住宅ローンの借り入れは誰に相談すればいい?

住宅ローンは色々な種類の個人ローンの中で、最も商品内容が複雑で、さらに申し込みから融資実行まで最短でも1ヶ月以上時間が掛かるローンです。

また個人ローンの中で住宅ローンの平均的な融資金額は最も大きく、返済期間も20年~35年と長期に渡るため、選んだ住宅ローンの種類や金融機関によって金利を含む総支払額が大きく違ってきます。

それだけに住宅ローンについて、失敗をしないためにもしっかりと事前調査・検討が必要ですが、その場合、一体誰に相談したらいいでしょうか ?

実際のところ、相談できる先はいくつか候補がありますが、その相談した先が何もかも頼りになるとは限りません。当然相談相手によって長所もあれば短所もあります。

そこでこの記事では、個々の相談相手について、「住宅ローンの借入で失敗しない相談相手は誰にすべきか」の観点から、それぞれのメリット・デメリット中心に詳しく解説します。

住宅ローンの借り入れは誰に相談すべき?
  1. 住宅ローンを借り入れする際の相談相手
    1. 不動産業者
    2. 金融機関
    3. ファイナンシャルプランナー(FP)
    4. 職場の人間
    5. 友人や知人
    6. インターネット
    7. 住宅ローンの相談・面接時に注意したいこと
  2. まとめ

住宅ローンを借り入れする際の相談相手

ここに興味深い調査結果があります。フラット35を取り扱う住宅金融支援機構が、「民間住宅ローン(フラット35を含む)利用者の実態調査」と銘打って、2007年から毎年3回定期的に行っている調査です。

この調査項目の中に、「住宅ローンを知るきっかけ」「決定に際して影響が大きかった媒体とは ?」という質問があり、今回のテーマとも深く関係しているので、まずこの結果をご紹介します。

「住宅ローン決定に際して影響が大きかった媒体とは ?」という質問に対し、最新の結果で7位まで紹介すると

  • 1位…住宅販売事業者(営業マン、店舗等)41.2%
  • 2位…インターネット15.5%
  • 3位…金融機関(店頭、得意先係、相談コーナーなど)13.9%
  • 4位…口コミ7.1%
  • 5位…モデルルーム、住宅展示場6.3%(これは1位の住宅販売業者の範囲に入ります)
  • 6位…勤務先5.9%
  • 7位…FP(フィナンシャルアドバイザー)、住宅アドバイザー等の専門家3.8%

参考:http://www.jhf.go.jp/about/research/loan_user.html

2007年実施の第1回調査と比較しても、直近の結果は大まかな傾向や順位についてはあまり変わっていませんが、割合で見れば、1位の住宅販売事業者の影響力が下がっている一方、2位のインターネット、3位の金融機関の影響力が上がっているのが分かります。

いずれにしても、上位3位までが全体の7割以上と、住宅ローンを知るきっかけや決定に大きな影響力を与えてきたことを、まずしっかり覚えておく必要があります。

それでは上記の結果も参考にしながら、住宅ローンの借入の相談相手として相談する場合、個別にそれぞれどのような点に注意して相談したらいいか、また本当に相談していい相手なのか、さらにインターネット利用時の注意点なども含めて、メリット・デメリットの両面から順番に説明します。

不動産業者

土地・建物等の不動産を購入する場合、必ず利用する不動産業者はまず1番に住宅ローンを相談する相手でもあります。上記調査でもじつに約5割近くの人が相談するという結果になっています。

メリット

不動産物件をその業者で購入する予定の場合、担当者から住宅ローンのアドバイスも受けられますし、希望すれば懇意にしている金融機関の住宅ローンをあっせんもしてくれます。

また仕事等で忙しく、本人が金融機関の手続きになかなか時間を取れない場合、不動産業者に依頼すれば、購入予定者に代わり業者担当者が住宅ローンの手続き一切を代行してくれる場合が多いです。ただし業者によっては対応に無料・有料があるので注意して下さい。

デメリット

不動産業者の担当者は自社物件を売るのが主な仕事であり、そのため全ての担当者が住宅ローンに関する深い知識や高いアドバイス能力を持っているとは限りません。

さらに売ることには熱心ですが、顧客が最後まで返済できるかと言う事柄にも興味がありません。そういう点から全ての判断において担当者に頼り切るのも問題があります。重要な判断は顧客自身がする必要があります。

また不動産業者はネット銀行にコネがあまりなく、フラット35の手続きも煩雑なことから、面識があって比較的手続きが簡単な都銀や地銀の住宅ローンを主にすすめてきます。しかし総じてこれらの金融機関の金利や諸費用が高く、顧客ニーズに合わないことがあるので注意が必要です。

さらに住宅ローン金利の中では変動金利の水準が一番低く、担当者としては物件を早く成約したいために、顧客の金利ニーズに関係なく、変動金利をメインにすすめてくることが多いのも問題があります。あくまで金利の最終判断は本人がして下さい。

金融機関

金融機関は直接住宅ローンを販売する窓口なので、不動産業者に継ぐ相談相手として顧客に人気があります。また店舗窓口だけでなく、住宅ローンプラザ・ローン相談会等、顧客が相談できる場所や機会も多くあります。

メリット

店舗窓口・得意先係問わず、担当者は自行の住宅ローンの説明には熱心で、商品知識も豊富なため、その金融機関で住宅ローンを借りる予定の客は安心して相談できます。また住宅ローン窓口として受入態勢が整っているので、各種金利型の説明、返済シミュレーション等、具体的なアドバイスがその場で受けられます。

さらに金融機関なら、申し込みから融資実行まで、一線処理で事務処理が能率良く進み、さらに司法書士等のコネも使えるので全てが効率的です。またその金融機関で、預金、給与振込等の個人取引があれば、住宅ローンの優遇金利や各種メリットが受けられるのも顧客には好都合です。

デメリット

金融機関の担当者の場合、販売ノルマもあって、相談しても顧客のニーズは無視して、自社の住宅ローンばかりすすめてくる傾向があるので、ややうっとうしい面があります。

さらに顧客が他行の住宅ローン情報を知りたくても、担当者は他行には興味もなくあまり知識もないので、その結果、他行情報は教えてもらえず、当然良し悪しを比較することもできません。

また多くの金融機関では、自社の住宅ローン以外に、全期間固定金利型のフラット35も販売していますが、どうしても自社の住宅ローン中心の説明・販売に偏りがちで、フラット35を借りたい人のニーズと合わないことも多いです。

そのため、当初からフラット35を借りたい人は、フラット35専門に販売している金融機関の店舗に出向いて相談するか、あるいは自分で直接ネットの口コミや住宅金融支援機構公式サイトで調べるなど、相談したり情報を得る方法が限られてきます。

ファイナンシャルプランナー(FP)

お金やローンに関する専門の有資格者として、ファイナンシャルプランナー(FP)、あるいは住宅ローンアドバイザー等がいます。

上記調査では住宅ローンの相談相手として、それほど比率は高くありませんが、不動産業者や金融機関と異なった別の視点から有益なアドバイスが得られます。

メリット

FPはお金に関するスペシャリストなので、不動産業者や金融機関より幅広い知識を持っており、住宅ローンについても相談すれば、多くの銀行の住宅ローンの知識を得ることができ比較がしやすくなります。

また住宅ローン借り入れのアドバイスに加えて、住宅ローン減税や住宅資金に関する贈与資金等の説明もFPから詳しく受けられます。さらに住宅ローンそのものが大きなイベントなので、FPと相談しながら、保険の見直しなど、ライフプランの再検討もできます。

ただFPの守備範囲はあくまでお金全般であり、住宅ローン専門でないので、顧客が住宅ローンに絞って相談したい場合、FPに代わって住宅金融普及協会認定の有資格者「住宅ローンアドバイザー」に相談する方法もあります。

デメリット

デメリットとしては、同じFPでも独立系FPはしがらみが少なく、住宅ローンの客観的アドバイザーとして利用できますが、銀行や保険会社に所属しているFPは、あくまで自社商品中心にアドバイスしてくるので、相談相手としてはやや客観性・中立性に欠けます。

一方組織所属のFPは無料相談ができますが、独立系FPの場合、有料で相談しなければならないので、顧客が必要に応じて使い分ける必要があります。

職場の人間

住宅ローンの相談相手として意外と身近な存在が職場の人間です。同じ職場に働く仲間としての上司や同僚は、本人が住宅ローンを借りた経験があった場合、同じ環境で働いているだけに、いざという時、良き相談相手になってくれます。

メリット

同じ職場の上司・同僚が住宅ローン経験者の場合、本人体験から有益なアドバイスが受けられるとともに、職場仲間の結果から、自分が同じ金融機関で住宅ローンを申し込みした場合、その審査結果もある程度予測がつくので対策が立てやすいです。

デメリット

ただし同じ職場の人間と言っても、住宅ローンの申込時年齢や収入、準備できる自己資金等も異なる場合もあって、審査結果も含めて金融機関の対応が同じものになるとは限りません。さらに本人の住宅ローンに関するニーズが、借りた経験を持つ上司・同僚と大きく違っていた場合、職場仲間の個人的体験が役に立たないこともあります。

友人や知人

職場の仲間以上に相談しやすい相手が身近にいる友人や知人です。親しい間柄なので、友人・知人に仮に住宅ローンを借りた経験がなくても、関連した色々な悩みを相談できることが強みです。

メリット

もし友人・知人に住宅ローンを借りた経験があった場合、手続きの苦労話など、生の体験に基づく有益な情報が得られますし、何より友人・知人は、不動産業者や金融機関と違って利害関係がないので、住宅ローン相談も気軽にできる気楽さがあります。

デメリット

あくまで住宅ローンの体験は本人限定であり、何よりもらえる情報に偏りが入っている場合があるので、そのまま額面通り受け取るには注意が必要です。さらに友人・知人の情報は限られた範囲のものなので、専門家のように住宅ローンに対する体系的な知識は最初から期待できません。

インターネット

相談相手としては人や組織ではありませんが、最近の住宅ローンの情報を知る重要な媒体として、インターネットの活用にも触れておきます。

メリット

最終的に不動産業者や金融機関等に相談するにしても、事前にインターネットで必要な知識をできるだけ多く蓄えておけば、相談した時に具体的かつ内容の濃い質問ができます。さらにインターネット利用の場合は、時間や費用を気にすることなく、好きなだけ情報を集めたり、その分析に時間を十分充てられます。

デメリット

インターネット利用の場合、検索で膨大な知識が無料で得られる半面、基本的な知識のない住宅ローン初心者には情報の取捨選択が難しく、むしろ情報量の多さに頭が混乱してしまう場合があります。

さらにインターネットでは発信者によって情報の質に差があり、初心者が良質な知識を得るには時間が掛かるばかりか、発信者によっては間違った知識を得てしまうケースもあるので注意が必要です。

住宅ローンの相談・面接時に注意したいこと

個々の相談相手のメリット・デメリットを理解してもらった上で、不動産業者や金融機関、FP等に住宅ローンの相談・面接に行く場合、事前に準備しておきたいいくつかの注意事項があります。それを最後に取り上げます。

面談前に必ず電話等で予約を取っておく

いきなり行っても休日や営業時間外だったとか、先客がいて待たされる可能性もあります。

事前に聞きたい質問をできるだけまとめて文書化しておく

あらかじめ文書化しておかないと、行ってから話がスタートし、面接の効率が落ちて、肝心の確認したいことが聞けなかったり忘れてしまいます。

行く前に相談やアドバイスの判断に必要な書類を多く準備しておく

以下の書類を用意しておくとスムーズに相談できます。

  • 所得に関する書類…源泉徴収票、給与証明書、確定申告書等
  • 物件に関する書類…物件のパンフレット、物件概要書、売買契約書、土地の公図、地積測量図、建物図面等
  • 自己資金の確認資料として通帳等
  • 借りている住宅ローンの返済明細表(借り換えの場合)

場合によっては、生命保険証や火災保険証等もあるといいかもしれません。

まとめ

住宅ローンの借り入れで失敗しないためには誰に相談すればいいかの観点から、具体的な相談相手を取り上げ、相談相手としてのメリット・デメリットの面から詳しく解説してきました。

いつのタイミングで相談すればいいかと考えると、それは「物件探しをする直前または見つかった直後」がベストタイミングと言えるでしょう。

そして真剣に物件探しをする気持ちになったら、次に事前準備として、インターネットを活用して住宅ローンに関する知識をできるだけたくさん蓄えておくことをおすすめします。そうすればいざ専門家に相談に行った時、効率よく質問ができるものと考えています。

いずれにしても住宅ローンの相談相手を探す時には、その相談相手の利用上のメリットとデメリットを十分考慮して、最も相談相手としてふさわしい先を選ぶことが肝心です。


目次一覧

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