この記事で解説している「資産整理による売却」とは、借金のため自己破産や債務整理を余儀なくされた場合の売却のことを指しています。この場合、メインは任意売却や競売となりますので、通常の売却方法とは大きく異なります。
自己破産や債務整理によって、仕方なくマイホームを手放す人は少なくありません。しかし、このように借金がらみの場合、現実逃避をしてしまう人も多く、早くに手を打っておけば任意での売却でも可能だったのが、全てが手遅れになり競売での売却となるケースが非常に多いです。
当然、競売より任意で売却するほうが売主にとっても都合が良いので、このようなケースでの売却では、少しでも早い時点で専門家に相談し最良の手をうつことが何よりも重要です。
自己破産や債務整理に伴う売却
自己破産や債務整理をする場合、所有しているマンションを競売と任意売却のどちらで売却するのかを選択することができます。それぞれメリット・デメリットがありますので、どちらが自分たちにとって有利になるかを慎重に検討して決めるようにしてください。
債務整理と自己破産の違い
そもそも自己破産と債務整理の違いがわからないという人もいると思いますが、実は債務整理の手段の一つが自己破産であり、自己破産や特定調停、任意整理などを一括りに債務整理という言い方をします。
少し話は逸れてしまいますが、せっかくなので簡単に債務整理の違いについて解説しておきます。
自己破産
全ての財産を清算するかわりに、現在抱えている借金を全て帳消しにすることができる方法です。
任意整理
個人でも可能ですが、弁護士や司法書士を立て、融資を受けている業者と交渉することで、利息を低くしたり、借金そのものをを減額したりすることが可能な方法です。
特定調停
裁判所の調停委員に間に入ってもらい、借金先の業者と返済方法や利息などについて話し合いをしていく方法です。基本的には任意整理に裁判所が関与している方法です。
個人民事再生
裁判所の判断で借金額を大幅に減額してもらい、残った借金を3年間で返済していく方法です。マイホームを手放さずに債務整理ができるのが特徴です。
こうやってみると、マイホームの売却に大きく関係してくるのが、個人民事再生だということが理解頂けると思います。個人民事再生の場合、マイホームをそのまま残しながら借金の整理ができるので、どうしてもマイホームを手放したくないという人におすすめです。
ただし、手遅れになってしまってからでは遅いので、少しでも早い段階で相談するようにしてください。
自己破産するとマイホームはどうなる?
自己破産を選択する場合、問答無用でマイホームは処分の対象となります。しかし、処分の方法にも「競売」と「任意売却」という2種類の選択肢がありますので、自分の希望するほうで売却できるケースがほとんどです。
また自己破産以外の債務整理を選択した場合だと、基本的にマイホームを守りながら借金返済していくことが可能です。
とくに任意整理を選択した場合、基本的に弁護士などに依頼することになるので、住宅ローンそのものを任意整理することも可能ですが、マイホーム以外の借金を任意整理するのが一般的です。
個人民事再生ならマイホームを残して債務整理できる?
個人民事再生であれば、マイホームを手放さずに債務整理することも可能です。
ただし、月々の支払いや規律は相当厳しく設定されますので、それなりの覚悟が必要になり、そう簡単に裁判所もOKを出してくれないのが現状です。
個人民事再生は個人でも申請できますが、相当複雑な申請になるため、弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
任意売却と競売の違い
任意売却と競売を同じだと思っている人も多いようなので、ここではどのような違いがあるのかを解りやすく解説していきたいと思います。
任意売却とは
住宅ローンの返済が終わるまでは、債権者の合意なしに不動産を売却することは基本的にできませんが、住宅ローンの返済が厳しくなってしまったときに、借入れ先(債権者)の合意を得てマイホームを売却する方法のことを「任意売却」といいます。
債権者の合意を得ることができれば、不動産会社などを通して通常の売却が可能になります。そのため競売と比べ、高値で売却できる可能性が高くなります。
ただし、いつでも任意売却が出来るわけではありません。住宅ローンの支払いを滞納してしまうと債権者から督促状などが届き、最終的には裁判所から競売の通知が届きます。つまり、任意売却できる最終的なリミットは、裁判所の競売が開始されるまでだと思ってください。
競売とは
住宅ローンを滞納してしまうと、債権者(銀行など)から督促状などが届きます。しかし、このような通知を無視続けていると、債権者は裁判所に申請し、強制的にマイホームを差し押さえ、売却することができます。
このように裁判所を通して強制的に差し押さえし、入札により売却する方法を競売といいます。
競売の場合、市場価格の5割から6割程度で売却されてしまうというデメリットがあります。つまり2000万円で売れるであろうマンションでも、競売になると1000万から1200万くらいで売却されてしまうことになります。
もちろん競売に本人の合意は必要ありません。いくら本人が売却に合意していなくても、裁判所の判断で強制的に立ち退きさせられることになります。
任意売却・・・債権者(銀行など)の合意を得て、仲介による売却や業者に買取をしてもらうことができる
競売より、任意売却のほうが有利?
普通に考えれば、競売よりも任意売却のほうが断然有利に売却することができます。しかし、他にも多くの借金を抱えている場合などは、少し話が違ってきます。
住宅ローンだけでなく、他にも多くの借金を抱えていて、どうしても自己破産が免れない場合は、任意売却しても結局は自己破産をすることになるでしょう。そうなると、多少ですが競売が有利になることもあります。
例えば、任意売却に比べ競売のほうが期間が長くかかります。競売が完了するまでには半年以上掛かることもありますので、その間ずっと今の住まいに住み続けることができます。
時間があれば、これからの生活についてじっくり考えることもできます。ちなみに任意売却だと早ければ1ヶ月ほどで退去しなければならない可能性もあります。
任意売却と競売のメリット・デメリットを一覧表にまとめていますので、参考にしてください。
任意売却と競売の相談先は違う
任意売却であれば、不動産会社や任意売却専門会社に相談することができますが、これらの業者は競売に関しては専門家ではありません。競売に関する専門家となれば、やはり弁護士や司法書士になります。
任意売却と競売、それぞれ専門家に相談し、自分が置かれている状況などを踏まえた上でどちらの方法で売却するのが良いのかを判断すればいいと思います。
最終的な手段として業者による買取も検討しておく
債権者の同意を得て、任意売却することになっても、悠長に構えていることはできません。任意売却期間中は基本的に住宅ローンの返済はしなくてもいいので、その期間が長くなれば債権者側も競売での売却へとシフトチェンジすることだってあるからです。
また任意売却の場合、債権者側から最初に「○月末までに売却先を見つけてください」と期限を指定されることもあります。この期限内にどうしても売却先を見つけることが出来ない場合は、競売となってしまう可能性が高いので、最終的な手段として業者による買取も視野にいれて相談しておきましょう。
通常の不動産業者は、買取をしていないケースも多いので、買取専門業者や仲介と買取を同時に行っている業者などをインターネットの一括査定サイトなどで見つけておくと良いでしょう。あらかじめ買取額を知っておくことで、最低売却価格や値下げ交渉など、仲介による売却も有利になります。
おすすめの一括査定サイト一覧
「おうちクラベル」は首都圏や関西圏など都心部のマンションを売却したい人におすすめです。
運営はソニーグループのSERホールディングスが行っているので安心感があり、大手、フランチャイズ、地元密着と言ったさまざまな業者の査定額を比較することができます。
提携業者の中には、売主にとって有利な片手仲介を行うSRE不動産が含まれます。対象エリア内でマンションを高く売りたい人は、ぜひ利用したいサイトです。
「マンション.navi」は、マンションの売却に特化した一括査定サイトです。大手不動産会社から地域密着型業者まで、たくさんの業者が登録されています。
地方の物件に強い業者や、訳あり物件に強い業者などもいるため、他のサイトで買い手が見つからなかった人も試す価値があります。
また、売却以外にも「賃貸として貸す」「業者に直接買取してもらう」場合の査定もできるので、売却以外の選択肢を考えている人にもおすすめです。
「HOME4U」は、NTTデータが運営する国内最大級の不動産一括査定サイトです。大手不動産会社から地域密着型業者まで、たくさんの業者が登録されています。
地方の物件に強い業者や、訳あり物件に強い業者などもいるため、他のサイトで買い手が見つからなかった人も試す価値があります。
大手企業が運営していてしっかりとした実績もあり、熟練されたスタッフが在籍しているので、信頼度が高く安心して利用することができます。