住宅ローンはの組み方はどうすればいいの?

住宅ローンは単独で組んだ方がいいの?それとも夫婦で組んだ方がいいの?

家を買うことは、「一生に一度」といわれるほど大きな買い物です。何千万ものお金をいっぺんに用意するのはかなり難しいため、ほとんどの人が住宅ローンを組むことになりますよね。

いざ住宅ローンを組もうとしたとき、「単独で組んだ方がいいの?」「夫婦で組んだ方がいいの?」と、疑問をもつ人も多いでしょう。

私は住宅ローンアドバイザーとしてさまざまなローンの相談を受けてきました。その中で、「どうしても家を建てたいけれど、希望の額が借り入れできない…」という方は、夫婦でローンを組む方も多いという印象です。

そこで今回は、住宅ローンを単独・夫婦で組んだ時の、違いや注意点などを説明したうえで、ローンを組む時にぜひ活用してほしい方法などを紹介します。

ローンを組むのは単独?夫婦で?その違いとは?

住宅ローンを組むとき、単独で組むのと夫婦で組むのとでは、どんな違いが出てくるのでしょう。まずはその違いを4つの項目に分けて説明します。

違い1.事前審査について

住宅ローンを組むのにあたり、最初に行うのが「事前審査」です。

この審査では、一般的に免許証のコピー、保険証のコピー、前年度の源泉徴収票、他に組んでいるローンの残高証明書や契約書などが必要になります。

個人情報も確認されます。提出書類は借り入れをする人の条件や、それぞれの銀行により違いますので、確認しましょう。

また、夫婦でローンを申し込む時には、それぞれの借り入れ状況などが調べられます。

その時にお互いに内緒にしていたローンがあると、減額やローンがくめなくなることもあります。思わぬところでケンカの原因になりますので、注意してくださいね。

  • 単独で借り入れの場合:借り入れをする人だけの必要書類や個人情報だけで審査をする。
  • 夫婦で借り入れの場合:夫婦それぞれの必要書類や個人情報が必要になり、それぞれ提出し審査をする。

違い2.借り入れ額について

借り入れ額は、年収に対して一年間の支払いがどのくらいあるかや、個人情報がブラックではなくクリアな状態かにより決まります。

ここでいう支払いというのは、新しく組む住宅ローンの年間の支払い額のことです。

年収400万の方の返済比率は30パーセントというように、年収に応じて返済比率が決まっていて、比率に収まるように計算をします。

計算式は「住宅ローンの月々の支払い額×12か月÷年収×100」となり、住宅ローンのほかに支払いがあると、それも年間支出に計算します。

夫婦の年収を合算する場合は、「それぞれの借り入れ状況÷二人の合計年収×100」でパーセントがでます。

  • 単独で借り入れの場合:年収などにより、借入額が決められる。
  • 夫婦で借り入れの場合:二人の年収を合算するので、借入額を増やせる。

ただし、銀行によっては、妻がパートの場合、すべて、または半分の収入しか合算にみてもらえないことがあるので、ご確認ください。

違い3.土地や建物の所有権の割合について

通常は「住宅購入の金額に対し、自分がどのくらいの資金を出したか」によって割合をつけます。

多く資金を出したが割合が少ないとなると、贈与税などにも関わってくる可能性もありますので、気をつけましょう。

  • 単独で借り入れの場合:100%自分名義の借り入れなので、土地・建物の名義は自分
  • 夫婦で借り入れの場合:お金を出した割合で権利を持つ

違い4.団体信用生命保険について

団体信用生命保険とは、住宅ローン借り入れの際に加入する生命保険のことで、「団信」ともいわれてます。

この保険に加入することによって、ローン債務者が万が一死亡または高度障害などで働けなくなった時に、ローン残金が銀行に支払われ、ローン残債がゼロになる仕組みです。

  • 単独で借り入れの場合:借入者本人が万が一亡くなった場合に、ローンの残債がなくなる
  • 夫婦で借り入れの場合:銀行によって異なるが、夫婦それぞれに割合をつけるので万が一どちらかが亡くなっても残債が残る

最近の団体信用生命保険は、3大疾病付きや8大疾病付きなど、保険の内容も充実してます。

該当すれば保険の残債が軽減できますが、夫婦で組むと割合によって変わってきます。

例えば2千万円のローンに対して、保険の割合を夫7割、妻3割とした場合、夫が万が一亡くなった時、または該当する病気になった時には7割の残債はなくなります。

しかし、残っている妻の3割の支払はそのまま継続します。元気な時は「どうにかなる!」とどうしても思いがちですが、大切なことなので、しっかり考えて判断しましょう。

夫婦で借り入れする場合の注意点

夫婦でローンを組む場合、希望の住宅が買える可能性は高くなりますが、気を付けなければいけないこともあります。

注意点1.土地・建物の所有権登記

購入資金に対して夫婦がそれぞれどのくらいお金を出したかで、持ち分の割合を決めるのが一般的です。そうでない場合、贈与税などに関わってきますので、必ず税務署に相談することをおすすめします。

注意点2.離婚

夫婦で所有権を持っていることが多いので、贈与税などに関わってきます。離婚する前に税務署に確認した方が良いでしょう。

注意点3.退職や休職などによる収支バランスの崩れ

夫婦2人の収入で生活をするのが前提だった計画が、退職や休職などにより、片方の収入だけになると、収支のバランスが崩れてきます。

借り入れをする前に、今後の生活についてもしっかりと話しあいましょう。

注意点4.ローン減税が受けられないケースも

退職や休職などにより、収支のバランスが崩れると、所得税にも関わってきます。ローン減税は年末のローン残高の1%が所得税から10年間控除されます。そのため、退職した場合は収入が0になり、控除ができなくなります。

夫婦で念願のマイホームを購入したのですからメリットはしっかり活用したいですね。

「住宅ローン減税」を活用しよう

「住宅ローン減税」は12月末時点の住宅ローンの残高に応じて所得税の還付や翌年支払う住民税が安くなる制度です。ご夫婦でローンを組んで連帯債務者であれば、それぞれが初年度確定申告をし、減税が受けれます。

「住宅ローン減税」を活用できる条件

活用するには5つの条件があります。

  • 所得税を支払っていること
  • 借入期間10年以上で年利1%以上の金利であること
  • 一人当たりの合計所得が3,000万以下であること
  • 登記簿上の床面積が50㎡以上であること
  • 住宅ローンの借主が、新築や住宅を取得してから6か月以内に自分で住み、2分の1が居住であること

「住宅購入資金に対してどれだけ負担したか?」その持ち分がカギとなります。

例えば、住宅購入資金が4,000万円で、住宅ローン減税を受けられる条件をクリアしている場合、夫婦で全額住宅ローンを組むとして、持ち分がそれぞれ半分だとすると、2,000万がそれぞれの控除の対象となります。

国税庁のホームページにも説明があるので、参考にしましょう。

参考:https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/06/36.htm

自分に当てはめるとどれ?

自分の状況はどの場合に当てはまりますか?住宅ローンアドバイザーとして、それぞれの場合に応じたおすすめをアドバイスします。

  • 単独でローンが可能な場合は、「単独で」
  • 2人の家をどうしても持ちたい場合は、「夫婦で」
  • 資金が足りないが、親からの援助を頼める場合は、「単独で」
  • 数年以内に、退職や出産など家計に響く生活の変化がないという前提がある場合は、「夫婦で」

これからいろいろと情報収集していくなかで、迷うことも多いかもしれませんん。そんな時はまず、夫婦できちんと今後の暮らし方についてまとめてみるのも1つの方法です。

夫婦が共有で住宅の購入を検討する場合は、所有する持ち分をそれぞれ持ったり、手放したりすることにより、税法にも関わることがあります。税務署に確認しながら、自分に合った良い方法で「住宅ローン」を組みましょう。


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