ふるさと納税は自治体に寄付することで、その自治体の特産品が貰えるということでテレビなどでも一時期かなり取り上げられていました。
その上特産品を貰うためのただの寄付ではなく、寄付した金額によって所得税、住民税の控除を受けられるということも大きなメリットになります。
ただし、同じように住宅ローン控除を受けている人も同様に所得税、住民税の控除を受けています。その場合、両方とも控除を受けられるのか、併用すると損してしまうのではないかと思う人もいるでしょう。
そういう人のために分かりやすく説明していきたいと思います。
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際の注意点
両方とも無駄なく利用できればかなりの恩恵を受けられる制度となっています。ただし両方、同じような効果があるため併用する際には注意が必要です。
住宅ローン控除で控除額を使い切っているとふるさと納税がただの寄付になってしまったり、ふるさとの納税により控除できる税金がどれくらい残っているか分からないから利用しない、というもったいないことにならないようにしましょう。
そのため住宅ローン控除、ふるさと納税、それぞれ理解していき、無駄のない節税対策を行っていきましょう。
住宅ローン控除を受ける人の注意点
まずは住宅ローン控除について説明したいと思います。住宅ローンを借りると10年間、年末残高の1%が所得税から全額控除され、控除しきれなかった分は住民税にて一部控除を受けることができます。
そこで注意してほしいのは、所得税を控除できなかった分は住民税から控除しますが、住民税は全額というわけではなく、所得税の課税総所得金額等の7%、または13万6500円のどちらか小さいほうが上限となります。
そして2019年6月までに住宅ローンにて自宅を購入し、居住している人は毎年最大40万円、10年間で最大400万円の所得税、住民税の控除を受けられますが、これは最大であり、全ての人が毎年40万円の控除が受けられるというわけではありません。
控除額は住宅ローンの年末残高の1%なので、住宅ローンの借入額が最低でも4,000万円以上はないといけませんし、所得税と住民税を40万円以上納めていないと最大の控除は受けられません。
他にも耐震性・耐久性・省エネなどの要件を備えた「認定長期優良住宅」や省エネ性の高い「認定低炭素住宅」の場合だったら、最大控除額が毎年50万円となり、10年間で最大500万円の控除を受けられるといったケースもあります。
そして住宅ローンを借りた人が誰しも住宅ローン控除を受けられるわけではありません。建物の条件や取得者の条件、住宅ローンの条件があり、それを満たしていないといけません。
建物の条件
- 新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
取得者の条件
- 住宅ローン控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であること
- 新築又は取得の日から6カ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
住宅ローンの条件
- 住宅の新築や取得のための借入金であること。それらの住宅の敷地取得のための借入金であること。
- 借入期間が10年以上の住宅ローンであること。
- 銀行や信用金庫などの金融機関やそれらに準じるものからの借入金であること。
住宅ローン控除は税金の控除としては恩恵の大きい制度なので活用できるのであれば、活用した方がいいでしょう。しかし条件も多く必ず受けられるわけでもないため注意が必要です。それでも一般的に住宅ローンを組む人は当てはまることがほとんどですので、ハードルは高くはないと思います。
ふるさと納税とは
次にふるさと納税について説明したいと思います。ふるさと納税とは、自治体に寄付するという制度ですが、寄付金から原則2,000円を引いた金額が所得税、住民税から控除される上、寄付のお礼として自治体の特産品を送ってもらえるという特典があります。
そして、ふるさと納税には大きく分けて3つの特徴があります。
1つ目は、寄付する自治体や寄付金の使い道を選べることもでき、自分のふるさととは関係なく、好きな自治体に寄付ができるという特徴です。そして控除額を超えなければ実質2,000円の負担で複数の自治体に寄付ができ、寄付金もどういったことに使うか設定されている中から選ぶことができます。
そうすることで今まで接点のなかった地域に対して愛着を持つことができ、自分自身の視野を広げられるといった魅力もあります。寄付の目的は「子育て応援」、「震災復興」のためなどがあるため、自分の寄付金がどのように使われているか調べるのも楽しみになると思います。
2つ目は、寄付のお礼である各地の特産品を楽しめるという特徴です。多くの自治体でふるさと納税のお礼として、地元の名産地などを寄付してくれた人に届けています。
肉や魚介類、お米などの食材や工芸品をはじめ、宿泊券や優待券などの現地体験ができるものがあり、自治体側としても地元の宣伝ができるツールになっています。
3つ目は、今回のテーマでもある税金の控除を受けられるという特徴です。ふるさと納税を行って確定申告をした場合、寄付した金額の2,000円超える分が所得税と住民税から差し引かれて戻ってきます。
例えば2万円の寄付をした場合、2,000円を差し引いた1万8千円の控除が最大で受けられます。つまり2,000円の負担でこれまで述べてきたふるさと納税の恩恵を受けられるということになります。
この税金の控除額はその人の年収などで最大でいくら受けられるか変わってきます。税金を払う金額が多い人であれば、その分控除を受けられる金額が増えるという仕組みです。
ふるさと納税はこういった特徴があり、1つ目、2つ目の特徴はイメージしやすいですが、3つ目の税金控除は、受けられるかどうかを注意しなければいけません。
まず税金を納めていない人は対象外ですし、今回のお題の住宅ローン控除と併用した場合、ふるさと納税での税金控除が受けられないこともあります。例を使って、住宅ローン控除を利用する場合、ふるさと納税の税金控除を受けられるのか説明していきたいと思います。
年収○○万円の人の控除はいくらまで
ここでは年収と住宅ローンの年末残高で大体どれくらいの所得税、住民税の控除が受けられ、ふるさと納税での節税効果があるかを説明していきたと思います。
Aさん / 年収600万円 / 住宅ローン年末残高3,000万円
あくまで参考ですが、Aさんがおおよそ支払う税金は所得税:34.85万円、住民税:39.6万円とします。住宅ローン年末残高3,000万円の1%の控除を受けられますので、30万円控除ができます。
それにより所得税の34.85万円から30万円控除でき、所得税は4.85万円となり、住民税は39.6万円で変わりませんが、結果的には住宅ローン控除を最大で受けることができました。
Bさん / 年収300万円 / 住宅ローン年末残高2,500万円
Bさんがおおよそ支払う税金は所得税:7.7万円、所得税:16.2万円とします。住宅ローン控除は先ほど同様の年末残高1%の25万円の控除が受けられます。
控除額は25万円ですが、支払う税金は所得税7.7万円+住民税16.2万円=23.9万円のため全額が控除でき、所得税、住民税を実質ゼロにできました。
ということで2つの例を挙げましたが、どちらかがふるさと納税の税金控除を受けられないと気付けましたでしょうか。
Bさんは納める所得税、住民税がゼロのため、ふるさと納税をしても控除できるものがなく、ふるさと納税の全額が寄付ということになってしまうのです。
Aさんは納める所得税、住民税が残っているため、その金額分ふるさと納税での税金控除を受けることができます。ふるさと納税により、所得税4.85万円+住民税39.6万円=44.45万円の控除がまだ受けられるということになります。
こういったように住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合には、まず納める所得税、住民税、住宅ローン年末残高を確認しておかないとふるさと納税が寄付になってしまうことがありますので気をつけましょう。
まとめ
住宅ローン控除とふるさと納税の併用は可能ではあるが、既に住宅ローン控除にて所得税、住民税を全額控除している人は、ふるさと納税が全額寄付になってしまうという注意点があります。
税金を納める金額に悩んでいたり、住宅ローンを最近組んだという人はこれまで挙げてきた内容を把握して、節税対策を行うといいでしょう。両方ともそれほど難しい内容ではないと思うので、シミュレーションも去年の源泉徴収票などで行えると思います。
住宅ローンを組まれた人はせっかくの機会ですので、住宅ローン控除、ふるさと納税、両方とも理解し、最大限活用しましょう。