住宅ローンを借りる際は事務手数料や諸費用に注意しよう

住宅ローンを借りる際は事務手数料や諸費用に注意しよう

住宅ローンを借りようとする時には意外と費用が掛かります。中にはその費用の大きさに驚いて、「今お金がすぐには準備できないので、借り入れに係る総費用も含めて住宅ローンを借れないか ?」と銀行に相談する顧客もいるほどです。

どの銀行で住宅ローンを借りるかとか、申込みをする顧客に対する銀行の評価によって、時には諸費用の総額が百万円単位になるだけに、利用者は諸費用の金額に神経質にならざるを得ません。できるだけ諸費用を低く押さえたいのは誰もが持つ当然の気持ちです。

そこでこの記事では、住宅ローンを借りる際の事務手数料や諸費用に注目し、銀行別のその実態やできるだけ諸費用を安く抑える方法にも触れたいと思います。

住宅ローンを借りる際の諸費用

新規に住宅ローンを借りる時、色々な段階で各種費用が掛かってきます。一般的に申込み時や審査時には大した費用は掛かりません。せいぜい本人の収入を示す公的書類を、地方自治体の窓口で取って銀行に提出する時の手数料ぐらいで高くても千円単位までです。

しかし、いざ融資の実行や住宅ローンの担保となる土地・建物に銀行が抵当権を設定する段階になると、本格的に色々な費用が発生してきます。とりわけ、費用の中でもその9割以上を占めるのが「事務手数料」「保証料」「団体信用生命保険料」です。

この3つを理解することが諸費用を理解したり節約する点で最も大事な点となります。逆を言えば、最初の申込する銀行の選択や交渉でこれらの費用をどれだけ低く抑えることができるかで、後々まで諸費用含む総支払額に影響してくることになります。

金融機関の事務手数料や保証料

前章で述べたように、諸費用の中で大きな額を占めるのがこの事務手数料や保証料です。保証料に関しては別の記事でも詳細な解説をしているので、この記事では特に事務手数料中心に説明を行い、その位置づけや相場、保証料との関係、また利用上のデメリットなどにも触れます。

事務手数料

事務手数料とは銀行が住宅ローンを取扱いする時に掛かる手数料のことです。銀行によって事務手数料を定額で決めているところと、定率で決めているところがあります。

一般的に都銀(メガバンク)や大手地銀などでは定額型が主流になっており、その相場は32,400円~162,000円とかなり幅があります。一方ネット銀行では、融資金額×2.16%と定率型が主流です。

保証料

保証料は、銀行が住宅ローンの認可に際して、保証会社を付けることを条件としていることが多く、その支払う保証料は多くは利用者負担となっています。

メガバンクや大手地銀ではこの保証料を顧客負担としており、支払いのタイプとしては

  1. 保証料一括支払いタイプ
  2. 住宅ローン金利上乗せタイプ

のふたつがあります。保証料は住宅ローンの借入金額、借入期間とも連動しており、その水準には幅がありますが、概ね60万円~250万円(借入額3,000万円、返済期間35年、元利均等返済の場合)程度必要になります。

事務手数料と保証料の関係

上記一覧表にも見られるように、銀行別にその取扱い相場は大きく異なっています。簡単に解説すると、メガバンク・大手地銀は事務手数料を定額で低く抑えつつ、保証料で大きな費用を回収する姿勢です。

一方、ネット銀行は保証料を無料にしながら、事務手数料を定率方式にして費用を回収しています。具体的に言えば、住信SBIネット銀行の場合、ローン実行額3,000万円とすると、事務手数料は3,000万円×2.16%=648,000円となり、メガバンクの保証料と変わらない相場になってきます。

つまり事務手数料・保証料をセットで見れば、一般的な銀行でもネット銀行でも総額ではあまり違いはなく、あくまで販売戦略の違いと見えます。

ただし、都銀の保証料のように

  • 保証料一括支払い型が金利上乗せ型より、最終までの保証料支払い総額が少なくなること
  • 三井住友銀行の保証料の場合、一括支払い型では顧客の銀行評価によって、保証料に最大200万円近くの差が出ること

等々、より細かく分析してみると、一概にどの銀行でもいいとは言えません。

さらに最初から顧客の評価に関係なく保証料を無料対応とするとか、事務手数料まで定率でなく定額で対応して相場を低くしているネット銀行があることを知ると、総じて都銀・地銀よりネット銀行の方がこれらの費用総額では低くなることが分かります。

もちろん、住宅ローンの申込み判断は諸費用だけなく、借入総額や金利水準、借入期間、毎月の返済額、審査通過の可能性、なども併せて検討する必要がありますが、費用に関しては、このように色々な角度から総合的に検討して判断力を養う必要があります。

事務手数料のデメリット

ネット銀行の事務手数料、じつはメリットだけでなくデメリットもあることも知っておかねばなりません。

通常、保証料は融資の残高に応じて徴収される仕組みなので、仮に返済途中で住宅ローン全額を返済したり、他の銀行に借り換えすると、その銀行との契約がなくなるので、ローン残金に応じた保証料が返金されてきます。

一方、事務手数料はそのような取り扱いがなくあくまで手数料なので、いったん当初に銀行に支払うと、いくら途中で完済や借り換えでその銀行とローン契約がなくなっても、一切事務手数料は返金されません。つまりネット銀行は事務手数料を返済する義務がないのです。

そのようなデメリットもあることを、ローン利用者は十分理解したうえで、ネット銀行を利用しなければなりません。

印紙税

印紙税とは、土地や建物の売買契約書等を作成する時にかかる税金のことです。
住宅ローンを実行時、金銭消費貸借契約書を銀行と顧客の間で取り交わしますが、その際に契約書に印紙を貼付する形で印紙税を納付します。

印紙税の金額は、一般的な住宅ローンの融資額の範囲では、

  • 100万円超500万円以下、2,000円
  • 500万円超1,000万円以下、10,000円
  • 1,000万円超5,000万円以下、20,000円
  • 5,000万円超1億円以下、60,000円

となっています。

登録免許税

登録免許税は権利を取得した土地や建物を法務局に登記申請する時にかかる税金です。これを住宅ローンに当てはめると、銀行は融資の実行と同時に対象となる物件に抵当権を設定して権利を確定しなければなりません。

通常この設定登記は銀行と日頃から付き合いのある司法書士に依頼することが多く、司法書士を通じて抵当権の設定登記を法務局で行う時にこの税金は納められます。

登録免許税は抵当権設定額(=借入額)×0.4%で計算されます。
具体的に言うと、借入額3,000万円の場合、登録免許税は120,000円となります。

また仮に住宅ローンの対象となる物件に、すでに過去に抵当権や根抵当権の権利関係が設定されている場合、住宅ローン実行、設定登記と同時に過去の権利関係登記を抹消する必要があります。この代表的な事例は住宅ローンの借り換えをする場合です。

この場合、抵当権抹消費用として、登録免許税として土地・建物各々1個あたり1千円、また別に司法書士に対する実費が件数1件につき、1~2万円程度必要になってきます。

司法書士の手数料

住宅ローンの新規借入で、抵当権の設定登記をする場合、司法書士への報酬として、一般的に6~10万円程度の取り扱い手数料がかかります。この費用は地域の司法書士会で、ある程度報酬のガイドラインが敷かれているので、司法書士による大きな差はあまりありません。

団体信用生命保険の保険料

事務手数料、保証料と共に諸費用の大きな一角を担うのがこの団体信用生命保険(略して団信)の保険料です。団信には種類として、大きく2つに分けられます。

一般団信とは

ローン契約者が返済中に死亡もしくは高度障害で返済不能になった時、団信から保険金がローン残金に返済され、住宅ローンの対象物件の自宅を手放すことなく、家族が返済の支払義務を免れる保険です。

疾病特約付き団信とは

ローン契約者が返済中に所定の特定疾病に罹って就業不能の状態になった場合、その保険から一定期間毎月の返済が肩代わりされる、また最終的には保険金とローン残金が相殺され支払い義務がなくなる保険になります。

ここで一般銀行(除くネット銀行)の場合、保険料の対応として、一般団信保険料を銀行が支払うため住宅ローン契約者は保険料を支払う必要がありません。一方、疾病特約付き団信のケースでは、顧客が加入を希望した場合、その疾病特約部分の保険料について利用者負担としているところが多いです。

一方ネット銀行は一般団信・疾病特約付き団信ともに保険料無料(全額銀行負担)で対応しています。さらに住宅金融支援機構の取り扱うフラット35では、団信・疾病特約付き団信とも、加入は顧客の任意となっていますが、本人が加入を希望すれば保険料は本人負担となります。

仮に住宅ローン実行額3,000万円、返済期間35年のローンで、保険料自己負担分(+0.3%)を具体的な金額に直してみると、大よその金額は180万円前後となります。結構な額になりますよね。

それだけに団体信用生命保険加入に際しては

  • 保険加入の必要性
  • どの銀行で申し込みするか(保険料対応が無料か有料か)
  • 一般団信に加入を留めておくべきか、疾病特約付き団信まで加入するか

などの点を勘案しながら、同時に支払う必要のある保険料金額も念頭において十分検討する必要があります。

まとめ

住宅ローンを借り入れする際の事務手数料や諸費用について解説してきました。住宅ローンに関しては、上記解説済みの諸費用に加えて、その他の諸費用に建物に掛ける保険として火災保険、地震保険などもありますが、これらは保険会社によって保険料が異なってきます。

一般的には火災保険は加入が必須、地震保険は任意の取り扱いです。いずれにしてもこれらを含めて、住宅ローン借り入れに掛かる諸費用の総額はかなりの額になることがお分かりいただけたと思います。

それだけに、たかが費用と簡単に考えず、可能な限りひとつひとつの費用を細かくチェックして、本当に支払う必要があるのか、要不要を判断しつつ、その必要性と支払額のバランスを考え、総費用の削減に努めて頂きたいと考えています。


目次一覧

返済方法について

住宅ローンの基礎知識

審査について

住宅購入までの流れ

ローンの借り換え

住み替え・リフォーム

収益物件の購入

よくあるトラブル

住宅ローンの豆知識