注文住宅でよくあるトラブルや失敗を避けるには?

注文住宅でよくあるトラブルや失敗を避けるためのポイント

新築で夢のマイホームを建てる時、期待に胸を膨らませて住宅展示場へ行ったり、ハウスメーカー探しをしたりして、「こんな家に住みたいな」「こんな暮らしがしたいな」と考えて、話を進めていきます。

人生で一番の大きな買い物であることが、一般的ですので、浮かれて話を進めてしまい、トラブルや失敗してしまうことが多々あります。

この記事を読んでいただく方々が、予めトラブルや失敗を未然に防ぐために、今回は注文住宅でよくあるトラブルや失敗をさけるためのポイントをご紹介します。

注文住宅づくり初期のトラブル

業者探しでのトラブル

「業者探し」は、家を建てる上で、とても重要なことです。

ここで業者選びを間違えると、設計段階と実際に建てられた家で齟齬が出ていることもあれば、お風呂の水が出ない、テレビが映らない、クローゼットのドアが斜めになっている、など様々なミスが出てきます。

また、最初の値段交渉などで、営業マンとやり取りをしておいた取り決めにより、トラブルが起きるケースもあります。

それでは、ここからは例を挙げていきます。

過度な値引き交渉によるトラブル

ハウスメーカーA社の営業マンに、「後100万円値引きしてくれたら契約します」と要求し、その要望が通り、実際に契約をすることとなり、着工しました。

しかし、いざ出来上がった家を見てみると、思っていた材料が使われておらず、壁の色が想定と違っていたり、目に見えないところではありますが、使われている資材の質がとても低く、断熱効果が低すぎたりと、問題が発生してしまいました。

これは、ハウスメーカーの営業マンが、値引きをしすぎて契約を取ってきたことで、その下請け会社に異常に低い金額で家を建てさせる必要が出てきてしまったことが原因となります。

コストを抑えるために、材料費や人件費を極限まで削減し、結果的に質の低い住宅が出来上がってしまったということになります。

値引き交渉が悪いことではありませんが、必要な部分を削りすぎたり、変に営業マンにプレッシャーを与えすぎるのは、無理をさせることになり、結果的にこちらが損をしてしまうこととなってしまいますので、注意が必要です。

価格表記に関するトラブル

ハウスメーカーなどの施工業者の見積もりに多く用いられているのが、出精値引です。

ハウスメーカーより出された見積もりに出精値引として200万円という数字が記されているとします。

これを見た一般の消費者の方々は、住宅会社が「200百万円値引きされるんだな」と思ってしまいがちですが、これらの業者は他社の見積もりと比較されうる項目は一般価格に抑え、オリジナルのところで非常に高い値段設定をします。

そうすることで、他社より安いと思わせます。

200万円の値引きは可能ですが、これらの業者の特徴は明細書を絶対に渡しません。

資材を一つ一つ丁寧に拾い、見積もり明細書を作成すれば、本来値引きなどできないのですが、掛け値のない見積もり金額より値引きすれば、赤字になりそれを続けてしまうとその会社も倒産してしまいます。

言った・言ってないトラブル

よくあるトラブルですが、営業マンが自分の都合よく解釈、消費者も都合の良いように解釈し、いざ工事が始まってからもめるケースです。

確認すべきところはしっかりと確認をし、認識相違がない状態とすることが結果的にスムーズに物事を運ばせます。

見積もりと実際の価格の差異

契約をする際に、見積もり内容をしっかりと確認しておくことも大事です。見積もりで提示されていた金額から、実際に請求をされる金額が違うケースもあります。

そのようなトラブルを避けるためにも、内訳書を提示してもらいきちんと確認しておくことが必要でしょう。詳しい内容については下記の「見積書をしっかりと確認する」でご説明します。

坪単価の問題

坪単価に関するトラブルもよくあるトラブルの一つです。営業マンが持参したプランの内から希望に近いプランを選び、少し変更し、設計がスタートしました。

翌日には美しく色づけされた間取り図とパースが届き、気に入ることが多いでしょう。その家の延床面積は40坪、吹き抜けもあり、バルコニーや玄関ポーチも広々としています。

パンフレット坪単価は30万円とあるので、30万円×40坪 =1200万円と思わる方が多いことでしょう。しかし、業者の実際に提示する金額は2000万円程度となることが多いです。

何故そのような計算になるのか、説明をしていきます。

大きな違いは「面積」の考え方が異なる点です。営業マンの説明が不十分だと考える方が多いかもしれませんが、吹き抜けやバルコニーや玄関ポーチも施工面積に全て含まれており、工事費がかさむとともに諸経費も加算されています。

業者もあの手この手を使って、お得感を出してきます。ただ、これを「イカサマだ」と思っても、坪単価を表す面積に関する法律や規制がないのが現実です。

面積の求め方に定めがなければ、トラブルが起こりうるのです。見積もり明細書を要求しても渡さないのが、これらの業者の特徴の一つです。

渡さないのは法律違反ですが、それでも渡さないところは渡しません。

お金やローンのトラブル

こちらのお金やローンのトラブルも起こりがちです。ハウスメーカーに教えてもらうままにローンの申し込みから契約まで進めて、いざカギをもらって入居した後に、物件の代金が足りないので払ってくださいという請求です。

ここで多いのがおそらく外構工事の代金となるでしょう。

外構工事が終わる前に、住宅ローンの融資実行をしてしまうケースも多々ありますので、融資額と自己資金を足してきちんと必要なお金が賄えているか確認をすることが必要です。

住宅ローンの申請額が本来必要な資金を下回ってしまい、苦い思いをすることもありますので、きちんとローンを取り組む金融機関とハウスメーカーとよくすり合わせを行うことが大事です。

建築中のトラブル

追加工事の問題

設計プランの打ち合わせを業者と始めたところ、担当者から契約をかなり急かされることは多々あります。そこで急いで契約を結んでしまい、下記のようなトラブルとなるケースがあります。

初回の打ち合わせで簡単なパンフレットを見せられ、「諸々細かいところはあとで変更できるので、安心してください」と言われ、契約を急かされるがままに契約を締結しました。そのあとの打ち合わせで、内装材として契約前に見せられたパンフレットのイメージ図に近い色柄のフローリングを選んだところ、追加代金が発生する旨をその段階になっていってくることがあります。

パンフレットでは内装材の種類について「フローリング」とだけ書かれていましたが、担当者からはパンフレットのものはあくまでもイメージ図なので、このフローリングにする場合には追加料金が発生するとの説明あり取り合ってくれない、といった不都合のある説明は契約締結後に行うような業者もいますので、要注意です。

このケースでは、パンフレットに詳しくフローリングの品名などが書かれていないのに、「後から変更できる」という担当者の意見を簡単に信じて契約を急いでしまったのが原因となります。

建築中に住宅会社が倒産

建築中に住宅会社が倒産するととても悲惨なことになります。このようなケースになった場合の対処方法についても説明をしていきます。

請負契約の場合、知っておかなければならないことは、工事が進行中の住宅は工事を行っている工務店やハウスメーカーがその住宅の所有権を有するということです。

請負契約にもとづいて、工務店などでは契約金や上棟時の中間金があることがあることが一般的ですが、その場合にはその金額に見合う工事の出来高部分については工務店やハウスメーカーから所有権の引き渡しを受けることができます。

しかし、その出来高部分は客だけでなく、工事の債権者である材料などの納品業者や下請け工事店などにとっても、工事現場に納品された材料や部品は債券回収のための物的財産となります。

その納品業者や下請け工事店が、現場に残っている材料・部品を勝手に持ち出すこともありますので、その場合には前渡し金を下回ることになるので、当然損害が発生することになります。

そのような勝手な持ち出しを防ぐためには、裁判所に申し立てをし仮処分を行います。しかし、時間がかかってしまうとその間に持ち出され回収されるので、意味はありません。

玄関ドアが既に取り付けられているところまで完成しているのであれば、ドアのカギを取り換えてしまい、他にだれも住宅内に入れないようにすることで防ぐことができます。

そして倒産した会社の責任者とコンタクトをとれる状況であれば、今後の成り行きについて情報を収集します。

倒産した会社から引き継いで工事を行ってくれる会社を紹介してもらうか、自分で別の工事を行う会社を選ぶ必要があるのか、といった点をまず確認しなければなりません。

倒産した会社から引き継ぐ会社がすでに紹介されている場合には、引継ぎがスムーズにいく場合はが多いですが、もしスムーズにいかないようであれば、建主が率先して意見して工事がスムーズに進められるように働きかける必要があります。

設計事務所が入っている場合には、設計事務所にも事態を説明して協力してもらいましょう。すぐに別の請負会社を見つけて工事に滞りがなるべくでないようにしましょう。

新たな請負会社が見つかったら、残りの工事に関する費用を再度見積もり、そこで見積もりが合えば契約を締結します。並行して倒産した会社との契約の解除手続きも行う必要があります。。

契約解除および完成している部分までの引き渡しを書面に明確に記載した上で契約を締結します。建築確認申請上の施工者の変更手続きも必要ですし、性能保証住宅の場合にはさらに保証会社への変更手続きも必要です。

性能保証が適用されている場合には、完成保証契約がなされていることもあります。この場合には、費用面では安心できますので確認が必要です。

近隣住民とのトラブル

新築する際には、近隣の住民の方々への気遣いが非常に大事になります。

このタイミングですでに近隣住民の方々の我が家に対する印象が決まってきますので、どのようなことに気を付けるべきかしっかり把握しておきましょう。

主なご近所トラブルは下記の通りです。

  • 作業音がうるさい
  • 業者の車が邪魔で通行、出入りがしづらい
  • 現場からゴミが飛んでくる。
  • 作業の開始時間が早く、終了時間が遅い
  • 建築資材の置き方が危ない
  • 現場の泥が道路に流れている
  • 休日の早朝から作業している
  • 工事期間が延期され、我慢しきれない

本来は各施工会社がトラブルの帽子、対応を実施していますが、トラブルを未然に防ぐには、建主自身が挨拶回りをするとより効果的です。

事前に一声あるだけで、周りの印象は違ってくるものです。挨拶をするタイミングは、着工前・入居前です。

また、挨拶回りに行く際には、粗品を用意するとよいでしょう。

あまり高価なものを用意する必要はありませんが、1000円程度のもので揃えるとよいでしょう。

住み始めてからのトラブル

施工不良によるトラブル

施工不良やミスなどは、あまりないのではないかと思われる方も多いですが、そのようなトラブルは非常に多いです。そのため、新築の引き渡しを受けるときには、残金を支払う前に必ず建物のチェックを十分に行いましょう。

油断せずにしっかりチェックしましょう。

  • サッシなどの下枠に隙間が出来ている
  • ビスの取り付け忘れ
  • 屋上設備のダクトの貫通部にシールが不十分
  • コンセントが床下から近すぎる

このような小さなミスが散見されるケースも多いです。しっかりとポイントを確認する必要があります。

また、フローリングのつなぎ目に変色(黒っぽい染み)のようなものがあったり、一部つなぎ目が突き上がってしまっているケースなどがありますので、確認をしておきましょう。

雨漏り

新築住宅で多いトラブルは水回りが圧倒的です。台風などのちょっと強めの雨が降ると天井から水漏れがする、という場合には水漏れだけにとどまりません。

だんだんと部屋の中が株のような臭いが漂いだし、壁紙が変色します。壁紙をはがすと壁の中がカビだらけ、ということもあります。

施工業者や補修業者によってはこのような事態も起きてしまいます。

屋根やバルコニーなど外側に面している部分の防水が不十分であったり、壁内の防水シートの張り方が不十分だったりすると、雨漏りが起きます。

地盤沈下や傾き

新築直後に予期していなかった地盤沈下が始まり、外壁に大きなヒビが入るケースも多々あります。

地盤沈下が起こると、階段や車庫のコンクリートのつなぎ目が分離したり、勝手にドアがしまったりといった不具合が出てくることもあります。

このようなケースは、軟弱な地盤にもかかわらず、その敷地に適切な対策をせずに住宅を建築してしまった場合などに発生します。

地盤の軟弱化が激しく、地盤の層厚が厚いほど沈下量が増大し、長きにわたって沈下が続きます。

一般的に地盤の沈下は、上棟の時期に発生しやすくなります。建物が完成に近づいていき、建物自体が重くなっていくにつれて症状が出てはきますが、引き渡しの時点では沈下量がまだ小さめなので気づきにくい点には注意が必要です。

そして、竣工してから数年が経過したころに、ようやく沈下が顕在化してきます。

一般的な症状としては、まず第一段階として、地盤に接している基礎にひび割れが生じます。その後、少しずつ上部の部材へと影響が出始め、おおよそ5年後には建物の骨組みとなる「構造材」に影響が出始めます。

最終的には壁や床、窓やドアなど、開口の部分にも不具合が発生していきます。

「品確法」における、瑕疵にあたるであろう地盤の不具合としては、「基礎のひび割れ」と「床の傾斜」です。下記のいずれかを満たすと瑕疵に該当します。

最短で長さ3メートルの本来は水平であるべき部材の両端に、6/1000以上の傾斜が生じた場合、または基礎の内部にまで及ぶ亀裂が幅0.5ミリ以上となった場合が、それぞれ瑕疵に相当します。

上記のような瑕疵に該当する可能性のある事象が起きた際には、瑕疵担保保証責任期間が終わってしまう前に、すぐに地盤の専門家に見てもらう必要があります。

トラブルや失敗を防ぐ方法

見積書をしっかりと確認する

契約を結ぶときに受け取れる書類で見積もりを確認するときに便利なものがあります。それは、設計図や仕様書さらに「内訳書」も確認すると良いでしょう。

内訳書は、請負代金の詳しい内訳を表にまとめた書面です。内容としては、各工事の単価と数量といった情報が載っています。

内訳書を見ることで、工事内容や契約内容を詳細に理解することができます。内訳書には設計図や仕様書に書ききれなかった工事内容が書かれていることも多く、

工事代金の妥当性を確認することもできるので、しっかりと確認をしておく必要があります。

また、工事の追加や変更があった時にも内訳書は重要になります。

例えば、契約時にはガーデニングをするためのテラスをつける予定だったのを、契約後の予算の関係で設置するのをキャンセルする場合、本来ならば契約した工事代金からテラスの設置費用を減額しなければなりません。

しかし、内訳書にテラスの設置費用の金額が書かれておらず、悪質な業者であれば、テラスの設置費用は本当は50万円なのに、25万円としか見積もっていなかったと言い張って減額をしない、という悪徳業者もいます。

このようなトラブルを避けるためにも、工事の単価と数量を細かく書かれている内訳書の提出を求める必要があります。

第三者の住宅診断を行う

住宅を新築する際に、専門家が現地の施工状況確認や図面チェックを行ってくれるサービスがあります。

そのサービスを利用し、素人ではわからないところをしっかりとチェックしてもらい、安心して居住し始めると良いかと思います。

信頼できる業者と契約する

これは、難しいことではありますが、営業マンの人となりや地元での実績、会社の資金力など総合的にみる必要があります。

トラブルや失敗を防ぐ最も大事な要素になりますので、価格だけに惑わされず慎重に選ぶ必要があるでしょう。

注文住宅で家を建てる際に、非常に大きなお金が動くことや、お付き合いの期間も長くなるため、トラブルが発生する可能性も非常に高くなります。

また、関わる人が多いこともあるので、しっかりと認識合わせを行い、家が建ってから揉めることがなるべく無いよう、早め早めに対策を打っておくことが大事になります。


目次一覧

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