注文住宅を建てたいと考えていても、どのくらい前から準備すればいいのか、どのように計画を立てたらいいのかなど、初めてのことでわからないことが多いと思います。そのような方に、注文住宅を建てる際の流れや家が建つまでの期間をご説明します。
「家を建てたい…」と考えたときから、既に家づくりはスタートしています。土地の相場を調査したり、近年の家の傾向などを情報収集したりすることも、家づくりには欠かせないことです。家を建てるということは、一生に一度の大事業です。長期計画でじっくり取り組むようにしましょう。
- 注文住宅で家を建てる際の流れと家が建つまでの期間
注文住宅を建てる際の契約前までの流れ
ここでは、注文住宅を建てると決意したときから、契約前までにどのような準備をしたらいいのか、またそのために注意しておきたいポイントなどをご紹介します。
構想を練る
まずは、あなたの理想のライフスタイルを思い描いてみましょう。どのような地域でどのような暮らし方がしたいですか?家族全員の意見も大切です。それぞれに希望や意見を出し合って一つ一つ書き出してみましょう。
例えば、最寄り駅からの距離や通勤時間の許容範囲、どんなスタイルの家にするのか、家に最低限欲しい設備など。そしてそのために必要な資金や頭金はいくらかかるかなどを調べてみることも重要です。
資金計画を立てる
家を建てる上で最も重要なのが資金計画です。家を建てるには土地の購入費や家の建築費の他に、様々な諸費用がかかります。具体的に最低限必要な諸費用は、印紙税・司法書士の報酬・融資事務手数料・不動産取得税・登録免許税・火災保険料・家具や家電の購入費・引っ越し費用など。場合によっては、土地改良費用や設計費用がかかる場合もあります。
諸費用は基本的に現金で支払う必要があるため、自己資金の中から支払いしなければなりません。諸費用の目安は、家の工事費の約1割程度とみておきましょう。
ローンを組む際に重要なことは、無理なく返済が可能かということ。現在の家計から将来に渡り確実に住宅費にまわせる金額を出し、そこから返済できるローンの総額を計算しましょう。そして、ローンの借り入れ総額と希望する家の総費用との差額は、自己資金で埋めることになるため、その差額分の自己資金が必要ということになります。
土地を探す
土地探しはエリアを決めている場合、なかなか思ったような土地が見つからない場合もありますが、時間をかけて理想に近い物件を探したいものです。土地探しは、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 希望の家を建てるのに十分な面積があるか
- 土地の形(変形の土地・旗竿地などには注意が必要)や方位・道路づけなどを確認
- 軟弱地盤でないか
- 周辺環境は良好か
- 最寄り駅からの距離や生活するため必要な施設(病院・スーパー・学校)などの確認
土地の地盤調査
気に入った土地があったら、地盤のチェックが必要です。地盤調査の依頼は、土地を購入してからでないと行えないため、ご自身で周囲を回ってチェックをしましょう。以下のような項目の1つでも該当するものがあれば、地盤改良費が必要になる場合があります。
- 田んぼや沼地跡などがある
- 付近の道路に亀裂や陥没がある
- 付近の建物の外壁に亀裂がある
- 付近の建物が傾いている
- 付近に川や池、水路がある
土地の購入
予算や希望に合った土地に出逢うことができたら購入という流れになりますが、購入するまでに数回は土地のチェックをおすすめします。電車やバスで最寄りの駅まで行き、徒歩で現地まで行ってみることも大切。これは徒歩での所要時間がわかるだけでなく、歩くことで周囲がどのような環境なのかもよくわかります。
また、夜間の周辺環境(街灯が十分か・安全な雰囲気か・夜間の騒音など)や、雨の日もチェックできればベストです。雨の日は土地の水はけ状態や周辺の水の流れが確認できます。
施工会社を探す
土地の購入と同時に、施工会社を探すことになりますが、これが意外と大変です。地域にどのような工務店やハウスメーカーがあるのかあまり知らない方も多いでしょう。また、地域の工務店に出向いて資料を集めるのも手間と時間がかかります。
インターネットの注文住宅一括資料請求サービスは、一度に数社の資料請求が可能で大変便利です。また、資料だけでなく、間取りの提案や見積もりサービスもあるので、簡単に複数の施工会社を比較・検討することができます。
施工会社に相談・ラフプランを依頼
一括資料請求サービスで依頼したい施工会社があれば、相談してみましょう。その際にラフプランを依頼すれば概算見積もりもセットで提示されます。施工会社によっては仮契約という形をとる場合もありますが、これは工事請負契約とは別のものです。
敷地調査と詳細な設計・打ち合わせ
施行会社が敷地の調査をして建主と打ち合わせをしながら、詳細な設計を行い、最終見積もりが提示されます。建主の合意を得て、建築確認申請を行います。
注文住宅を建てる際の工事請負契約以降の流れ
工事請負契約は、施工業者と建主との間で結ばれる契約で、家づくりにおいての重要なポイントです。ここからは、契約以降の流れと注意したいポイントなどをご紹介します。
施工会社と工事請負契約
契約の際に施工業者から用意される書類は、工事請負契約書・契約約款・本見積書・設計図書・工程表などです。全ての書類にしっかり目を通し、わからない箇所があれば納得のいくまで説明してもらいましょう。
簡単な説明だけで契約を急がせる施工業者は要注意です。書類はじっくり目を通す時間をとるようにしてください。契約書には、具体的な工期の日付や竣工日や引き渡し日が明記されているか、建築代金の支払い方法などのチェックを忘れないようにしましょう。
注文住宅の施工
工事の着工前に両隣やご近所の迷惑がかかりそうな家への挨拶をしておきましょう。工事中に現場へ行くときは、「手抜き工事をされないためにチェックする」という気持ちになるのはわかりますが、作業者の邪魔にならないよう、見学をさせてもらうという気持ちで行きましょう。施工業者や職人に好かれる建主になって良好な信頼関係を築くことが、丁寧な施工に繋がります。
住宅の引き渡し
建物の完成後、まず工事監理者が建築確認通りに完成しているかチェックし、役所の検査に合格後、建主による竣工検査を行います。問題がなければ引き渡しとなりますが、入居後に不備が見つかっても住み手の責任になってしまう場合もあるため、以下のようなポイントを入念にチェックしましょう。
- 内装の汚れや傷
- ドアやサッシの立てつけの状態
- 照明や設備機器の操作確認
- 水まわりは水を出して排水のチェック
登記手続き
建物の引き渡し後に必要な登記の種類は以下の通りです。
- 建物の表題登記(表示登記ともいう。原則1か月以内)
- 所有権保存登記
- 住宅ローンを利用する際に必要な、抵当権設定登記
司法書士に依頼することが多いですが、時間と手間を惜しまない方はご自身でも行うことができます。司法書士に依頼する場合は、20~30万円程度の費用がかかります。
家を建てると決断してから、土地の取得まではスムーズにいっても最低3か月~6か月程度かかります。土地の取得から施工会社を探し、検討の段階が3~4か月程度。工事請負契約後、完成までは5か月~6か月程度はかかります。このように注文住宅が完成するまでには、1年以上の期間が必要になります。
何をつくる場合も同じですが、良いモノをつくるにはそれなりの時間が必要です。失敗のない納得の新居をつくるためにも、余裕を持ったスケジュールを立て、慎重な家づくりをおすすめします。