住宅を建てる時には、まず土地を購入する人がほとんどだと思います。でも、素人が土地を見てもそれが良い土地なのか悪い土地なのかよくわかりませんよね。
土地を買って建ててから失敗した……とならないために、土地を購入する際のポイントを押さえておきましょう。
まずは土地の知識について少しは知っておこう!
いきなり「良い土地」「悪い土地」と言われても、何が良くて何が悪いのかわからないかもしれませんね。
通常、プロが言う「良い土地」とは、交通の便が良くて、住環境が良い、土地の大きさも60坪、70坪くらいで、土地の間口が広い、平坦な土地、などが住みやすいイメージの土地です。
逆に「悪い土地」とは、住環境が悪い、高低差がある土地、間口が狭く奥に長い細長い土地、交通の利便性が悪いなど、見た感じもイメージが悪い土地です。
あなたが建てたいお家はどんなお家ですか?もしかしたら住宅ではなく店舗や事務所だったりもしますよね。
店舗兼住宅という人もいると思いますが、住む地域の土地には法律や規制がありますので建築できる土地、建築できない土地を知っておくだけでも、土地選びの時間短縮になると思います。
建築できない土地について
土地の見た目より大事なのは、その土地に何が建てられるかです。土地には法律や規制があるのでそれに沿ったものを建てなければなりません。
市街化調整区域の場合は建築不可
市街化調整区域とは、開発行為や施設設備を原則行わない区域で、都市計画法では市街化を抑制すべき区域になっています。よって新たに建築物を建てることはできません。
私が住んでいる地域では、市街化調整区域と記載されて売られているところは、畑になっているところが多い印象があります。住宅もありますが、それはもともと農家の方が住んでいることが多いです。
道路の幅にも基準がある!セットバックには気を付けよう
道路幅が4メートル未満の場合は、場所にもよって変わってきますが、道路中央から2メートル、道路端から4メートル後退させて建物を建てなければいけません。これをセットバックと言います。
セットバックは一般的には聞きなれない言葉ですが、建築基準法では道路幅が4メートル以上あるかないかで建物の位置も変わってくるのです。
このセットバックの条件の土地になると、希望の間取りで建築できなかったり、配置もイメージしていたのと変わってくる場合があるので、不動産情報を見る時には確認をしてみてください。
建築できる土地について
土地には用途地域と言って、その土地に建てられる建物の制限があり、その制限から外れた建物は建てることができません。大きくは1.住居、2.商業系施設、3.工業系に分かれており、さらにその中でも細分化されています。どんな建物が建築可能のかまとめてみました。
1. 住居
第1種住居地域
3,000平方メートルまでの店舗や事務所、ホテルが建築可能な地域です。
第2種住居地域
店舗や事務所、ホテルやカラオケボックスが建築可能な地域です。
準住居地域
住居用の建物や教育施設、10,000平方メートル以下の店舗、事務所やホテルが建築可能です。
第1種低層住居専用地域
小規模なお店や店舗兼住宅、小中学校が建築可能な地域です。
第2種低層住居専用地域
小中学校や150平方メートルまでのお店が建築可能な地域です。
第1種中高層住居専用地域
病院や大学、500平方メートルまでのお店が建築可能です。
第2種中高層住居専用地域
病院や大学の他に2階以下かつ、1,500平方メートル以下の店舗が建築可能な地域です。
2. 商業系
この商業系の地域に建てられている主な建物は銀行や、飲食店、百貨店などです。
商業地域
銀行や百貨店などが集まっている地域ですが、建築できるのは幅広く、住宅からキャバレーやナイトクラブ、学校や映画館も建築可能です。
近隣商業地域
キャバレーやナイトクラブは建築不可ですが、建築可能な建物は幅広く、住宅や店舗、小規模の工場も建築可能です。
3. 工業系
事務所やカラオケボックス、工場や倉庫等が建築可能です。
準工業地域
軽工業の工場、サービス施設の建築可能な地域です。
工業地域
どんな工場でも建築は可能、住宅やお店も建築可能です。
工業専用地域
工場のみ建築可能な地域です。
この用途地域によって、建ぺい率や容積率が変わってきます。特に、工業専用地域以外の用途地域については、戸建て住宅と一緒にアパートやマンション、もしくは大きな建物が建っているので、近隣トラブルになりそうなので嫌だという声も少なくありません。
建ぺい率や容積率におさめた住宅を造ること
用途地域によって建ぺい率や容積率が変わってくるので、自分が理想とする住宅の大きさが、気に入った土地にきちんと当てはまるのかを知ることも重要なポイントです。
建ぺい率とは、敷地に対しての建物の大きさの割合を言い、どこまでの建築面積が限界なのかは計算で出すことができます。たとえば、建ぺい率60%の場合で計算してみましょう。
231平方メートルの土地(70坪)があったとしたら、それに対して使える割合は、231×60%=138.6平方メートル(42坪)となります。これが1階部分の建築面積の限界の大きさになります。
特に平屋を検討されている方は、1階部分の面積が多くなりますので、建ぺい率を気にしながら間取りを考えなければいけません。
容積率とは敷地面積に対する延床面積の割合を言います。
容積率が200%だとしたら、敷地面積×容積率200%という計算で建築する建物の延床面積の限界の大きさを知ることができます。
同じように231平方メートルの土地(70坪)に対して計算してみると、231×200%=462平方メートル(140坪)となります。
つまり2階建ての場合、1階の延床面積と2階の延床面積の合計の限界の大きさが462平方メートル(140坪)です。
土地を選ぶ際のポイント
気に入った土地が見つかったら、何を判断して決めたらいいのかがわかりません。土地をちょっと見に行っただけでは、見た目の印象しかわからないですよね。
私が住宅会社に勤めていた時、実際にお客様へ土地の提案をする際に見るポイントや土地の良し悪しの判断として実際行っていたことをまとめてみたいと思います。基本は必ず現地に足を運んで自分の目で確かめることです。できれば1回だけではなく2~3回が理想です。
ライフラインの確認
電気、ガス、上下水道、排水溝を確認します。電気は特に電柱の立っている位置を確認します。
ガスや上下水道は管が見えないので、役場では上下水道の図面があったり、ガスはガス屋に聞けばわかりますが、土地を仲介する不動産に聞けば調べてくれます。
近隣の建物状況や住んでいる人を見てみる
土地を見に行くと、近所の方に会う機会が出てきます。挨拶をした時に世間話をすることもありますが、いろいろと話をしてくれる人もいれば、愛嬌がない人もいるし、家の周りが散乱しているところもあれば、綺麗なところもあります。
自分の目で確かめてここに住めるかどうかの判断基準にしましょう。
お店や学校まで歩いてみよう!
これは大事です。というのも、車だと何気なく通る道も実際に歩くと危険な場所や安全な道順などがわかります。外灯のありなしや、あっても暗いとかは歩かなければわかりません。また、行き止まりもわかります。
その次に車で行ってみます。学校の通路や信号、危ない道などもわかりますよね。たとえば、対向車のすれ違いがぎりぎりだったり、信号がなく交差点がさくさんあるような道は、特にお子さんがいる方は一緒に歩いてみるのも良いと思います。
土地の探し方について
今はインターネットで不動産情報を見ることができ、気に入った土地は印刷ができるようになっています。私が探す時は、1番はインターネットで検索、2番目に不動産屋に聞く、3番目に自分で探すでした。
1番のインターネットでの検索は手軽で気に入ったら自分でプリントができ勝手に見に行けますのでお手軽です。
2番の不動産屋さんに聞くのは、公に出していない情報があるかもしれないので「どこの地域で、どのくらいの土地を探しているんですけど、ありますか?」と聞くとあれば教えてくれます。
地域密着でやっている不動産屋さんは地主さんをたくさん知っていることが多いので聞いてみる価値がありますよ。
3番目に自分で探す。これは結構大変です。法務局に行って持ち主を調べ、問い合わせます。
住宅会社や不動産会社だとすんなり電話をかけることができるかもしれませんが、一般の方が電話をかけるとなると、オレオレ詐欺に間違えられちゃったりしますので、おすすめはしません。
かといって法務局に行って自力で調べるのも有料ですし、地主さんの住所が変わっていたりするので手間やお金もかかります。
それだったらまずは不動産会社へ連絡し、土地を探している場所を相談した時に、「どこそこの土地が空いているようだから気になるけど売ってもらえるか調べてくれませんか?」と聞いてみる方がよっぽど効率的ではないでしょうか。
まとめ
希望の土地を買うためには、どこの地域に住みたいか、公共施設の近いところがいいのか、バス停や駅が近い方がいいのかなど希望条件を具体的に書き出してみましょう。
気になる土地があったら必ず現地に見に行ってください。長く住む場所になりますから、きちんと自分の目で確かめて決めることをおすすめします。
行ったら写真を撮りましょう。特に測量された杭を確認して写真を撮っておきましょう。購入までに何があるかわかりませんので証拠として大事です。また、いろいろ土地を見ていると記憶が定かではなくなるのでいろいろな方向から撮っておくことをおすすめします。
土地の資料に印象に残ったことを書いて一緒にまとめておくと、思い返すのにわかりやすいですよ。わからないことがあれば仲介に入る不動産屋に必ず聞きましょう!