民泊というのは、「ホテルや旅館などの宿泊施設ではなく、個人の家に宿泊すること」の総称です。
友達の家に泊まることも民泊ということになりますし、海外留学をしたときに、現地の人の自宅に泊めてもらうホームステイも民泊の部類に入ります。
「友人・知人を自宅に泊まらせてあげる」といった程度の軽い話ではあったのですが、この民泊、実は最近あるインターネットサービスの誕生をきっかけに、不動産業界を揺るがすほどの大きなインパクトを与えています。
ネット上で注目されるサービスに過ぎなかったものがどんどん全国区になり、いまや民泊に対する行政の考え方も変わりつつあるほどです。こういった社会の動きに伴って、民泊での不動産投資のチャンスも広がっています。
民泊経営は、不動産投資をしている人、これから不動産投資をしようとする人の両者にとって今まさに旬な話題ですから、本サイトとしても注目しないわけにはいきません。
民泊経営(Airbnb)とは
民泊が一躍脚光を浴びることになったきっかけは、自分の部屋を貸したい人(ホスト)と、その部屋に泊まりたい人(ゲスト)を仲介するインターネットサイトの誕生です。
そのサイトは、アメリカで始まったAirbnbで、「エアビーアンドビー」と読みます。
民泊はもともと、宿泊料金が発生しない無償での宿泊を意味していました。あなたが仲の良い友人を自宅に泊めるときを想像してみてください。
友人からいちいちお金を取る人はいないでしょうし、特別な見返りを求めるのではなく、善意で泊めてあげるという感覚が強いのが普通だと思います。
Airbnbでは、ゲストと呼ばれる宿泊者から宿泊料金を徴収します。宿泊料金を徴収するのですからビジネスです。
ここが大きなポイントで、これまでの民泊は知人や友人を泊めるレベルの話を意味していたものが、Airbnbの誕生によって、世界中の人々を顧客とした民泊経営ができるようになりました。
自分の家や所有する不動産を「ちょっとした簡易宿泊所」として貸し出せるサービスと考えれば分かりやすいでしょう。
所有する空き部屋を登録して気軽に旅行客を泊めてあげるという趣味の領域でAirbnbを楽しんでいる人がいる一方で、Airbnb用に物件を用意して本格的な民泊経営をしている人もいます。
この記事では、不動産投資で稼ぎたい人に向けて、Airbnb用に物件を用意する方法をメインに説明します。
海外から始まったサービスなので、日本の宿をAirbnbで探すという訪日客がたくさんいることから、世界中の人々を顧客にできるグローバルなビジネスとしての魅力も見逃せません。世界から観光立国としての日本が注目されている現在にあっては、さらなる成長も期待されています。
日本での知名度や利用者の広がりとともに、Airbnbのサービスの革新性はもとより、大きく稼げる不動産投資としても注目を集めるようになっています。
今回は、Airbnbを不動産投資としてみたときにどんなメリットやデメリットがあるのかを考えながら、今後の民泊経営の展望にも触れてみたいと思います。まずは、Airbnbのシステムを理解するところから始めていきましょう。
Airbnbのシステム
Airbnbで使われている特有の用語を覚えておくと、全体的な仕組みがより分かりやすくなります。これまでにも出てきた用語もありますが、改めて解説しておきます。
Airbnbに特有の用語
物件をAirbnbに登録して部屋を貸す人は「ホスト」と呼ばれます。Airbnbでの不動産投資は、ホストとしての活動ということになります。このホストとしての活動を「ホスティング」と言ったりもします。
宿泊者は、「ゲスト」です。ホストとゲストは、言葉のイメージからも理解しやすいと思います。そして、物件や物件に備え付けられた備品を総称して「リスティング」と呼んでいます。
リスティングと聞いてもベッドなどの備品をイメージできないと思うので、慣れないうちは違和感があるかもしれません。部屋をはじめとする、ゲストが使用するもの全般を指すと考えておくとよいでしょう。
ホストとゲストを仲介するAirbnb
Airbnbは、ホストとゲストを仲介する、いわゆるマッチングサービスです。部屋を貸したいホストがサイト上にリスティングを登録し、ゲストはその情報を見て泊まりたい部屋を探していきます。
とにもかくにも、ホストがリスティング情報を登録することから始まります。それを見て気に入ってくれたゲストが「宿泊リクエスト」をして、ホストがそのリクエストを承認することで予約が完了します。基本的な構造は、宿泊施設予約のサイトと同じ仕組みです。
ホストとして活動するために必要な具体的な登録方法は、この記事の最後で解説します。
トラブル発生時の救済システム
ホストとしてどうしても気になるのが、どんなゲストが来るのか分からないことです。部屋を荒らされたり、備品が盗まれてしまわないかという心配がどうしてもつきまといます。海外からのゲストだと、なおさら不安になってしまうのは仕方のないことかもしれません。
実際にそのような事例は後を絶たず、しばしばニュースとして取り上げられることもありました。こういったトラブルの事例は、初心者ホストの不安を駆り立てて、ホスティングの意欲を下げることにもなってしまいます。
そこで、こういったトラブルを救済するために、Airbnbは保証金制度を用意しています。ゲストの心理的な負担を解消してくれますし、Airbnbの利用を躊躇する障害がひとつなくなるので、とても意味のあるオプションと言えるでしょう。
具体的にどういった仕組みなのかと言うと、ゲストの乱暴な利用によって備品が壊されたり、部屋の鍵をなくされてしまったりと言ったホストが被った損害に対して、賠償をゲストに請求できるようにするものです。
リスティングになんらかの被害があった場合、ホストは該当ゲストのチェックアウトから14日以内にAirbnbに申請をします。申請時には、具体的な証拠となる写真などを添付してトラブルの概要を説明することが必要です。
ホストがゲストに直接請求するのではなく、Airbnbが間に入ってくれるので、ホストとしては気が楽です。トラブルを起こした張本人に直接連絡してトラブルに火を注ぐことにもなりかねませんし、具体的な問題解決を中立的なAirbnbが担うのは理に適っていると言えます。
また、ゲストに予約をキャンセルされてしまうこともありますが、そのような場合に備え、あらかじめキャンセルポリシーを設定できるのも、ホストにとって有り難い仕組みです。
Airbnbの不動産投資としてのメリット
不動産投資としてAirbnbを始める場合、インターネットサービス特有のメリットは特に注目すべきでしょう。それらを活かすことで収益アップにもつながります。
- 自宅の空き部屋でもOK
- 家賃収入を得られる
- 世界中の人が顧客となる
- 利用者との交流ができる
- サイト上で工夫をしながら運営できる
- 代行業者に依頼することも可能
自宅の空き部屋でもOK
専用物件を用意しなくても自宅に宿泊者を招き入れてシェアするだけでも民泊は可能です。ホームステイ希望者を,
世界中から募集する感覚で気軽に始められますし、空いている部屋をゲスト用ルームとして有効活用できます。
アパートやマンションとは違って短期の宿泊ができることも、宿泊者側の利便性を高めています。ホストとしても、旅行などで自宅を空けるときだけゲストに提供するという使い方もできます。
家賃収入を得られる
民泊は本来無償ですが、Airbnbでは宿泊料金を徴収しますので家賃収入が得られます。
宿泊料金はホストの一存で設定できますから、不動産投資として民泊経営を成功させるためには適切な料金設定が求められます。投資家としての腕の見せ所でもあります。
場所にもよりますが、格安のビジネスホテル並みの料金設定が多くなっていて、一泊一万円以下、数千円程度がほとんどです。
Airbnbが2017年4月に発表したレポートによると、日本の標準的なホストの平均年間収入は約100万円だそうです。民泊は今後さらに拡大していくと予想されますし、平均額としての約100万円ですから、稼げる不動産投資と言えると思います。
世界中の人が顧客となる
Airbnbはアメリカで始まったサービスで、いまや世界中に利用者がいるほどに大きなサイトとなりました。日本人が日本の宿泊先を探すというよりも、世界中の訪日客がAirbnbで日本の宿泊先を探すケースが多いようです。
そのため、外国からの旅行客が多いエリアだと、特に有利です。日本だけでなく世界中の人々を相手にするので、ワールドワイドな、とても夢のあるビジネスと言えます。
利用者との交流ができる
宿泊後もゲストと交流することが可能です。旅館とは違ってそれほどビジネスライクではなく、宿泊をきっかけとして、個人と個人の関係をつくることができるからです。
フェイスブックなどのSNSを活用すれば、宿泊後であっても簡単に国境を超えてメッセージの交換ができます。
経済的な利益よりも、この世界中の人とのコミュニケーションを目的としてAirbnbのホストとしての活動を楽しんでいる人もたくさんいるようです。
サイト上で工夫しながら運営できる
Airbnb上で自分のページを持つことができます。物件情報に加えて、自己紹介や顔写真を掲載することで、「どんなホストが運営している物件なのか」を伝えます。
ホストの人となりを含めて、いかにして物件の魅力を伝えるのかがとても大切です。そういった工夫を楽しめる人にとってのAirbnbは、最強の不動産投資となります。
サイト上での物件の見せ方を工夫することで予約数を上げることも可能なので、あれこれれと試行錯誤してみるのも楽しいものです。また、日々のソーシャルネットワーク上での活動も、宣伝活動に直結します。
Airbnbの自分のページにもSNSのリンクを貼ることができますし、個人的な投稿をきっかけとして、「このホストに会いたい」とゲストが感じてくれて予約が入ることもあり得ます。
物件情報だけでなく、ホストの人となりが集客に大きな意味を持つのは、インターネットサービスならではの特徴です。
Airbnbの不動産投資としてのデメリット
民泊はしばしば、このデメリットがクローズアップされるため、ネガティブな印象を持っている人も少なくないのが実情です。まずはどんなデメリットがあるのかを理解して、メリットと合わせて民泊の全体像をつかんでください。
- 部屋を準備するための初期費用がかかる
- 物件管理やメンテナンスが必要となる
- ゲストとの直接的なやり取りが発生する
- ゲストが部屋を乱暴に使用してしまう
- 近隣トラブルがあとを絶たない
部屋を準備するための初期費用がかかる
専用の物件を準備する場合は特に、多額の初期費用がかかってしまいます。敷金・礼金・家賃が必要ですし、内装や備品にもお金がかかります。
寝具類、冷蔵庫、テレビ、机、いす、ネット環境などなど、快適な空間をつくるためには数十万円以上の資金が必要です。民泊と言ってもゲストからお金をもらう以上、必要最低限、宿泊に耐えられるような環境を整備してください。
物件管理、メンテナンスが必要となる
断続的にゲストを迎え入れる場合、常に部屋を清掃する必要があり、ホストには大きな負担となります。
前のゲストが使用した寝具をそのまま放置して次のゲストに使用するわけにはいきませんので、ホテルが行っているような交換業務が必要です。備品の補充や機器類の故障等、メンテナンスに時間と手間を取られてしまいます。
メンテナンスに時間を掛けることができない場合には、代行業者を利用するとよいでしょう。
ゲストとの直接的なやり取りが発生する
予約までの問い合わせや宿泊当日の連絡などもホスト自身で対応しなければなりません。
ましてや、世界中の人々がゲストとなるわけです。日本の時間におかまいなく連絡が入ります。急にキャンセルされてしまうこともあって、対応に苦慮することがしばしばです。
民泊経営を副業として行う場合には特に、ゲストとの直接のやり取りが苦痛になってしまいます。日本の文化では常識と考えられることであっても、海外の人にはまったく通じないこともあります。
ゲストとのコミュニケーションは楽しみにもなる一方で、ストレスにもなりかねないという二面性があります。
ゲストが部屋を乱暴に使用してしまう
部屋中を散らかされたあげく、テレビなどの備品を壊されたという報告がなされています。大人数でパーティーをしてそのまま散らかしっぱなしという例もあるようです。
常識を超える利用をされてしまうと、その分だけメンテナンス費用がかさむことになります。ホストがすべてを負担していてはお財布が持ちませんので、理不尽な使われ方をされている場合は、さきほど取り上げた保証金制度を利用してください。
近隣トラブルがあとを絶たない
民泊の物件は一般的な住宅ですから、ホテルや旅館と違い、不特定多数の人が入れ代わり立ち代わり入ってくることが想定されていません。
たとえば、あなたが住んでいるマンションの隣の部屋に異なる外国人が頻繁に出入りすることを考えてみてください。
いつも同じ人がいるならまだしも、毎日、異なる多数の人がやってくるのです。安全面やセキュリティ面について不安を感じてしまうのも簡単に想像できるでしょう。
また、騒音やゴミ問題など、文化の違いによる近隣トラブルも多数報告されています。
日本人からしたら非常識な時間帯にどんちゃん騒ぎをされたら、周囲の住民にとってはただの迷惑行為でしかありません。それがクレームとしてホストに降りかかり、対応が必要になるわけです。
必要な費用、経費
やはり、ここが一番気になるところだと思います。民泊経営にまつわるお金の話です。
初期費用
Airbnbに登録するのは無料ですが、大きなコストとなるのが物件の費用です。どういった物件でもAirbnbに適しているわけではありませんので、物件の見極めが重要です。
顧客が訪日客中心であれば、交通アクセスのよいところであったり、訪日客が訪れる観光地の近くであったりするとベストでしょう。
物件にかかる初期費用は多くの要素によって左右されますので、いくらかかると断定することはできません。一軒家かマンションでも随分と変わりますし、立地によってもピンキリです。賃貸か購入の違いでも大きな差がでます。
それに加えて、部屋を整えるメンテナンス費用があります。テレビや冷蔵庫を揃えれば最低限の生活空間になりますし、ベッドやテーブルなどの備品も用意したほうがいいでしょう。人が住むための空間をつくるので、数百万円程度のまとまった初期費用を覚悟してください。
ランニングコスト
運営中にかかるランニングコストとしても、物件にかかる費用が最も大きな負担となります。賃貸であれば賃料、購入物件であればローンの返済です。
それに加えて、水道や電気代といった光熱費、トイレットペーパーなどの消耗品費など、部屋を綺麗に整えるためのお金がかかります。ひとり暮らしの経験がある人だとイメージしやすいと思います。
不動産投資としてAirbnbを使うのであれば、ビジネスとしての側面を無視することはできません。事前の経済的なシミュレーションが重要ですし、運営中も料金の設定やネット上での宣伝といった臨機応変な対応が求められます。
また、すべてをホストひとりで行うには限界があります。特に複数のリスティングを提供するとなると、日々の清掃や管理が追い付きません。
そのような場合には、代行業者の活用も検討してみましょう。委託費用がかかりますが、儲けを広げていくためには必要なランニングコストです。外部の力を上手に活用することで、収益も拡大できます。
Airbnbのリスク、トラブルについて
これまでの民泊は、どちらかと言うとリスクやトラブルがクローズアップされがちでした。トラブルの内容そのものが大きく、対処をするのが重い負担としてのしかかるものばかりだからです。
民泊経営を始めるには、起こり得るトラブルの内容を理解して対策をたてておかなければなりません。トラブルの具体的な内容を知っておけば、ある程度の対策ができます。
ゲストとのトラブル
日本人なら言わなくてもわかってくれることであっても、ゲストが外国人であるがゆえに理解がなく、トラブルに発展してしまうことがあります。もちろん外国人を差別しているわけではなく、日本人とは異なる考え方や生活習慣を持っているという意味においてです。
たとえば、時間についての考え方が異なります。予約をしてくれたゲストを待っていてもいっこうに現れず、予定していた到着時間を大幅に超えてしまっても連絡がないことがあります。
ホストとしてはやきもきしてしまいますが、外国人からすればなんとも思わない普通のことであり、罪悪感がまったくない場合もあります。
外国人は時間におおらかな性格の人が多いので、時間厳守を基本とする日本人の感覚と異なります。文化の違いと割り切っておけばストレスもたまらないかもしれませんが、時間の感覚が違うことは、ある程度、覚悟しておきましょう。
さらに、急に予約をキャンセルされることもあります。慣れない日本にやってきたゲストが迷ってしまい、物件にたどりつくことなく、そのまま予約がキャンセルされてしまうこともあります。
外国人に限らず日本人であっても、ホストへの連絡が滞ることはなんらかのトラブルへの呼び水となってしまいます。せめて緊急時の連絡くらいは欲しいものです。
言葉の壁によりコミュニケーションが難しい
これらのトラブルを回避するためには、事前に十分なコミュニケーションをとることが必要です。地図をあげるのはもちろんのこと、集合時間の確認やなにかあったときの連絡の徹底など、ちょっとしつこいくらいのやり取りをしておいたほうがいいかもしれません。
しかし、ここでもまたひとつの問題があります。コミュニケーションを取りたくても、ゲストが使う言語に日本語が通じないのです。この言語の問題は大きなストレスとなり、トラブルが起きる要因ともなります。
訪日客は英語を使えることが多いので、最低限、日常英会話が理解できるくらいの英語力は身に付けておきたいところです。世界中からゲストがやってきますので、英語でも不十分なことがあるのは致し方ありません。
ゲストの母国語が得意なホストであれば問題ありませんが、言語に自信がない人は、翻訳を代行してくれるサービスを活用したほうがいいでしょう。そうすれば、すくなくとも言語の違いによる誤解は生じにくくなります。日本語が通じないがゆえに起こるトラブルが起こりやすくなっていますので気を付けてください。
部屋に関するトラブル
部屋に関するトラブルとして多いのが、大量のゴミをそのまま放置されることです。日本に買い物目的で来ている外国人が「爆買い」をして、商品の中身だけを持っていき、たくさんのパッケージをそのまま部屋に置いていくという事例が報告されています。
また、部屋の使用ルールを破られてしまう例もあるようです。たとえば、禁煙というルールを設定しているにも関わらず、ベランダでタバコを吸われてしまって部屋にもヤニの臭いがついてしまうというトラブルもあります。
禁煙の部屋を好む人が多くなっていますから、タバコの臭いがしみついてしまうのは経営上も避けたいものです。
部屋の使用方法については、周知徹底をして守ってもらうしかありません。事前にしっかりとしたコミュニケーションを取って、ルールを丁寧に説明して理解してもらうことが必要です。
よくある失敗例
住宅として利用されている物件は、基本的に民泊が想定されていません。もちろん、友人や知人を泊めてあげるのは問題がないと思います。
しかし、貸物件には利用規約があり、「無断転貸」、いわゆる「又貸し」が禁止されているのが一般的です。不特定多数の人に部屋を貸すことは考えられておらず、貸主が物件オーナーに無断で他の人に部屋を貸してはいけないことになっているのです。
民泊というのは部屋を不特定多数の宿泊者に貸す行為なのですから、「友人を泊めるのと同じで転貸には当たらない」と言うのはちょっと苦しい言い訳です。そういうわけで、賃貸物件での民泊は、基本的には規約違反にあたる可能性が高くなります。
そのような懸念があるにも関わらず、物件オーナーに内緒で民泊経営をしているケースがあり、問題視されるまでに至っています。オーナーに民泊経営の許可を取ろうとしても下りるわけがないので、オーナーに黙ったまま不特定多数の宿泊者を受け入れている人もいます。
当然のことながら、いつかはバレます。部屋に滞在するゲストが大騒ぎをして騒音を発生させたり、ゴミのルールを守らなかったりすれば、近隣住民や、その賃貸物件に住んでいる他の住民が不審に思います。そして、物件のオーナーに苦情が入ってしまいます。
部屋が借りれなくなる場合も
物件のオーナーに苦情が入り、規約違反として賃貸契約が解除されれば、もちろん民泊経営自体ができなくなってしまいます。
そもそも規約違反なのですが、もし仮に民泊をはじめてまもなくこのような事態となってしまえば、初期費用の回収さえままなりませんし、その後、近隣で部屋を借りることが難しくなるほどに信用を失ってしまうことにもなりかねません。
未だにまだまだ横行しているようですが、転貸が禁止されている賃貸物件において、オーナーに無断で民泊経営をするのは避けるべきです。
最近では民泊についての理解が広まりつつあり、民泊の経済効果をより高めようと動きがあります。行政にも民泊を広げていこうという機運が高まっていて、合法的に民泊が認められる「民泊特区」の指定が始まっています。さらに、民泊を奨励する専用物件も大手企業から販売されてもいます。
賃貸物件で民泊経営をするなら、そのような専用物件を使ったり、事前にオーナーから許可を得るなど、堂々と民泊経営をできるようにしたほうが、あとあとのリスク回避につながることを覚えておいてください。
民泊経営を始めるまでの流れ
Airbnb民泊経営を始めるまでの準備を解説します。端的には、貸し出すための部屋を用意してサイトに登録するという流れで、それほど難しいことはありません。項目別に細かく見ていくことにしましょう。
Airbnbのアカウントをつくる
Airbnbに登録しないことからすべてが始まります。フェイスブックやグーグルといった、他のサイトのアカウントと連携することもできるので、手間が省けてとても簡単です。
どちらも登録していない、またはソーシャルメディアとの連携が嫌な場合には、メールアドレスでも登録ができます。その際には、メールアドレスの他に氏名、パスワード、生年月日を記載する必要があります。
フェイスブックに登録しておけば、ゲストとのやり取りができますし、友達登録をしておけば、宿泊が終わったあとのつながりができます。どんなホストなのかを知ってもらうツールとしても大活躍します。
そういった意味では、フェイスブックにおけるマーケティング的な側面もあるので、ぜひとも登録して最大限に活用してほしいところではあります。
オーナーの顔写真を記載する
貸し出す物件のオーナーであるあなたの顔写真を登録します。
「写真をアップロード」というボタンを押して設定したい写真を選ぶだけです。お気に入りの写真がない人は、事前に撮影するか、これまでに取った自分の写真の中から選んでおき、登録をする端末に保存しておいてください。
フェイスブックのアカウントで登録した人は、フェイスブックに載せてある顔写真を選択することもできます。
もちろん、ホストの顔が載っている写真でなければいけないというルールはありません。しかし、Airbnbのゲストはホストの人となりを知りたがっています。どんな人かがわからない部屋を借りたがらない傾向にあります。
どんな人がホストなのかという疑念は怪しさにつながってしまうわけです。それよりも、貸主がはっきりとしていたほうが透明性が高く、安心できます。
部屋を探しているゲストは、どんなホストなのかがしっかりと説明されている部屋を利用したいと考えますから、ホストの顔写真の雰囲気から受ける印象は非常に大切なのです。
そんなわけで、ホストの顔写真を載せておいたほうがゲストに選んでもらいやすくなるため、なるべく顔写真を使うことをおすすめしています。
だからと言って、証明写真のような堅い表情では、せっかく顔写真を使う意味がありません。あなたらしさがにじみ出ている顔写真を使いましょう。
電話番号を認証する
次の画面で登録する電話番号がホストからの連絡先となります。このタイミングでなく、あとからでも登録できますが、電話番号は必須事項のため、ここで登録してしまいましょう。
電話番号の入力欄の頭に、「+81」と書かれています。これは「国番号」で、日本に有りあてられている数字です。
海外から日本に電話をかける際には、電話番号の最初の「0」を「81」に変えなければなりません。
そのため、電話番号の入力欄には、あなたの電話番号の最初の「0」を抜いてください。「090」で始まる携帯電話であれば、「90」から記載してください。
Airbnbは世界中の人々を対象とサービスなので、海外からの連絡も想定されているわけです。
メールアドレスの認証をする
さきほど登録したメールアドレスにAirbnbからメールが届いているので確認しましょう。そのメールには「メールアドレスを確認」というボタンがありますのでクリックしてください。
以上で、ホストとしての情報登録が完了しました。次からは、リスティングの情報を細かく書いていくことになります。
リスティングについて、住所などの基本情報を登録する
次に遷移する画面から物件の基本情報を入力していきます。この画面にある「続行」というボタンを押すと、住所入力に移ります。「居住地はどこですか」など、Airbnbが丁寧にガイドしてくれますので、案内にしたがって入力していってください。
尚、予約が確定していないゲストに対して、リスティングの場所が特定できる住所が公開されることはありません。当然ですが、予約をしてくれたゲストには住所が開示されます。
国、郵便番号、都道府県、市区町村など、画面内の空欄を埋めていきます。海外からのゲストにアピールするために、住所を英語で書いてもOKです。
物件のタイプを登録する
「まるまる貸切」、「個室」、「シェアルーム」の中から、部屋のタイプを選びます。
名称だけだと区別が分かりにくいので、このタイプを登録する画面に書かれているタイプの説明を引用します。
- 「まるまる貸切」・・・離れも含めて、住空間をまるごと貸切るパターン。
- 「個室」・・・住まいは一部供用ですが、就寝時は自室に引きあげてひとりになれます。
- 「シェアルーム」・・・ゲストには自分用の個室はありません。
たとえば、あなたが今住んでいる自宅を貸す場合、ホスト用の一室(寝室)を貸し出せるのであれば「個室」、ワンルームなどで、寝室も共用するのであれば「シェアルーム」となります。
受け入れ可能なゲストの人数を登録する
次のステップでは、「ゲストが使えるベッドルーム数」、「ゲストが使えるベッド数」、「ベッドの種類」、「泊まれるゲストの人数」を記載していきます。
アメニティや設備を選択する
「必需品(タオル、シーツ、石鹸、トイレットペーパー)」、「Wi-Fi」、「シャンプー」、「クローゼット/タンス」などの項目がありますので、用意できるものを選択していってください。
この画面では、「ホストが利用できるアメニティや設備」を選んでいってください。たとえ部屋にあるものであっても、使ってほしくないものにはチェックを入れないでおくと、ホストが使用できないものとして認識してくれます。
これで基本情報の入力は終わりです。
物件の写真を登録する
ここからは、「ステップ2」に進みます。「準備しよう」の「続行」ボタンをクリックして、写真をアップロードしていきます。複数枚の写真を掲載できますので、部屋の魅力が伝わる写真を載せてください。
Airbnbのサイト上であなたの部屋をアピールするために、この写真は非常に重要な情報となります。言葉で説明するよりもわかりやすく、部屋の雰囲気を伝えることができるからです。
写真の出来によってゲストが興味を持ってくれるかどうかが決まると言っても過言ではありません。それほどまでに写真が重要だということを強くしてください。
どんな部屋なのかが分からないと意味がありませんから、部屋を貸す状況とは全く異なる写真だとクレームの原因となるので注意しましょう。
撮影する前に部屋を掃除するのは当然ですが、いつも以上に綺麗に見せようとしたり、普段は置いていないものやゲストが使えないものを撮影したりすると、誤解を招いてしまいます。写真はあくまでも、ありのままのイメージを伝えるツールだと心得てください。
また、どんなアメニティがあるのかを写しておくのもポイントです。たとえば、どんなベッドかを言葉で説明するよりも、一枚の写真のほうが伝わりやすいものです。
使用できるアメニティや設備は、ゲストへのアピール材料となります。多少面倒に感じたとしても、しっかりと写しておきましょう。
写真撮影のコツは、自分がゲストになったとして、どんな情報が欲しいのかを考えてみることです。ホストとしては普段なにげなく使っている脱衣所やトイレであっても、泊まる人にとっては清潔具合がとても気になるでしょう。
綺麗になっている状態を写真情報として提供してあげれば、それだけでもゲストが選んでくれる要素となるのです。
物件に名前(タイトル)を付ける
続いても、写真と同様に勝負どころとなります。単なる名称ではなく、部屋を探しているゲストにアピールするためのキャッチコピーのようなものだと考えてください。
タイトルに盛り込むべきなのは、物件の長所です。どんなタイトルにすればいいのかが分からな場合には、ゲストに対してどのような価値を提供できるのかをピックアップしてみましょう。
たとえば、周辺環境のよさが盛り込むべきポイントです。駅や観光スポットからの距離が近いのは、非常に大きな武器となります。
「○○駅から徒歩5分」、「浅草雷門、スカイツリーが見える」などなどです。
Airbnbは、日本を訪れる外国人の利用が多くなっています。そのため、日本を代表する観光スポットが近くにあると、Airbnbの中でも目立つ存在となります。
また、物件にある特筆すべき特徴も記載するべきです。壮大な景色が楽しめるロケーションや、ガラス張りのシャワールームなど、他にはない特徴があれば、タイトルに盛り込まないと損です。
物件に関する情報入力はこれで終わりです。
予約リクエストについて、必要事項を登録する
ここまでくれば、あと一息です。
「今までお部屋を貸したことはありますか?」というホスティング経験の有無、ホストとしての活動をどれだけできるかを「泊めたい頻度」にある選択項目から選んでください。
宿泊カレンダーを設定する
予約可能な日時、最低・最大宿泊日数、宿泊の何日前に予約すればいいのかなど、必要事項を記載してください。
あとで変更がききますから、とりあえずの設定で大丈夫です。
宿泊料金を設定する
「変動型料金(スマートプライシング)」と「固定型料金」のふたつから設定が可能です。
固定型料金では、任意の宿泊料金を設定することができます。周辺の相場や収益を考えて設定するしかないのですが、いくらなら借りてくれるのかは、物件の環境や部屋のタイプなど、さまざまな条件によって変わってきますので、正確な予測は困難です。
まずは安めの宿泊料金を設定して、様子を見ながら調整していくといいと思います。経験を積みながら、適正な料金を探ってみてください。
いくらにすればいいのか迷っているのであれば、スマートプライシングを使ってみてください。スマートプライシングは、ネットの新興サービスならではのもので、とても面白い仕組みです。
変動型料金(スマートプライシング)とは、周辺の需要や予約履歴、アメニティや設備の状況などのデータを勘案し、自動で料金を設定してくれるシステムのことです。自分で決めるのは料金の幅です。
「宿泊料金の最低料金」、「宿泊料金の最高料金」、「受け入れたい宿泊客の数」の3つを設定するだけでスマートプライシングが利用できます。最低料金と最高料金をいくらにすればいいかわからないのであれば、表示されるおすすめ料金で試してみてください。
受け入れたい宿泊客数を多くすれば宿泊料金は安めに設定されます。この逆で、頻度を少なくしたいのであれば高めの料金になるようです。
あとは、Airbnbが勝手に価格を決めてくれるのでお任せです。Airbnbが勝手に設定してくれる料金の変動を見るだけでも、自物件に関するデータの蓄積になると思います。
不動産投資で儲けるには、料金設定が重要な意味を持ちます。始めて間もないうちは、どのように価格を決めればいいかわからず手探りになってしまうのは致し方ないでしょう。
そんな時はぜひ、スマートプライシングを試してみてください。自分で価格を決めるよりも、合理的に価格を設定してくれます。Airbnbが自動で決めてくれるからと言っても、手数料がかかるわけではないのも嬉しい点です。
Airbnbは旅館業法に違反しているのか?
徐々に一般的になりつつある民泊なのですが、実は、法律的に問題があるかどうかが議論されています。ホテルや旅館を経営するには行政の許可が必要となりますが、一方の民泊は基本的に申請などが必要なく、サイトに登録するだけで行えてしまいます。
旅館業法で定められた許可を得ずに旅館業を営むと法律違反となりますから、「Airbnbは旅館業にあたるのかどうか」ということが問題となるのです。
要するに、Airbnbが旅館業でなければ法律に違反しないのですが、旅館業であれば無許可営業は法律違反だということになります。
民泊はそもそも「旅館業かどうか」が問題なのですが、単純に考えるのであれば、お金をもらって不特定多数の人を泊める以上、旅館業に近いと言わざるを得ず、旅館業とはまったくの無関係とは言えないでしょう。
旅館業法では、許可が必要な旅館業を「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。旅館やホテルを営むのは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」にあたりますから、旅館業法に基づいた許可が必要になります。
旅館業法の適用がないとするならば、旅館とホテルとの違いを明確に説明しなければなりません。ですが、うまく説明できる人はいるでしょうか。民泊も「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」には変わりありません。民泊もホテルも、やっていることは同じです。
そうだとすれば、許可がない民泊経営はすべて違反ということになって、誰も民泊経営をすることはできなくなります。
しかし、このように多くの人が民泊経営をできているのは、実際のところ、まだしっかりとしたルールができあがっておらず、現行の旅館業法が実態に追い付いていない状態だからだと言えます。旅館業法が想定している旅館業は、現在の民泊経営はまったく頭にないからです。
行政としても実態が把握しきれていないのが実情でしょう。この曖昧なあたりが、民泊経営がグレーゾーンと言われるゆえんです。
2020年に向けて民泊の法律ができる?
Airbnbの誕生によって急速な広まりを見せる民泊ですが、日本で定着させるためには実態に即した前向きなルールづくりが不可欠です。
今後の方向性としては、無理に法律違反とするのではなく、民泊特区を設置するなどして、民泊を合法化しようという考えが大勢を占めています。
特区内で申請すれば、民泊が明確に旅館業法の適用外となるので、その地域では、安心して民泊経営ができます。
また、日本は宿泊施設が足りておらず、その問題解決方法のひとつとして、民泊を活かせないかとも言われています。
2020年の東京オリンピック開催時には今よりも多くの訪日客の受け入れが必要となることから、民泊によって宿泊施設の不足を解消しようという話もあります。そういった事情もあるので、まだまだ足りていない民泊関連の法整備もオリンピック前までにはある程度固まってくるはずです。
民泊に関する法律ができると言ってもそこまで気にする必要はないと思います。行政のこれまでの動向を見ると、民泊を規制すると言うよりも、どちらかと言うと、民泊を邪魔している法律そのものを変えていこうという流れにあるからです。
特区の設置からも分かる通り、すでに利用者が増えている民泊を一網打尽に禁止するよりも、有効な経済活動として認めたほうが得策でしょう。
許可制などのなんらかの規制ができるかもしれませんが、ガチガチに禁止されるという事態にはならず、今後はこのグレーゾーン状態が解消されて合法化の方向に向かっていくと思います。特区として例外的に合法とするだけでなく、全国で通用する抜本的なルールを早くつくってほしいものです。
まとめ
民泊経営をきっかけとして世界中の人々とつながれるのは、インターネットサービスならではの魅力で、今までの不動産投資にはなかったものです。それは同時に、日本だけでなく地球上がマーケットになることを意味します。こんなにもスケールの大きな不動産投資は、他には見当たらないでしょう。
Airbnbの誕生は、日本における不動産投資に「訪日外国人」という新たな顧客層をもたらしました。日本は観光資源が豊富な国ですし、新たなおもてなし文化の海外発信という意味においても、民泊にかかる期待が今後もますます大きくなっていきます。
関連する法整備など、まだまだ不透明な部分はありますが、見逃せないビジネスチャンスであることは間違いありません。
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