私たちの生活に欠かせない存在となっているのがコンビニの愛称で親しまれているコンビニエンスストアですが、このコンビニは土地活用を検討している人にとって、最有力候補の1つとなっている注目の土地活用方法です。
事実、現在のコンビニはコンビニのオーナーが土地を借りて経営しているケースが大半で、地主がオーナとして経営しているケースは極小数に限られます。
そんな注目の土地活用方法ですが、コンビニでの土地活用を検討している人の中には、下記のようなことを不安視する人も少なくないでしょう。
- 本当にコンビニで儲かるのか?
- 土地の賃料の相場はいくらくらいなのだろうか?
- 土地の大きさはどれくらい必要なのだろうか?
そこで今回は土地をコンビニ用に貸す際の賃貸料と大きさや広さはどれくらいが妥当なのか、その相場や目安を詳しく解説していきます。
- コンビニ賃貸料の相場と大きさ広さの目安
事業用定期借地方式で貸す場合
代表的な土地活用にはアパートやマンション経営がありますが、この場合だと初期投資費用が高額になる上、市街化調整区域内の土地であれば使用目的が限られてくるため、アパートやマンションの建設ができない場合も出てきます。
となれば土地活用に利用したくてもできない、手放したくても買い手がつかず、遊休地として放置するしかないケースも出てきます。しかし、そんな土地でもコンビニならば開業でき、有効な土地活用ができます。
そんなコンビニに土地を貸す方法にはいくつかのものがありますが、大きく分けると2つに分類できます。まずその1つが事業用定期借地方式で、地主はコンビニ側に土地だけを貸し出してその地代を収益として得る方法です。
地主はコンビニ店舗などの建設資金を負担することなく、地代を長期間安定して得ることができるので、低リスクで土地活用を始められる点が最大のメリットとなります。
かかる費用
しかし、いくら建設負担がないといっても全く費用がかからないわけではありません。コンビニに貸す場合、土地の整地費用は地主が負担するのが一般的です。土地の整地費用の相場は1㎡あたり5,000円くらいが必要額となります。
1坪が約3.3㎡ですから、1坪当たりの整地費用は下記のとおりです。
5,000円 × 3.3㎡ = 16,500円
よって、地主が負担する整地費用は下記のとおりとなります。
- 100坪 165万円
- 200坪 330万円
- 300坪 495万円
- 400坪 660万円
- 500坪 825万円
- 600坪 990万円
賃貸料の相場
土地の賃貸料の相場は場所によって違ってくるため、一概にいくらと断定することはできませんが、基本的にコンビニの場合は固定資産税路線価の5%から6%が相場です。
固定資産税路線価とは固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税の算出に用いられる1㎡あたりの土地評価額を示す指標で、各市町村が決定して毎年1月1日に公表され、下記URLで確認できます。
参考サイトURL:http://www.chikamap.jp/
また賃貸料の算出方法は下記のとおりです。
1. 土地の路線価を調べる
2. 土地の路線価は平方メートルで表記されているので、坪当たりの路線価に再計算する
路線価 ÷ 3.3㎡ = 坪当たりの路線価
3. 坪当たりの路線価の5%、もしくは6%分に当たる価格を計算し、それを12ヶ月で割ったも のが月当たりの賃貸料となります。
坪当たりの路線価 ×5%(もしくは6%) = A
A ÷ 12ヶ月 =坪当たりの借地賃料相場
よって、坪当たり24万円の路線価の土地であれば、その賃料は下記のとおりとなります。
24万円 × 5% =12,000円
12,000円 ÷ 12ヶ月 =1,000円
100坪であれば10万円、500坪であれば50万円が毎月の賃貸料となります。またコンビニの場合にはこの路線価だけでなく、下記のようにコンビニとしての優位な立地条件を備えていれば、さらに賃料の引き上げが期待できます。
- 車で入りやすい緩いアウトカーブの先
- 車で入りやすい中央分離帯のない道路に面した土地
- 渋滞の少ない道路に面した土地
- 人が集まる施設が周辺にある土地
リースバック方式で貸す場合
もう1つのコンビニに土地を貸す方法がリースバック方式です。リースバック方式は土地だけでなく建物も合わせて貸し出す方法で、この場合には店舗の建設費用も地主が負担することになるため、初期投資費用は事業用定期借地方式よりもグンと高額になってきます。
しかし、土地だけを貸すよりも高額な賃料を得られるというメリットが魅力です。
かかる費用
土地の整地費用は事業用定期借地方式と同じですが、建物を建てるとなるとライフラインの引き込み費用がかかることになるので、先ほどの1.4倍から1.8倍ほどの費用がかかってきます。
よって、坪数に合わせて下記の費用が必要になります。
- 100坪 231万円~297万円
- 200坪 462万円~594万円
- 300坪 693万円~841万円
- 400坪 924万円~1,122万円
- 500坪 1,155万円~1,402万円
- 600坪 1,386万円~1,683万円
そしてこれと併せて店舗の建設費も必要なりますが、各コンビニ業者は店舗の建設費については具体的な金額を公表していません。しかし、1坪当たり25万円から40万円といったところが妥当な金額です。
コンビニ店舗の平均坪数が約60坪くらいですから店舗の建設費は1,500万円から2,400万円くらい、この店舗建設費と先ほどのライフライン引き込み費用を含めた整地費用の合計が初期投資費用となってきます。
賃貸料の相場
それでは次は賃貸料の相場です。事業用定期借地方式とは違い店舗建設費を負担するわけですから、当然その分が上乗せされた賃貸料となります。
店舗建設費としてかかる費用はコンビニ業者から建設協力金として無金利で借入できます。借入可能額は契約によって違ってきますが、立地条件がよければ建設費の100%を建設協力金でまかなうことができます。この建設協力金が利用できる点は、ほかの土地活用にはない大きなメリットと言えるでしょう。
この建設協力金の返済期間は15年とするケースが一般的です。先程紹介した初期費用で500坪の土地に1,500万円の店舗を建設したとして、その総費用が3,000万円だったとします。その際の毎月の返済額は下記のとおりで、この金額が上乗せ分の賃貸料となってきます。
(3,000万円 ÷ 15年) ÷ 12ヶ月 = 16万6,666円
先程計算した坪当たり24万円の路線価の土地500坪の賃貸料が50万円ですから、50万円に16万6,666円を足した66万6,666円が毎月の賃貸料となります。しかし、これでは店舗建設した旨みがないので、ここにプラスαの賃貸料が加えられることになります。
このプラスαは土地の路線価と同じように土地評価額が大きく影響してくるので、その額をはっきりと断定することはできませんが、参考にしてもらいたいのが周辺の月極駐車場料金です。
店舗の場合には駐車場料金相場の2倍ほどの価値となるので、周辺駐車場の料金が5,000円なら1万円。1万円なら2万円といった評価が見込めます。よって、店舗を含んだ場合は1坪当たりの賃貸料も倍の評価となるため、先ほどの50万円の倍である100万円が賃料となります。
コンビニ用として貸す場合の注意点
ここまで話してきたようにコンビニへの土地活用は大きな収益を目指すか、大きくはないが堅実な収益を目指すかで、土地の貸借方法が違ってきます。他の土地活用には利用できない土地でも収益を上げることができるので、人気の土地活用方法と言えるでしょう。
しかし、コンビニとしての土地活用を始めるならば、押さえておいてもらいたいポイントがいくつかあります。それではそのポイントにはどんなものがあるのかを解説していきましょう。
メリットとデメリット
この土地用方法でまずしっかりと押さえておいてもらいたいのが、そのメリットとデメリットです。コンビニへの土地活用は多くのメリットがありますが、その反面、知っておくべきデメリットも存在します。
想定されるメリット、デメリットは下記のとおりです。
1. コンビニへの土地活用のメリット
- 駐車場、トランクルームなどに比べて高い収益性がある
- 他の土地活用方法での需要がない地域土地でも収益が見込める
- 市街化調整区域でも出店できる
- 建設協力金の利用で金利ゼロでの資金調達ができる
2. コンビニへの土地活用のデメリット
- 収益性が期待できる地域が限定される
- 契約途中で事業撤退のリスクがある
- 初期投資費用が高額(リースバック方式の場合)
- 契約期間が長期となるため、土地転用がしづらい
必要な土地の大きさや広さ
先にも言いましたがコンビニ店舗は約60坪くらいが平均坪数となっています。近年のコンビニはイートイン等のスペースを兼ね揃えたコミュニティスペース化により、コンビニの建物自体も大型化してきました。
しかもコンビニはビルドイン以外の店舗は必ず駐車場が必要とされ、特に主要来店手段が車となる郊外出店のコンビニではその傾向は強くなります。300坪から600坪が一般的な大きさとなってくるでしょう。
運営する際の流れと注意点
それでは最後に運営する際の流れと注意点について見ていきます。
土地を貸す際の流れ
コンビニへの土地活用はもちろん自分からコンビニ業者へ話を持ちかけるのもありですが、コンビニ出店に向いている立地条件の揃った土地ならば、コンビニ業者の方から話を持ちかけられるケースも少なくありません。
契約までの手順はコンビニ業者への申し込み、もしくは勧誘後に担当者との打ち合わせから始まり、下記のような流れとなります。
- 物件周辺の現地調査と借上審査
- 事業計画案の提案
- 賃貸借契約
- 工事着工
- 工事完了
- 店舗オーナー紹介
- 店舗開店
この契約までの流れは事業用定期借地方式でも、リースバック方式でも基本的には同じです。今回記載したものはあくまでも大まかなものになるので、申し込みを検討している人は事前に担当者へ今後の流れを確認してください。
商圏を調査する際の注意点
コンビニに土地を貸借する際に一番重要になってくるのが、その土地がコンビニ運営に適した立地条件かどうかという点です。そこで確認して欲しいのが店舗に集客できる範囲を示す商圏です。
商圏を把握することで下記のようなその土地の地域特性を把握できます。
- 人口や市場規模
- 消費者特性
- 競合状況
そしてこれらをより具体的に言い換えれば、下記が商圏確認の際に重要視される点になります。
- 予定地が人通りの多い場所にある
- 土地が広く、幹線道路沿いに立地している
- 近隣に競合コンビニ店が少ない
これら3点が揃えばまずコンビニとしての運営はうまくいくこと間違いなしです。まずは申込前に自分でその土地がこれら条件にどうマッチングしているのかを確認してみましょう。
まとめ
ほかの土地活用としては利用できない土地でもコンビニならば収益性の高い立地条件を兼ね揃えているという土地は少なくありません。特にコンビニの郊外大型店舗化が進む昨今では、遊休地として長年放り出されていた土地も十分にその可能性が出てきます。
しかし、コンビニは10年以上の契約を結んでいても、収益性が低いと判断すれば短期間で即時撤退するケースも少なくありません。よって、検討する段階では事前のマーケティング調査が重要になってきます。
できるだけ優位な契約となるようにコンビニ業者選びを行う際には、事前によく下調べをして複数業者を比較検討する必要がります。コンビニ業者によって契約内容が大きく変わってくることもあるので、業者選びは慎重に進めるようにしましょう。