近年は人の済まない空き住宅への政府対策やリノベーションブームもあり、中古住宅や中古マンションを購入する人が増えてきました。しかし、中古物件といえども住宅購入ともなれば決して安価な費用で購入することはできません。
そこで気になってくるのが住宅ローン。多くの面でメリットの高いフラット35を利用したいと考える人は多いのでは?中にはフラット35は中古物件購入にも利用できるのか心配している人もいるでしょうが安心してください。
フラット35は中古物件購入にも利用できます。そこで今回は中古住宅や中古マンションをフラット35で購入する際の注意点を説明していいくことにしましょう。
フラット35で中古住宅を購入するには
フラット35は金融機関が販売している住宅ローンの審査基準とは少々違い、申込者よりも購入物件に対する審査の方が厳しくなってきます。それもあって申込者条件は比較的柔軟で毎月安定した収入さえあると判断されれば、アルバイトやパートでも利用することができます。
この申し込みやすさが大きなメリットとなり、数ある住宅ローンの中でも一番利用しやすいと評価されています。しかし、利用に当たって最も重要となってくるのがフラット35を提供している住宅金融支援機構の定める住宅への技術基準です。
これをクリアすることなくフラット35の利用はできません。中古物件ともなれば現在の建築基準法に則った耐久性等の条件がクリアされていないことも多いので、フラット35の住宅基準をクリアできるのかが心配になってくるところでしょう。
フラット35を利用するには適合証明書が必要
そしてフラット35の定める住宅基準をクリアしたことを証明するのが適合証明書。フラット35申込時には新築、中古にかかわらず、この適合証明書を受ける必要があります。
この適合証明書は住宅ローン申込とは別作業となるため、申し込みと並行して適合証明書を受ける段取りを行う必要があります。優先順位に決まりはありませんが、申込審査に合格しても適合証明書の発行が受けられなければフラット35を利用することはできません。
審査合格もさる事ながら、この適合証明書が受けられるかどうかもフラット35を利用するために必要不可欠となってくるのです。
適合証明書を受けるには?
それでは適合証明書はどのようにして取得するのかを説明します。基本的に申請はフラット35を取り扱う金融機関が手配してくれますが、申込先によって掛かる手数料等に違いが出てくるのでまず自分で調べてみることも重要です。しっかりと申請方法を理解しておきましょう。
1. 適合証明書の申請先は?
購入予定住宅の技術基準がフラット35のそれと適合しているのかを検査するのは、住宅金融支援機構と協定を締結している下記のどちらかになります。
- 検査機関
- 適合証明技術者
検査機関は指定確認検査機関または登録住宅性能評価機関、適合技術者は(社)日本建築士事務所協会連合会および(公社)日本建築士連合会に登録した建築士となり、新築物件の場合は申請先が検査機関のみとなりますが、中古物件の場合はこの2つのどちらにも申請できます。
また申請可能な検査機関および適合技術者はフラット35の公式サイトから検索することができ、お住まいの地域の申請先を検索することができます。
*http://www.flat35.com/kensakikan/index.php
2. 適合証明書を受けるのに必要な費用は?
適合証明書を受けるには検査や証明書発行に掛かる手数料が発生します。この手数料は申請先によって違いはありますが一般的には10万円未満となることが多いようです。
大幅な値引きが期待できるものではないため、安いところを探したとしても驚くような費用軽減は見込めませんが、少しでも安くと考えるならば冒頭でも言ったように自分でまずは探してみるのもおすすめの方法です。
しかし、フラット35取扱先によってはあらかじめ検査機関が指定されており、変更不可能な場合もあります。少しでも減額をと考えるならば、この点も踏まえた上で金融機関を選択する必要があるでしょう。
また適合証明書の発行は検査機関にもよりますが、だいたい1~2週間の日数が必要となります。契約をスムーズに進めるためにも審査結果が出るまでに受け取りしていることがベストでしょう。発行が遅れて契約に進めないということにならないためにも、早めの申請を心がけるようにしましょう。
3. 中古マンションらくらくフラット35の登録物件は適合証明書が不要!
適合証明書を受けるには検査費用の発生や発行までの日数の問題があるので、できれば省略したいと思う人も多いことでしょう。そんな方に朗報です。実は築10年以内の中古マンションであれば適合証明書の提出が省略されます。
これは築10年以内の中古マンションの場合、既にフラット35の求める技術基準がクリアされていることが大半のためです。この適合証明書提出が省略される物件の条件は下記のとおりです。
- 新築時に旧住宅金融公庫の下記手続きを完了した分譲住宅(共同建物のみ)
- 優良分譲住宅
- 公社分譲住宅
- 市街地再開発
- 都市居住再生融資
- 新築時に住宅金融支援機構が定める耐久性基準に適合している
- 竣工時現場審査合格日が今回購入申込日の年度末から10年以内
上記条件の対象別件はフラット35の公式サイトにある「中古マンションらくらくフラット35」で簡単に検索できます。
*http://www.flat35.com/f35ums/index.php
都道府県だけでなく市町村区、町名まで指定しての細かな検索ができるので、中古マンション購入を検討している人は適合証明書の手続きを省略するためにも、まずはこのページで別件検索してみることをおすすめします。
フラット35は築年数が古いと利用できない?
冒頭で言ったように最近はリノベーションブームもあり、古民家をリノベーションして住もうという人も少なくありません。特に鎌倉などの情緒豊かで古民家の残るような地域ではそのニーズは高くなってくるでしょう。
そこで気になってくるのがフラット35の利用は築年数が影響してくるのかという点です。フラット35の利用には定められた技術基準をクリアする必要があるので、あまりに古すぎる住宅だと無理なんじゃないかという心配も出てきます。しかも古すぎれば担保物権としての評価が下がるので、借り入れができないおそれも出てくるのです。
しかし、フラット35の利用は築年数は関係ありません。表示登記の新築年月日が昭和58年3月31日以前の住宅の場合は住宅金融支援機構の定める耐震評価基準に適合していることが条件となりますが、それ以外は築年数に関係なく定められた技術基準さえクリアしていれば利用できます。
その耐震評価基準は下記のとおりです。
(一戸建て、連続建て、重ね建て住宅の場合)
- 一体のコンクリート造の布基礎等が基礎として使われている
- 以下の項目評点の相乗値が1以上
- 建物の形(整形、不整形の評価)
- 壁の配置(壁のバランスの評価)
- 筋かい等の有無(壁の強度の評価)
- 壁の割合(必要壁量に対する充足率の評価)
(共同住宅の場合)
- 構造形式がラーメン構造と壁式構造の混用になっていない
- 平面形状に著しい不整形が見られない
- セットバックが大きくない
- ピロティ部分が偏在していない
この証明は適合証明書の発行検査時に行われますので、特に申請等の必要はありませんが、対象物件を購入する予定のある人は覚えておきましょう。
フラット35で中古物件を購入する際の流れ
それでは最後にフラット35を利用して中古物件を購入する流れを簡単に説明しておきましょう。その流れは下記のとおりです。
- 検査機関または適合証明技術者へ物件検査・適合証明書発行の申請
- フラット35の取扱金融機関へ借入申込
- 住宅金融支援機構による審査
- 審査合格
- 取扱金融機関へ適合証明書の提出
- 取扱金融機関との契約締結
- 抵当権設定
- 火災保険の加入申請
- 入居
以上が申し込みから入居までの流れとなります。契約締結までの期間は申し込みする金融機関によって違ってきますが、おおよその目安は約1ヶ月ほどとなります。
楽天銀行の公式サイトを見てみると最短で35日、最長で55日と明記されています。契約締結までに一番時間がかかるのが審査です。住宅金融支援機構の公式サイトでは1~2週間と謳っていますが、審査内容によってはそれ以上かかることも考えられますし、銀行と住宅金融支援機構の事務時間は申込者数によって違ってきます。
30日未満で締結に至るケースもあるようですが最短でも約30日と考えておき、最悪の場合は2ヶ月以上かかることもあると心得ておいた方がいいでしょう。