変動金利と固定金利はどちらがお得なのか違いを比較

変動金利と固定金利はどちらがお得なのか違いを比較

住宅ローンを組む際に必ずみなさんの頭を悩ませることとなるのが金利選び。住宅ローンは何千万円もの高額借入となるため、普段なら気にすらしない0.1%ほどの金利差でも支払いに大きな影響を及ぼすことになります。

よって、住宅ローン金利はできるだけ低く抑えたいと考えるのも当然のことでしょう。そこで最も重要となってくるのが変動金利と固定金利のどちらを選べばいいのかという点です。

住宅ローンを組む際にはどこで借りるのかも重要なポイントですが、それよりも重要視しなければならないのがどちらで借りるかという点に尽きるでしょう。

しかし、変動金利と固定金利を比較してどちらが安くなるのかは正確に予想する事はできません。固定金利なら総支払利息を計算できますが、変動金利は将来の金利がどうなっているのかを正確に予測できないからです。

よって、変動金利と固定金利でどちらが得になるのかを考えるのであれば、どちらの金利が借り主にとってどれだけメリットが高く、どれだけのデメリットを回避できるのかがポイントとなってくるでしょう。

そこで今回はその選択時の基礎知識としてもらうためにも、変動金利と固定金利のメリット・デメリットを詳しく説明していくことにします。

変動金利とは?

それではまず変動金利のメリット・デメリットを説明する前に、簡単に変動金利について説明します。

変動金利の特徴

変動金利とはその名のとおり借入期間中に適用金利が変更される金利で、固定金利より低金利という大きな特徴がありますが、ほかにも下記のような特徴がります。

  • 半年に1度、金利が変動する
  • 金利変動は主にプライムレートが指標にされている
  • 金利変動があっても5年間は据え置き
  • 金利変更後も上昇率は1.25倍が上限

変動金利は金利が上がればすぐにでも適用金利が上昇するかのように考えている人は少なくないでしょう。金利は低いが金利上昇が心配だと思っている人が多いのもこの点が大きく影響しているのではないでしょうか。

しかし、実際にところは上記のように常に変動するわけではなく、金利が上昇しても5年間は据え置きで、金利上昇も1.25倍までという激変緩和措置がとられています。

よって、極端な話ではありますがプライムレートの金利が10倍に跳ね上がり、住宅ローン金利が連動して上昇しても、その煽りを直近でモロに喰らうことはないのが実情です。住宅ローンで変動金利を利用する人が多いのも、この激変緩和措置があってのことなのです。

世情の金利上昇の煽りをすぐにまともに食らってしまうのでは、高額な住宅ローンを変動金利で借り入れすることなんてできやしません。となればこの激変緩和措置はあってしかるべきものと言えます。

しかし、これは下記のどちらの返済方法を選ぶかによって大きく変わってきます。

  • 元利均等返済
  • 元金均等返済

元金均等返済を選んだ場合、この激変緩和措置を受けることはできないのです。

元金均等返済では激変緩和措置を受けられない

先程説明した変動金利の下記激変緩和措置を受けるには、返済方法に元利均等返済を選ぶ必要があります。

  • 金利変動があっても5年間は据え置き
  • 金利変更後も上昇率は1.25倍が上限

元金均等返済の場合だと金利に変動があれば直ぐにそれが適用金利に反映されることになり、5年間の据え置き措置は受けられません。

その上、金利上昇率にも上限設定がないため、プライムレートの金利上昇幅がそのまま適用されることになるため、大幅な金利上昇ともなれば毎月の支払利息が高騰する恐れもあるのです。

よって、安心して変動金利を利用するためには、元利均等返済を選ぶことが前提となってきます。

変動金利のメリット・デメリット

それでは変動金利の特徴と注意点を理解してもらったところで、肝心のメリット・デメリットについて説明していくことにしましょう。

変動金利のメリット

変動金利の主なメリットは下記のとおりです。

  • 月々の返済額を抑えることができる
  • 金利が下がっている時期は低金利の優遇が受けられる
  • 激変緩和措置が受けられる

変動金利、固定金利両方とも金利設定にはプライムレートが影響してくるので、金利が低い時には低金利で住宅ローンを利用することができます。しかし、固定金利よりも金利が安く設定されているという点が変動金利の一番のメリットと言っていいでしょう。

つまり、一番低い金利で住宅ローンを利用できる金利選びが変動金利というわけです。

しかも、激変緩和措置がとられているため、急激な金利上昇を招いた時でも5年間の据え置きと、最大1.25倍の金利上昇に留めることができます。変動金利と言っても、金利上昇の煽りを食うことにならないのは見逃すことのできないメリットとなってきます。

変動金利のデメリット

メリットに対してデメリットは下記のとおりです。

  • 金利上昇に伴い、利息額が増大する
  • 返済総額の増大により返済期間が長くなる可能性がある
  • 将来設計が立てにくい

変動金利のメリットは低金利時に一番安い金利で住宅ローンを利用できる点ですが、このメリットは金利上昇に伴いデメリットへと変化します。激変緩和措置による対策が立てられていますが、金利上昇が長引けば確実に返済利息は増大します。

激変緩和措置を受けるためには元利均等返済が条件となるので、金利が上昇すれば最大1.25倍といえども確実に返送利息は増大します。

毎月の返済が15万円で返済内訳が元金7万円、利息8万円だったとしましょう。ここで1.25倍の金利上昇となれば元金5万円、利息10万円と変動し、元金の返済が遅れるため自ずと返済期間が長くなってしまいます。

また、この金利上昇が継続すれば5年毎の見直しでさらに利息返済額は増え、元金返済額が減り、最終的には返済額15万円を上回る利息となる可能性もあるのです。

これは極論にはなりますが住宅ローンは35年と長期にわたるものもあります。となれば、その返済期間に7回の金利見直しが行われることになることを考えればない話とは言い切れませんよね。

このように変動金利は将来的な返済額の予測が付けにくいため、将来設計が立てにくいというデメリットも生じます。よって金利上昇に伴う対策は必ず立てておく必要が出てくるのです。

利用する際には金利上昇後の返済がどうなるのかをしっかりとシミュレーションし、将来設計に大きな影響を及ぼさないかをよく検討するようにしましょう。

固定金利とは?

それでは次に固定金利のメリット・デメリットを説明する前に、簡単に固定金利について説明しておきます。

固定金利の特徴

固定金利は大きく分けると下記の2つに分類されます。

  • 全期間固定型  返済完了まで金利が変わらない
  • 固定期間選択型 選択した固定期間満了後に再度固定期間を決めて返済を継続する

双方とも変動金利より金利は高くなりますが、金利変動がないため低金利時に契約すれば長期間に渡って低金利適用を受けられるのが一番大きな特徴です。

固定期間選択型であれば全期間固定型よりも低金利適用となりますが、選択した固定期間が終了した時点で金利が上昇していれば、以前よりも高い金利で返済継続することになります。
ということはこれはある種、変動金利と同じリスクを持つことになってくるのです。

将来的に金利上昇があれば返済完了まで金利が変わらない固定金利はメリットを生み出しますが、更なる金利下降となれば変動金利の方が金利メリットは高くなってきます。この点が固定金利を選択する上での一番の懸念材料となります。

それを解消すべく用意されたのが変動金利のメリットを導入した固定期間選択型です。固定金利といえば全期間固定型を指すことが多いのですが、変動金利の特徴を併せ持つ固定期間選択型が登場したのは昨今の固定金利の特徴と言えるでしょう。

固定金利のメリット・デメリット

それでは固定金利の特徴を理解してもらったところで、肝心のメリット・デメリットについて説明していくことにします。

固定金利のメリット

固定金利のメリットは下記のとおりです。

  • 将来的な金利上昇の影響を受けない
  • 長期間金利が同じなので将来設計が立てやすい

固定金利の最大のメリットは世情の金利上昇の影響を全く受けない点です。よって、低金利時に契約すれば大きなメリットを生み出すことになります。近年の超低金利時代に突入し、金利が底の底まで下降したと言われている日本において、固定金利を利用するのは賢い選択方法でしょう。

また金利変更がないため毎月の返済額が固定されます。よって、将来的設計も立てやすく、お金の管理もしやすくなってきます。金利上昇に伴い返済額が増大する可能性が伴う変動金利にはないメリットと言えます。

固定金利のデメリット

メリットに対してデメリットは下記のとおりです。

  • 当初の金利設定が変動金利よりも高い
  • 将来的に低金利となれば変動金利より返済額が高くなる

固定金利を選んだ際に考えられるデメリットは上記のように金利面のみです。固定金利2.0%、変動金利1.5%(2017年9月現在)と、超低金利時代と言われる現在でも変動金利よりも金利は高くなっています。

また、今では考えられませんが将来的にさらに金利が下降した場合には、5年おきに見直しの入る変動金利との金利差はさらに開くことになります。よって、返済総額において大きく損をする可能性もあるのです。

0.5%の差が1.0%に開いたとしましょう。単純計算ですが3,000万円の借り入れの場合、変動金利との返済差額は30万円にも上ります。タラレバの話ですがこういった不利益を受ける可能性も出てきます。

よって、固定金利を選択する場合には、今のように低金利であることが絶対の条件となってきます。2016年に発表した住宅金融支援機構の調査でも、以前は契約の70%を占めていた変動金利が、今では40%まで下降している結果が報告されています。

将来的に低金利となって「損した」とならないためにも、後は金利上昇の可能性しかない、もしくはこれ以上の金利下降の可能性は低いと考えられえる今は、チャンスかもしれませんね。

目先の低金利だけを選択肢にしない!

冒頭でも言ったようにどちらの金利選択が得になるのかを一口に断言することはできません。

返済余力が高い人ならば低金利の変動金利を選び、繰り上げ返済を利用していけば短期間での返済完了も可能です。よって、高収入の人ならば返済利息が大幅に抑えられる変動金利が一番お得な選択方法と言えます。

しかし、そんな人はひと握りしかいないのが実情です。となれば目先の金利だけに囚われた選択だけは避けなければなりません。

固定金利、変動金利ともにメリット・デメリットを持ち合わせています。住宅ローンは数十年にも及ぶ長丁場です。よって将来設計と考えた上での選択が必須となってきます。

将来的には養育費や教育費、各種ローン支払いも出てきます。将来的に新たに発生する出費があっても、住宅ローンが苦とならない返済方法を選ぶ必要があるのです。

目先の金利に惑わされて返済に窮することのないよう、まずはそうなった時にどちらの金利の方がメリットが高く、デメリットが低いのかをじっくりと検討するようにしましょう。


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