土地を探すには、不動産会社の広告やインターネットのホームページ、住宅情報誌などが一般的ですが、スムーズな土地探しや売買契約のためにも、購入するまでの流れや注意点などは事前に把握しておくことが大事です。
今回は土地を購入する際の流れや必要書類、契約上の注意点を解説します。
土地を購入するまでの流れ
以下が、土地を購入するまでの流れになります。
土地探しの前準備
土地を探す前に希望する土地の最低条件をまとめておきましょう。希望するエリア・面積・環境・利便性・予算など。予め優先順位を決めておくと、不動産会社に土地探しを依頼する場合も、探しやすくなります。
物件の広告には、所在地や周辺地図の他、物件の概要が記載されています。物件概要の用途地域・建ぺい率・容積率・接道などから、立てられる家の大きさや制約を知っておくことが重要です。また物件概要の他にも、「但し書き」や「備考」のチェックを忘れないようにしましょう。
「セットバックあり」などと記載されている場合は、記載されていない土地より小さい家しか建てられないことがあるので注意しましょう。
希望の土地を見つける
希望の土地とは、希望しているエリアにおいて、希望している広さの住宅を建てることが可能であり、さらに予算的にも問題のない土地ということになります。
その他にも、以下の点に注意しておきましょう。
- 地形(プランが難しい変形土地ではないか)
- 地盤(軟弱地盤や敷地内に段差がないか)
- 環境(日当たり、風通し、近隣の建物など)
- 利便性(生活に必要な設備があるか)
- 将来性(新しい駅や商業施設計画の有無や進行状況)
買付証明書の提出
気に入った土地があった場合、買付証明書を提出しますが、これは土地購入の意思を示すものであり、法的な義務は一切ありません。ただの申込書と捉えておきましょう。買付証明書を提出することで、順番に売主との売買契約の交渉権が発生することになります。
買付証明書には、購入希望価格・手付金額・契約希望日・引き渡し希望日などを記載しますが、金額など自由に記載可能です。これによって、売主側からの希望条件が記載された「売り渡し承諾書」が返されてきます。数回交渉を重ね、合意に至れば契約という流れになります。
住宅ローンの申し込みと事前審査
住宅ローンを利用する場合は、土地の購入が決まればローンの事前審査の申し込みを行いますが、住宅ローンとは、住宅が完成した時点で利用できるローンであるため、原則的には土地の購入のために住宅ローンを組むことができません。
しかし住宅を建てるための土地購入に限り、土地先行融資やつなぎ融資といわれるローンを取り扱っている金融機関があります。
土地先行融資とは
土地先行融資とは、家を建てることを前提として、土地代だけを先に融資してもらう方法です。家が完成した時点で建物分の追加融資が行われます。
金融機関によって条件(家を建てるまでの期間が1年以内~5年以内と差があり、家のプランが決まっていない場合は融資自体が厳しい金融機関もある)が異なるため、複数の金融機関をリサーチしてみましょう。
つなぎ融資とは
つなぎ融資とは、住宅ローンの融資が実行されるまでの間に、つなぎとして一時的に借り入れをすることです。住宅ローンを組むことになる金融機関ならスムーズな融資に繋がります。
ローンの事前審査を申し込む際に必要な書類は、利用金融機関指定の事前審査申込書・収入を確認できる書類(源泉徴収票や確定申告書)・本人確認資料(免許証など)・物件の確認資料などです。
不動産業者から重要事項の説明
重要事項説明とは、契約の前に不動産業者の担当者(宅地建物取引主任者)から重要事項説明書に記載されている内容の説明を受けることです。これは、不動産知識の不足する購入予定者がよくわからないまま契約して損害を被らないために、宅地建物取引業法(第35条)によって定められている制度です。
重要事項説明書には、対象となる土地の登記記録に記載された事項や、都市計画法などに基づく制限の概要、造成宅地防災区域内か、土砂災害警戒区域内かなど、土地に直接関係する事項と、取引条件に関する事項(土地の代金や手付金・仲介手数料・契約の解除に関する事項など)が記載されています。
内容は全て契約を決めるための重要な情報です。不明な点があれば納得のいくまで説明を受けることが大切です。
売買契約の締結
重要事項の説明に問題がない場合、売買契約の締結となります。以下は売買契約書で重要なポイントです。契約書に署名押印する前に、記載されている内容はしっかり確認しておきましょう。
- 売買代金・支払日に誤りがないか
- 手付金の金額は妥当か(通常は代金の1割程度)
- ローンを利用する場合、ローンが組めなかった際は白紙解除できるか
- 契約前の業者との取り決めや交渉による合意事項が契約書の中に明確に記載されているか
売買契約が締結された時点で、手付金と仲介手数料の1/2を支払います。残金は決済時に支払います。
契約時買主が準備するものは、実印・印鑑証明(3か月以内のもの)・手付金・収入印紙・仲介手数料の1/2です。
土地の引き渡し
土地代金の残金を支払い、決済と同時に土地の引き渡しになります。引き渡し確認書を受け取り、所有権移転登記の手続きや、ローンを利用する場合は、抵当権設定登記の手続きを行います(通常はローンを組んだ銀行の専属司法書士に依頼することになる)。
※引き渡し(決済)の際に準備するものは、印鑑・住民票・土地代金(手付金を差し引いた額)・仲介手数料の残金・固定資産税や固定資産税の清算金・所有権移転登記費用など。
ローンを利用する場合は、印鑑証明書・通帳・融資事務手数料・委任状など。
売買契約の解除方法
売買契約を締結した後に、何かの事情によって契約を解除することも出てきます。契約の解除には以下のようなものがあります。
クーリングオフ
売主が不動産会社の場合、クーリングオフに該当する条件(訪問して契約の勧誘をしたなど)を満たす場合は、無条件で契約を解除できます。
手付解除
売主が契約の履行に着手するまでは、手付金を放棄することで契約解除ができます。
特約による解除
ローンを利用して土地代金を支払う場合、ローンが受けられなかった際には「ローン特約」によって無条件で契約を解除できます。
瑕疵担保責任による解除
物件(土地)に隠れた瑕疵があったなど、契約の目的が達成されない場合は無条件で契約を解除することができます。
必要書類まとめ
土地を購入する際に必要な書類を以下にまとめてみました。
ローン申し込み時
まずはローンの申し込みに必要な書類について解説します。
ローンの事前審査で必要な書類
ローン事前審査を申し込む際に必要な書類は以下になります
- 事前審査申込書
- 源泉徴収票または確定申告書
- 本人確認のための免許証など
- 物件(土地)の確認資料
ローンの正式申し込みで必要な書類
ローンの正式申し込みに必要な書類はこちらです。
- 住宅ローン借入申込書
- 個人情報に関する同意書
- 団体生命保険申込書
- 印鑑証明書など
この他、各金融機関によって様々な書類が必要になる場合があり、金融機関の方から予め通知してくれます。
ローン利用時に必要な書類
ローン利用の際に金融機関に提出する書類は以下になります。
- 売買契約書の写し
- 重要事項説明書
- 土地登記事項証明書
- 土地の公図
- 委任状
契約締結で必要な書類
契約締結の際に必要な書類は、「印鑑証明書」。決済(引き渡し)の際に必要な書類は「住民票」です。
まとめ
理想のマイホームを手に入れるためには、条件の合う土地を見つけることが最優先となります。
気に入った土地であっても物件のチラシだけで判断することなく、チラシの項目だけでは見えない部分をご自分の目で確かめることも重要です。現地の下見は最低でも2回は行って、周辺を歩いてみることもおすすめします。