住みかえ支援機構(JTI)が行う機構住みかえ支援ローン

将来増える家族設計を考えて建てた家も、子供たちが独立してしまえば夫婦二人にとっては、手に余るただの広い屋敷。ましてや老齢となれば安全性の高い生活を維持するためにも様々なリフォームも必要になってくるでしょう。

しかし、その費用が工面できずに我慢して暮らしている方も多いのでは?

それならばそんな家は売っぱらって、生活しやすい新住居へ移ればいいのにと考える方も多いでしょうが、皆がみな思うような金額で住居売却できないのが実情です。。きっと「十分な資金さえあれば・・・」そう思われている方は多いのではないでしょうか?

上記に応えて開始されたのが一般社団法人移住・住みかえ機構(JTI)のマイホーム借上げ制度です。この制度と「機構住み替え支援ローン」を併用すれば、無理だと諦めていた思い通りの新居購入も夢ではありません。そこで今回はこのメリット満載の住宅政策2つを詳しく説明していくことにします。

マイホーム借上げ制度と機構住み替え支援ローンについて

マイホーム借上げ制度と機構住み替え支援ローンは、今まで考えもしなかった貸して返すを実現する住宅政策です。この2つの住宅政策は知る人が少ないため、メリットが高い割に利用者が少ないのが現状です。今回の説明をよく理解して、是非とも今後の住宅購入の際に役立てて下さい。

すぐにも本題に取り掛かりたいところですが、まずは政策の中心となる住みかえ支援機構(JTI)について、簡単に説明してからにしましょう。

一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)とは?

一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)は日本のハウスメーカーが中心となって2006年に設立した機関で、下記の業務を行っています。

  • マイホーム借上げ制度の実施
  • かせるストックの実施
  • 転貸を通じた子育て支援と良質な住宅ストックの循環
  • 住宅の資産化に向けた制度の開発
  • 新しい金融商品の開発、提供
  • 住み替え支援に関する情報提供

つまり国民が保有している住宅を借上げて、賃料を保証することを主業務としているわけです。住宅所有者には賃料による安定した収入を、借主には良質住宅を貸付することで、空き家問題に発展しがちな住宅ストックを流動的な社会財産として再活用することを目指しています。

JTIがメイン業務として行っているのが、マイホーム借上げ制度です。この制度は今回説明する機構住み替え支援ローン利用に欠かすことのできない住宅政策となります。それではマイホーム借上げ制度の内容について説明します。

マイホーム借上げ制度とは?

このマイホーム借上げ制度の一番のメリットは保持している住宅資産を売却することなく、賃料収入が見込める活用物件にできる点で、利用者に大きなメリットを生み出します。

そのメリットは下記のとおりです。

  • 借り手がつかない時もJTIが賃料保証(保証賃料は物件による)
  • 3年以上の定期借家契約のため、再び居住できる
  • JTIが転貸するため、入居者と直接関わることもない
  • JTIは一般財団高齢者住宅財団に債務保証基金が設定されている
  • 賃貸収入を担保にJTI提携ローンを利用できる

つまりマイホーム借上げ制度を利用すれば、毎月確実に賃貸収入が得られるだけでなく、それを担保に新住宅建設のローンを組めるわけです。このマイホーム借上げ制度は基本的には50歳以上が対象となりますが、現在は特例として下記条件に当てはまる方は年齢に関係なく利用することができます。

  • 再起支援特例 住宅ローンの返済が苦しくなった人への特例制度
  • 定期借地特例 住宅を定期借地に建設されている人への特例制度
  • 海外転勤者向け特例 海外転勤者のみに対する特例制度
  • 相続空き家特例 相続しても居住する予定がない人への特例制度
  • 生前贈与特例 親と同居しており子供名義になっている場合の特例制度

どれも事情によって売却するよりも、賃貸物件として賃貸収入が得られた方がメリットの高いものばかりです。この特例の導入により、今では利用できる年齢層がぐんと広くなりました。

機構住みかえ支援ローンとは?

特例制度の導入によってマイホーム借上げ制度を利用する人の理由は様々となりましたが、全てにおいて必要なのが次の棲家です。住んでいなかった人は関係ありませんが、住んでいた人は次に住むところをさがす必要があります。そしてその中には現状の生活にあった新居を建設したいという人もいることでしょう。

しかし、住宅購入となれば簡単ではありません。大抵の人は新たに高額な住宅ローンを組む必要があるからです。年齢や収入、支払っているローンなどがネックとなって、新たに住宅ローンが組めない人が多いのではないでしょうか?ですが先程説明したとおり、JTIではマイホーム借上げ制度による賃貸収入を担保として、JTIが提携するローンを利用できます。

その中の1つが機構住みかえ支援ローン。

マイホーム借上げ制度を契約していることを前提条件として、機構住みかえ支援ローンを利用することができるのです。

機構住みかえ支援ローンの条件内容

機構住みかえ支援ローンはどんな条件で借入できるのかは、是非とも知っておきたい重要ポイントでしょう。その条件は下記のとおりです。

借入額 

100万円以上~8,000万円以下
*土地取得費も含まれるが、店舗等の非住宅部分は借り入れの対象外となる。

借入期間

15年以上で「80歳-申込時年齢」か35年の短い方が上限年数。
*申込者または連帯保証人が満60歳以上の場合は10年が上限年数。

借入金利

全期間固定金利
*借入期間と融資率に応じて借入金利が異なる。

返済方法

元利均等毎月払い、または元金均等毎月払い
*ボーナス払いもできるが、条件を満たさない場合は利用できない。

担保
  • 借入対象となる住宅およびその敷地に第1順位の抵当権を設定
  • JTIに対する賃料請求権を住宅金融支援機構へ譲渡担保として設定
保証人

必要なし

機構住みかえ支援ローンの仕組み

それでは機構住みかえ支援ローンの借入条件がわかったところで、その仕組みについて利用時の流れを見ていきながら簡単に説明しておきましょう。

機構住みかえ支援ローン利用時の流れは下記の通りです。

  1. マイホーム借上げ制度の契約締結
  2. 機構住みかえ支援ローンの契約締結
  3. 融資実行金融機関から住宅金融支援機構へ債権売却
  4. 住宅金融支援機構がマイホーム借上げの賃貸料を譲渡担保として設定する
  5. 購入した新住居に対して住宅金融支援機構が抵当権設定

通常ならば住宅ローンに通りにくい高齢者でも機構住みかえ支援ローンが利用できるのには理由があります。それは国家予算で債務保証基金が設定されている一般財団高齢者住宅財団がこのローンの保証会社となっているからです。

一般財団高齢者住宅財団は国家予算で用意された債務保証基金が利用できるため、通常ではリスクが高いと考えられる融資に対しても、国民生活の向上を第一に考えた住宅ローンの保証ができます。

よって融資実行は金融機関となりますが、契約においては一般財団高齢者住宅財団が購入物件に第1順位の抵当権と、JTIに対する賃料請求権を譲渡担保として設定します。

通常、保証会社は返済不能となった際に金融機関へ代理弁済し、債権譲渡を受けるのですが、機構住みかえ支援ローンは契約締結後に金融機関から債権売却による譲渡が行われ、金融機関は毎月のローンを代理回収するのみとなります。

この点はほかの住宅ローンとは大きく違う特徴といえるでしょう。

機構住みかえ支援ローンの利用条件

機構住みかえ支援ローンの利用はマイホーム借上げ制度の契約が条件となりますが、利用するにはほかの条件もクリアする必要があります。

その条件とは下記のとおりです。

  • 原則、申込時年齢が満70歳未満
  • 日本国籍の保有者、または永住許可を受けている人か特別永住者であること
  • 借入に対して年間合計返済額の割合が①または②の基準を満たす人
    ①年収400万円未満 30%以下②年収400万円以上 35%以下
  • 借入対象に共有部分がある場合、その部分が申込者の持ち物であること
  • 購入対象物件が戸建て住宅70㎡以上、マンション等の共同住宅30㎡以上

これら条件を見ても利用条件は絶対的に通常住宅ローンより、かなり緩和されているのではないでしょうか?しかも、マイホーム借上げ制度による賃貸収入が得られることから、上記条件の一部が更に緩和されるケースもあるの点は驚かずにはいれらません。

その条件は下記のとおりです。

  • 毎月のローン返済額がJTI保証の賃料よりも安い場合、年間合計返済額基準は適用されない
  • 毎月のローン返済額がJTI保証の賃料よりも安く、申込者の直系卑属または配偶者が連帯債務者となる場合は①~③の条件緩和が適用される。

    ①年間合計返済額基準が適用されない
    ②申込時の年齢要件である70歳未満が適用されない
    ③借入期間設定の「80歳-申込時年齢」が適用されず、上限が35年となる

まとめ

新居を購入したくても保有住宅やローン問題がクリアできず、どうしようもない方は少なくありません。そんな方にこそ、この機構住みかえ支援ローンは打って付けの打開策となるでしょう。

また基本条件である50歳未満という年齢要件も特例制度を利用できるのであれば、通常の住宅ローンよりもメリットは驚くほど大きいものとなるでしょう。今回説明した機構住みかえ支援ローンは、利用できるならば利用しないと損をすると言い切れるくらいの住宅政策に違いありません。

住宅購入予定がある人は利用できないかをまず検討することをおすすめします。

参考:住みかえ支援機構(JTI)


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