悪徳業者が行う住宅ローン詐欺の手口や仕組み

悪徳業者が行う住宅ローン詐欺の手口や仕組み

通常、一般の人が一生のうちにそう何度も住宅購入することはありません。よって、いざマイホームを購入しようと思っても専門的な知識や経験がないのは当然のことでしょう。

それもあって、すべてを宅建業者(不動産業者)任せにしてしまっている人が多いのも仕方のないことでしょう。基本的に不動産業者はできるだけ購入者の意向に沿った物件を、いい条件で提供しようとしてくれるので安心して任せたいところですが、中には自分の利益だけを考えた悪徳業者が紛れ込んでいるのも事実です。

宅建業者を信じすぎると、購入後に「こんなはずではなかった!悪徳業者に騙された!」と後悔する羽目にもなりかねないのです。事実こういったトラブル相談は毎年後を絶つことなく、国民生活センターに届出された住宅関連のトラブルは毎年2,000件以上にも上ります。

よって、マイホーム購入の際には悪徳業者による住宅ローン詐欺にひっかからないための対策を立てておく必要があるのです。

住宅ローン詐欺の手口や仕組み

悪徳業者による住宅ローン詐欺は実に巧妙な手口で行われます。よって、消費者は最後の最後まで気づくことはなく、後になって騙されたと分かるまで悪徳業者の言うがままに契約を締結してしまいます。

それでは悪徳業者に引っかからないようにするためにも、是非とも知っておいてもらいたい重要ポイントを紹介していきましょう。

正式な免許を受けた業者かどうかの確認!

消費者が住宅ローン詐欺に遭った場合、そのままにしておくことはありません。何らかの訴えや相談をしているケースがほとんどです。よって悪徳業者と呼ばれる宅建業者は免許を剥奪されていることが多いのです。

大手ハウスメーカーや地場の古参業者であればそんな心配はないでしょうが、近年は仲介業者と称した業者や、個人で行っている小規模な業者を利用する方も少なくありません。この場合には免許を持たない悪徳業者の可能性もあるでしょう。

そこでまず確認してもらいたいのが、ちゃんと免許を持った業者であるかどうかです。これは国土交通省の各地方整備局、もしくは各都道府県の担当課で調べることができます。

正式に免許を持った業者であれば、宅建業者名簿と免許申請等の閲覧ができます。しかも、下記のような情報も併せて閲覧できるので、信頼できる宅建業者であるかどうかも知ることができるのです。

  • 免許証番号:実際に営業している年数を把握することもできる
  • 過去の営業成績:免許更新前の取引件数とその額を5年分把握することができる
  • 商号、代表者名、役員名、事務所所在地:この内容が度々変わっている場合は注意が必要
  • 専任となる宅地建物取引士の氏名:度々変わっている場合は注意が必要
  • 資産状況:資本金や財務内容が見れるので、経営状態を把握することができる

大手以外の業者を利用する際には、この確認がまず必要です。安心して取引を開始するためにもどのような宅建業者なのかを把握することを忘れないようにしましょう。

悪徳業者に共通する特徴はコレ!

巧妙な手口を得意とする悪徳業者にも共通する特徴があります。よって、それを知ることで「もしかしたら」と悪徳業者を見抜く手段となることも少なくないのです。

その特徴は下記のとおりです。

おとり広告を出している

実際にはない相場より格段安い物件を広告に出して集客する。これは法令違反となるため確実に悪徳業者であると断定できます。

原野商法

開発工事などが行われるので値上がりすると持ちかけ、高い値段で土地を売りつける。

契約を急かせられる

人気物件のためすぐに売れるといって、契約を急かす場合は注意が必要です。単なる営業トークの場合もありますが、契約を早めず一旦時間を置くようにしましょう。

家が建てられない土地を勧める

宅建業者は販売する土地の建築制限等の制限事項を事前に説明する義務がありますが、販売時に隠して販売するケースが見られます。この説明義務を知らない人も多いので、重要な制限事項等の説明に抜けがないかはよく確認するようにしましょう。

売却物件の囲い込み

不動産売却を依頼された不動産会社は広く購入者を募るため、不動産会社が構築したネットワークのレインズシステムに登録することが宅建業法で定められています。しかし、仲介手数料を多く入手したいがために登録しない不動産会社も見られます。そんな業者はほかにもどんな悪どいことをしているかのか分かりません。本当に登録されているかどうかを確認するようにしましょう。

申込金の返却を渋る

物件の仮押さえをするには申込金の支払が必要となりますが、契約に至らなければ返却されなければなりません。しかし、中には返却を渋る業者も見られます。こういった業者は全てにおいて信用できないので早めに決着をつけて手を切るに限ります。

最低限確認すべきは契約内容

住宅ローン詐欺と呼ばれるものの中には偽装の契約書を作成して、金融機関から購入価格よりも多い融資を引き出すオーバーローンと呼ばれるものがあります。つまり銀行に出す契約書と不動産会社との契約書の2つが作成されるのです。

これは一見、消費者にとっては詐欺とは思えず、すんなりと偽装契約書に署名捺印する方も少なくありません。しかし、オーバーローンは詐欺行為に当たります。それをよく理解せずに加担することになれば業者と同様に詐欺行為で訴えられることにもなりかねないのです。

オーバーローンの手口とは

住宅購入の意思があっても自己資金が少ないため、諸費用が支払えないという方は少なくありません。諸費用とは住宅購入費用とは別にかかってくる下記費用のことを指します。

  • 上下水道代
  • 印紙代
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 司法書士報酬料
  • 融資手数料
  • 保証料
  • 火災保険代金
  • 地震保険代金
  • 団信保険代金
  • 家電費用
  • カーテン等の装飾費用

諸費用を住宅ローンに組み込むことができるものもあるようですが、一般的には現金で用意するのが普通です。ですがこの諸費用は住宅購入費の5~10%にもなるので決して簡単に用意できる金額ではないのです。

よって、住宅購入を諦める方も少ないのですが、ここで業者から次のような提案がされるのです。「諸費用分、物件価格を上げて住宅ローンを組むことにしましょう。」「長年付き合っている銀行があるので、顔がききますから大丈夫ですよ。」こう言われて、そんな手もあるのかと納得してしまうのです。

しかし、これでは実際に不動産会社からの購入金額と、銀行から融資してもらう融資額には諸費用分の差額が出てしまいます。

そこで行われるのが契約書偽造です。不動産会社と結ぶ正規の売買契約書と、融資を受けるために銀行に提出する諸費用を含んだ虚偽の売買契約書の2種類の売買契約書ができ上がってしまいます。

「誰でもやっていることなんで大丈夫ですよ」なんて言われると、詐欺に加担しているなんて考えはまったく浮かびません。よって、業者の言うがままに虚偽の契約書に署名捺印してしまうのです。

しかし、これは立派な文書偽造であり、虚偽の申告で融資を受けるわけですから立派な詐欺行為にあたります。しかも、そうとは知らずに加担した契約者も同罪の扱いとなってしまいます。

これが銀行に知られれば詐欺罪で訴えられるだけでなく、住宅ローンの一括返金を求められることにもなるのです。

契約書の確認すべき内容

今の話で騙されたと言ってもなんの効力もありません。それは契約書がすべてを物語っているからです。契約書内容は基本的に自由ですから、一度契約を締結してしまえば、契約内容を簡単に反故にすることはできないのです。

よって、詐欺に合わないためにも、契約内容はくれぐれもしっかりと確認する必要があります。そこで契約書で必ず確認して欲しいポイントを挙げていおきましょう。

そのポイントは下記のとおりです。

  • 商談中に要求した希望条件がちゃんと記載されているか
  • 契約後に不利となる条件が記載されていないか
  • 明確にされていない条件はないか

そして、このポイントの確認と合わせて、下記の基本的な確認も忘れず行うようにしましょう。

  • 売買物件の情報表示が正しいかどうか
  • 売買金額や手付金等の記載された額面が正しいかどうか
  • 支払条件が正しく記載されているか
  • 引渡し時期に合わせて無理のない所有権移転が行われるようになっているか
  • 引渡し前の物件の滅失と毀損時の取り扱いが明確にされているか
  • 土地の実測はどこが行うのか、その測定に応じた金額が売買金額の精算となっているか
  • 手付解除の期日はいつか
  • 違約金は妥当な設定額となっているか
  • 瑕疵担保責任の有効期間が適切かどうか

これらは住宅ローン詐欺に遭わないためだけでなく、契約後トラブルを回避するためにも重要となってきます。

契約書内容は一般の人には理解できないところも多いでしょうが、まずは自分で知識をつけることも必要ですが、契約時には専門知識に長けた知人や専門家に同正規してもらうのもおすすめの方法ですね。

詐欺にひっかかった場合の相談窓口は?

住宅ローン詐欺に遭った場合どうしたらいいのと戸惑う方は多いことでしょう。まずはその業者との話し合いの場を持つことが一番重要になってきますが、本当に詐欺に遭ったかどうかを証明できないという方もいます。

そこでまず相談窓口としておすすめなのが全国に設置されている消費者生活センターです。

消費者生活センターは消費者からの各種相談を専門の相談員が受付けて、公正な立場で処理を行っており、地方公共団体によって設置された行政機関です。

相談は全国統一番号の「188」で電話連絡が取れ、近くの消費者相談窓口を案内してくれます。誰もがアクセスしやすい相談窓口を目的に設置されているので気軽に相談することができるでしょう。

また詐欺内容が法的措置や専門家知識が必要となった場合には、住宅ローン詐欺の取扱実績の多い弁護士に相談するのがおすすめです。住宅ローン詐欺となれば専門知識と経験に長けた専門家の力がどうしても必要となるので、検討してみましょう。

※参考:独立行政法人「国民生活センター」


目次一覧

返済方法について

住宅ローンの基礎知識

審査について

住宅購入までの流れ

ローンの借り換え

住み替え・リフォーム

収益物件の購入

よくあるトラブル

住宅ローンの豆知識