ソーラーパネルを比較する際の変換効率について

ソーラーパネルや太陽電池モジュールといった様々な表現で呼ばれる太陽光パネルは太陽光発電の要とも言うべき部分で、メーカーが公表している最大出力量の大きさによって発電できる電気量が決まってきます。

よって、多くの電気を太陽光パネルで作るには、この太陽光パネルの出力量の大きさが重要なポイントとなります。しかし、公表されている最大出力量の電気が作り出せるわけではありません。太陽光パネルは受ける光エネルギーを100%電気エネルギーに変換することはできないからです。

そしてより多くの発電量を得るためにさらに重要になってくるのが、どれくらい効率よく光エネルギーを電気エネルギーに変換できるのかを表すモジュール変換効率で、変換効率の高い太陽光パネルほど高い発電量が見込めます。

そこで今回は気になる太陽光パネルの変換効率に焦点を絞って解説していきます。売電ビジネスを行う方には特に欠かせない知識となってくるので、より良い売電収益を得るためにもしっかりと理解するようにしてください。

パネルの変換効率について

太陽光発電システムの変換効率を理解する上で覚えておいて欲しいのは、実際に得られる電気量の大きさは下記2つの部分の変換効率が影響してくるという点です。

  • 太陽光パネル
  • パワーコンディショナー

太陽光パネルが受けた光エネルギーを電気エネルギーとする際の変換効率と、その光エネルギーをパーワーコンディショナーで利用できる形に変える際の変換効率の大きさが、実際に得られる電気量に影響してきます。

よって、最終的にできるだけ高い発電量を得るためには、この2つの部分にできるだけ高い変換効率が求められます。そしてさらに太陽光パネルでは変換効率を考える上で、下記2つの部分に性能の高さが求められます。

  • モジュール
  • セル

それではこれら2つの変換効率について解説していきましょう。

モジュールの変換効率

冒頭で言ったように太陽光パネルの発電効率を示すのがモジュール変換効率です。

太陽光発電システムの発電能力は「太陽光パネル1枚の最大出力量 × 設置パネル枚数」で算出することができます。

よって、パネル1枚の最大出力量が250Wでそのパネルが300枚設置された太陽光発電システムの発電能力は「250W × 300枚 = 75KW」となります。

しかし、太陽光パネルは公表している目一杯の出力量を発電できるわけではありません。現在のところ光エネルギーを電気エネルギーに変換できる最高レベルと言われているのが31.17%で期待値を大きく下回るのが実情です。

しかもこの最高レベルの発電効率を誇る太陽子パネルは工業用に開発されたものであり、その高コストから一般向けの商品としては流通していません。現在流通している太陽子パネルのモジュール変換効率は13%から20%が一般的で、さらに低い変換効率となっています。

セルの変換効率

また先程から出てくるモジュールとはセルを連結してパネル状にしたもので、太陽光パネルのことを指します。そしてセルとは太陽光電池の最小単位の素子であり、パネル1枚に70枚前後のセルが並び太陽光パネルを構成しています。

ということはモジュール変換効率はこのセルの変換効率の高さによって決定されることになります。セル単体の変換効率が高ければ、最終的に太陽光パネル全体のモジュール変換効率が高くなってくるといった具合です。

セルの変換効率は素材によって違う

現在セルの素材として使用されているのは下記の4つに分類されます。

  • シリコン系
  • 化合物系
  • 有機系
  • 有機無機ハイブリッド系

そしてこの中でも最も高い普及率を上げているのがシリコン系で、中でも結晶シリコン系が世界市場の90%を占めていることからも、普段目にする太陽光パネルは大抵がこの結晶シリコン系となってきます。

また、この結晶シリコン系も下記の2つに分類できます。

  • 単結晶
  • 多結晶

どちらも原料はケイ石と呼ばれる鉱物ですが、単結晶は一枚版で壊れにくく耐久性が高い上、高い発電効率を示しますが高コスト、多結晶は単結晶の製造過程で発生した不要な結晶を集めたため耐久性と発電効率は単結晶よりも劣るものの低コストなのが特徴です。

よって、太陽光パネルが広範囲において他枚数必要となる産業用にはコストパフォーマンスを重視した多結晶、少ない枚数ですむ住宅には単結晶が主に使用されています。

単結晶のセル単位での発電効率は26%を超える高い数値を実現しており、それよりも劣る多結晶でも近年のえ資産技術の向上により、一般的な数値を上回るパフォーマンスを実現していることもあり、今後もさらなる技術革新が期待できます。

メーカー別パネルの特徴

それでは太陽光パネルの変換効率について理解してもらったところで、実際に市販されているメーカーのパネルの特徴について見ていくことにしましょう。

ソーラーフロンティア

ソーラーフロンティアの太陽光パネルの特徴は下記の2つです。

  • CIS太陽電池の採用
  • 安心の長期保証

ソーラーフロンティアは太陽光パネルの出力保証が業界トップクラスの20年と陶器に渡る保証となっており、その品質の高さが伺えます。しかし、この太陽光パネルで注目してもらいたいのは、セルが結晶シリコン系ではなく、CIS太陽電池の採用が採用されている点です。

CIS太陽電池は結晶シリコン系と比べると下記のメリットがあり、高い変換効率が期待できます。

  • 結晶シリコン系と比べ高温時の出力ロスが少ない
  • 結晶シリコン系と比べ部分的な影の影響が少ない

また、太陽光に当てると初期値よりも出力が上がるという性質も見逃せません。結晶シリコン系が大半を占める中、それよりも高い変換効率が期待できる点は大きな差別化ポイントとなってくるでしょう。

参考:ソーラーフロンティア

シャープ

太陽光発電のパイオニアとも呼ばれるシャープの太陽光パネルの特徴は下記の2つです。

  • ラインナップが豊富
  • アフターフォローに重点を置いている唯一のメーカー

以前は多結晶シリコン系の販売が中心でしたが、今では高性能の単結晶シリコン系の販売にも携わり、用途に応じて松竹梅とクラス分けできる16種類のラインナップを揃えています。これはニーズに応じた太陽光パネルが必ず見つかるという大きな安心感があります。

またその安心感をさらに高めているのが、WEBモニタリングサービスによるアフターフォローの無料提供です。シャープの専門センターが下記のような監視を常時行い、毎月定期レポートを出してくれるのも見逃せません。

  • 日々の発電量チェック
  • 同地域の同システム設置先とのデータ比較
  • 発電量が落ちた際の連絡と対応

参考:シャープ

パナソニック

パナソニックの太陽光パネルの特徴は下記の2つです。

  • 高性能パネルHIT
  • 高性能なのに割安

太陽光発電システムの販売市場においてはパナソニックは高性能なのに割安というイメージが定着しています。よって、そのラインを狙うのならばパナソニックを選択先として検討する価値はあるでしょう。

またその高性能と言われる由縁がアモルファスシリコンと単結晶シリコンのハイブリッド太陽光パネルHITをはじめとする高性能商品がラインナップされている点でしょう。HITは結晶シリコン系のデメリットである高温時の出力ロスを解消することで、高い発電量を得ることに成功しています。

参考:パナソニック

実際の発電量がシミュレーションと違う原因

太陽光発電システムを導入する際には、その発電量をシミュレーションしてシステム構成を決めることとなります。しかし、実際の発電量はシミュレーション数値と同じとなるケースはほとんどありません。

確かにシステム性能を考慮したシミュレーションならば、実際の数値に近いものが導かれるはずなのですが、太陽光発電はシステム性能だけが発電量を左右するわけではありません。下記のような要因が発電量に大きく影響してくるからです。

  • システムの経年劣化
  • パネル表面に積もった汚れ
  • パネル表面や内部の劣化

太陽光発電システムはメンテナンスフリーと言われることも多いのですが、実際のところシステム性能をできるだけ維持した状態を継続することが一番重要なポイントとなってきます。

日頃のメンテナンスにより性能劣化が防げるだけでなく、経年劣化も抑えることができます。よって、メンテナンスフリーという言葉に惑わされることなく、日頃の定期的なメンテナンスは欠かすことができません。

他にも結晶シリコン系の性質である高温時の出力ロスや、電力会社の対応が必要になる電圧上昇抑制、そして気象的問題など避けては通れない要因もありますが、まずはシミュレーション値により近い発電量を得るためには、対応策の取れるメンテナンスを心がけるようにしましょう。

まとめ

太陽光発電でできるだけ高い発電量を望むのであれば、まずは高い変換効率を持つシステムの導入が必要になってきます。一般的には高い変換効率であればあるほど高コストとなってくるため、費用対効果を計算した上での選択となってきますが、高い発電量を望むのであればこの点は避けて通ることはできません。

設置するのが住宅利用かビジネス目的かによって用意できる資金も違ってくるかと思いますが、適材適所の太陽光発電となるように今回解説した内容を参考に製品選びに取り組んでみてください。

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