新築住宅を取得する場合、注文住宅で建てる、または建売住宅を購入するといった選択肢があります。注文住宅は、文字通りゼロからプランを注文して家を完成させますが、建売住宅は、完成している住宅を購入する、またはプランが出来上がっている状態で購入します。
それぞれにメリットやデメリットがあり、購入者が何を重視するかで選択肢が違ってきます。それぞれのメリットやデメリット、こだわりポイントなどを比較してみました。住宅を購入する際の参考にしていただけたらと思います。
- 注文住宅と建売住宅の違いとこだわりポイント
注文住宅のメリットとデメリット
注文住宅のメリットやデメリット、入居までの期間、価格相場、こだわりポイントを以下にまとめてみました。
メリット
ほぼ思いどおりの家を建てることができる
最大のメリットが思いどおりの家づくりができるということでしょう。家のスタイルや間取りだけでなく、使用する材質や設備なども自由に選択できます。
家づくりのプロセスを楽しめる
家づくりの期間は長くかかりますが、一つ一つ自分の思いが形になっていくプロセスを楽しむことができます。この満足感は、建売住宅では味わえないメリットといえるでしょう。
工程を見ることができるため、構造体までチェックできる。
一から工程を確認することができるため、完成してからでは決して見ることができない構造体まで確認することができます。手抜き工事が少ないのも注文住宅のメリットといえます。
デメリット
時間と手間がかかる
間取りや内装・設備など、あらゆる細かい部分まで自分で決める必要があるため、手間や時間がかかります。
予算オーバーになりがち
こだわりは少なくしようと思っていても、どうしてもこだわる部分が多くなってしまうのが注文住宅のデメリットといえるかもしれません。こだわりが多くなると、予算オーバーになってしまう可能性があります。
完成後のイメージがつかみにくい
思いどおりの家を建てたとしても、はたしてそれが自分の思い描いていたイメージとぴったり同じであるかは完成してみないことにはわかりません。壁の色ひとつにしても、サンプルで見たイメージと実際に張ったイメージが違ったということは多々あります。
入居するまでにかかる期間
注文住宅の場合、ゼロからプランを練る必要がありますから、当然ながら時間がかかります。工事が着工してからでも4~5か月程度かかるため、プランニング・施工会社の選定・設計・契約などの期間を考慮すると1年程度の期間が必要です。
土地探しから始める場合はさらに時間が必要になります。また、土地のある場合でも、更地でない場合は旧建物の解体の期間、土地の状態によっては地盤改良や地盤補強にかかる期間などもみておく必要があります。
価格相場
注文住宅の場合は、建てる家のグレードによって価格が大幅に変わってきます。材質や設備こだわるほど、高額になってしまいます。
ちなみに平成28年度国土交通省住宅市場動向調査によると、土地を購入した場合(土地代込み)の注文住宅の平均価格は4,194万円、建て替えでは3,249万円となっています。
参考:国土交通省 住宅局「平成28年度住宅市場動向調査報告書」
こだわりポイント
自分の好きなスタイルの家を建てたい方や、ディテールにこだわりたい方、工事の過程をチェックしたい方には注文住宅がおすすめです。注文住宅でこだわりたいポイントは人それぞれ。例えば以下のようなこだわりも実現できます。
住宅性能にこだわった家
高気密・高断熱の家づくりで、冬は寒くなく、夏は暑くない快適な住まいを求める人が増えています。住宅性能にこだわった家づくりで家族の健康の改善や省エネ効果も期待できます。
自然素材をたっぷり使ったぬくもりのある家
近年のナチュラル志向の広がりから、自然素材にこだわった家も人気を集めています。床材は無垢材を使用し、断熱材はセルロースファイバー、壁は漆喰や珪藻土で仕上げるといったイメージです。化学物質を含まない自然素材を使用して、安心で心地良い暮らしが実現できます。
趣味を活かせるインナーガレージ(ビルトインガレージ)の家
車やバイクが趣味という方なら、思う存分車やバイクいじりができるスペースが家の中にあるという暮らしは憧れでしょう。ガレージとしての利用だけでなく、アウトドアグッズや工具の収納スペース、お気に入りのグッズを飾って趣味の部屋としも活用したいですね。
建売住宅のメリットとデメリット
建売住宅のメリットやデメリット、入居までの期間、価格相場、こだわりポイントは以下のとおりです。
メリット
購入から入居までの期間がスピーディー
既に完成されている場合は、売買契約が成立したらすぐにでも入居可能です。また完成していない場合でも、完成時期が決まっているため、スケジュールが立てやすくスピーディーな入居が可能です。
完成されているため、入居後の生活がイメージしやすい
完成した状態を見ることができるため、入居後の生活のイメージや必要な家具や備品もわかりやすく、入居準備が迅速にできます。
土地と建物がセットになっているため、ローンが組みやすい
建売住宅の場合は土地がセットになっているため、契約内容もシンプルでローンを組む際の手間がかかりません。費用も最初から明確なので資金計画が立てやすくローンの審査もスムーズです。
デメリット
プランが変更できない
建売住宅では、完成前でもほとんどの場合プランの変更はできません。
構造(内部)がチェックできない
完成された状態の家は、内部の構造などのチェックができません。住宅の品質に不安が残ることが大きなデメリットといえます。入居後に不具合が発覚しトラブルになるケースもあります。
必要でない間取りが無駄になることもある
プランが出来上がっているため、家に人が合わせるというかたちになってしまいます。必要でない間取りや設備などが付いているとかえって無駄になってしまうこともあるでしょう。
入居するまでにかかる期間
完成している物件の場合は、入居までに1か月~1.5か月程度。未完成物件の場合は、完成予定日から0.5か月~1か月程度で入居が可能です。
価格相場
一般的に建売住宅は注文住宅よりも割安だといわれています。割安になる理由は、量産によってコスト削減ができるためですが、販売会社の宣伝費なども含まれていることを忘れてはいけません。平成28年度の国土交通省住宅市場動向調査による建売住宅の平均価格は3,810万円です。
こだわりポイント
注文住宅と違って、建売住宅では建物に個人的なこだわりを持つことはできません。しかし、早く入居を希望する場合や、家づくりに手間や時間をかけられない忙しい人にはおすすめです。また、建売住宅メーカーによって、それぞれの特色やこだわりをコンセプトに掲げて住宅を販売しています。自分の理想とする家が住宅メーカーの特色やこだわりと一致する住宅を選ぶようにしましょう。
建売住宅の購入には以下のポイントに注意が必要です。
- 予算の範囲内である
- 住みたいエリアにある
- 間取りが家族構成に合っている
- 家のスタイルや内装が気に入った
- 販売会社が信頼できる
- 日当たりや風通しが良好
近年は、注文住宅と建売住宅の中間的な方法である、建築条件付き土地販売があります。これは、一定の期間内に決められた施工会社によって建築することを条件として、販売されている土地のことです。施工会社は変更できませんが、間取りは自由に決められるというもの。しかし制約を受けることもあり、全てがフリーではありません。
注文住宅か建売住宅か…または建築条件付き土地販売か。あなたに合った家づくりはどれでしょうか。どちらにしても大変高額な買い物です。是非、様々な住宅の知識や情報の収集をして、慎重に選択することをおすすめします。