自分にあった住宅ローンは固定金利?変動金利?

自分にあった住宅ローンは固定金利?変動金利?

住宅を購入する時にはローンを組む人がほとんどだと思います。私は住宅ローンアドバイザーとして、10年ほど住宅会社の営業をしていました。

その時、多くの方から「固定金利と変動金利は今どっちが得なの?」とか、「みんなはどんなローンにしているの?」という質問を受けました。

住宅ローンの金利には、大きく分けると、返済額がずっと変わらない固定金利型と、金利や返済額が変動する変動金利型があります。そこで、どんな人には固定金利がおすすめで、どんな人には変動金利がおすすめなのか、まとめてみたいと思います。ぜひ自分に当てはめて考えてみてください。

住宅ローンの支払いに安心したいなら固定金利

よくテレビなどで宣伝されているのが、支払い開始から支払終了までずっと金利が変わらない固定金利型ローンです。月々の支払額や総支払額が変わらないので、ライフプラン、マネープランが立てやすくなります。

固定金利型ローンの支払いシミュレーション

先ほども出ましたが、「支払い開始から終了まで同じ金額での支払い」なので、予定をしていた金利で計算すると総返済は変わらず、計画のままです。

例:2,000万借り入れ 35年ローン 固定金利2.0%として

月々の支払いは66,252円  総返済額 27,826,072円 が確定されます。

ローンの支払い始めから完済までの金額、そして総返済額はここから変わることはありません。

収入に余裕・貯蓄もあるなら変動金利

変動金利は一般的に固定金利よりも金利が低く設定されているため、月々の支払いが安くなります。しかし金利が上昇したときには、それにつれて月々の支払いももちろん上がります。

ですから多少の支払額の動きがあっても、それに対応できるだけのゆとりが収入にあれば安心です。

変動金利型ローンの支払いシミュレーション

変動金利は年2回、金利の見直しがされ、5年毎に支払額が変更になります。先の金利の事は誰もわからないので総返済額は未確定です。

例:2,000万借り入れ 35年ローン 変動金利0.5%として

月々の支払いは51,917円  ただし総返済額は 未確定です。

上のシミュレーションの通り、月々の支払いは固定金利型ローンより少し安いですが、金利が上昇すれば支払額も増えますし、全部でいくら返せばいいのかという総返済額も返済途中ではわかりません。そのため、変動金利はリスクに対応できる人におすすめです。

金利が上昇したときには、残りの住宅ローン金額が少ない方や期間が短い方、退職金で一括でローン返済が可能であれば、余分な金利を支払わなくてすみますので完済してしまうというのも1つの手です。

どちらの金利を選んだとしても必ず、良い点と悪い点がありますので、これが絶対におすすめです!と一概には言えません。メリット・デメリットをよく考えて自分のライフプランに合ったローンを選ぶようにしましょう。

また、固定金利・変動金利、どちらを選んだほうがお得かは住宅購入の時期によっても変わってきます。

住宅ローンの昔と今

10年前と現在では、住宅ローンが大きく変わっています。どう変わったか見ていきましょう。

10年前は変動金利を選ぶ人が多かった

昔は「フラット35」という住宅金融公庫の全期間固定金利のローンが住宅ローンのほとんどをしめていましたが、その後、金融機関が独自で変動金利を使ってローン商品を出してきました。

「家賃並み感覚で住宅ローンが組める!」というのが売りで、10年前は多くの人が変動金利を選んでいました。

その頃の住宅ローン商品を見てみると、最初の3年間は固定でおおよそ1.8%前後で、その後変動金利に移行するタイプの住宅ローンがありました。全期間固定金利のもので2.3%前後だったでしょう。

さて、大きな額のローンを組むわけですから、少しでもお得なほうがいいに決まっています。では、今からローンを組むならどんなタイプを選んだら得でしょうか?

今なら固定金利がおすすめ!

今、10年前に比べると考えられないくらい金利が下がっています。だからもし今自分がローンを組むとするならば、固定金利を選択すると思います。

なぜかというと

  • 金利が安い
  • 返済額が変わらなくて安心

という大きな2つのメリットがあるからです。

金利がかなり下がっている今だからこそ、安くて、月々の支払いも変わらず、ハラハラドキドキしなくてもいい固定金利をおすすめしたいですね。

住宅ローンを選ぶ際のポイント

今は金利がとても低いので固定金利がおすすめですが、金利は常に変動しています。住宅購入や建築を計画しているのであれば、事前に、ここ1年の金利の動きを銀行や住宅営業担当の方に教えてもらいましょう。

自分にぴったりな住宅ローンを選ぶための目安をいくつか紹介します。

金利が低いタイミングを逃すな!

今、空前の低金利時代です。もう少し待っていたらもっと金利が低くなるだろうと買い控えている間に、逆に金利が上がることもあります。

待ちすぎはチャンスを逃してしまうこともあることを頭の片隅に置いておきましょう。

家族構成の変化を計算に入れておこう

家族が増えると生活費として最低でも1年間ひとり当たり60万円かかると計算する銀行もあります。

とくに変動金利を選んだ場合は、ある程度ゆとりがないと、家族が増えたときにお金のやりくりが難しくなることもあります。ローンを組む前に今後のライフプランをしっかり立てましょう。

2~3年のうちにもうひとり子供がほしいと思っているのであれば、金利が下がっている時に固定金利をおすすめしたいです。

退職金があてにできるなら変動金利がおすすめ

もうすぐ退職を控えていて、まとまった額の退職金を返済にあてられるという人は、変動金利が良いかもしれません。

退職金のどれだけの部分をローン返済にあてられるのかにもよりますが、たとえば退職金で完済してもゆとりのある生活を送れる見込みがあるのであれば、金利が低い変動金利のほうが安くつくでしょう。

共働きで安定した収入がある場合

共働きで将来的にも安定収入が見込めるのであれば、変動金利をおすすめします。

35年でローンを組んだとしても、二人にある程度の貯金があれば、それを頭金にして借入額を減らすこともできますし、収入に余裕があれば繰り上げ返済も可能です。十分な収入があれば、万一金利が上がったとしても対応できるでしょう。

2~3年後に転職を考えている人は?

転職をする前に住宅を購入や建築しようと思う人もいます。住宅ローンアドバイザー時代にも「転職を予定しています」という人がいました。当時その人は変動金利型の住宅ローンを利用していましたが、正直なことを言えば、やはり転職と聞くと生活は大丈夫かな?と思ってしまいます。

転職しても前の仕事よりも良い条件になるのならいいですが、年収が下がるリスクがあるようなら、将来のマネープランが立てやすく、安定している固定金利型の住宅ローンを金利が低い時に組んでおくほうが安心です。

自分にぴったりのローンはどうみつける?

いくつかパターンをあげてみましたが、これからのライフスタイルと、自分が住宅ローンに何を望んでいるのかをもう一度考えてみましょう。

ずっと定額にして住宅ローンの支払いに安心したいか、安い金利にする代わりに上昇リスクに適応できるか、よく考えて自分に合うタイプのローンを選んでください。


目次一覧

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