収益物件の管理は自主管理と委託管理のどっちがいい?

収益物件の管理方法は自主管理と委託管理どちらがいいのか?

収益物件を自主管理にすれば、管理費用を支払わなくてすむためお得と感じますよね。ですが、本当に自分で収益物件の管理をできるのか、という部分は気になるところです。

収益物件を手にした不動産オーナーなら、誰でも「管理をどうするか」、悩むものではないでしょうか。筆者は10年以上、不動産会社、管理会社に勤務してきました。

また、現在も収益物件のオーナーをしています。さらに筆者は、工務店で大工もしていたので、物件のリフォームから原状回復工事まで、自分でするのも朝飯前です。そんな筆者から見て、自主管理と委託管理、いったいどちらがいいのかについてお答えします。

自主管理とは

自主管理とは、その名の通り、オーナー自らが保有している賃貸物件の管理運営を行うことを指します。物件の管理戸数が少ない間は、自主管理で経費を節約したいと考える人もいるでしょう。実際、ベテラン投資家の間でも、管理戸数の目安として10戸以下なら、自主管理の方がやりやすいという人もいます。

また、戸建てのオーナーには、自主管理で運営している人が多いです。一旦、家を借りた入居者(ファミリー)は引越すことがあまりなく、入居者募集の手間がほとんど掛かりません。また、庭の草刈り、植栽の手入れ、掃除などを入居者自信が勝手にやってくれるので、管理会社に依頼するほどでもないという背景もあります。

そういった、自主管理の特徴を踏まえた上で、具体的にどういったメリットやデメリットがあるのかを考えましょう。

物件管理の業務内容は?

自主管理のメリット・デメリットについて話をする前に、そもそも、物件管理とは一体、どんな業務をするのかについて整理しておきましょう。

収益物件の管理業務には、以下のような業務があります。

  • 家賃、共益費、駐車場代などの入金管理
  • 滞納があった場合の督促と回収業務
  • 家賃明細の作成
  • 各種トラブルやクレームの24時間対応
  • 退去時の室内チェック、立会い
  • 入居者募集
  • 原状回復や修繕などの見積り業務
  • 工事業者の手配
  • 水槽点検
  • 消防点検
  • 各種法令のコンプライアンス対策

自主管理のメリット

自主管理の一番のメリットは、管理費用を支払わなくてすむことです。また、賃貸管理という作業と仕事を通じて、大家としての経験値を高められるというメリットもあります。

オーナーが直接、入居者と顔を合わせてやり取りすることが増えるので、深い関係となれたり、コミュニケーションを築くことができます。入居者の属性や家族構成、性格などを把握することができるのも強みです。

工事もDIYでやれば更に節約

リフォームや原状回復工事の際の費用面でもメリットがあります。通常、管理会社を通して工事の発注を行うと、マージンが取られます。

ですが、自分で工事の業者探して、見積り依頼から発注までやれば、管理会社のマージンが発生しないので経費の節約になります。

さらに、リフォームやDIYが大好きという人であれば、ちょっとした工事を自分でやって節約することもできます。建物の構造に関わる工事、ガス、水道、電気関係など専門知識と資格がいる工事以外。

壁紙や床の張替え、洗面台のリフォームなどをオーナー自らやってしまえば、さらに大きく節約できます。リフォームやDIYが大好き、入居者と積極的にコミュニケーションを取りたい、時間が有り余ってしょうがないという人なら、楽しみながら自主管理ができるでしょう。

自主管理のデメリット

自主管理のデメリットは、専門的な知識や経験が必要な作業も自分でやらなければならないこと、管理業務におわれてプライベートな時間を犠牲にしてしまうことでしょう。

例えば、家賃の滞納が発生した場合、督促や回収業務を自分でしなければいけません。他にも、貯水槽管理の水道法、消防点検や消防設備に関わる消防法などの改正について、毎年、自分でチェックして、遵守する必要があります。

また、工務店との付き合いでも、ストレスの溜まることがあります。原状回復やリフォームの発注規模が小さい個人大家が、自分で工事発注を行うと、リフォーム会社からの対応が悪かったり、工事の優先順位を下げられたりするなど、嫌な思いをすることがあります。

専門的知識とノウハウが必要な督促、家賃回収

日本の法律では、大家よりも入居者の立場が強い、保護される仕組みになっています。そのため、家賃の取り立ては慎重にする必要があります。実際に家賃回収を行うとなると、思っている以上に大変です。

当然、コンプライアンスを無視した取り立てを行えば、逆に大家が訴えられるリスクがあります。本来は家賃を滞納した入居者が悪いのであって、大家は何も悪くありません。ですが、法律に気を使わなければならず、支払いにスムーズに応じてくれないケースもあり、非常にストレスがたまる作業です。

また、自主管理で入居者と仲良くなりすぎると、言いたい事を遠慮して言えなくなってしまうというデメリットもあります。顔見知りの相手に気を使ってしまい、取り立てをしにくいという人は、絶対に自主管理は辞めるべきです。

プライベートな時間はなくなります

近隣住民や入居者から、24時間365日いつでもクレームや問い合わせなどの連絡がくるので、旅行などに行きづらくなります。

体調を崩したり、入院して動けなくなった時でも、お構いなしに問い合わせやクレームは来ます。あなたが入院していようが体調を崩していようが関係ありません。入居者は「管理費を払っているのだから、ちゃんと管理しろ!!出来ないなら金を返せ!!」と迫ってきます。

サラリーマンをしながらの副業大家の場合、仕事中でも電話がなり、本業に支障が出ないように対策をしておく必要もあります。

委託管理とは

委託管理は、賃貸物件の運営に関わる業務を、管理会社と委託契約をして任せる方法です。委託料の目安は家賃の5%程度が相場になります。

クレームや問い合わせなどの窓口を24時間対応でやってくれるので、自主管理のようにプライベートな時間が無くなるという問題も解決されます。

委託管理の他に、サブリースという方法もあります。サブリースは、管理会社・不動産会社に一括借り上げをしてもらって、空室発生時の家賃保証まで含めた管理業務の一切を委託する方法です。その分、費用は割高で、家賃収入の10%~20%必要になります。

自主管理との比較という点では、サブリースは何もかも任せ過ぎになってしまうので、今回は一般的な委託管理について掘り下げます。

委託管理のメリット

クレーム対応や問い合わせに管理会社が24時間365日対応してくれるので、プライベートな時間がしっかり確保できます。保有物件の数が増えれば増える程、このメリットはどんどん大きくなっていきます。

また、賃貸管理のプロが持つ専門知識や経験を利用できるのも大きなメリットです。入居者に安定したサービスを提供できるので、顧客満足度もあがります。

見逃せないのは、空室時の客付けです。管理会社の入居者募集の優先度があがります。一般的に、仲介業者がお客さんに部屋を紹介する優先順位は①自社物件②管理物件③一般物件です。

管理会社によっては自社物件を持っていないところもあるので、その場合は、最優先でお客さんに紹介してもらえます。このリーシング(客付け)時の優先度が高くなることは、収益物件のオーナーとしては非常に心強いです。

委託管理のデメリット

自主管理のところで少し話ましたが、委託管理のデメリットで考えなければいけないのは「管理会社に余計な費用を払うことになっていないか」という点です。

リフォーム工事や原状回復工事の見積り、発注を完全な丸投げにしてしまうと、当然、管理会社に余計なマージンを支払うことになります。任せるところは任せて、自分でチェックしながら節約すべきところは積極的に関与していくという姿勢が大切です。

また何でもかんでも丸投げだと、管理会社へのチェック機能が働かなくなり、管理会社の動きが悪くなります。管理会社は物件のオーナーほど熱い情熱をもって管理をしてくれる訳ではありません。

彼らはあくまでサラリーマンで、言われたことをただ淡々とこなすだけです。「サラリーマンである彼らがいかに効率よく働ける環境を作れるか」という、経営者的な視点を持つ必要があります。

自主管理と委託管理のどちらがいいのか?

手間暇やコストパフォーマンを考えると、圧倒的に委託管理をおすすめします。もし、保有物件が戸建て賃貸で、数も少なく、自宅の周辺エリアの物件を運営するだけというなら、自主管理でもいいでしょう。

ですが、物件をどんどん購入して、大家業を事業として拡大したいという人は、委託管理は外せません。

これを自主管理でやるなら、24時間365日、クレーム処理から工事、客付けまでなんでもやれる「スーパー専業大家」レベルでないと、現実的ではありません。ここまでいくと、大家自身が管理会社そのものです。

たった5%の手数料で、面倒な管理業務を一切請け負ってくれるのが、委託管理の魅力です。これは、管理会社の担当者が一人で複数物件を同時に請け負うからできる、コスト削減の結果です。

もし自主管理を選択して管理費が浮いたように思っても、人件費を考えれば実は赤字だったことに気づくと思います。大家業を安定させたい、または拡大していきたいなら、委託管理がおすすめです。


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