コインランドリー運営は薄利多売が鉄則だと言われていますが、薄利多売だからこそ気になってくるのが利用料金です。コインランドリー運営に限らず、すべての事業運営において収益に大きな影響を及ぼすのが料金設定です。
いくら薄利商売だといっても、コインランドリーの平均利回りと言われる15%を確保するだけの料金設定が得られなければコインランドリー運営に手を出す意味はなくなってきます。
そこで重要になってくるのがコインランドリーの利用料金の設定方法です。高すぎても利用者を逃すことになりますし、安すぎれば自ら収益性を低くすることになってしまいます。
しかし、コインランドリー運営に関しては料金設定に頭を悩ませる必要はありません。全国どこを見ても料金差が生まれていないからです。そこで今回はその現状を見ていきながら、どうコインランドリー運営に取り組むべきなのかを解説します。
- コインランドリー運営の際の料金の決め方と相場目次
コインランドリーの料金設定方法
事業運営する際に忘れてはならないのが相場価格です。この相場価格を知ることで自分が運営する事業の料金設定をどう決定すればいいのか、その適正価格を決める大きな判断材料となってきます。
コインランドリー別の料金設定方法
マンションやアパート経営といった土地活用では、賃貸料金に地域差が生まれていますが、ことコインランドリーに関しては全国的に見ても料金差がほとんどないのが1つの特徴となってきます。
この点においては地域性による物価指数や利用する土地評価額がコインランドリーの利用料金に反映されないので、安心して手が出せる土地活用と言えるでしょう。
まずは相場価格を知る上で大きな目安となる、某有名チェーンの料金体系を見てみましょう。
料金と量の目安
洗濯機9kg (20分) |
400円 | 羽毛ぶとん1枚、毛布1枚、タオルケット6枚、一般衣料1~2日分、バスタオル9枚 |
---|---|---|
洗濯機18kg (20分) |
600円 | 羽毛ぶとん2枚、毛布3枚、こたつぶとん1組一般衣料3~4日分、バスタオル18枚 |
洗濯機27kg (20分) |
800円 | 羽毛ぶとん3枚、毛布4枚、こたつぶとん1組、一般衣料4~5日分、バスタオル27枚 |
乾燥機14kg (10分) |
100円 | 羽毛ぶとん1枚、毛布1枚、タオルケット4枚、一般衣料2~3日分、バスタオル14枚 |
乾燥機23kg (8分) |
100円 | 羽毛ぶとん2枚、毛布3枚、タオルケット6枚、一般衣料4~5日分、バスタオル25枚、こたつぶとん1組 |
見てもらえればわかるのですが利用する機器によって呂金は違い、大容量となるほど利用料金は高くなります。
また忘れてはならないのが、洗濯と乾燥が一度に行える洗濯乾燥型の料金です。その料金は単体のものよりやはり高い料金設定となっていますが、大容量のものほど高い設定となっています。
- 11キロタイプ(50分) 800円
- 16キロタイプ(60分) 1,200円
- 22キロタイプ(65分) 1,800円
これら料金を相場価格とするのかは全国的に料金差がないことを前提としたものですが、この後に挙げる全国各地のコインランドリー料金を見ればその事実は明らかとなってきます。
まずはこの料金を頭に置きながら、各地の料金を見ていくことにしましょう。
地域別の料金相場
それでは実際に全国各地のコインランドリー料金を見ていきながら、その料金設定に大差がないのかを見ていきます。
東京
日本で一番物価が高いと言われている東京の中でも、最も人の流れが多いと言われる新宿と渋谷を対象にその料金を見てみましょう。この両者にはほとんど大差はなく、下記の結果となりました。
- 洗濯機(9kg)20分 400円
- 洗濯機(18kg)20分 600円
- 洗濯機(27kg)20分 800円
- 乾燥機(14kg)10分 100円
- 乾燥機(23kg)8分 100円
参考:http://laundromat-kamishichiken.com/menu/
この料金はこれ以降に紹介する各地の料金の比較ベースとなるので、この料金が高いのか安いのかに興味が湧いてくるところです。
大阪
東京に並ぶ日本の大都市の1つである大阪の料金は下記のとおりです。
- 洗濯機(4.5kg)30分 150円
- 洗濯機(8kg)30分 400円
- 洗濯機(13kg)30分 500円
- 洗濯機(18kg)30分 700円
- 乾燥機(7kg)12分 100円
- 乾燥機(13kg)10分 100円
※洗剤・柔軟剤 自動投入
参考:http://syufutie.com/coinlaundry-ryoukinhyou#i-16
先ほどの東京とほとんど料金差がないことが見て取れます。洗濯時間は違いますが、これは導入している機器性能が関係していることが原因と考えられるでしょう。
よって、時間による料金差は比較検討ではさほど気にすることはなく、機能性の高い危機を同料金レベルで利用できる体制となっている点に注目すべきでしょう。この点からもコインランドリー料金に地域差を生じない傾向がコインランドリー業界にあると言えます。
名古屋
名古屋の料金は下記のとおりです。
- 洗濯機(9kg)20分 400円
- 洗濯機(18kg)20分 600円
- 乾燥機(14kg)10分 100円
- 乾燥機(23kg)8分 100円
※洗剤・柔軟剤 自動投入
参考:http://syufutie.com/coinlaundry-ryoukinhyou#i-16
名古屋の料金を参考にしたのは東京と同じく全国展開しているFCマンチャオですが、東京の料金と全く同じ設定となっています。全国展開している店舗でも通常は料金に地域差が出てくるのですが、ここではその傾向は全く見られません。
名古屋も大都市の1つですから、東京と同じ料金設定にしていることも考えられますが、この段階では全国展開のFCでも料金差なしという結果となっています。
福岡
それでは次は西日本でも第年の一つに数えられる名古屋です。大都市と言えども東京や大阪とは物価水準も地価も大きく違ってくるので、料金に差が生まれているかは興味の湧くところです。
- 洗濯機(9kg)30分 400円
- 洗濯機(11kg)30分 500円
- 洗濯機(14kg)30分 600円
- 洗濯機(20kg)30分 800円
- 乾燥機(16kg)10分 100円
- 乾燥機(30kg)7分 100円
※洗剤・柔軟剤 自動投入
参考:http://www.ingworld.biz/service.html
ここでも先に紹介した都市との料金差は見られませんでした。ここまでくるとコインランドリー料金に地域差はないというのも真実味が帯びてきましたね。
札幌
それでは次は最北の地となる北海道の札幌です。この後に紹介する最南端の沖縄と並んで、そ料金設定がどうなっているのか、本当にコインランドリー料金に地域差がないのかを知る上で重要な情報となってきます。
- 洗濯機(12kg)30分 700円
- 洗濯機(22kg)30分 1,100円
- 乾燥機(14kg)8分 100円
- 乾燥機(25kg)6分 100円
※洗剤・柔軟剤 自動投入
参考:http://www.jabbaring.com/price/
ここまでの料金と比較すれば若干ではありますが、高めの設定となっています。しかし、料金差があるというほどの開きではないので札幌でも料金差はないと言っていいでしょう。
沖縄
それでは最後の沖縄になります。
- 洗濯機(10kg)30分 400円
- 洗濯機(18kg)30分 600円
- 洗濯機(25kg)30分 800円
- 乾燥機(16kg)10分 100円
- 乾燥機(23kg)8分 100円
※洗剤・柔軟剤 自動投入
上記料金を見れば北海道とは逆に若干安い感はありますが、北海道と同様に料金差があると言えるほどのものではありません。おそらく沖縄という地域性から外国人利用者が多いことが多少の影響を及ぼしているのかもしれません。
しかし、ここまでの料金を比較すれば、コインランドリー料金は地域によっては若干の金額差はあるものの、大差と呼べるほどのものではありません。このことからもコインランドリー料金に地域性はほぼ関係しておらず、料金差は生まれていないと断言できます。
料金を値上げするには?
コインランドリー料金の値上げは全国的にも料金差が生まれていないこともあり、希望にかなった値上げは難しいと言わざるを得ません。しかも、コインランドリー運営が土地活用方法として注目されるようになって参入した経営者は、FCへ加盟して事業運営を営んでいるケースが多くなっています。
よって、個人の希望によって勝手に料金を変更することはできません。今回紹介したように上位機種を導入しても料金設定は全国平均を上回っていないのが実情で、大手FCでも料金引き上げの動向は見られません。現状の料金維持というのがコインランドリー市場の実状です。
この先どのような流れとなるかは断言できませんが、今のところコインランドリー運営で料金値上げは難しく、それに期待した収益アップは御法度の運営方法となると考えておいた方がいいでしょう。
まとめ
コインランドリーの料金設定は収益を確保するために重要なポイントとなってきますが、ほかの事業のようにその料金設定に頭を悩ませる必要はありません。全国的に横並びの料金設定が行われているので、料金差が利用者の増減を生む原因にならないからです。
しかも、今後増えつつあるFC加盟者を考えれば、まずます料金は統一化されたものとなる傾向にあり、この状態は今後も続くことが予測されます。
コインランドリー運営は薄利多売が原則です。料金の値上がりに期待できない状況を考慮すれば、コインランドリー収益を上げるためには多売を維持するための集客力が大きく物を言うことになってきます。
となれば効果的な集客手段を持たない専門的知識の希薄な経営者はFCヘの加盟を検討する必要も出てくるでしょう。今回の内容で明らかになったコインランドリー運営の本質をよく理解して上で、まずは個人経営で行くのかどうかをよく検討するようにしてくださ。