日本政策金融公庫から不動産投資の融資を受ける方法

アパートローンで人気の銀行は?金利相場と審査について

不動産投資を行う時の大きな悩みの一つに、「どうやって購入資金を調達するか」というものがあります。銀行などの金融機関から融資を受けるのが一般的ですが、すでに融資を受けている、金利が高いなどの事情で、金融機関から融資を受けることが難しい、また受けたくないという人もいるでしょう。

そんな時に頼りになるのが、政府系の金融機関である日本政策金融公庫です。では日本政策金融公庫から良い条件で融資を受けるにはどうしたら良いでしょうか?

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは2008年に作られた国が運営する政府系の金融機関です。出資金は100%国からのものになっています。そこから分かるように、利潤を追求する目的で設置されているのではなく、中小企業や個人の経済活動を支援すると行った目的を持って活動しているのです。低金利で事業を始めたいという人へ積極的な投資を行うことが、日本政策金融公庫の役割の一つとなっています。

日本政策金融公庫ができる2008年以前は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の3つの公庫が存在していましたが、その3つを統合して生まれたという経緯があります。

民間金融機関との違い

民間の金融機関と、日本政策金融公庫の最も大きな違いは、利率が一定かつ民間の金融機関よりも低く設定されているということです。これは日本金融公庫の目的が、利益を出していくことではなく、資金調達に苦労しやすい小さな事業者や、個人の事業活動を促進するために設けられているからです。

またもう一つの大きな特徴として、経済的弱者に表立って優遇政策を行っている点も挙げられます。具体的には「29歳未満の男性と55歳以上の男性」「全ての年齢の女性」といった、給与収入などの年収が低く、かつ平均的に事業用の資金調達が困難である属性を持つ人には、金利優遇、返済期間の優遇と言った政策を取っています。

以上のケースでは、金利が最大0.4%、そして返済期間も通常10年のものが15年まで5年も延長されます。

不動産投資ローンの融資を利用する条件

一般的なアパートローンなどの場合、金利は低金利の現在でも2,5~6%ということも多く、決して馬鹿にできない金利額になっています。金利返済だけで利益を食いつぶしてしまうこともあるでしょうし、大きなリスクにもなりかねません。

しかし、日本政策金融公庫ではもっとも安い金利で融資を受けられた場合は1.16%、高くても2.35%(2017年10月時点)と、非常に低い金利なので、資金調達にはもってこいと言えるでしょう。

もちろん誰でもすぐに利用できるわけではなく、一定の基準や用途も設定されています。まず資金を調達する目的、融資が受けられる資金用途として、事業目的ではないといけない点があります。

つまり「不動産売買による投資」のためには購入できません。「不動産賃貸業を営む」法人や個人に融資を行っています。転売目的では日本政策金融公庫の融資を受けられません。

次に購入する物件の半額に相当する評価額の担保を用意することです。日本政策金融公庫も政府系で利潤目的ではないとはいえ、組織を維持運営していくために資金回収は厳密に行えるような審査をしています。

3000万円の物件を購入したい時に、全額を日本政策金融公庫から融資を受けることはできません。担保となる物件を所有し、その担保評価額に応じて金利も決定されていきます。もちろん担保の評価額が高いほど、融資も受けやすくなり、金利も優遇されます。

3000万円の物件を購入するのであれば、少なくとも1000万円、できれば1500万円分の評価を持つ担保を用意したいところです。もし担保がなくても融資自体は受けられますが、その上限金額は非常に低くなります。

利用する際の注意点

またもう一つ注意をしていかなければいけない点として、過去に公共料金の未納などがあった場合です。そのようなことがあった場合は融資に関して非常に厳しく審査され、融資が受けられないことも多くなります。日本政策金融公庫は政府系金融機関だけに、そういった信用に関わる部分は厳正に判断されるのです。

融資の流れ

では実際に融資を受けたいと思った場合に、具体的にどんな流れで審査を申し込み、融資を行ければよいのでしょうか。

手続きの流れと必要書類

1. アポイントを取る
まずは日本政策金融公庫にアポイントを取り、担当者に面談を申し込みます。多忙な時は中々面談のアポも取りにくいですが、その間に必要書類の用意や作成を行っておきましょう。

2. 担当者との面談
アポが取れたら日本政策金融公庫の担当者にとの面談を行います。資料や事業計画書、これまでの収入性を証明する資料を持ち込み、面談で説明を行います。

3. 日本政策金融公庫の審査及び通過の連絡
面談のあとに、資料や計画、資産などを参照して、日本政策金融公庫側で融資の可否を決定していきます。およそ7~10日ほどになりますが、繁忙期などではモット時間が掛かることもあります。

4. 審査通過後に、各種契約の締結
審査が通過した場合、担当者からあなたのもとに融資についての連絡が来ます。そこで条件面を確認し、「団体信用生命保険」「抵当権設定契約」「金銭消費貸借契約」などの書面を交わして契約を行っていきます。

書面で契約を行った後に、融資が実行されます。

また融資を申し込む際に必要となる書類としては以下の様なものが挙げられます

購入する物件に係る書類

  • 建物の図面や写真
  • 売買図面や地図
  • 賃貸借契約書
  • 物件の調査報告書
  • 物件の登記謄本
  • 投資物件の特徴を表す物件概要書
  • 投資計画書

投資を行う物件の情報と、その物件を運営した場合の事業計画書を用意しましょう。同時に購入する物件の内訳や具体的にどんな物件化を記している書類も提出します。

収入に関する書類

  • 確定申告書3期分の写し
  • 会社の決算書(法人格を所有している場合)
  • 3期分の源泉徴収票

収入に関しては、個人事業主、法人でも3期分健全に経営できていることを表す書類が必要です。逆に考えれば、3期分の実績がない場合は融資を受けることが非常に厳しくなってきます。

契約に必要なもの

  • 印鑑(実印)
  • 印鑑登録証明書
  • 身分証明書の写し
  • 課税・納税証明書
  • 住民票

これらの書類は普通に不動産を売却や購入するときと大差がありません。基本的に普段から所有しているものですが、納税証明書はすぐに手にはいらないので、きちんと捨てずに保管をしておきましょう

この中の書類でも特に計画書の作成は審査や融資条件を大きく左右します。相手も融資した資金を回収できない融資をすることはありえませんから、どんな担当者の質問にも答えられるように、綿密な計画書を作成しましょう。

甘い見積もりや希望的観測に則っただけの計画は厳禁です。コンサルタントなどの指導を受けたりするのも良いでしょう。

まとめ

日本政策金融公庫は条件だけ見れば、民間の金融機関ではまずありえないような、大変な好条件の融資を受けることが可能になっています。しかし、民間の金融機関と比較した際のデメリットとして、融通の聞かない面もあり、特に融資条件に関しては、厳密に審査をしてきます。

うまく利用するためには、ある程度の慣れが必要ですが、この低金利は大きな魅力であり、不動産投資の規模拡大をする時には大きく役立ってくれます。資金を用意できない女性や若年層にとってはとくに大きな武器になってくれます。

まずは経験者などの指南を受けながら計画書を作成し、自分の属性を最大限に活用して有利な融資を受けられるように努めてみましょう。

参考:日本政策金融公庫


目次一覧

アパート経営の基礎知識

物件選びのコツ

運営のコツ

融資・資金調達

節税・確定申告

土地活用

駐車場経営

トランクルーム経営

コインランドリー経営

民泊(Airbnb)経営

太陽光発電

コラム 、よくある質問