「ペアローン」と「収入合算」は何が違うのか?

都心部で利用者が多い「ペアローン」と「収入合算」の違いを知ってますか?

2020年の東京オリンピックも決まり、東京都内の不動産物件が高騰しているのをご存知ですか?戸建て・マンションのどちらも、新築・中古ともに需要に対して供給が追いつかず、価格もどんどん跳ね上がっています。

それがなくても、東京都内の不動産は他の地域と比較すると、割高な料金設定がされていますので、どうしても戸建てやマンションを購入するときは、住宅ローンの借入れも高額になってしまいがちです。

近ごろでは、ご主人だけの収入では住宅ローンの満額融資を受けることができず、「ペアローン」や「収入合算」をして住宅ローンを借りる夫婦が目立つようになってきました。この2つのローンにはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?今回はこの「ペアローン」と「収入合算」について解説していきます。

若い夫婦に人気のペアローンとは?

比較的若い世代の夫婦に人気なのが、ペアローンという住宅ローンです。このペアローンというのは、1つの物件に対して、夫婦それぞれが住宅ローンを組むことを言います。夫婦それぞれがまったく別の住宅ローンを組むわけですから、当然2つの住宅ローンを抱えるという考え方になります。

例えば5,000万円の分譲マンションを購入するとしましょう。夫はA銀行から、4,000万円の住宅ローンを借りたとします。そして残りの1,000万円を、妻が夫と同じA銀行もしくは、まったく別のB銀行から借りたとしましょう。このように、夫と妻がそれぞれまったく別の住宅ローンを組んで、1つの物件を購入することを「ペアローン」と言います。

まったく別の住宅ローンな訳ですから、夫が35年固定金利を選択し、妻は10年で完済することを予定に、10年固定金利を選択することも自由に出来ます。

ではなぜペアローンという名称なのでしょうか?それは、お互いが連帯保証人になる必要があるからです。最近の住宅ローンだと、「連帯保証人をつけてください」とはあまり言われませんよね?それは、保証会社があなたの住宅ローンの保証人となってくれているからです。

しかしペアローンに関しては、夫と妻がお互いの住宅ローンの連帯保証人になることを条件としているのが一般的です。

ちなみにペアローンを利用するメリットは、住宅ローンの借入れ融資額が増えるのはもちろん、夫婦2人とも住宅ローン控除を受けることができる点があります。反対に、ペアローンを利用するデメリットは、先ほども言ったように連帯保証人になることや、それぞれの住宅ローン融資に対して初期費用(印紙代、登記費用、事務手数料)を2つ支払うことになってしまう点です。

なお、ペアローンは夫婦限定という決まりはありません。二世帯住宅を検討してる場合などは、親子間でペアローンを利用することができます。

夫婦の年収を合計して借入れするのが収入合算

「やはり住宅ローンの名義人は夫1人にしておきたい。」という場合には「収入合算」という借り方がおすすめです。収入合算とは、夫の収入だけでは希望する額を満額借入れできない場合などに、妻の収入を夫の収入と合算することで、融資額を増やすことができるしくみです。

例えば、夫の年収が450万円だったとします。そこに妻の年収の150万円を合算することで、夫の年収を600万円と見なします。当然450万円の年収よりも600万円の年収の方が、融資を受けられる額も増えるので、「夫の年収だけでは審査に落ちてしまったけど、妻の収入を合算たら住宅ローンの審査に通った」なんてケースも珍しくありません。

  夫だけの年収の場合 妻の年収を合算した場合
年収

450万円

450万円+150万円=600万円

融資限度額の例

3,061万円

4,082万円

上記の表は、35年固定金利(1.5%)で資産した場合の例ですが、約1,000万円ほど多く借入れできるのが解ります。

ちなみに収入合算できる額は、金融機関や妻の勤続形態などによって異なります。妻が安定して長期正社員として勤務している場合は、年収の全部を合算することもできますが、最近は年収の2分の1までしか認めてくれない金融機関も増えています。

ここで注意してほしいのが、通常の住宅ローンと違い、収入合算の場合は、連帯債務もしくは連帯保証人をつけることを条件にしている商品がほとんどだという点です。連帯債務とは、夫も妻も債務者になるということです。そして連帯保証人とは、夫の債務に対して、妻は連帯保証人にならなければいけないということです。

一般的に、フラット35で収入合算した場合は「連帯債務」となり、民間の金融機関で収入合算した場合は「連帯保証人」となるケースが多いです。この場合、連帯債務であれば、夫婦ともに住宅ローン控除を受けることができ、連帯保証人であれば、債務者である夫のみ住宅ローン控除が適用されます。

民間金融機関の一部でも、連帯債務の住宅ローン商品もありますが、この場合、どちらか選択できるのであれば、住宅ローン控除を受けることができる、連帯債務を選択することをおすすめします。


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