住宅ローン金利、地価の推移、不動産価格の今後の予想

住宅ローン金利、地価の推移、不動産価格は今後どうなる?

住宅購入をするなら底の底とも言われる低金利を記録している今が買い時。

最近こういった話をよく耳にしますが、素人同然の消費者にとって、耳にする情報だけを鵜呑みにして何千万円もの高額な買い物はなかなかできません。おそらく本当に今が買いどきなのか、もう少し待てばさらにいい条件になっているんじゃないかなど、様々な考えが頭をよぎっていることでしょう。

少しで安く、いい物件を購入したいと考えるのであれば、これはごく普通のことですよね。しかし、その見極めがどうにもできない、そういった人が多いのが実情ではないでしょうか。

そこで今回は、自分で判断するために必要となる基本知識の住宅ローン金利と地価推移、そして肝心の不動産価格の現状と今後の予測を噛み砕いて説明していくことにします。

住宅ローン金利の推移と今後

2017年執筆当時の住宅ローン金利は変動金利で2.475%。これが低いのかどうかはバブル期と言われた平成元年から平成4年くらいの金利と比較すれば簡単に判断できます。バブル期の金利は変動金利で8.5%程度、なんと今の3倍以上にも上ります。

この数値比較だけでもいかに今が低金利であるのかが分かってもらえるでしょう。

8.5%の金利で5,000万円の住宅ローンを返済期間35年で組んだとします。なんとその際の返済総額は1億5,000万円にもなり、購入した物件の3倍もの支払いを強いられることになるのです。しかし、これを現状の金利に置き換えると、単純計算にはありますが総支払額は3分の1まで減額することができます。

となれば今の住宅ローン金利が以下に低金利であるかは簡単に理解してもらえますよね。そこで問題となってくるのが今後の予測です。

このまま低金利が継続するのか、それとも上昇していくのかは、住宅購入者にとって大きな問題となってきます。この点に関しては平成19年度までは、現状の金利が継続すると予測できるでしょう。何故そんなことが言えるのか、その理由は政府が掲げる「物価目標2%達成」が明確に根拠を示しています。

政府は「物価目標2%達成」の達成時期を平成18年度としていましたが、現状のところ思ったような成果は出ておらず、達成時期を平成19年度に先送りすることを発表しました。

なんで物価目標達成が住宅ローン金利に関係してくるのか理解できない人もいるでしょうが、銀行の住宅ローン金利操作は何も民間銀行が主導となって行われているわけではありません。

政府政策によって操作されるのです。景気が悪くなれば自然と財布の紐は固くなり、その結果、市場は停滞します。しかし、このままでは買いしぶりは継続して、市場は停滞したままで、さらなる悪化を引き起こします。

そこで政府は日銀と同調して市場に出るお金を増やし、それを使ってもらうことで市場の景気対策を図るのです。市場にお金が出回るとそれを使ってもらおうと銀行は金利を引き下げて融資先を募ります。

貸出をしないことには銀行に資金がダブついてしまうことから、各銀行がこぞっていい条件で融資先をしようとするのです。現状はまさに市場を活性化を画策している時期で、日銀と協力して市場にお金を供給する「量的緩和政策」と「マイナス金利政策」の2枚看板でその状況を作り出しています。

「量的緩和政策」と「マイナス金利政策」のの2つに関しては難しい話となるので詳しい説明は避けますが、この2枚看板が政策として行われている間は、決して消費意欲を削ぐこととなる金利上昇はありえません。

よって、「物価目標2%達成」を平成19年度に先送りすることを発表したことにより、政府による住宅ローン金利の現状据え置き、もしくはさらなる引き下げが約束されたも同然と言うわけです。

目標を達成すれば、今度は逆に政府による引き締め政策が行われることになるでしょうが、今のところはそれも心配する必要はないと言えるでしょう。

地価の推移と今後

住宅ローン金利に今後の変化がないのであれば、次に気になってくるのが不動産価格の推移です。できるならば不動産、住宅ローン金利ともが、一番条件のいい時に住宅購入したいと考えるのは当たり前のことですよね。

地価は人が多く住むところの方が商業的価値が高くなるので、やはり地方都市よりも大都市の方が高くなりますが、ある一定の地域だけが爆発的な高騰を見せることはほとんどありません。

数年後に開かれる東京オリンピックの影響があり、テナント用物件やオリンピック施設建設のため地価の高騰は見られますが、これは全国的な傾向ではありません。全国的な傾向の指標できるのが毎年政府機関によって調査される、公示地価や基準地価、路線価の土地値段調査です。

その平均価格を見ると一番高騰したバブル期が公示地価平均約750万円/坪、基準地価平均約500万円/坪だったのに対し、2000年に入ってからはともに125万円前後/坪を継続推移しています。

実際に2015年の坪単価が495,736円/坪だったのに対し、2016年は上昇はあるものの、前年比+2.99%ほどのものです。もっとも高い上昇を見せた下記3都市でも驚くような上昇はありません。

  • 東京都 5.13%
  • 宮城県 4.02%
  • 名古屋県 3.35%

全国的に上昇傾向ではありますが、今後も安定した推移を見せることは間違いないでしょう。確かに近年は下記のような理由で地価の上昇が指定されてはいますが、これがさらなる上昇を引き起こす原因とは考えられません。

  • オリンピックによるインフラ整備のための地価上昇
  • 中国の富裕層による不動産購入
  • 金融緩和によるサラリーマン投資家の増大
  • 相続税対策のための不動産購入
  • 地価の安定による確実な投資先としての注目度アップ

よって地価に関しては今の状態を推移すると考えられます。

不動産価格の推移と今後

地価はここ何十年と大きな変動はありませんが、上モノである不動産は明らかに上昇傾向にあると言えます。これは住宅ローンの低金利と地下の安定した推移によって、上モノである不動産購入に踏み切りやすくなったことが一番の原因です。

しかし、その原動力となる不動産購入においては少々注目すべき点があります。

それはこの不動産価格を上昇させている原動力となっているのが、不動産の中でもマンションに限定されている点です。昨今は社会的な高齢化に伴い、誰も住まず利用されていない戸建て住宅が社会的な問題として懸念されています。つまり、戸建て住宅においては不動産価格を下げる原因でしかないのです。

これは戸建て住宅の価格がほぼ横ばい、もしくは下降気味に推移していることからも見て取れます。マンション価格が2013年から上昇し続けているのに対し、戸建て住宅の価格はそれに反するように下落を継続しているのです。マンションの価格は全国的に見ても大幅な伸びを計測していますが、こと戸建てに関しては震災のあった東方地方を除き価格は下落傾向にあります。

つまり、戸建て住宅が不動産価格の下落を推進しているにもかかわらず、不動産価格を上昇させているのはマンションの存在が大きく影響しているのです。そこで考えてもらいたいのがマンション価格を上昇させている原因です。実はマンション価格を上昇させている原因は、本来の住宅需要によるものではありません。

先程も地価の説明で触れましたが、地価上昇の一つの原因でもある投資による影響が大きく関係しています。現在は住宅ローン金利が低い上、地下が安定しているので、リスクを背負う投資よりも安定した不動産投資にシフトする人が多くなっています。

しかも金利引き下げによりサラリーマン投資家など本業でない人の投資参入も増えてきています。よって、不動産価格の上昇は投資重要の増大が一番の原因と考えられるのです。となれば、またその現状を作っている政府政策が今後の不動産価格に大きく影響する重要なポイントとなってくると言えるでしょう。

不動産価格が上昇している原因が投資目的であるとすれば、それを牽引しているのは政府による物価目標2%達成のための政策です。

よって今後の不動産価格はこの政府の政策がいつ転換期を迎えるかが、投資価値を計る上での判断基準となってくるので、金利と同じく平成19年度が1つの目処となってくると言えるでしょう。


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