「キッチンはカウンターキッチンがいいな」
「吹き抜けがあるといいな」
このように、夢のホームを建てるという時もは、様々な要望や希望が出てきます。しかし、いざその要望をもとに見積書が提示されると、とんでもない金額になり予算オーバーしてしまっていた、というのはよくあるお話です。
予算オーバーだからといって、その要望をすべて諦めるのではなく、できるだけその要望を叶えられるようにするには、どこを削っていけばよいのでしょうか。上手に削るポイントを解説しているので、参考にして下さい。
削ってはいけないポイント
予算オーバーした際に、削ってはいけないポイントがあります。見た目が変わりなくとも、住みやすさに大きな影響を与える部分もありますので、十分に相談しながら決めていく必要があるでしょう。
削ってはいけないポイントについて、一般的な意見を説明します。各家によって異なる部分もありますので、各自で確認をとる必要はありますので注意してください。
質を下げないのが理想
構造部や外側を守る部材などの目に見えない部分について慎重に検討しましょう。自分らしいライフスタイルで生活を送ることができる家に住みたい、と考えて注文住宅を建てるわけですが、住宅を建てるうえで一番大切にしたいのは安全性です。
そのため、コストカットをしたいからといって、住宅の安全にかかわる部分を削ることはおすすめできません。
詳しくは後ほど説明しますが、建物の質を落としてコストカットを考える場合には、より慎重に相談して決定する必要があるでしょう。
どの部分を削る人が多いのか
実際に、予算オーバーした場合に、削ることが多い部分はどこなのか、それは下記のとおりとなります。
予算オーバーで削るならどの部分?
設備機器 41%
一般的にトイレ、バス、キッチンなどで使用する便器、バスタブ、給湯器、シンクなどを指します。
外構 37%
外構とは、居住、生活する建物の外にある構造物全体を指します。具体的には、門、車庫、土間、アプローチ、塀、柵、垣根、庭木、物置などです。
仕上げ材 12%
仕上げ材とは、直接目に触れる部分の表面材料のことで、建物の内外装に使用される。一般的には床や壁、天井を覆うため使用される材料です。代表的な外装での用途としては、外壁材と屋根材です。
外壁の仕上げ材にはサイディング、タイル、モルタル、木材、石材、ALCなどがあります。屋根の仕上げ材にはスレート、金属板、瓦などがあります。
建物本体 10%
建物を建てるために、必要な最低限のもの。
「設備機器」「外構」が僅差で1位、2位となっています。この2つを答えた方の意見は下記のとおりです。
- 設備はあとから足すことができると思うから
- 外構は後からでもできるから
設備機器も外構も新築後に、あとから付け足すことができるから、最初は削っても問題ない、という意見ですね。
一方で、「仕上げ材」「建物本体」と答えた方の意見を見てみると、下記のとおりでした。
- 一番削っても問題ないと思ったから
- 一番予算が削れそうだったから
少々曖昧な意見ではありますが、「建物本体」の予算を削ることで、大きくコストカットできるのは確かにそうです。ただし、気を付けておかなければいけないのが、先ほど説明しました「質の低下」です。
建物本体を削った場合の懸念
下記に建物本体を削った場合の懸念点について説明していきます。
構造を削ると耐久性が下がる
建物では、基礎や構造などはしっかりつくることが大原則です。健康や防犯の面でも手抜きは禁物です。建材や塗料は、手軽な価格でも安全性の高い物を選び、玄関ドアや窓は防犯性の高いものを選びましょう。
壁の一面に大きな窓を設置する場合には、特に耐震性を考慮して頑丈な柱や梁を取り付けたいところです。また、
外に面している窓も削らない
トップライトを含めた窓は、常に雨風や紫外線にさらされるため、断熱の意味でもなるべく安いものは使いたくありません。
窓や断熱材は光熱費にも関わってくるため、高品質のものを選ぶのが良いでしょう。また、防犯ガラスは高価ですが、防犯上非常に優れているので、検討する価値はあるかと思います。
窓サッシは大きさや開閉方式により、コストが異なります。採光・通風・眺望など、設置する場所に必要な昨日を考えて無駄の無いように選びましょう。
屋根のコストを削ると断熱効果がダウン
壁や屋根の断熱にも、窓と同様のことが言えます。特に屋根は太陽光を直接浴びるので、断熱材を安いものにしてしまうと夏は暑く冬は寒い家になってしまう危険性があります。
また、雨漏りをしてしまう可能性もあるので、気を付けましょう。
断熱材を削った場合のリスク
断熱材を安いものにする際に、気を付けるべき点は、シックハウス症候群の一因となる材料が含まれていないか確認することです。
建築基準法で規制されている断熱材は、下記のものが挙げられています。
※シックハウス症候群とは、新築の住居などd絵怒る、倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などの症状があらわれる体調不良のことです。
使用が制限される断熱材
- ロックウール断熱材
- グラスウール断熱材
- 吹込み用グラスウール断熱材
- ユリア樹脂やメラミン樹脂を使用した断熱材
また、断熱材を安いもとにすることで、もう一つ懸念されることが、断熱材が早くへたって効果がなくなり、家が痛みやすくなることです。
断熱材が暑さや寒さによって、傷んできますが、単純に安いものを選ぶと傷むのが早くなり、断熱効果がなくなってきます。コストカットを検討する際に、必ず確認しておきましょう。
予算オーバーで削るポイント
家のつくりをシンプルにする
家の外観に関して、予算を抑えるということに重点を置くならば、シンプルにすることが一番です。
コストを抑えるなら、総2階が良い
総2階とは1階と2階の面積が同じ、というシンプルな作りです。見方によっては個性がないと感じられてしまうかしれませんが、コスパの面では優秀です。
総2階の場合、屋根、基礎、外壁などすべてにおいて施工面積が小さくなるため、材料費や人件費を抑えることができます。
一方で、同じ延べ床面積でも、広めの1階の上に1階よりも狭い2階を造る場合、コストがかかってしまいます。
屋根の形状もシンプルにする
コストダウンが狙える部分となると、屋根も大きなポイントの1つです。工事費用が安く抑えられるのは、「片流れ屋根」や「切妻屋根」といったものが代表的です。
「片流れ屋根」とは、一方が高く、一方が低くなっており、雨が降ったら片側へ全て流れていくような造りの屋根です。
「切妻屋根」とは、山型の屋根であり、家を絵で描く際に一番ポピュラーな屋根の形です。
水回りはできるだけ集中させる
お風呂やキッチン、トイレなどの水回りも、工夫次第でコストダウンができるポイントです。水回りの工事では水道の引き込みや排水の関係でコストが大きく左右するため、給排水管を短くすることができれば、材料費や人件費が抑えられます。
給排水管を短くするためには、水回りを集中させることがポイントです。また、道路近くにある上下水道やガス管付近に給排水管等をまとめることで、引き込む際の距離を短くでき、大幅なコストカットが期待できます。
お風呂場や脱衣所(洗濯機)、キッチンなどを集中させることで、家事で行き来する動線もスムーズになり、作業効率アップにつながります。
1階にお風呂場を設置し、その真上にトイレを設置するなども、給排水管を短くするためのテクニックです。また、水回りを集中させることで、修理やリフォームなどの補修作業をやりやすくなります。
このように、コスト削減をするためには、シンプルであることが非常に重要になります。
凝った外観や間取りにすることも、間違っているという訳ではありませんが、住みやすさでいえば、シンプルな家のほうが暮らしやすかったり、飽きがこないという面でもメリットとなるかもしれません。
平屋にすることも検討してみる
平屋のほうが安く済むケースもありますので、ご紹介します。
通常、2階建ては、階段とそれに付随するホールのスペースが必要で、広さにすると4畳~5畳程度のスペースを使います。また、2階建ての場合、トイレやお風呂場を両方に設置するケースもあり、費用がかさむことがあります。
さらに、住宅購入後のことを考えると、長く住み続けるためには、普段からこまめに掃除をしたり、定期的にメンテナンスをすることが大切です。外装は雨風にさらされ続けて劣化してしまいますので、塗り替えも必要です。
この場合、2階建てだと足場を組む必要があり、その分工賃がかかります。また、壁の面積も広くなり、その分の人件費もかかってきますので、平屋のほうが安く済むケースが多いです。
間取りの構造を考える
一般的な家族構成は、夫婦と子供を合わせた3~5人が一番多いと思います。そのような家族の場合、一般的な家の広さとしてはだいたい32~35坪が目安となります。総2階であれば、それぞれの階が16坪程度の家ということになります。
通常、1階には玄関・キッチン・トイレ・お風呂場・リビング・ダイニングなどが配置されます。その場合の理想の間取りを説明していきます。
仕切りの仕方で無駄なスペースを削る
家の間取りは、それぞれの部屋の広さをどのようにするか、間仕切りをどのようにするかで変わってきます。これは、家を建てる人がどのような家に住みたいのか、というところに関係してきます。
家族の団らんを大切にして、間仕切りを少なくして広々とした間取りを意識して作れば、工事費と材料費などの面で非常に有利になります。ただし、個人のプライベートゾーンを確保するという点では、マイナスとなります。
リビングとダイニングの間につっかえ棒などをして、カーテンを吊るすことで、簡易的ではありますが間仕切りを作ることも可能です。そうすると、部屋を仕切ることができ、冷暖房効率にも寄与します。
また、2階に関しては、子供が将来的に自分の部屋を持つために、ドアを2つ設置し、部屋の中央にあらかじめ間仕切りの壁が設置できるように工夫をするのも良いでしょう。
子供が大きくなったら、そこをリフォームして壁を作り、部屋を2つに分けることができます。
部屋を作らないことで無駄なスペースを削る
部屋を「壁」で仕切らずに作るのも、コストカットする方法のひとつです。
例として、リビングの窓際に机を置いて、仕事場を確保することができます。また、デッドスペースになりがちな階段下にも書棚や収納を作って、書斎にすることもできます。
限りあるスペースですので、可能な限り活用することを意識してみましょう。
和室より洋室の方がコストが低い
和室は洋室よりも手入れが必要となるので、コストが洋室よりもかかってきます。
畳、障子、壁それぞれに関して、傷みやすいため、定期的なメンテナンスが必要となり、費用がかさんできます。
床、壁、天井などの仕上げ材を削る
既製品を上手に活用する
手すり、ドアやサッシなどは自分の要望通りのものを作ってもらうと既製品の何倍ものお金がかかります。既製品の中から、シンプルなものを探してひと手間かけることで、その家独特の仕上がりにもできるので試してみてください。
たとえば、既製品のサッシを組み合わせて新しいデザインにする、無垢材の無塗装室内ドアを自分で色を塗ってみるなどです。実は、階段にも既製品があるので、既製品を利用することでコストダウンしていくことができます。
量産品を使うことでコストカット
色や柄がシンプルで汎用性があり、大量生産することでコストを抑えた製品を「量産品」と呼びます。
たとえば、壁クロスの場合、量産品なら1mあたり600円~800円と比較的安価に購入することができるので、コストカットのため工務店や設計者から提案されることも多いです。最近では量産クロスの種類も豊富になり、なかには塗り壁風やペイント風の製品もあります。
特にこだわりがなければ、上手に取り入れてみてください。
高価な仕上げ材や素材は一部にのみ取り入れる
内装材を統一するのは、コストダウンの有効な手段ですが、それでは楽しみが半減してしまう、と思う人もいるかと思います。そのようなときには、安価な材料と高価な材料を使い分けるのも1つの手です。
LDKは割高になったとしても、こだわりの仕上げにし、来客の目に触れる機会のない個室や収納スペースの内部は安いクロス張りにする、など人目に触れやすい部分のみ高価な仕上げ材をつかうと良いでしょう。
床材についても、無垢材と合板のフローリングや、素焼きとプラスチックのタイルなどでは価格にさがあるので、予算との兼ね合いで使い分けるのが、賢いコスト調整と言えます。
仕上げ材を統一する
壁、天井、床の仕上げは部屋ごとに変えずに統一し、種類を少なくすることがコストダウンのセオリーといえます。
仕上げ材がバラバラだと、それぞれに専門の職人さんが必要になり、人件費がかさんできます。また、素材の種類が増えれば半端材が多くでてしまい、無駄な費用が増えてしまいます。
後付できる設備は付けない
新しい家を建てる際に、それはもう設備関係のカタログだけでも大量の資料があり、決めなければならないことがたくさんあります。中でも、これは人気だが我が家に必要なのか、と迷うのが設備です。
設備に関して、必要であるか検討し、後付けできたり不要な設備はつけないようにすることがコストカットに直結してきます。
全自動食器洗い乾燥機は必要か?
使ってみて初めて便利さがわかる、食器洗い乾燥機。洗い物をする人からすると、非常に便利な設備です。何より面倒な食器洗いを機械が自動でやってくれて、乾燥までしてくれる、というのは非常に生活の役に立ちます。
特に温風で乾燥させるので、殺菌効果も抜群で、小さい子供がいる家庭としては、とても助かる設備となります。また、水道代の節約にもなる点も大きな効果といえます。
ただし、食事時間がバラバラで、片付けもバラバラだと、一度に食器が洗えないという場合は逆に非効率かもしれません。
床暖房は必要か?
最近は、標準装備でリビングやキッチンなどに床暖房を入れている新築プランが多いです。特に冬が寒い地域では、床暖房があるととても助かると思います。
ただし、よく考えて設置をしなければ、結局面積が小さすぎて意味がなかったり、かなり電気代がかかってしまうので、生活費がかさんでくる原因となります。つけてしまうのであれば、後々つけるのが難しい設備になるので、よく検討する必要があります。
新築で住宅を建てる際には、理想を叶えるために、必要な部分がどこなのか、不要な部分はどこなのかしっかりと考えて、予算内でできるだけの要望を叶えることが大事です。
その判断をする材料として、本記事が皆様のお役に立てればと思っています。
それでは、夢のマイホーム新築のため、妥協しすぎないプランを考えてみてください。