【2016年度最新版】住宅に関する税制は2015年から何がどう変わったの?

消費税が2017年4月から10%になることはご存知の方も多いと思いますが、住宅業界は少し違っています。例えば建築に期間を要する新築マンションや戸建て住宅などは、2016年の9月30日までに売買契約を済ませておくことで、引渡しが2017年4月を過ぎても消費税は現行の8%が適用されることになってます。

今回は、このような住宅に関する2016年度の税制問題を紹介していきたいと思います。今回注目しておきたいポイントは以下の3つです。

  • 相続した空き家を売却するときでも、条件を満たせば3000万円の特別控除が利用できるようなった
  • 3世代同居向けリフォームに対する減税制度の創設
  • 各種軽減特例の2年延長

1つずつ詳しくみていきましょう。

相続した空き家でも3000万円控除が適用される

今年度の住宅税制における大綱の目玉となったのが、この相続空き家に対する3,000万円控除です。これまでも自宅を売却する場合は、3,000万円の特別控除が適用されたので、一般的な自宅を売却してもほとんど譲渡益が発生することなく、所得税が免除されていたのですが、誰も住んでいない空き家を売却する場合には、この3,000万円の特別控除は適用外となっていました。

つまり、親から相続した自宅に誰も住んでいないまま売却してしまうと、多額の税金を収めることになっていたのですが、今回の特例控除により最大で609万4,500円もの減税を受けられるようになります。なぜこのような特例制度が設けられたのか?理由は空き家問題がそれほど深刻化しているからです。

空き家の多くは相続時に発生すると考えられています。いざ両親が他界し実家を相続したものの、古い家なので借り手も買い手もなかなかみつからない。万が一買い手がみつかったとしても多額の税金を払うことになるのですから、そりゃ誰も売ろうとしませんよね。その結果、放置された住宅は「空き家」となってしまいます。

誰も住んで居ない住宅ほど朽ち果てるのは早いです。半年誰も住んでないまま手入れをせず放置しておくと、かなりの手直しが必要となり、そうなるとさらに売ることも貸すこともできなくなります。こうした空き家創造の負のスパイラルを脱却する狙いとして創設されたのが、今回の特別控除です。

ただしこの特別控除が適用されるには、以下のすべての条件を満たしておく必要があります。

  • 相続が発生する直前まで、被相続人が一人暮らしであったこと
  • その家屋が昭和56年5月31日以前に建築されていること
  • その家屋が区分所有建築物(マンション)ではないこと
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 相続してから売却するまでずっと空き家であったこと
  • 平成28年4月1日~平成31年12月31日までに売却すること
  • 平成25年1月2日以降に発生した相続であること

この条件を見ても解るように、今後発生する相続だけでなく、過去3年を遡って相続した空き家も対象に含まれているので、今まさに相続後の空き家問題で悩んでいる人にしてみれば、渡りに船の特別控除の特例案だということになります。最大で610万円もの税金が控除されるのですから、この機会をみすみす見逃す手はありません。

3世代同居時のリフォーム減税制度

安部政権が推し進めている「希望出生率1.8」を実現させるため、共働きしやすい環境を増やすのが目的として創設されたのが、この「3世代向けリフォーム」を対象にした特別減税です。

「3世代向けってなに?」と思うかもしれませんが、「2世帯住宅向けにリフォームした場合」と解釈すれば分かり易いです。「祖父母・両親・子供」の3世帯という意味です。つまりは祖父母と同居する2世帯住宅にリフォームすることで、親世代が共働きしやすくなり、収入が安定することで、出生率を高めるのが狙いというわけです。

この特別減税の中身は、「既存の住宅を2世帯向け住宅にリフォームすることで、工事費250万円を上限として、そこから所得税を10%、もしくはリフォームローン残高の2%を最長5年間控除する」という内容になっています。どちらのケースでも最大25万円の控除となります。この減税制度の適用期限は2019年6月30日までです。

各種減税制度の2年延長

2016年度の税制改革として注目すべきは上記2点だと思いますが、そのほかにもこれまで実施されていた減税制度が延長されるものも決まっていますので、そちらも紹介しておきます。

新築住宅に対する減税制度(固定資産税)の2年延長

※戸建て住宅3年間、マンション5年間は固定資産税が2分の1に減税されるという内容。平成30年3月31日まで延長となりました。

長期優良住宅に対する減税制度を2年延長

※登録免許税・不動産取得税・固定資産税などが減税の対象となる制度です。

耐震や省エネリフォームをした場合の固定資産税の特例を2年延長

※省エネ=工事した翌年度の固定資産税が3分の1軽減
※バリアフリー=工事した翌年度の固定資産税が3分の1軽減。築10年以上も対象に追加。
※耐震=耐震リフォームした翌年度の固定資産税が2分の1軽減

居住用財産の買い替えなどの場合の減税制度を2年延長

※買い替え特例として、譲渡損失の繰越控除などの減税が2年間延長されました。

ここで紹介した減税特例などは、今後国会を得て最終的には2016年3月頃に最終決議されるのだが、ほぼこのままの内容で決まることが大筋の見方となっています。


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