不動産投資のローンを繰り上げ返済する際のポイント

不動産投資のローンを繰り上げ返済するメリットとデメリット

不動産投資の行うときには、大半の人が金融機関からローンの融資を受けて投資を行うことになるでしょう。

キャッシュで不動産購入ができれば、当然それが一番良いのですが、不動産物件を複数購入してきたい時には、キャッシュで購入するまで貯金をするよりも、融資を多く受けて投資をしていた方が効率を良く収益を上げることもできます。

しかし融資を受けるということは債務が増えて、金利を支払う必要も多く出てくるということです。そこで、できるだけ金利の支払いを減らすため、繰り上げ返済をしていくことを検討してみましょう。

ローンの繰り上げ返済について

繰り上げ返済のメリットとデメリットについて解説していきます。まずは、メリットからです。

繰り上げ返済のメリット

不動産投資ローン用の繰り上げ返済を行うことには数多くのメリットがあります。

まず住宅ローンと比較して、不動産投資ローンは非常に金利が高いために、融資を受けた初年度は物件収入の大半が、金利支払いに終わってしまうことも多いのです。

例えば、アパート購入用に3,000万円のアパートローンの融資を受けたとします。その金利が3%だった場合、初年度は金利だけで90万円を返済することになるのです。

この3%という金利もアパートローンの方で中ではかなり条件が良い数字であり、物件の評価額が低く、借入金の割合が多い場合は、さらに金利が4%や5%などもっと高くなることもあります。

例として、アパートローンの融資を3,000万受け、返済期間が25年、金利が3%という良い条件で受けられた時でも、毎月のローン返済は初年度に限っては14万円以上になります。

一年間の返済金額が約170万円で、その中の90万円が金利の返済になるわけですから、3,000万円の融資を受けた家の80万円しか元本が減らないことになります。

ローン返済期間を長くすることは、毎月の返済額を抑えることができるのがメリットですが、そのぶん金利による支出が多いために収益性を大きく圧迫してしまいます。それは毎月元本と金利の返済を、同時に行わなければいけないからなのです。

しかし繰り上げ返済を行えば直接元本のみが返済はできるので、元本の残債を一気に多く減らすことが可能になります。これこそが繰り上げ返済を行う最大の意味です。

3000万円の融資を返済期間25年金利3%で行った場合、初年度は170万円の返済が発生しながらも、減らすことのできる元本はわずか80万円のみです。一方そこで100万円の繰り上げ返済を申し込めば、金利を一切支払う必要もなく直接元本を100万円減らせるのです。

繰り上げ返済を行うときには、毎月の負担額を少しずつ減らしていくパターンと、返済期間そのものを短縮するパターンがあります。毎月の負担額を少しずつ減らすと、返済にあてる期間が変わらない代わりに数千円ほど、毎月の支払額を減らすことができます。

ただし金利の支払回数は変わらないため、繰り上げ返済による総支払金額減少の効果はやや少なめになっています。

一方で返済期間そのものを短縮するパターンは、毎月の返済額については変わりませんが返済回数そのものを減らすので金利を支払う回数も少なくすることができます。

そのため先の例でいえば、2年目に100万円の繰り上げ返済をすると、 ローンの返済回数にして14回分、繰り上げ返済を行わないパターンと比較をすれば金利の支払いを100万円以上減らせます。

100万円の繰り上げ返済を行ったことで、さらに100万円以上の利益を自分にもたらしてくれるわけですから、投資効率でいけば200%以上の数字を残すことになります。

このようにローンの返済期間が長い場合ほど、繰り上げ返済は金利支払いを圧縮してくれるのです。

またローンの返済は元利均等だけではなく、元金均等という支払い方法もあります。こちらは元本を毎月一定の金額ずつ減らしていけるので、元本の返済も早くなるのですが、ただし元本均等とは違って、ローンの返済を始めたばかりの頃ほど、金利支払いが多く毎月の「返済負担が重くなります。

最初から物件経営が軌道に乗っていない場合には、返済が滞ってしまうリスクがあります。

元金均等を選ぶようでしたら、頭金を潤沢に用意し借入金自体を少なくした方が良いでしょう。全体的な金利支払額を減らすのでしたら、返済期間短縮の方が良いのですが、もちろん返済に充てられる資金というのはその時の状況によっても変わってきます。

期間短縮か毎月の支払金の現象にするのかは、状況に応じてそれぞれのメリットを選ぶようにしましょう。

繰り上げ返済のデメリット

一方で繰り上げ返済を行うことによるデメリットもいくつか存在します。

まずは繰り上げ返済にばかり終始してしまうと、手持ちのキャッシュフローが減少しがちになることです。キャッシュフローを全て繰り上げ返済に充ててしまう、急な支出、例えば思いもかけぬ修繕費の発生やリフォームを行う資金が無くなります。

臨機応変での対応ができなくなるために、手持ちのキャッシュフローは一定の金額は残しておきたいものです。全てのキャッシュフローを繰り上げ返済に充てるというのは、投資物件の数をそれほど持たない人でしたら有効ですが、複数の物件を投資しているという人に対してはデメリットも大きくなります。

キャッシュフローを全て繰り上げ返済にあててしまうと、 次の物件を購入するための頭金がなくなってしまうので、そのため物件の購入ペースが落ちてしまいます。つまり大きく収益を上げることができなくなるので、専業投資家の方にはおすすめできません。

さらに頻繁に繰り上げ返済を行っていると、金融機関への印象も悪くなります。 金融機関がなぜ融資をしてくれるのかと言うと、それは融資をしたお金の金利が金融機関の収入になるからです。

つまり、金融機関に対して繰り上げ返済をすればするほど、金融機関の収入が減ってしまうのです。そうなると金融機関はその債務者に対して融資を行っても、金利収入が得られなクなると判断し、融資をしてくれなくなることもあります。

金融機関の事情も考えながら、常に毎回繰り上げ返済をするのではなく融資の受けやすさも考慮して繰り上げ返済はほどほどにするようにしましょう

返済計画の立て方

ローンの返済計画を立てるには金利支出をできるだけ少なくし、それでいてキャッシュフローも確保することを考えます。金利の支出が多くなるのは、やはりローンの融資を受けた直後の時期になります。

そのため繰り上げ返済は不動産物件の経営が軌道に乗ってきた2年目や3年目だと特に大きな効果を発揮してくれるのです。

元本が減れば徐々に金利返済も減ってくるので、そうなってきたら繰り上げ返済ばかりに終始するのではなく、収益をキャッシュフローとして確保していき、また次の物件への投資資金として貯めていくのが良いでしょう。

そうすることで効率よく何度も連続して不動産投資用物件を購入していくことが可能になります。

まとめ

繰り上げ返済は金利支出を減らすのに非常に大きな効果を発揮してくれますし、投資としてみた時も投資した投資金額の200%以上の効果を発揮してくれることもあります。

ただし金融機関に対する印象が悪化してしまうこともありますし、キャッシュフローが減少してしまうリスクもあります。

物件を購入する時にはローン融資に頼りすぎるのではなく、そもそも金利支出を減らすことができるように、ある程度の自己資金を用意し有利な条件で融資を受けられるよう交渉しながら条件を整えていきましょう。


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