自宅をリフォームや増改築する流れとローン等の手続き

自宅をリフォームや増改築する流れとローン等の手続き

近年は購入価格が高額となる新築物件購入を避け、購入価格が比較的安価な中古物件を購入し自分の思いとおりに手を加えるリノベーションを行う方も少なくありません。

またこのリノベーションブームは深刻化する空家問題に頭を悩ませる政府にしてもひとつの追い風となり、中古住宅の活用促進に力を入れている政府はリフォームや増改築に対する補助金や控除を用意して、リフォームや増改築をやりやすくするため様々な行政支援を行っています。

それもあってか現在は自宅のリフォーム、増改築を検討している人も少なくありません。

そこで今回は自宅をリフォーム、増改築しようと検討している人がスムーズにことを進められるよう、申し込みの流れ、そしてローンなどの手続きについて説明していきます。

自宅をリフォームする際の流れ

それではまずは自宅をリフォームする際の流れを説明していきましょう。リフォームする時の流れは利用するリフォーム会社によって若干の違いは出てきますが、大抵の場合は下記と同じ流れとなります。

  1. リフォーム会社へ工事内容の相談
  2. リフォーム会社から見積
  3. リフォームローンの申し込み
  4. リフォーム会社との契約締結
  5. リフォームローンの契約締結
  6. 工事開始
  7. 完成、引渡し

それでは各流れを簡単に説明していきましょう。

リフォーム会社へ工事内容の相談

リフォーム会社との商談時に必ず伝えなければならない点は下記のとおりです。

  • しっかりと完成後イメージを伝える
  • 用意できる予算上限
  • 工事開始予定日

工事に関わる詳細事項は契約書に記載されますが、後々言った言わないで揉めることのないように商談内容はしっかりとメモしておくことをおすすめします。また相談先のリフォーム会社の選出も重要になってきます。

リフォームは様々な工事内容があるため、どの分野の工事を得意としているのかはリフォーム会社によって違ってきます。完成後の満足度を上げるためにも、まずは希望するリフォームを得意とするところの選出が重要なポイントとなってきます。

また現在は実に多くの住宅工事業者が設立されているため、ハズレ業者に当たらないためにも信頼度が高く安心して工事を任せられるところを選出する必要もあります。よって、リフォーム会社選出には自分でできる範囲内で様々な情報収集を行い、多くの中からいくつかの候補を挙げるようにしましょう。

リフォーム会社から見積

リフォームの見積額は工事内容や使用する建築資材や材料によって大きく違ってきますが、リフォーム会社によっても違ってきます。安心して任せられるところがあれば話は別ですが、基本的には必ず複数社から見積を取ることをおすすめします。

リフォーム会社も見積もり先が1社だと分かっていれば、本来なら値引きするところも値引きしないこともありますし、その金額が相場工事価格よりも高くなることも珍しくありません。一番いいのは最初から複数社競合にすることを業者に伝えておき、見積額を競い合わせる状況を作っておきましょう。

リフォームローンの申し込み

一括支払いできるだけの余力があるなら話は別ですが、そうでないなら工事資金の借入算段が必要になります。リフォームローンの借入準備は早い段階で行うのがベストです。できるだけ好条件で借り入れできるところを探すためにも、見積が出されて大まかな概算が分かった時点でローン申し込みできるくらいがベストでしょう。

以前のリフォームローンは住宅ローンより金利が高く、返済期間も短いなど、決して使い勝手のいいものではありませんでしたが、今では、民間金融機関だけでなく公的融資も利用できるようになり、好条件で借り入れできるリフォームローンが登場しています。できるだけ多くのローン比較を行い、一番条件のいいところへ申し込みするようにしましょう。

公的融資

リフォームローンとして利用できる公的融資は下記の2つがありますが、残念ながら公的融資のリフォームローンは利用できる人が特定されているというデメリットがあります。よって、万人におすすめできるものではありませんが、利用できる方にとっては好条件で借り入れできる手段となってきます。

  • 財形持家転貸融資
  • 日本政策金融公庫のリフォーム融資

①財形持家転貸融資

財形持家転貸融資は勤務先で財形貯蓄を行っている人だけが利用できる住宅ローンで、リフォームローンとしても利用することができます。

借入可能額は財形貯蓄残高の10倍以内で最高4000万円までと、財形貯蓄の残高に応じた額となりますが、低金利で長期返済もできるので高額となるリフォーム時にはメリットの高い借入手段となります。

②日本政策金融公庫のリフォーム融資

日本政策金融公庫といえばフラット35ですが、中古住宅購入とリフォームを同時に行う場合ならこのフラット35の利用もできます。しかし、残念ながらリフォームのみではフラット35の利用はできません。

しかし、満60歳以上の方で、下記のリフォーム実施の際にはリフォーム融資が利用できます。

  • 部分的バリアフリー工事を含むリフォーム
  • 耐震改修工事を含むリフォーム

融資限度額は1,000万円までですが金利は年0.80%と低金利で、毎月の返済額も抑えることができます。

民間金融機関からの融資

リフォームローンは地方銀行や信用金庫等、実に多くの民間金融機関から販売されており、借入額に応じて、下記2つからローンタイプを選ぶことができます。

  • 有担保型 不動産物件が担保となるが住宅ローンと同等の低金利も実現可能
  • 無担保型 通常の住宅ローンより高金利となり、金利タイプは変動型が一般的

民間金融機関のリフォームローンは各行比較をすると、条件内容が実に変動的ですから
一概にどこがいいと断言できませんが、まずはどちらのタイプで借り入れするのかによって、申込先の候補は大きく違ってきます。

リフォーム会社との契約締結

リフォーム会社が決まれば契約締結に移りますが、その際には工事内容について詳細な打ち合わせが必要となります。初回見積もりはあくまでも概算価格となるため、詳細事項まできっちりと決めた見積とはなっていません。

希望する建築資材や材料によって工事費用は大きく違ってきます。まずは出された見積と比較しながら希望する工事だとどれくらいの費用がかかるのか、どこまでなら出すことができるのかを考えながら納得がいくように工事詳細を決め、最終的な見積書を出してもらいましょう。

その見積書に納得して初めて契約締結となるのです。

リフォームローンの契約締結

リフォームローンの契約締結は工事開始前に完了しているのが理想です。工事費用の支払い時期は両者の話し合いによって決まりますが、一般的には下記の支払い方法が取られることになります。

  • 工事費用100万円超え 契約時とリフォーム完成時の2回に分けて支払い
  • 数百万円~数千万円台 契約時、工事途中、リフォーム完成時の3回に分けて支払い

よって、工事開始時には最初の支払いが求められるので、ローンの融資実行時期が工事開始時期に間に合うかが重要なポイントとなってきます。間に合わない場合は自己資金で賄うか、住宅ローン借り換えの時と同じようにつなぎ融資に頼るしかありません。

そうならないためにもリフォームローンの締結は前倒しで行うようにしましょう。

工事開始からリフォーム完了まで

リフォーム工事が始まれば、リフォーム完了後に工事費用の残金支払いを終えれば引渡しを受けてすべての流れは終了となります。

ここまでの流れをみえればリフォーム申し込みから引渡しまでに手がかかるのは、リフォーム会社の選定からリフォームローンの契約締結までと言えるでしょう

自宅を増改築する際の流れ

それでは次は自宅を増改築する際の流れを説明していきましょう。おおまかな流れは下記のようにリフォーム時となんら変わりはありません。よって、注意する点もリフォーム時とほぼ同じと考えて良いでしょう。

  1. 増改築会社へ工事内容の相談
  2. 増改築会社から見積
  3. 増改築の申し込み
  4. 増改築会社との契約締結
  5. 増改築ローンの契約締結
  6. 工事開始
  7. 完成、引渡し

リフォームと増改築を請け負う業者は大半は同じところとなります。そもそも金融機関にしても工事業者にしても増改築をリフォームの一環として捉えているのが一般的です。工事内容に違いはあるものの、利用する金融機関も工事業者もリフォーム時と変わりはないため、申し込みの流れは同じになってくるのです。

よって、増改築だから増改築専用ローン、増改築専門業者と区別して考える必要はありません。

しかし、フラット35で返済途中の場合は注意しなければならない点があります。

フラット35返済中の増改築には注意が必要!

フラット35で借り入れをし、まだ完済していない状況で増改築を行う場合は、下記の条件が求められることがあります。

  • 返済中融資金の繰り上げ返済
  • 増築した家屋の担保設定
  • 工事期間中、金銭など担保となるものの提供

返済途中の不動産物件への増改築時には「現状・用途変更承認申請書」の提出が必要となり、審査によって承認の合否が決定されます。この審査内容次第で上記条件が求められることがあります。増築分の担保追加なら実質的には負担はありませんが、繰り上げ返済や担保としての金銭提供は申込者にとって確実に大きな負担となります。

となればそれにかかる資金も考えた上でないと増改築に踏み切ることはできません。フラット35で住宅ローン融資を受けている人は、この点をよく覚えておきましょう。


目次一覧

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