
多くの金融機関が住宅ローンを扱ってきている現代で、選択肢を多く持つことはかなり有効なことです。
最近ではネット銀行の名前をよく耳にすると思いますが、実際のところどういったメリット、デメリットがあるのか分からないといった人もいるでしょう。
近くにメガバンクや地方銀行、信用金庫・信用組合といった金融機関がある人にとって、1番向いているところはどこなのか、まず違いを知らなければいけません。
今回は、借りる金融機関の違いを知りたいという人に向けて、各機関が提供している住宅ローンの特徴などを解説します。
金融機関別の住宅ローンの特徴
住宅ローンを提供している金融機関には、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。
- ネット銀行
- メガバンク
- 政府系金融機関
- 地方銀行
- 信用金庫や信用組合
ネット銀行の住宅ローンの特徴
ネットを中心に展開しているため、全国から利用ができ、経費が少ないため金利ではメガバンクよりも低く設定されています。
ネット銀行は基本的に店舗を持ちません。そのため運営費や人件費を安く抑えることができ、その分金利を下げることができるのです。メガバンクや地方銀行の住宅ローン金利と比較しても、ネット銀行の方が低金利であることが多いです。
また、住宅ローンの契約にあたって基本、銀行では保証料が発生しますが、ネット銀行の住宅ローンでは保証料が0円です。厳密には、保証料は金利に組み込まれていますが、それでも低金利となっています。
一部繰上返済の手数料を無料にしているのもネット銀行の強みです。多くの銀行では繰上返済で事務手数料が発生します。
ネット銀行では書類のやり取りは郵送やメールで行います。担当者に会うことなく、申込から契約まで手続きができるので、仕事などが忙しい人でも自分のペースで契約を進められます。
ネット銀行のデメリットは?
ネット銀行のデメリットの1つ目は審査スピードです。ネット銀行は仮審査こそ早いのですが、その後の手続きは郵送による書類のやり取りであるため、申込から融資までに時間がかかります。
2つ目は担当者との面談が無いということです。来店不要のためマイペースで行えますが、面談がないので審査も厳しめだと言われています。書類だけでの審査となると自営業者などは難しくなるでしょう。ただ、仮審査の結果はすぐにわかるため、仮審査が通れば本審査で落ちる可能性はずいぶん低くなることから、まずは仮審査で判断すると良いと思います。
3つ目は住宅ローンを借り入れする際の事務手数料が高いということです。保証料がないということを先ほど説明しましたが、その分事務手数料が借入金額の2.16%ほどかかることが多く、その点に関してはしっかり説明を聞かないといけないでしょう。
ネット銀行はとにかく金利や借り入れ後の手数料に関しては他の金融機関より優れていますが、デメリットもあります。そのため最初で理解しておかないと痛い目を見るかもしれません。
メガバンクの住宅ローンの特徴
メガバンクは取扱のローンの種類が多く、金利が低いのが特徴で、特に大都市圏では支店数も多いため都市部の人にとっては利用しやすいのが特徴です。
住宅ローンで最も大きいシェアを占めています。シェアが多い理由としては、知名度の高さや信頼性の高さ、安定した金利などが挙げられます。
メガバンクの金利は他金融機関と比べると低水準となっていますが、変動金利の住宅ローンではネット銀行の方がメガバンクよりも安い金利でサービス提供しているケースが多いです。しかしネット銀行よりは信用度が圧倒的に高いためこの先の金利情勢の中ではネット銀行より安定した金利で推移すると予想できます。
メガバンクの住宅ローンは金利幅があり、審査に応じて金利が変わってきます。基準金利からの引き下げを行っていきますので、思い通りの金利にならないこともあります。最初の検討段階では商品紹介で記載されている上限金利で考えた方がいいでしょう。
そして担当者と住宅ローン検討の段階から面談相談できるため、まったく分からない状態で来店しても、しっかり相談に乗ってくれます。扱っているローンの数も多いので、それぞれのメリットやデメリットの説明から、どのローンが1番合っているかなどのアドバイスをしてくれます。
メガバンクの審査は厳しい傾向があります。しかし返済能力が高いと判断された人は他の金融機関よりもメガバンクの方が高く評価され審査金利が優遇される事もあります。
低金利や審査の緩さをもとめる人はメガバンク自体を敬遠してしまう傾向がありますが、まずは比較対象としてメガバンクでも審査を受けて他の金融機関やネット銀行と比較をすると良いでしょう。
政府系金融機関の住宅ローンの特徴
政府系金融機関は、主に「フラット35」を扱っており、固定金利を希望している人にとっては外せない金融機関です。住宅金融市場へ安定的な資金を提供し、住生活の向上を図ることを理念としており、次の目的があります。
多くの人に固定長期の住宅ローンを提供することで、住宅取得を促進しつつ、家族のライフプランを立てやすくすることや、政府が普及を促進したいと考えている、省エネルギー住宅や耐震住宅などの建設やリフォームを促進する、といったことです。
そこで運用の中核に位置づけられているのが、長期固定住宅ローン「フラット35」の提供です。その他に財形住宅融資や災害復興住宅融資などもありますが、今回は代表的なフラット35について説明します。
フラット35は固定金利の住宅ローンを希望されている方にとってはかかせない金融商品です。フラット35の特徴としては名称のとおり、最長35年まで借り入れができ、その期間は固定金利で金利が守られます。そして政府がもとめている省エネルギーや耐震住宅など所定の技術基準に適合する住宅を取得する際には金利を引き下げる制度があります。
比較的に審査は通りやすいと感じます。銀行などの営利目的の金融機関の場合は住宅ローン利用者の返済能力を重視しますが、フラット35では融資対象となる物件が政策目的や技術的な基準に適合するかどうかを重視するためです。しかし融資金額の10%の頭金を準備できない場合はフラット35では審査が厳しくなります。
実際に窓口は民間の金融機関になり、借り入れの手続きを行う金融機関によって手数料や金利が違う場合があるので、お申し込みの際はご注意下さい。
地方銀行の住宅ローンの特徴
地方銀行は、メガバンクに比べると金利が高くなりますが、地方の人にとっては利便性の面で大きなメリットがあります。それは、今住んでいる地域や住む予定となっている地域にある店舗で、気軽に申込みや相談ができることです。
メガバンクは地方の場合だと店舗がないことも多いですし、ネット銀行は店舗のない銀行なので直接相談することはできません。元々地方銀行の口座を利用しており、給与振込や公共料金引き落としなどで使用している人にとっては、地方銀行はかなり使い勝手の良い銀行と思います。
しかしデメリットとしては金利が多少高くなってしまう点や、銀行の営業エリアに住んでいないと住宅ローンを利用できないことです。
地方銀行はメガバンクのように大企業を相手にしているわけではなく、地域に根差した銀行として地域の中小企業を支えていく役割を担っています。そのため限られた営業エリアの少ない顧客で利益をあげなければならなく、どうしても金利が高くなってしまうのです。
単純に金利だけではなく、その後の利便性をもとめている地方の人にとっては地方銀行も良い選択になると思います。
信用金庫や信用組合の住宅ローンの特徴
信用金庫や信用組合は、金利はメガバンクよりも低くなることが多いですが、利便性や将来性に少し懸念を感じます。
信用金庫や信用組合は、地域や中小企業の発展のためにある協同組織です。会員・組合員の出資で営業が行われており、非営利法人となっています。出資者同士が支え合うことで、その地域を豊かに発展させていくことを目的としています。
そのため会員・組合員や地域社会の利益を優先し、集まった資金はその地域のために使われる、というところが銀行と信用金庫の1番の違いだと言えます。
信用金庫や信用組合で住宅ローンを組むためには会員・組合員になることから始まります。その際に必要なのが出資金です。大体5,000円~10,000円でなれます。その地域に住所に住んでいるといったことも最低条件になります。
信用金庫や信用組合で住宅ローンを組む1番のメリットは金利が低いことです。低さでいえばメガバンクとほぼ変わらないか、それより少し低い場合もあります。
さらに信用金庫・信用組合の口座を給与振込に設定したり、公共料金の引き落としに指定した場合は通常の金利よりもさらに低い金利で、優遇を受けられる場合もあります。
ただし店舗数が少ないため、利便性では地方銀行よりは落ちるでしょう。そして近年では合併も増えてきて、経営状況としては苦しいと言えます。そういったデメリットもありますが、メガバンクや地方銀行よりは金利は低くなることが多いので、近くに店舗がある人は活用するのもいいでしょう。
それぞれ金融機関の特徴を説明してきましたが、これはあくまでも一般的な特徴なので、地域にある金融機関はもっと良い条件の場合もあります。
そのため身近で住宅ローンを借りた友達などに相談するのも良い方法かもしれません。地域の新聞などでも情報を仕入れるようにしておきましょう。