マイホームを購入する際には、その物件の購入価格や間取りに目が行きがちですが、軽視してはいけないのが「固定資産税」と「都市計画税」です。この2つの税金は通称「固都税」といいます。
いざマイホームを買って、これらの税金のことを忘れていると、急に請求が来た時にお金がない、ということにもなりかねません。どのくらいのお金がかかるのか確認する必要があります。
そこで今回は、固定資産税について詳しく解説を行いますので、ぜひご一読いただければと思います。
固定資産税とは
そもそも固定資産税とは何なのか説明します。マイホームに限らず、土地や建物などの固定資産を所有していると、その固定資産が立地する「市町村」に税金を納めなければなりません。これを「固定資産税」と言います。
これに対し、都市計画税は、すべての固定資産に対して課税されるのではなく、都市計画法による「市街化区域内」にある土地と建物が課税対象です。そのため、市街化を抑制されている市街化調整区域や、都市計画区域外の土地や建物には課税されません。
都市計画税も同じく固定資産税評価額が基準となりますが、税率は固定資産税よりも低く0.3%です。
固定資産税の仕組み
固定資産税はその年の1月1日現在で所有している人に対して課税される仕組みとなっており、その課税は固定資産課税台帳に記載されている帳簿価格の1.4%となります。
固定資産税は、マイホームを所有している間、毎年課税されることとなり、納税時期は4月、7月、11月、2月の年4回です。納付方法としては、払込用紙で支払うか、銀行口座からの引き落としなどの方法によります。また、1年分一括で支払うこともできます。
仮に6月にマイホームを購入した場合、引き渡し以降分の固定資産税を負担することになります。前述のとおり、固定資産税はその年の1月1日時点の所有者に1年分請求がいく仕組みなので、その年の固定資産税の納付書は税務署から届きません。
しかし、これでは実質的に売主が買主の分の固定資産税も負担しているような状態となるため、実務上はマイホームの引き渡しの際に、その年の固定資産税を日割りして計算し、買主から売主に請求します。
免除や軽減について
固定資産税は住宅ローンを組んだばかりの方々にとっては、非常に大きな負担となります。そこで、一定の条件を満たすマイホームを購入した場合、固定資産税を減額する制度があります。
新築住宅
「新築であること」、「床面積が50㎡以上280㎡以下であること」この2つの要件を満たす新築住宅は、新たに課税される年度分から3年度分、その新築住宅にかかる固定資産税の2分の1が減額されることとなります。さらに、建物が以下の基準を満たしている場合、この減額期間が延長されます。
【減額期間の延長条件】
- 3階建て以上の耐火・準耐火建築物⇒5年度分
- 認定長期優良住宅⇒5年度分
- 上記両方を満たす場合⇒7年度分
なお、固定資産税の減額を受けるためには、建築確認申請書や検査済証のコピーなどを準備の上、減額の手続きをする必要があります。また、新築ではなく、一定の要件のもと施工された耐震改修工事・耐震建て替え・バリアフリー改修工事などを行った場合についても、一定の固定資産税が減額されるようになっています。
小規模住宅用地
土地についても一定の要件を満たす場合に固定資産税を軽減することができます。
【軽減要件】
- 200㎡までの小規模住宅用地⇒6分の1減免措置
- 小規模住宅用地以外の住宅用地⇒3分の1減免措置
一般用住宅地
一般的な住宅用地には、下記のような軽減措置があります。
【軽減要件】
200㎡超の部分⇒3分の2減免措置
耐火・準耐火
先ほど新築住宅でご紹介した通り、下記の減額期間の延長が受けられます。
【軽減要件】
3階建て3以上の耐火・準耐火建築物⇒5年度分
固定資産税の注意点
固定資産税の存在を忘れてしまう、など固定資産税には注意すべき点があります。それでは、説明します。
新築費用の予算に組み込まれていないことがある
新築住宅を建てる際に、ハウスメーカーで見積もりを出してもらったり、銀行で住宅ローンを借りる際に全体の費用を出したりします。その際に、固定資産税費用が考慮されていない場合がありますので、注意しましょう。固定資産税も大きなお金が必要な部分なので、忘れてはなりません。
市町村によって税額が異なる場合がある
住宅の固定資産税は住民税の軽減措置を受けることができるため、市町村によって税額が変わってきます。職場が東京で、家を建てるのは埼玉や千葉、神奈川とすることも可能なので、それぞれの地方自治体の税額も調べて立地を決めると良いでしょう。
固定資産税が課税されるタイミング
固定資産税はその年の1月1日現在で所有している人に対して課税される仕組みとなっており、その課税は固定資産課税台帳に記載されている帳簿価格の1.4%となります。固定資産税は、マイホームを所有している間、毎年課税されることとなり、納税時期は4月、7月、11月、2月の年4回です。
固定資産税の計算方法
固定資産税は下記の計算式の通り、固定資産を評価の上、その価格をもとに課税評価額を算定し、税率をかけて求められます。
固定資産税の計算式=固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)
固定資産税評価額
固定資産税の計算は、実際の売買価格ではなく「課税標準額」用いて行います。まず、固定資産税評価額とは、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて、各市町村長がその価格を決定します。さらにこの価格をもとに課税標準額が算定されます。
ただし、課税標準の特例措置が適用される住宅用地や、税負担の調整措置が適用される土地の場合は、課税標準額は価格より低く算定されます。
固定資産税率
固定資産税の税率は、一律、課税標準額に対して「1.4%」です。ただし各市町村の判断により、財政上特に必要がある時には1.4%よりも高い税率を課すこともできます。ただし、税率1.7%を超える場合には、市町村の議会で納税者からの意見聴取をすることが義務付けられています。
土地の計算方法
今回は、一般用住宅地の場合の計算方法を紹介します。一般用宅地の場合、上記で説明した通り、固定資産税の負担は3分の1に軽減されます。
【計算例】
150㎡で、前年の固定資産評価額が1,200千円、本年の評価額が5,000千円の場合
1. 課税標準額=1,200千円+(5,000千円×6分の1×5%)= 1,241千円(100円未満切り捨て)
2. 固定資産税額=1,241千円×1.4%=17,374円
家屋の計算方法
家屋に関しても、一般的な家屋の計算方法を紹介します。固定資産課税台帳に記載された課税標準評価額をもとに計算します。
【計算例】
課税標準評価額が1,000万円の場合
1,000万円×1.4%=14万円
固定資産税を安くするためのポイント
固定資産税の計算方法まで解説をしたところで、それらの知識を生かし、固定資産税をどうやって安く済ませるか紹介します。なるべく出費を抑えるために、しっかりと理解していただけると幸いです。
再建築費を安くする
建物の固定資産税は、「再建築価格方式という評価方法で決まります。「再建築価格方式」とは、「再建築費」というものを調査し評価することで、建築後の年数の経過等による原価を行う評価方法です。これにより、建物の評価額が決まります。この建物の評価額をもとに、固定資産税や都市計画税などがきめられ課税されます。
「再建築費」は建物の、屋根や基礎、外壁等の品質や大きさや床面積を調査し、この建物を再度建てるのにどのくらい費用がかかるのか計算した金額です。再建築費は、実際にかかった工事費や建築費ではありません。高級なヒノキの柱をタダでもらい建築しても、購入したと仮定して金額を計算します。
そのため、固定資産税を節税する基本的な方法としては、この「再建築費」を安くすればよいです。そのためには、総務省が決めた「再建築費」を決める際に用いられる数値を知る必要があります。
数値を知ることで、どの材料を使うと安くなるか、など比較することができます。一例を紹介すると、エアコンは壁掛けのエアコンは動産なので、固定資産として評価されませんが、ビルドインタイプのエアコンは固定資産となり評価され、課税されます。「再建築費」の根拠となる数値は、総務省が決めており、3年に1回評価替えが行われます。
免除や軽減されているか確認する
固定資産税にかかる税率は標準課税に対して一定です。税率を軽減することはできませんが、課税のミスを見つけて是正することはできます。
毎年同じ作業をしている役所の人たちが課税金額のミスをすることがあるのだろうかと思うかもしれませんが、総務省によると、97%の自治体で39万人以上の誤課税が発覚したとのことです。課税のミスで税金を多く支払うなんてとんでもないことなので、今回の記事で紹介した免除や軽減が適用されているかしっかりと自分で確認しましょう。
まとめ
マイホームにかかる固定資産税について、下記のことを今回紹介しました。
- 固定資産税とは何か
- 固定資産税の仕組み
- マイホームで受けられる固定資産税の減免制度
- 固定資産税の計算方法
- 固定資産税を安くする方法
これらを確認しておくことで、いざマイホームを建ててみたら固定資産税を払うお金がなかった、ということを防げます。また、出費を減らすことにも繋がりますので、しっかりと確認をしておきましょう。
本記事の読者の方々のお役に少しでも立てていれば幸いです。それでは、皆様のマイホーム生活が充実することを願っております。