【必読】土地の相続手続き、必要書類と相続税まとめ

【必読】土地の相続手続き、必要書類と相続税まとめ

相続というと、事柄の性質上、普段は考える機会があまりないかもしれません。しかし、事前に知っているのと知らないのとでは、いざというときの備えが全く変わってきます。

今回は、不測の事態が起きても慌てずに済むように、土地を相続する際に知っておきたい基本的な知識をまとめてみました。

土地を相続する際の流れと期限

相続とは、亡くなった人が所有していた土地などの財産を配偶者や子供、孫が引き継ぐことを意味します。相続の対象となるのは財産一般なので、土地だけでなく、現金や建物なども含まれます。

相続が発生した際の大まかな流れとしては、「遺言書の有無の確認」で手続きの方向性が決まり、「相続登記」で相続したことを登記簿に記録。そして、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に「相続税の納付」をします。

まずは遺言書の確認を

遺言書があるかどうかが特に重要で、もし遺言書があれば内容の確認、ないのであれば相続人間で遺産分割協議を行います。

遺言書の書き方にも決まりがあり、文言や形式によっては有効な相続することを示す遺言書とはみなされず、相続登記ができないこともあり得ます。しかし、正しく遺言書が作成できているのかは被相続人に委ねるしかなく、中を見るまでは如何ともしがたいところがあります。

自筆の遺言書があれば、家庭裁判所にて「検認」を行います。検認とは、家庭裁判所が遺言書の存在や内容を確認するための手続きです。偽造や変造を防ぐ目的もあります。

いわば、世界に存在する唯一の遺言書であることを家庭裁判所に確認してもらうのです。検認を済ませた遺言書でなければ、次に説明する相続登記ができません。

自筆ではなく、公証役場で作成してもらった公正証書遺言であれば検認は必要ありません。遺言書があればその内容に従って相続の手続きが進められるため、遺言書があった方が相続手続きがスムーズです。

相続登記をお忘れなく

「相続登記」も大切なポイントです。相続登記とは簡単に言えば、法務局に申請して相続する土地の所有者情報を変更してもらうことです。法務局には、土地や建物に付いている権利を記録する登記記録があり、相続登記の申請をすることでその内容が書き換わります。

登記記録は、いわば看板のような役割を担っています。土地そのものに所有者が書かれているわけではありませんから、他の人がその土地を見ただけでは、その土地がいったい誰のものかが分かりません。登記制度を活用することで、誰が持っている土地なのかを他の人たちに示せるわけです。

相続登記を怠ってしまうと、「土地を相続した」という記録が残らない事態となってしまいます。これは、土地の所有者に関する正しい情報が登記記録に載らないことを意味します。

相続登記は、土地を相続した人に所有権が移ったことを示すための手続きです。登記記録には、所有者の他に、地番や大きさなどの情報が載っています。

もしも、相続登記が済んでいない登記記録を第三者が見たとしたらどうでしょう。亡くなった人がまだその土地を所有していると思ってしまいます。そうなると、以降の登記手続きが複雑になってしまうなど、弊害が多くあります。その他のトラブルを予防する意味でも、早めの相続登記が必須です。

相続登記には期限がない?

登記を経験したことのない人の多くが、「いつまでに相続登記を済ませればいいのか」という疑問を持ちます。

さきほどは、なるべく早めの相続登記をおすすめしました。しかし、相続登記だけでなく不動産登記そのものが義務化されているわけではなく、法律上は、登記をしてもしなくてもいいのです。

相続登記をいつまでに済ませなくてはならないという期限はなく、必要書類が揃っていればいつでも申請できます。

それなのにどうして、早めに登記を済ませたほうがいいのでしょうか。

登記をしないまま放置をしておくと、その土地の権利関係が複雑になり、いったい誰のものなのかが分からなくなってしまうからです。

たとえば、登記をせずにそのままにしておいた結果、また新たな相続が発生してしまい、相続人がどんどん増えて収集がつかなくなるケースもあります。そうなれば、遺産分割で揉める原因ともなります。

さらに、いったん遺産分割協議がまとまったあとに相続人のひとりの気が変わってしまって、もう一度協議を蒸し返されることだって考えられます。

相続登記が完了していれば、誰の所有なのかがはっきりと世の中に示されることになり、いらぬトラブルの抑止力にもなります。登記をしたにも関わらず、もっと財産が欲しいからという理由で遺産分割協議をやり直すというのでは道理が通りません。

また、未登記の土地を売却しようと思うと、売却そのものが難しくなってしまいます。誰の所有なのかが明確になっていない土地を買ってくれる人はいませんし、仮に売れたとしても、売買に伴う購入者の所有権移転登記もスムーズに進みません。

相続登記をしないデメリットは大きいものの、登記をしないメリットは皆無です。登記をしないと登録免許税を節約できますが、未登記のデメリットを考えればメリットでもなんでもありません。たとえ面倒に感じても、相続登記を避けては通れないと肝に銘じましょう。

登記申請に必要な書類と諸費用

次に、実際の登記申請に必要な書類を見ていきます。

相続人とは、土地を相続する人を指します。被相続人とは、亡くなった人のことです。

登記申請に必要な書類

  • 相続する土地の登記簿謄本 (一部600円程度)
  • 被相続人の本籍が記載されている住民票の除票(一部300円程度)
  • 被相続人の生まれたときからの戸籍(一部450円、除籍や原戸籍の場合750円)
  • 相続人全員の戸籍(一部450円)
  • 土地を相続する相続人の住民票(一部300円程度)
  • 土地の固定資産税評価証明書(所有者宛てに毎年4月頃に郵送されます。別途、役所で発行してもらうことも可能です。)
  • 検認を済ませた遺言書
遺言書がない場合
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書

登記申請時にかかる費用(登録免許税)

  • 固定資産税評価額の0.4%

相続する土地の登記簿謄本は法務局で簡単に取得することが可能です。その他の住民票や戸籍は、最寄りの役所で取得してください。

被相続人の戸籍を取得する際には、最後に住んでいた場所の役所だけでなく、以前に住んでいた場所の役所に連絡する必要が生じることもあります。ケースによってはとても手間がかかることがあってとても厄介です。

また、遺言書がない場合には、遺産分割協議書を作成する必要があります。相続人で話し合って、被相続人の財産をどのように分け合うのかを決めてから、話しあった内容を記載した書面を遺産分割協議書としてまとめます。

想像していただければわかると思いますが、この話し合い(遺産分割協議)というのがなかなか大変で、相続人どうしの揉めごとの原因となります。最悪の場合、法廷闘争にまで発展しかねません。いま盛んに遺言書の作成の重要性が叫ばれているのは、遺言書があれば財産の分け方が遺言書によって決まり、相続どうしで話し合う必要がなくなるからなのです。

もし、登記に必要な必要書類を用意する手間を省きたいのであれば、司法書士に書類の取得から申請までの実務を任せてしまいましょう。遺産分割協議書も作成してくれます。

もちろん、資料を準備する実費の他に3万円から5万円程度の司法書士報酬がかかってしまいますが、役所に行く時間をなかなかつくれない人は、司法書士に依頼すると楽に進められます。報酬に決まりはなく司法書士ごとに異なりますので、個別に確認してください。

登録免許税は、相続登記をする際に申請書に収入印紙を貼る形で納付します。収入印紙は法務局ですぐに購入できるので、事前に用意しなくても、申請時に必要な分だけ購入すれば十分です。

名義変更する際の注意点

相続登記をする前段階では、相続人をしっかりと確定させておくことが重要です。協議をしたあとに新たな相続人が出てきてしまうと、また改めて協議をしなければなりません。

たとえば、いわゆる隠し子が現れると大変です。相続人の間では、その隠し子が本当に被相続人の子なのか、というところから話が始まり、揉めに揉めることにもなります。ドラマや映画の世界ではそういった設定がありましたが、現実世界でも十分にありうることなのです。

こういった問題には被相続人の責任もあるのですが、相続登記をする前には、相続人をきちんと確定させて、相続人の間で合意形成を図ることを忘れてはなりません。

無論、相続人のひとりが勝手に書類を用意したり偽造したりして、自分の思うままに相続登記をしてしまうのは言語道断です。

相続登記は意外と簡単

相続登記は相続人だけで行うことができます。登記手続きを専門に行っている司法書士に依頼する必要は必ずしもありません。

やってみると意外に簡単ですから、時間がある人は司法書士を介さずに申請してみるといいでしょう。インターネットには登記関連の情報があふれていますし、法務局では相談コーナーがあって分からないことはなんでも教えてくれますので、気軽にチャレンジできる環境が整っています。

必要な書類を揃えることができれば、あとは書類一式を法務局に持参するだけなので、案外とあっさりした手続きです。

筆者も何度か登記申請を行ったことがあります。初めて登記申請をしたときは、本当にコレで大丈夫なのか不安がつきまとい、登記が完了するまでドキドキしたものでした。

しかし、終わってみたらあっけなかったというのが正直な感想です。それからというもの、登記の機会があるたびに司法書士には頼まず、気軽な気持ちで自分で申請をしています。

仮に書類の不備があったとしても、法務局から連絡が入り、どのように補正をすればいいのかを丁寧に教えてくれます。指示に従えばいいだけなので、とても楽ちんです。

ただし、書類の一枚目には、「どの土地についてのどんな登記をしたいのか」を一定のルールに従って記載しなければならず、そのルールを理解するのに多少手間取るかもしれません。

と言っても、法務局は非常に親切です。申請書式のひな形を法務局のホームページにアップロードしてくれています。実際の記載例や注意事項も細かく書いてあってとても便利なので、興味がある人はぜひ、どのようなものなのか見てみてください。

また、法務局では随時、登記相談を受け付けています。登記の申請について不明なところがあれば気軽に質問できて、登記官や職員が懇切丁寧に応じてくれます。相談をするには電話予約が必須の場合があるため、最寄りの法務局に問い合わせてみましょう。

ネットを参考にしながら申請書式を作成し、必要書類を集めたあとに相談予約をいれるのが効率的です。申請書類一式をチェックしてくれ、すぐに直せるところはその場で指摘してくれます。

もちろん、この相談だけで法務局の審査が完了するわけではありません。相談時に問題がないと言われても、審査の段階で改めて補正の指摘が入ることがあります。

登記を自分でするときは専門家よりも法務局を頼ろう

弁護士なら法律実務についてなんでも知っているだろうと考えて、登記のことを弁護士に相談したり、頼ったりするのはやめたほうが無難です。

筆者の経験上、登記実務に詳しい弁護士には出会ったことがありません。相続全般のプロを謳っている弁護士であっても、登記に関してはさっぱりあてになりません。「登記には詳しくない」と初めから言ってくれればまだましです。登記について、なぜか堂々と間違ったことを教えてくる弁護士もいるので要注意です。

法律家があてにならなかった話はいくつもあるのですが、中には、「登記申請から完了まで一か月程度かかる」と平気で言っている弁護士もいました。実際には、申請から一週間程度で完了します。

長くても二週間程度と言われていますので、一か月もかかることは通常では考えられません。筆者の場合も一週間で登記が完了したので、この弁護士はバツが悪そうにしていました。

尚、法務局の受付窓口には、登記の完了予定日が掲示されています。自分で申請するときには必ず確認しましょう。

また、自分で登記申請をする方法について司法書士に直接相談してもいいのですが、登記を業務として行っていますから、「相談するくらいなら依頼してよ」ということになりかねません。自分で行う登記に関する相談相手としては、司法書士はそぐわないでしょう。

これもまた筆者が経験した話ですが、弁護士を介して紹介してもらった司法書士に、法外に高い司法書士報酬を提示されたことがありました。推測に過ぎませんが、弁護士に還元する紹介料が含まれていたのでしょう。

あろうことか登記知識も乏しかったのでこの司法書士に依頼することはしませんでしたが、こちらが何も知らないと思ってふっかけてきたのかもしれません。これ以降、「専門家は頼りにならないので自分でできることは自分で済ませよう」という筆者の気持ちに拍車がかかりました。

専門家へ相談する際には、報酬の相場程度は事前に調べておいて、信頼できる専門家かどうかを自分で判断することが必須です。本サイトなどを利用して必要最低限な知識を身に付けておけば、自分を守ることにもつながります。

登記実務について相談するなら、やはり法務局が断然おすすめです。無料で教えてくれますし、初心者にもわかりやすく的確なアドバイスをしてくれます。

法務局は士業のようなビジネスではなく公的業務であることから、あくまでも申請が滞りなく進むにはどうしたらいいのかを第一に考えてくれるので信頼できます。自分で登記をする際は、法務局を頼ってください。

相続登記を自分で行うには?

登記申請はその土地の場所を管轄する法務局に対して行いますので、自分で行う相続登記は、相続する土地がどこの法務局となっているのかを調べるところから始まります。管轄に関する情報は、法務局のホームページですぐに確認できます。

特定の相続人に土地を「相続させる」と遺言書に書かれている際には、その特定の相続人だけで登記申請ができます。遺産分割協議の場合でも同様で、土地を相続する人だけでその土地の登記申請が可能です。

たとえば、「土地を長男に相続させる」という遺言書があるなら、その遺言書を添付して長男だけで登記申請できます。

複数の相続人が同じ土地をそれぞれに割り当てられて割合に応じて相続することもあり得ます。その場合には、土地を相続する人全員で申請する必要があります。でもだからと言って、全員で揃って法務局に行くわけではありません。5人の相続人がぞろぞろと法務局に行く必要はないので安心してください。

相続人の中の誰かが代表して登記をする場合は、他の相続人からの委任状をもらいます。委任状があることによって、たとえ一人しか法務局に行かなくても、全員で申請をしたことになるのです。

司法書士に依頼する場合も同様に、委任状が必須です。誰かにお任せするときには、そのことを証明するために委任状がいると覚えておいてください。

あとは、必要な書類を集め、決められた書式に従って申請書をつくって法務局に持っていくだけです。

相続税の計算方法と対策について

登記と同様にポイントとなるのが相続税です。

相続税とは、相続財産に課税される税金のことで、自らで申告しなければならず、役所が勝手に計算して納付書を送ってくれるわけではありません。

登記とは異なり、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告し納付する」という期限があるので注意してください。

自分で申告するためにはまず、相続財産の価値を調べ、相続税評価額に換算します。その価格が一定のラインを超えている場合に、相続税を納めることになります。

相続税評価額は、国税庁から発表される路線価を基準として計算します。土地の場合、基本的には「路線価×土地の面積」で求めます。

評価額が一定のライン(基礎控除額)を超えていなければ続税の申告は特に必要ないのですが、この基礎控除額が平成27年に大幅に改正されました。

<平成27年1月1日以前>
基礎控除額=5,000万円+( 1,000万円×法定相続人の数 )

<平成27年1月1日以降の相続 >
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数 )

たとえば、相続税評価額が6,200万円の土地を二人が相続するとします。

この場合、平成27年1月1日以前では相続税がかかりません。基礎控除額が5,000万円+2,000万円=7,000万円となるからです。

ところが平成27年1月1日以降は、基礎控除額が3,000万円+1,200万円=4,200万円ですから、土地の評価額は基礎控除額を超えているため、相続税が課せられます。

実際に納付する相続税を算出する際には、基礎控除額を超えている2,000万円(土地6,200万円-基礎控除額4,200万円)を基準とするのではなく、それぞれの相続人が相続する額ごとに計算していきますので、少しややこしくなります。

たとえば、二人の相続割合が1/2の場合、2,000万円を案分して1,000万円ずつを相続するものとして計算します。

1,000万円以下は相続税率が10%ですから、1,000万円×10%=100万円となり、一人分の相続税は100万円です。二人合わせて200万円の相続税がかかります。

明らかに相続税がかからないとわかっている場合は構いませんが、税務の専門家である税理士に相談して、相続税の申告が必要かどうかを確認してみると安全です。

自分で相続税がかからないと判断したにも関わらず、何らかの計算違いや遺産の把握に誤りなどによって、本来は相続税の納付が必要だったケースもあります。そういった場合には、追徴課税などのペナルティが課せられますので注意しましょう。

普通の人でも相続税対策が必要となる時代に

改正によって相続税を支払う必要のない範囲が狭くなったのですから、相続税の対象者が増えることは明らかです。今回の税制改正に伴って、特段お金持ちではない普通の人からも相続税の節税に関心が寄せられています。

これまでにも節税対策は行われてきました。しかし、相続税は基礎控除額が高かったため、被相続人のうち、わずか4.4%(平成26年度)しか対象者がおらず、普通の人はあまり気にする必要がありませんでした。

それが平成27年の改正によって、なんと倍増の8.8%が相続税の納付対象となったのです。対象が2倍になるほどに大きなインパクトのある改正であり、これからはお金持ちでなくても相続税対策をする必要が出てきています。(相続税対象者のデータは、国税庁のホームページを参照しています)

納付するための現金を所有していない場合などは、特に大変です。土地を物納するしかなかったり、税金を納付するための負担が大きくのしかかってきます。

そういったわけで、相続税への準備や適切な対策が求められています。実際にどのような対策が取れるのかを考えていきましょう。

土地を生前贈与するメリットとデメリット

主に土地を相続する場合、相続税対策として生前贈与という方法が有効だと言われています。

土地を所有している被相続人が、生きている間に相続人や第三者に対して土地を贈与してしまうのです。相続を生きている間に行うと考えるとわかりやすいでしょう。

贈与とは、お金のかかる売買とは異なり、無償で譲ってしまうことを意味します。贈与であっても特に、被相続人が所有している相続財産を生きているうちに誰かに贈与することを、「生前贈与」と言います。

相続の対象となる財産を生きている間にあげてしまうことで、相続の対象から外れます。そうすれば相続税を計算する基礎財産とはならないのですから、そのぶん、相続税が安くなるというカラクリです。

生前贈与を上手に活用すれば節税効果が出るのですが、やり方を間違えると、かえって税金が増えてしまうことがありますので要注意です。

相続税対策としての生前贈与について、メリットとデメリットを簡単にまとめてみます。

生前贈与のメリット

  • 毎年110万円まで贈与税がかからない(暦年贈与)
  • 贈与する相手を自分の意思で選べる
  • 将来的に評価が上がりそうな土地であれば有効
  • 相続時の相続人間の争いを避けられる

生前贈与のデメリット

  • 相続開始時から3年以内の生前贈与は相続の扱いになる
  • 贈与であることの証明が必要
  • やりすぎてしまうと、税務署から脱税目的と見られてしまうケースもある

一般的な生前贈与(暦年贈与)の場合、毎年110万円まで贈与税がかからないということは大きなメリットです。たとえば、1,100万円相当の土地があったとします。土地を一度に贈与すれば1,100万円に贈与税がかかってしまいます。

その一方で、110万円分ずつを毎年贈与すれば非課税となりますから、非課税で済む部分のみを徐々に贈与していけばいいわけです。極端な話ですが、110万円にあたる割合を10年かけて生前贈与すれば、最終的にはすべての持ち分を移転できます。(税務署から脱税目的とみなされないよう、やりすぎには注意が必要で、専門家の指示を仰ぐことが肝要です)

すべての割合を生前贈与しないとしても、相続財産は減ることになります。

また、贈与したことを証明するために、たとえ親族であっても贈与に関する契約書を作成しておく必要があります。税金がかからない範囲の贈与でも契約書の存在が重要になります。のちのち、万一、税務署からの指摘があったとしても証拠として機能するからです。

遺言書がない相続の場合、相続人の間で揉めてしまい被相続人の考えていた通りにはいかないことがありますが、生前贈与ならば、その心配がありません。自分の好きな相手にあげることができますし、相続時の相続人間の争いを避けることにもつながります。ただし、贈与のタイミングで他の相続人から異議が出される可能性は否定できません。

贈与税は贈与するタイミングでの評価額に課されます。将来相続が発生する段階で価値が上がると見込まれている土地の場合には、生前贈与をしたほうがいいケースがあります。価値が上がる前、評価額が低いうちに税金を払ってしまおうという考えです。

最も気を付けたいデメリットとしては、相続開始前3年以内の贈与は相続扱いとなってしまうことです。急に相続税対策をしようとしてもできないことを覚えておいてください。

2,500万円まで非課税の相続時精算課税制度

60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子供や孫への贈与の非課税枠が2,500万円までに設定され、2,500万円を超えると一律で20%の贈与税がかかるという相続時精算課税制度があります。

2,500万円まで非課税枠が広がるわけですから、一見すると暦年贈与よりも魅力的に映ります。

高額な土地を贈与する際にはこの制度の活用を検討するのもひとつの選択肢です。

仮に2,500万円の土地を贈与するとなると、なんと50%もの贈与税がかかってしまいますが、相続時精算課税制度を選択すれば非課税となるからです。

しかしながらこの相続時精算課税制度については、手続きが頓雑であることや、一度選ぶと暦年贈与はできなくなる、さらには、果たして本当に節税できるのかが不透明といったデメリットがあります。

読んで字のごとく、「相続時」に「精算」して「課税」します。相続時精算課税を選ぶと、贈与したものがまとめて相続財産になります。相続時までに贈与した土地であっても、相続時に相続財産として「精算」します。要するに、贈与税はかからないけれども、相続税の対象にはなるということです。相続時のことも頭にいれながら利用しなければならないことから、理解するのが難しい制度なのです。

相続時精算課税はとてもわかりにくく、2,500万円までは非課税というところにだけ飛びつくと、あとで後悔することになります。

この制度があまり浸透していない理由として、内容のわかりにくさがあります。暦年贈与とどちらがいいのかを検討する際には、内容の理解が欠かせません。

土地の場合は110万円以上の評価であることがほとんどなので、何年もかけて一定割合を暦年贈与するよりも、相続時精算課税制度のほうが現実的かもしれません。しかし、一般の人が正確な判断をするのは困難ですし、特別な手続きが必要となることも相続時精算課税制度のハードルを高くしています。税理士を交えて、どのような対策をするのがいいのかを話しあっておくとベストでしょう。

生前贈与の手続き方法と必要書類

生前贈与する土地の所有権移転登記をする際に必要になる書類は、以下の通りです。

必要書類

  • 登記簿謄本(法務局で取得します)
  • 権利証(贈与する人[所有者]が持っています)
  • 印鑑証明書(贈与する人)
  • 住民票(贈与を受ける人)
  • 贈与したことを証明する契約書(登記の原因となる理由を証明するために必要です)
  • 固定資産税評価証明書(所有者宛てに毎年4月頃に郵送されます。別途、役所で発行してもらうことも可能です)

生前贈与をする際には、相続と同様に、所有権移転登記を行います。登記の原因となる理由が、相続なのか贈与なのかの違いだけです。

贈与の場合でもあっても、自分での登記申請ができます。本記事の相続登記の項目を参考にしながら登記の準備を進めていってください。

生前贈与する際の税金や手数料

生前贈与を行う際には税金や手数料がかかります。

登録免許税

相続登記と同じように、贈与での登記をする際にも登録免許税がかかります。固定資産税評価額の2%なので、1,000万円の土地であれば20万円です。相続登記は0.4%であることを考えると、少し高めです。

贈与をする人かされる人、どちらが納付してもいいのですが、高額な土地の場合には無視できない金額になりますので注意してください。贈与をするかしないかを考えるときには、登録免許税のことも考慮するのがコツです。

不動産取得税

相続のときにはなかった税金です。固定資産税評価額の3%を納めます。1,000万円の土地であれば30万円ですから、決して軽くない負担です。

贈与税

基礎控除が110万円ありますが、課税価格によって10%から最高50%までの税率がかかります。

<1,000万円の土地の場合>
(1,000万円―110万円<基礎控除>)×40%<税率>―125万円<控除額>=231万円

以上が暦年課税のときにかかる税金です。合計してみましょう。

20万円(登録免許税)+30万円(不動産取得税)+231万円(贈与税)=281万円

なんと、贈与した土地の価格に3割近い税金を納める必要が出てきます。贈与に関連する税金はとても高いので、贈与をする際には基礎控除の範囲内で済むようにするなど、税金対策としての工夫が必要です。

相続税対策で贈与をしたにも関わらず結果的に贈与税が高くついた、ということもあり得るので細心の注意を払ってください。相続のほうがいいのか、贈与をしたほうがいいのかは、綿密にシミュレーションをしながら判断していきます。

今回は、わかりやすくするために、各種の特例措置を除外して考えてみました。住宅用地の贈与の場合に税金が安くなるなど、税金を軽くしてくれる制度があります。相続対策としての贈与が有効かどうかは、ケースバイケースで判断しなければなりかせん。やはり税金に関する深い知識を持っている税理士に相談するのが得策です。

まとめ

法務局の登記官に聞いた話ですが、以前と比べて自分で登記をする人が増えているそうです。やはり、登記にまつわる情報がインターネットを通じて簡単に得られる時代になったことが影響しているのだと思います。登記を専門に行っている司法書士は受難の時代かもしれません。

税金の怖さは、思いもよらずに高額になってしまうことです。どのくらいの税金がかかるのかを把握していれば心の準備もできますが、いきなり高額の税金を納めろと言われても困ってしまいます。

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