リフォームやリノベーションで入居率はアップするのか?

リフォームやリノベーションで入居率はアップするのか?

「物件価格が上昇し、高利回りを狙えるような良物件がなかなか見つからない…」

このような悩みを抱えた不動産投資家が増えていますが、そんな投資家たちに最近注目されている投資手法があります。

それは、既存の物件にリフォームやリノベーションを施し、価値を向上させることで利回りを上げる投資手法です。

今回は、リフォームやリノベーションのメリットやデメリット、費用相場についてまとめながら、入居率をアップさせるポイントについて説明します。

リフォームやリノベーションの効果

リフォームやリノベーションを施すことで入居率がアップするのか。これは、投資家自身に高い予算管理能力、企画能力が備わっているかどうかで決まります。

特に重要なのが「予算管理能力」です。

これは、リフォームやリノベーションが失敗するケースを分析すると分かります。

失敗するオーナーは、工事後に見込める家賃から、リフォームにかけられる費用の限界を逆算していません。「オシャレな物件にしたい」という思いで、工事内容と費用を先に決めてしまいます。

結果、掛かった工事費用を家賃上昇分だけでは回収できずに、損失を出すことにつながります。

リフォームやリノベーション工事を行ったことによる物件価値の上昇と、家賃アップの釣りあいがちゃんと取れるのかどうか。その判断を適切に下すためにも、まずリフォームやリノベーションのメリットとデメリットを抑えておきましょう。

メリット

入居率アップ以外にも、リフォームやリノベーション工事を成功させることで得られるメリットがあります。メリットを知れば、なぜ多くの不動産オーナーが、リフォーム・リノベーション工事を検討するのかがわかるはずです。

工事内容と市場のニーズが上手くハマれば、入居率アップ以外にも期待できる3つのメリットがあります。

1.節税効果による投資効率の向上

不動産投資において、減価償却による節税経費の考え方はとても重要です。

通常、建物部分には減価償却効果が働きます。リフォームやリノベーション工事にも同じことが言えます。なぜなら、設置した新たな設備にも、減価償却効果が発生するからです。

これらの設備は、国税庁が定めている法定耐用年数にしたがって、経費計上ができます。つまり、建物の減価償却効果に、あらたな設備の減伽償却を加えることで、より大きな節税経費を生むことができます。

これによって、長期的な投資の視点で投資効率を考えた場合、効率性の向上が期待できるのです。

2.資金確保の選択肢が拡がること

二つ目のメリットは、融資の選択肢が拡がることです。

不動産投資に使えるローンには、「アパートローン」や、「マンション提携ローン」があります。ですが、これらのローンには金利が高いというデメリットがあります。

ところが、リフォームやリノベーションを前提に物件を買う場合、「アパートローン」以外にも、「リフォームローン」が利用できます。

まだ事業規模が小さい駆け出しの投資家や、使える資金の少ないサラリーマン投資家にとって、資金調達の選択肢が増えることには大きなメリットがあります。

3.利回り向上、利益幅の上昇

賃料アップによる利回り、利益幅の向上がメリットとして上げられます。不動産投資では、家賃からローン返済などの固定費を引いた残りが利益になります。

リフォームやリノベーションが当初の目論見どおりに上手くいけば、物件の価値は上がります。であれば、入居が決めやすくなるだけでなく、家賃を今までよりも高く設定できるチャンスが生まれます。

つまり、物件に対する投資効率があがり、結果的に利回りが向上するわけです。入居率の向上と利回り向上は、セットで考える必要があります。

デメリット

このリノベーション投資手法のデメリットは、出費が大きくなる可能性があるということです。

古すぎる物件の場合、リフォームやリノベーションに費用が掛かり過ぎて、賃料アップだけでは工事費が回収できず、損失を出すリスクが一気に高まります。また、予期せぬトラブルや追加工事の必要が発生して、コストが更にかさむこともあります。

単純な間仕切りの造作工事、キッチンや便器、洗面台の交換くらいであれば、大きな変動はありません。

問題となるのは、空調や上下水道の配管工事が必要になるような、大掛かりなリノベーション工事を行う時です。特に配管に手を付けるような水回りの工事では、工事費用が一気に跳ね上がります。

いくらお金をかけてリノベーションをしても、それ相応の利回りが見込めず損失を出してしまっては本末転倒です。

事前によく見積もり内容を吟味してから、本当にリノベーションに踏み切るのかどうかを慎重に検討する必要があります。

費用相場について

ここまでの話で、入居率アップを実現するためのリフォーム・リノベーション工事のポイント、メリットとデメリットについて解説してきました。

リフォーム後の想定家賃から、工事費の上限をはじき出すのが大切であることが分かったところで、実際の工事にはどれくらいの費用がかかるのか、目安となる相場をご紹介します。

リフォームとリノベーションの違い

「リフォーム」と「リノベーション」は似たような言葉で、実際、同じような意味合いで使われていて、言葉の境界があいまいになりつつあります。ですが、厳密にはそれぞれ違いがあります。

「リフォーム」とは、マイナスからゼロにもっていく工事です。つまり、経年劣化による原状回復工事などがあてはまります。バス、トイレ、キッチン、洗面台を新しい製品に交換する工事、壁髪を貼り替える作業などです。

一方の「リノベーション」は、ゼロにプラスαの要素を加えて、物件の付加価値を向上させる工事をさします。

例えば、間仕切りの変更、和室から洋室への変更、上下水道や空調の配管の取り回しを変更する工事などです。

リフォームする場合の費用と相場

ここで紹介する相場は、あくまで参考程度に考えてください。

リフォームとリノベーションのどちらも、工事範囲や使う製品、工期によって工事費用が大きく変わるからです。

  • 浴室:50万円~200万円
  • トイレ:~50万円
  • キッチン:50万円~100万円
  • 洗面台:~50万円
  • 壁紙張替え(量産クロス 6帖 壁4面+天井):4万円~5万円
  • 壁紙張替え(ハイグレード 6帖 壁4面+天井):5万円~7万円

リノベーションする場合の予算と工事内容

予算別でどの程度リノベーションできるのか、見ていきましょう。

~100万円

この予算でリノベーションを行おうと思うと、かなり限定的な工事内容になります。たとえば、収納が少ない家に対して、壁一面に収納を作る造作工事などです。

この予算でできる工事内容は、リノベーションよりもリフォーム工事が中心となるでしょう。

200万円~500万

この予算でできるリノベーション工事は、家の間取りの一部分を変更する工事が中心になります。

例えば、ダイニングやリビングが狭いので、隣の和室との間仕切り壁を撤去して一室にするような工事です。ダイニングやリビングを隣の部屋と繋げて一体化することで、開放感のあるリビングダイニングを演出することができます。

工事内容としては、間仕切り壁の撤去・解体、床全体のフローリングを張替えて一体化する工事などです。

500万円~1000万円

ここまで予算を用意できれば、かなり大規模な間仕切り変更工事が行えます。

それに加えて、リフォームのようなキッチン、バス、トイレの最新モデルへの交換だけでなく、配管工事をともなうような、水回りの移設工事も行えます。

壁に面していたキッチンを、排水管をダイニングの中央付近に移設させることで、人気のアイランド型キッチンに作り替えることもできます。

水回りの移設が出来れば、物件全体におよぶ大規模なレイアウト変更ができ、リノベーションの自由度が一気に増します。

まとめ

今回は、リフォームやリノベーションをすることで入居率をアップさせることはできるのかについてお話しました。

適切な予算管理が、リフォーム・リノベーション工事の成否を決めます。

今回お話した予算管理のポイントと、メリットやデメリットを参考にしながら、どこまでの工事に踏み切るのか、慎重に検討してみてください。


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