無理なく住宅ローンを組むため、知っておきたいこと

無理なく住宅ローンを組むため、知っておきたいこと

不動産を購入する際には「住宅ローン」が欠かせません。家計にも直接影響があり、とても重要な住宅ローン選びですが、多くの場合は物件決定直後にあまり知識がない状態で慌てて選ぶことになり、後から返済が大変になる方もいます。

そこで、無理のない住宅ローンを組む際のポイントを紹介します。

ポイント1. 月々の返済額を「長期的に払える金額」に抑える

家の購入を考えている、とくに若い年齢層の人たちには、無理なく返済を続けていける金額を、長期的な視点に立って算出することが大切です。将来的にどれくらいのお金が、住宅ローンの他にかかってくるのか。

たとえば子供ができれば、長期にわたって教育費が必要になります。教育資金の積立も必要になるかもしれません。保険の見直しが必要になる場合も考えられます。

一般的に住宅ローンは年収の3割を目処に借り入れが可能ですが、家族が増えたり状況が変わったりした時には3割の返済ではきつくなるかもしれません。できれば2割から2割5分に抑えておければそれだけ楽に暮らしていけます。

ポイント2.プラン選びでは金融機関の担当者にしっかり質問

どんな返済プランがあるのか、金融機関の担当者に一つひとつ聞いてみましょう。

今は金利が底だと言われています。であれば、返済期間の最初から最後まで、固定金利で組むのも一つの手かなと思います。

しかし、これも単純計算では一概に言いきれないところがあって、たとえば、15年で返済するのか35年で返済するのかによっても状況は変わってきます。長めのローンを組んでおいて途中で繰り上げ返済するなら変動金利の方がお得な場合も出てきます。

返済期間によって選ぶ

例をあげて説明します。

「A:4,000万の家を、15年で返済する場合」と「B:同じく4,000万の家を、35年ローンで返済する場合」について、それぞれどちらの金利が適切でしょうか?

まず、Aのケースですが、初めの5年間は、金利引き下げプランを使って固定で借りると、変動金利より初めの5年間は安くなります。もちろん、3年でも4年でも安くなりますが、10年になると変動で借りた方が安くなるので、5年が分岐点になります。

その後の10年間は、店頭表示変動金利より0.2%くらい高くなりますが、残りは10年なので結果的にその方がお得でしょう。

一方でBのケースでは、現在の金利がかなり安く、返済期間も長いため、5年以降も金利が割安になる可能性が高い変動金利で借りておき、コツコツ返済していくのが良いでしょう。

繰り上げ返済のタイミング

Bの例では、繰り上げ返済するときのタイミングもポイントになります。繰り上げ返済時に手数料が取られる金融機関であれば、ある程度まとまった金額を貯めてから繰り上げ返済します。

手数料がなくて、いつでも繰り上げ返済ができるプランの場合は、こまめに繰り上げ返済していくといいでしょう。当然ですが、元本が早く減れば、その分利息も減ります。

銀行ごとにルールが違うので担当者に確認

この繰り上げ返済の例を一つ取ってみてもそうですが、銀行によって返済のルールも異なりますので、よくわからないことや、ちょっと疑問に思ったことなど、どんなに小さいことでも金融機関の担当者に一つひとつ確認しておくと良いです。

銀行によってはある一定の時期だけ限定で金利を安くするキャンペーンをしていたりもしますので、そんなところも聞いてみましょう。

どのように返済したら得になるのか、専門家ですからよく知っています。金融機関から提示された返済パターンをそのまま受け取らずに、よくよく突っ込んで聞いてみると教えてくれます。

ポイント3. 初期費用は事前に確認。中には節約できるものも

住宅購入資金を準備するとき、忘れてはいけないのが、住宅価格の他に必ずかかる初期費用です。

  • 融資事務手数料
  • 抵当権設定登記費用
  • 抵当権設定登記手数料
  • 住宅ローン保証料
  • 団体信用生命保険料
  • 火災保険料
  • 地震保険料
  • 印紙代

などがこれにあたります。

購入する物件が建売、注文住宅、マンションのいずれかにもよりますし、借りる住宅ローンによって異なりますので、これも事前に金融機関や不動産屋に確認しましょう。

節約のコツ1:登記は自分で

さて、この初期費用を少しでも安くする方法について考えてみます。

まず一つは、登記費用です。登記費用は自分で法務局に行って登記手続きをしたら、司法書士の報酬分、約20~30万を節約できます。

節約のコツ2:ローン保証は連帯保証人で

ローンの保証料は、連帯保証人を付けることができれば約20~30万は節約できます。

また、複数の銀行で住宅ローンの相見積もりをとって、銀行に掛け合い、値切ることができるケースもあります。

ポイント4. 他行への乗り換えも常に視野に

住宅ローンは最初に利息を多く支払うように組まれています。したがって、支払う利息を少なくするためには、少しでも早く元本を減らしていくことです。コツコツと返済しておくと元本が減った分だけ返済も楽になります。

また、時々は現在の住宅ローンを見直すことも必要です。気がつけば他の銀行の方が金利が低かったというようなときには、銀行を乗り替えるという手もあります。

実際にあった話ですが「他行の方が金利が安いけれど、できれば乗り替えずにこちらの銀行で続けていきたいので、現在の金利を下げてもらえませんか?」と話したところ、金利を下げてもったという例もあります。

とにかく、住宅ローンを組んだらもう安心して、月々決まった金額を返済していくという姿勢ではなく、金利や元本や返済額の分岐点などをいつもチェックしておくことが、無駄な出費をくい止めることに大きく繋がることを覚えておきましょう。

ポイント5. 他の運用方法とのバランスも

私の場合は、今までに3,4回、家を売ったり買ったりしています。約25年ぐらい前、最初に購入した時は金利が7%程でした。何にも知らなくて、こんなものだと思っていましたが、今から考えるとかなりの金額を銀行につぎ込んでいたことになります。

現在の家は昨年0.6%で住宅ローンを組みました。私の年齢だと、定年までに15年しかないのですが、限度額いっぱいで30年ローンを組みました。完済年齢は満80歳です。

この年齢になると、ある程度手持ちの資金もあり、そこまで借り入れる必要も無いのですが、今の金利の安さから考えて、借りれるだけ借りて、手持ちの資金は置いておこうと考えました。

手持ちの資金を仮に2%で運用できたら、頭金にすべてつぎ込んでしまうより1.4%もお得です。そのため、住宅ローンを組む時には、自分の資産全体を見渡して、より良い運用の方法を考慮して借り入れをしましょう。

ローンも大事だが、物件選びが一番大事

最後にお話ししておきたいのは、マイホームを持つことは人生の楽しみの一つです。賃貸住宅では得られないオーダーメイドの住空間に想いを馳せれば、楽しい夢も広がります。

ですから、住宅ローンが重荷になり過ぎたり、ストレスになってしまってはつまりません。最終的には、家を買ったからといって、ここに最期まで住まなくては、とか、ローンを最後まで払い続けなければ、とは思わないでください。

ダメだったら売ればいいしね、くらいの心持ちでいることも必要です。だからといって、最初から無理なローンを組むことはNGですよ!

そして売るときには、売れる物件を買っていることが大前提です。どんなマイホームを買おうか、どんなライフスタイルにしようか、夢を描きながら、同時にそんなこともチラッと頭の隅に置いておくと良いですね。


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