるかは大きなポイントです。
たとえば子ども部屋。子どもが小さい時期は不要ですが、小学校高学年あたりから必要になる可能性が高くなります。そこから10年前後経って子どもが大学進学や就職などで独立すると、再び不要になります。
このように家族構成が変化すると間取りにおける居室の使い方も当然変化します。その変化に柔軟に対応していけるよう、将来の生活も考慮して間取りを決めることが大切です。
また趣味によっては収納スペースがたくさん必要になることもあります。ゴルフやスキーなどのグッズを収納するには小スペースの収納では対応できませんから、納戸のような大型収納スペースをはじめから組み込んでおく必要があります。
最低限必要な広さを知っておくことのメリット
新築の注文住宅を建てる上で最低限必要な広さがどれくらいなのかは、家族の人数だけでなくライフスタイルや住宅に関する価値観などによっても変わってきますので一概に決めることは難しいものです。
しかし事前に最低限必要な広さの目安を知っておくと、いくつかのメリットがあります。
建築費が概算で把握できる
ゆったりとした広い床面積の新築住宅が建築できるのがもちろんベストではありますが、たいていの場合建築予算という現実的な問題がありますね。新築で注文住宅を建てるとなると建築費以外にもさまざまな費用がかかりますから、それらを含めた総合計で予算を考えておかなければいけません。
予算の多くを占めるのはやはり住宅本体の建築費用で、その概算を出すには住宅の床面積の広さを決めるのが先決です。
注文住宅を建てることを決めて施工業者探しに入った際に、たいてい建築費は「坪〇万円」といった坪単価で説明されます。最低限必要な住宅の広さのめどが事前にイメージできていると、施工業者が提示する坪単価でざっくりと建築費用がつかめるため、施工業者選びをスムーズに進めることができます。
間取りプランを決めるステップを主導的に進められる
注文住宅といっても、施工業者が準備している間取りプラン集の中から選んでアレンジしていくのか、まったくゼロから決めていくのかなどいくつかの方法があります。
施工業者は建築のプロですから、要望を出すだけで敷地や建築条件等を踏まえて間取りプランをいろいろ提案してくれるでしょう。
しかし先ほども言ったように間取りは家族の人数だけで決まるものではなく、ライフスタイルなども反映させていく必要がありますから、自分たちの中でも必要だと思う住宅の広さのベースラインをもっておくとよりスムーズにまとまっていきます。
準備してある間取りプラン集のプランはあくまでもサンプルです。注文住宅の建築主として、話の主導権を持って間取りプランにできるだけ希望を反映するよう施工業者に思いをしっかり伝えたいもの。
プラン集を参考資料として使うのは全く問題ありませんが、自分たちの希望する新築住宅での生活をしっかりシミュレーションしながら間取りを決めていくステップを主導していくためにも、必要最低限の広さを把握しておくのはおすすめです。
広さがほしい場所とそうでない場所とを把握できる
たとえばLDKについて、「来客が多いからゆったりとした広さが欲しい」という場合もあれば、「オープンすぎるとすべて丸見えだからリビングダイニングとキッチンは分けたい」という場合もあるでしょうし、「庭に面していて視界が開けるから床面積より天井高を高くして明るくしたい」といった場合もあります。
住宅内の居室空間や水まわり空間は、家族構成やライフスタイルを踏まえて決めていくものです。事前に最低限必要な広さを知っておくことで、それを判断基準として「うちはLDKはコンパクトでも大丈夫」「浴室は介護をしやすいよう普通より広めにしておこう」といった判断がしやすくなります。
敷地や建築条件等から住宅全体の床面積はほぼ決まってきますから、その中でそれぞれの空間に必要な広さのバランスをとっていくためには事前に最低限必要な広さを把握しておく方が決めやすいでしょう。
4人家族の生活に最低限必要な広さは?
家族のあり方の変化を考慮するとはいえ、まずは新築時に最低限必要な広さを確保しなければいけません。一般的な居室の種類と広さを挙げてみましょう。
LDK
子どもの年齢にかかわらず日常的に過ごすために、また来客を迎えるための広さが必要になります。ダイニングセットやソファ、リビングボード、テレビボードなどの家具を置くことを考えると、14~16畳はほしいところです。
寝室
夫婦の寝室としてシングルベッド2台もしくはダブルベッド1台、そしてナイトテーブルを置くことを考えると少なくとも8畳程度あるのが望ましいです。
個室
基本的には子ども部屋になるスペースとなります。デスクとシングルベッド1台・本棚は最低限置ける広さとして考えると6畳は必要でしょう。新築時に子どもがいない、もしくは1人いるとしても、20~30代で建てるのなら子どもが増える可能性を考慮して2室は確保しておきたいところです。
浴室+洗面室
広々としたスペースは不要としても、物理的・心理的に最低限ほしい広さとしては4畳程度が一般的です。
トイレ
2階建ての注文住宅の場合、それぞれの階に1ヶ所ずつトイレを設置するのが最近の主流です。それぞれ最低限の広さとして1畳ずつ、計2畳は必要になります。
玄関+廊下+階段
玄関はホール部分とたたき部分を合わせて少なくとも2畳は必要です。これ以上狭いとかなり使いづらさを感じてしまいます。廊下は間取りの配置によって変化しますが、言ってみれば無駄なスペースなので、間取りのレイアウトをよく考えてできるだけ少なくしたいものです。
階段も直線やU字等本体の形状によりますが、2階のホールを合わせても4~5畳は必要です。
収納
LDK、寝室、個室だけで5畳程度は確保したほうがいいでしょう。間取りのレイアウトによって階段下や廊下・屋根裏等をうまく活用した収納スペースを設けることができれば1畳程度さらに増やせる可能性はあります。
上記の項目の数値をMAXで拾うと52~53畳、約27坪の広さが4人家族で快適に暮らすために必要ということになります。
家族の人数が増減した場合の考え方は?
新築時には家族が4人だったとしても、その後増減がある可能性は十分あります。その際には間取りについてどう考えていけばいいのでしょうか。
家族全員が共有するスペース、つまりLDKや水まわりは基本的に増減の影響を受けないと考えてかまいません。人数が増える場合は単純に個室が1部屋追加になると考えておくと大きなずれは生じにくいです。
6畳+収納スペース1畳の計7畳、約3.5坪を加えて計算するといいでしょう。あくまでも目安ではありますが、間取りを考える上での参考にしてください。