注文住宅を建築して建て替えをする場合にはどれくらいの費用になるのか、またどんな業者を選ぶと良いのか、とても気になるところだと思います。
注文住宅の建て替えには、一度更地にしなければなりません。中途半端に一戸建て住宅のリフォームをする場合とは異なり、解体は残さず更地にしますので、この時には解体工事が必要です。
建て替えの場合には解体することを忘れていて思わぬ出費になってしまうことがありますので、この記事をご覧いただき、理解していただければと思います。
- 家を建て替える際の解体費用相場と業者選び目次
解体費用相場(建物のみ)
解体費用は、面積や築年数、構造によって変わってきます。詳しく下記に説明をしていきます。
基本的な解体工事費用の算出方法
面積や構造
木造・鉄骨・RCといった構造によって費用が異なります。具体的には下記の通りとなります。
下記に面積(坪単位)を掛け合わせることで、概算の費用を算出することができます。
- 木造:約3万円/坪
- 鉄骨造:約2.5万円~4.5万円/坪
- RC:約2.5万円~6.5万円/坪
また、間取りによっても変わってきます。真四角の総2階建ての家と、入り組んだ形状の平屋の家とを比較すると、屋根や外壁、基礎の量が倍近くになることもあります。
室内の間仕切りの量によっても処分費用が大きくことなります。その他、布基礎かベタ基礎かによっても費用が左右します。
建物の築年数
築年数が浅いほど費用は高くなります。例えば、築30年の建物よりも築10年の建物のほうが解体費用は高くなります。
建物が新しいと、それだけ建材が上部なので、解体工事に時間がかかり、さらに新しい建材の処分費用が高いことが、理由となります。
古民家のように古い建物でも高くなるケースがあります。それは、古民家によく使われている「萱葺き屋根」の場合です。大量の萱の処分費用がかかることが理由となります。
立地や周辺の環境(道路)
周囲の環境は、人件費と燃料費に大きく影響します。周囲にたくさんの住宅がある場合は、通常よりも特に注意が必要です。解体するための養生に時間がかかる場合もあります。
また道路が狭い場合は、解体するための重機が入れないこともあるため、人件費が倍以上になるケースもあります。解体業者には「周辺環境によって追加の費用がかかりそうか」を、事前に聞いておくことをおすすめします。
建物の解体費用には養生費も含まれる
解体工事では、近隣の家屋へ解体した破片を防ぐためや、ほこりやごみの拡散、防音対策のために養生設置を行います。家屋が大きいと、その設置する大きさが増すので、費用がかかります。
都市部の住宅密集地の場合、養生や足場設置、騒音・振動対策などコストがかるため、相場が高くなります。
建物以外にかかる費用
建物以外の建築
塀や駐車場部分などの外構部分にも解体工事が発生する場合や、庭を更地にする際にも費用が掛かってきます。
建物だけでなく、解体を希望する場所がある場合、事前にきちんと解体業者に伝えておきましょう。
また、浄化槽などの地中埋設物が発見される場合には、追加で費用がかかりますので、こちらも事前に伝えましょう。
産業廃棄物等ゴミの処分・運搬費用
屋内の家具や家電などは、基本的に依頼主が処分します。解体工事と併せて、処分をお願いすると、その分の処理費用がかかってきます。
処分を解体業者へ全て依頼した場合には、一般の家庭用ごみの処分費用より割高となるので、できる限り自分で処理しましょう。
リサイクルショップなどを活用するのも手なので、一度連絡をしてみると良いでしょう。
近隣への挨拶品
解体工事を行う際には、騒音が発生しますので、近隣の方々にお菓子などの近隣への挨拶品があるとよいでしょう。
解体工事費を支払うタイミング
工事後全額払い
最も多いのが、この工事後全額払いです。工事前には、特に手付金などを払うことなく、工事完了後、施主解体業者に対して工事代金を振り込みます。
外構の撤去と小規模な解体工事の場合は、現金手渡しで対応してくれる業者もあります。
分割払い
マンション、ビルといった、大規模な建物の解体工事や遠方の物件を解体する際に選択されることが多い支払い方法です。
工事金額によって、手付金、最終金という2回払いになる場合、工事中業者には、人件費や重機の燃料費といった負担が増してきますので、そのような負担を軽減すべく、こうした支払い方法を選択します。
また、遠方の解体工事の場合、業者は施主の身元をしっかりと確認できないため、代金が未回収となる業者側のリスクを低減するため、このような方法を提案する可能性は高いといえます。
全額前払い
この方法は、拒否しましょう。業者の中には、全額の前払いを要求する会社も存在しますが、施主のリスクを低減するため、そのような提案は拒否すべきです。
詐欺被害や倒産のリスクが想定されます。
自治体によって助成金が出る場合も
建築する地域によっては助成金が出る場合もあるので、役所などで確認しておきましょう。
解体業者を選ぶ際のポイントと注意点
家を建て替える場合の解体業者は、一般的には建て替えを依頼しているハウスメーカーなどの住宅会社が手配してくれます。
見積りが高いと感じた場合は、住宅会社に相談するか、自分で依頼をしていいか担当者に聞いて、インターネットなどで解体業者を探してみましょう。
安すぎる見積もりに注意
見積もりが安すぎる場合にも注意は必要です。当初の見積もりに入っていない工事がある可能性があり、後々追加費用を請求される可能性があります。
きちんと見積もり内容を確認し、漏れがないか確認しましょう。
過去の実績を確認する
その解体業者の地域での過去の実績を確認し、評判なども調べておきましょう。
作業の精度や費用の妥当性の確認にもつながってきます。
正式に登録・許可がある業者を選ぶ
きちんと国や地方自治体に届け出ている業者であるか確認をする必要もあります。
届け出をせずに、勝手に会社を名乗って解体業を行っているケースもありますので、注意しましょう。
近隣への配慮をちゃんとしてくれるか
近隣への配慮のために、しっかりと養生をしているか確認をしておきましょう。
費用はかかりますが、解体工事は近隣にとても迷惑をかけてしまいますので、行っておくのが一般的です。
ほこりや騒音の対策をきちんと行っているかチェックしましょう。
追加費用は発生しないか
当初想定していた工事場所以外に、工事の必要がある場所が出てきた場合に、追加費用が発生します。
見積もり段階であえて伝えずに、いざ工事が始まってから追加費用を請求してくるケースもありますので、ここはしっかりと念押ししておきましょう。
解体工事に伴う手続きと届け出
解体工事を行う際に、役所などに届け出を行う必要があります。
事前に確認しておき、早めに動いておくと余裕をもって進めることができます。
解体工事前
まずは、解体工事前におこなう手続きから解説します。
電気・ガス・水道の停止手続き
電気とガスについては、事前にいつから使わなくなるのか伝え、止めておく必要があります。
しかし水道に関しては、解体工事の際に業者が利用する場合があるので、工事完了後まで水道は停止しないほうがいいでしょう。
道路使用許可
道路上での作業が発生する場合、道路使用許可の申請を行う必要があります。少しでも私有地からはみ出して作業をする可能性がある場合には、申請手続きを行いましょう。
道路交通法の違反となると、解体業者に刑事罰が発生することがありますので、道路使用許可の申請の必要性については、解体業者の判断に任せましょう。
建設リサイクル法の届け出
延べ床面積が80㎡以上の建築物を解体する場合に、この届出をする必要があります。
解体業者が行う手続きになりますので、確認程度でよいでしょう。
近隣への告知
近隣の方々へ迷惑をかけることとなるので、しっかりと近隣住民の方々にご挨拶をしておきましょう。
解体工事後
建物滅失登記
解体が終了したときには、建物がなくなったことを国や地方公共団体に知らせる滅失登記が必要になります。解体が終了してから1ヵ月以内に建物の滅失登記申請をする必要があります。
建物の滅失登記申請は、建物を解体した地域の管轄地方法務局で手続きを行います。もし長期間放置すると、銀行等から借り入れができなくなったり、罰金の支払いを要求されるケースがあります。
自分で行う必要があるので、司法書士を仲介するか自ら法務局へ行き手続きを早めに済ませておきましょう。
今回は、解体工事の費用相場や必要な費用、業者選びのポイントについて解説していきました。
建て替えで住宅を建てる際には、今回説明したようなことにも注意をする必要があるので、大変な部分があります。
解体工事のことまでしっかりと検討した上で、建て替えについて考えましょう。