車と駐車場の需要は?駐車場経営の将来性について

車と駐車場の需要は?駐車場経営の将来性について

現在まったく利用していない遊休地をうまく活用したいとなれば、まず浮かんでくるのが駐車場経営ではないでしょうか。最近は特に駐車場経営の勧誘広告が多くなっていることもあり、土地活用を考えている人ならば一度は検討したことでしょう。

そこで気になってくるのが駐車場経営の将来性、現在はあちこちに多くのコインパーキングが造られ、有効な土地活用方法としても様々なメディアで紹介されているため、「今から始めても遅いんじゃないか」、「供給過多状態となってしまうんじゃないか」など心配になってくる点は少なくないでしょう。

ですがそんな心配はいりません。駐車場は供給過多になるどころか、未だに全く足りていない状態なのが実情です。そこで今回は駐車場経営の将来性を占う上で重要になってくるポイントをピックアップして解説していきます。

駐車場経営の将来性

駐車場経営の将来性を占う上で重要になってくるのが下記の2点です。

  • 車の保有台数
  • 駐車場の整備状況

駐車場を造っても車の保有台数が減少傾向にあれば駐車場経営に将来性は期待できませんし、現状の駐車場の整備状況が十分であるのならば、これも供給過多となり同様に将来性は期待できません。

そこで現状がどうなっているのが、まずはこの2点の状況を見ていきましょう。

車の保有台数の推移

現在の日本が高齢化社会であることは言うまでもありませんが、問題ないのはその状況が深刻化しているという点です。統計局ホームページの発表では、2013年時点で65歳を超える高齢者割合は総人口の約19%で、2025年には25%にまで上がると予測されています。

また、さらに深刻なのが人口の減少です。2050年には1億人を切り、1965年時点とほぼ変わらない約9,700万人にまで減少する見込みとなっています。

これではきっと車の保有台数は年々減少傾向にあるのではと考えるのが普通ですが、実は車の保有台数は減少するどころか、年々増加しているのが実情です。

下記が1990年からの車の保有台数の推移です。

  • 1990年 5,775万台
  • 1996年 6,874万台
  • 2001年 7,250万台
  • 2004年 7,420万台
  • 2007年 7,583万台
  • 2010年 7,514万台
  • 2012年 7,608万台
  • 2014年 8,027万台

※一般社団法人全日本駐車協会のデータを参照

2000年代に入ってからは1990年代のような大幅な増加は見られませんが、2017年には約8,100万台を記録していることからも、増加傾向が維持されていることが見て取れます。

となれば現状においては車の保有台数が減少する傾向は見られないことから、駐車場経営の将来性を懸念する1つの要因は見事にクリアできていると言えるでしょう。

駐車場整備の状況

また次に心配しなければならないのが駐車場の整備状況です。車の保有台数に対する駐車場の数がどうなっているのかは、駐車場経営を行おうと考えている人にとっては大きな心配事となってきます。

供給過多の状態ならば競合が激しくなることが予測されます。となればそれに伴う駐車料金の値下げや差別化といった経営戦略が必要になってくるので、遊休地を上手く土地活用したいと考えている素人におすすめできるものではなくなってくるでしょう。

事実、近年のコインパーキングの増加に見られるように、下記のとおり年々駐車場の車室数は増加傾向にあります。

  • 1990年 158万台
  • 1996年 238万台
  • 2001年 313万台
  • 2004年 346万台
  • 2007年 389万台
  • 2010年 436万台
  • 2012年 473万台

※一般社団法人全日本駐車協会のデータを参照

ですが注目してもらいたいのは駐車場が増加傾向にある中でも、依然として駐車場の車室数が足りていないという状況です。

車の保有台数1台に対する駐車場の数は下記のとおりです。

  • 1990年 0.027
  • 1996年 0.034
  • 2001年 0.043
  • 2004年 0.046
  • 2007年 0.051
  • 2010年 0.058
  • 2012年 0.062

※一般社団法人全日本駐車協会のデータを参照

自宅の駐車場をお持ちの人もいるので車の保有台数に対して駐車場の数が1.0を超える必要はないでしょうが、日本パーキングビジネス協会が発表した2017年度のコイン式駐車場の車室数は保有台数約8,100万台に対して約118です。この数値を見れば車に乗って出かけた際に利用できる駐車場の車室数がいかに足りていないかがお分かりいただけるでしょう。

駐車場は年々増加傾向にありますが、依然としてその数は全く足りていないのが実情です。となれば地域性や立地環境などの問題はありますが、全般的に言うと駐車場経営を始める際に駐車場の供給過多を心配する必要はないと考えていいでしょう。

違法駐車の推移

ここまで紹介した車の保有台数と駐車場の車室数の推移を見てもらえれば、駐車場経営の将来性は今の時点では安泰だと判断できます。しかも、これは経営云々よりも社会的な問題とも言えます。

駐車したくても駐車場がないという実情が生み出すのが違法駐車です。中には故意に駐車場を利用しない社会的常識が欠けた人もいますが、駐車場が利用できずに仕方なく違法駐車をせざるを得なかったという人もいるでしょう。

しかし、2006年の道路交通法の改正に伴い、駐車違反の確認を民間に委託できるようになったことで、駐車違反の取り締まりが強化されました。事実、以前と比べると違法駐車をする人は下記のように減少しています。

年度 瞬間路上駐車台数 うち違反車両
2006 81,175台 68,656台
2007 66,826台 56,359台
2008 60,161台 48,775台
2009 56,867台 45,033台
2010 58,277台 48,480台
2011 58,065台 48,181台
2012 58,465台 48,497台
2013 56,984台 47,761台
2014 58,080台 48,411台
2015 56,277台 45,271台

※一般社団法人全日本駐車協会のデータを参照(東京都特別区内における瞬間路上駐車台数の推移)

違法駐車が減少したということは、その人たちが駐車場を利用し始めたということを意味します。駐車場経営の現状は駐車場の絶対数が足りていないという状況に加え、利用者の増加という絶好のビジネスチャンスを迎えているというわけです。

駐車場経営はローリスク・ローリターン

以上のことからも駐車場経営の将来性は現状では有望という結論が導き出されます。しかし、駐車場経営は最大のメリットであるローリスクという面を持ち合わせている反面、ほかの土地活用と比べるとローリターンという面があります。

土地活用で大きな収益を上げたいと望む人にとっては物足りないものとなってくるでしょう。立地条件によっては年間1,000万円以上の利益を上げることもできますが、一般的にはローリターンであることを理解しておく必要があります。

しかし、駐車場経営は下記のようなメリットがあるので、土地活用初心者の入門編としてはおすすめの事業と言えます。

  • 初期投資費用が低コスト
  • 短期で土地の転用が可能

まずは駐車場経営で運用知識を身に付け、その後に収益性の高いマンションやアパート経営を始めるというのもいい方法でしょう。

まとめ

駐車場経営は手軽に始められる土地活用方法です。特に経営初心者にとっては始めやすい事業となってくるでしょう。しかも今回解説したように未だに需要過多の市場状況であり、将来的にも有望なビジネスと言えます。

将来性を案じられていた人は現状の状況を理解したことで大いに安心したことでしょう。ですが手軽に始められるといっても、何の準備もなしでは成功するものも成功せず、失敗に終わってしまう可能性も否めません。

そうならないためにも駐車場経営を始める際には、まずは下記のような事前準備を行い、自分で経営知識をつけることも必要です。

  • 色々な土地活用方法を比較する
  • 説明会やセミナーに参加する

やってよかったと思える駐車場経営とするためにも、事前準備は怠らないようにしましょう。

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