二世帯住宅を建てる際の住宅ローンの借り方と注意点

年齢を重ねていくとマイホームを建てたいと思う人は増えていくと思います。しかしそう思う人の中でも将来的には親と一緒に住みたい、親だけで住んでいる実家を建て直してあげたい、と考えている人も少なからずいると思います。そういった人は最初に二世帯住宅という選択を考えるでしょう。

ただ、二世帯用の家を建てるということで建築資金が多くかかってしまう点や、親が働いている今のうちに建てた方がいいのかとタイミングが分からないといった問題点があります。

その他に親の実家を取り壊して二世帯住宅を建てるとなった場合は兄弟間で揉めないように努めなければいけませんし、親が亡くなった後はどうしていくのかと気にしないといけない点はいくつかあります。

そして準備を始まる前に、二世帯住宅を建てる時の住宅ローンはどのような形態の住宅ローンになるのかも知っておいた方がいいでしょう。それによっていくつかある注意点も解決できるかもしれませんし、タイミングも逃さずに済むかもしれません。

今回はそのような方に向けて、二世帯住宅を建てる際の住宅ローンの組み方や種類、注意点について解説します。

二世帯住宅を建てる際の住宅ローン

二世帯住宅を建てる際に親子で使える住宅ローンは、主に親子リレーローンと親子ペアローンといった2種類のローンがあります。両方とも親子で住宅ローンの債務を持つことになるため、どちらか一方だけで借り入れするよりは多くの金額を借り入れできるようになります。

この2つとも性質は似ていますが、借入方法、返済方法や団体信用生命保険の内容が異なってきます。親の年齢や現在の子どもの収入などでどちらが適しているか判断していくことになりますが、借り入れする際には決めなければいけませんので、今のうちに考えとく必要があります。

親子リレーローンと親子ペアローンの違いを理解して、みなさんがしっかりと計画的な二世帯住宅での住宅ローンを組めるように、分かりやすく説明していきたいと思います。

親子リレーローン

親子リレーローンは、子どもがまだ若く、親の収入の方が多い場合や親が高齢のため親だけでは住宅ローンを組めない場合に利用される住宅ローンです。返済方法は最初に親が返済していき、その後に子が返済するといった、返済を親から子へ引き継ぐ方法になりますので、借入額を増やせたり、返済期間を長く設定することが可能です。

例えば住宅ローン予定金額が4,000万円で、親が55歳で子どもが25歳で組む場合を考えます。住宅ローンは完済が80歳未満までとなっているケースが多く、親だけの借り入れでは最長で24年ローンとなります。そうなると月の返済額が多くなってしまう点や高齢という点から借り入れが難しいでしょう。

そこで親子リレーローンを活用すると、子どもの年齢で計算することになるため長い期間でローンを組めることになります。つまり月の返済額を減らすことができる上、年齢といった問題点はクリアできます。

そして返済は親の収入がある間は親に任せておけるため、まだ若く収入が少ない子どもの負担を減らすことができます。そしてある程度の期間までは親が返済し、子どもの収入が増えた時に子どもが返済していくといった返済方法ができます。

注意点としては団体信用生命保険を子どもが加入するという点です。親が亡くなっても債務が全て残ってしまうので、最初は親が返済することを予定して組んでいたのに、親が急に亡くなってしまってしまい、親が払うつもりであった返済分を子どもが返済しなくてはならなくなります。そういった緊急時に備えておくことも必要になりますので、無理のない返済計画を考えなければならないでしょう。

親子ペアローン

親子ペアローンとは、親子それぞれがローンを組む住宅ローンになります。例えば、3,000万円の借り入れの場合、親が1,500万円、子どもが1,500万円の住宅ローンを別々に借りて二世帯住宅を建てることができます。つまり1つの物件に対し住宅ローンが2本走ることになります。

そして返済期間は親子それぞれで決めることができますので、親は年齢を考慮し1,500万円を10年ローンで借りることや、子どもは毎月の返済額を抑えるため1,500万円を35年ローンで借りることができます。

親子ペアローンはそれぞれ住宅ローンの契約をするので、1つの契約毎に団体信用生命保険の保障がつきます。つまり親が亡くなった際、親名義で借りている住宅ローンの返済はなくなり、子どもが亡くなった際は、子ども名義で借りている住宅ローンの返済は無くなります。

例えば、3,000万円の物件に対して親2,000万円、子ども1,000万円の親子ペアローンを借りている場合、親が亡くなると、親が借りている2,000万円の住宅ローンがなくなり、子どもが借りている1,000万円の住宅ローンはそのまま残るという仕組みです。先ほど説明した親子リレーローンとはここが大きく異なります。

しかし住宅ローンを2つ契約するということになるので、契約にかかる手間や揃える書類、金銭消費賃貸借契約書に添付する印紙代が2倍になるといったデメリットもあります。そういった点も親子ペアローンを組む前には金融機関と確認しといたほうがいいでしょう。

ローンを組む際の注意点

親子リレーローン、親子ペアローン両方とも住宅ローン控除を受けることができます。親子リレーローンでは借入額による返済負担分に応じてそれぞれ適用でき、親子ペアローンではそれぞれの借入額に応じて2人とも適用できます。

その中で気をつけなければいけないことは建てた二世帯住宅を登記する時の名義の割合です。親子で半々の割合で住宅ローンを組んだにも関わらず、登記上では全て子どもの名義としてしまった場合、その割合に応じて子どもに贈与税が発生してしまいます。そのため名義も借入割合と同じく半々にしないといけなくなります。

しかし親が亡くなったときは、税制上は親の名義分が相続財産となってしまいます。その際に兄弟と相続争いが起きないように、二世帯住宅を建てる際には他の財産も含め、遺産分割の割合を整理するなど相続対策をしておくと良いでしょう。

その他にも一戸建て住宅に比べ二世帯住宅は、単純に必要な設備が2倍になり修繕費が高くなります。そういった費用がかかる時には親は退職して年金生活に入っている可能性が高いです。そのため親に多くの負担を強いることは難しくなるので、子どもとしては新築時から少しずつ修繕費を積立するなどの準備をすることが必要です。

まとめ

親子リレーローン、親子ペアローン、それぞれ特徴がありますが、どちらとも親の年齢を考えて住宅ローンを組んでいかないといけなくなるため、既に計画の中で二世帯住宅を建てなければいけないとなっている人であれば、早めに行動に移した方がいいと思います。

単独での住宅ローンよりは多少複雑になりますので、しっかりと専門家と相談しながら計画的な借り入れをし、次の世代へと繋げられるような二世帯住宅にしましょう。


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