2025年の国際博覧会(万博)の開催が大阪市に決まりました。
2018年11月23日(日本時間24日未明)からフランスのパリで博覧会国際事務局(BIE)の総会が開かれ、日本はライバルのロシアやアゼルバイジャンを抑えて開催国に決まりました。
開催により多方面での経済効果が期待できると言われています。過去にも万博開催は、不動産価格に影響を与えたために、今回も不動産価格に影響があると予想されています。
現時点で、大阪の不動産価格は上昇傾向にあり、とくに、マンションの平米単価は上がっています。東京の投資がひと段落し、大阪が注目され始めたことが、その理由です。
万博開催、消費税増税、カジノ誘致など特需が見込まれる大阪を舞台に、投資家は動き始めています。
大阪の投資不動産の現状
近畿レインズによると、土地価格は値上がり率がわずかであるのに対し、投資資本が流れがちであるマンションの平米は値上がりしているようです。
東京は2020年開催予定のオリンピック効果で高騰しましたが、大阪の場合は、オリンピック効果はわずかで、外国人観光客によるインバウンドが影響しているようです。
大阪府の不動産価格推移
過去5年における大阪府内の不動産相場を見てみると、次のようになっています。
1)中古マンション平米単価推移
年度 | 平均単価 |
---|---|
2014年 | 27万円 |
2015年 | 28.9万円 |
2016年 | 31.3万円 |
2017年 | 32.5万円 |
2018年 | 34.3万円 |
2)土地価格推移
年度 | 平均単価 |
---|---|
2014年 | 14.5万円 |
2015年 | 13.6万円 |
2016年 | 14.6万円 |
2017年 | 14万円 |
2018年 | 15.4万円 |
参考:近畿レインズ
これまでも、大阪のマンション価格が上昇傾向にありました。
外国人観光客が民泊やホテルを利用するなどのインバウンド効果によるものが主な理由でしたが、東京のマンションの割安感がなくなったこと、東京のマンション価格の上昇がひと段落したこと、投資家が東京のマンションのキャピタル・ゲインを狙わなくなったことなども加わり、上昇傾向になっています。
1970年万博の動向から物件価格の動向を探る
1970年にも大阪で万博が行われました。会場は吹田市の千里丘陵です。
「人類の進歩と調和」をテーマに掲げ、6,400万人以上の来場者を集めました。日本は高度経済成長の真っ最中で、万博自体も大盛況に終わり、黒字を達成しました。
万博に合わせ、国道や高速道路、鉄道の整備が一気に進み、経済界も好況となりました。
大阪万博開催時のGDPの推移
開催当時の実質GDPを見ると以下の表のようになっています。
これを見ると、開催の2、3年前に最大になり、開催以降のGDPは落ちこむ傾向があります。万博終了後は、国民の消費が落ち込む可能性があります。
年度 | 実質GDP |
---|---|
1959年 | 17.2%(東京オリンピック開催発表) |
1960年 | 19.9% |
1961年 | 20.9% |
1962年 | 10.6% |
1963年 | 17.4% |
1964年 | 15.8%(東京オリンピック開催) |
1964年 | 9.5%(大阪万博開催発表) |
1965年 | 6.2% |
1966年 | 11% |
1967年 | 11% |
1968年 | 12.4% |
1969年 | 12% |
1970年 | 8.2%(大阪万博開催) |
1971年 | 5% |
1972年 | 9.1% |
1973年 | 5.1% |
1974年 | -0.5% |
1975年 | 4% |
1976年 | 3.8% |
1977年 | 4.5% |
1978年 | 5.4% |
1979年 | 5.1% |
1980年 | 2.6% |
出展:内閣府
GDPに占める住宅投資の推移
次に、実質GDPに占める住宅投資との相関を考えてみます。住宅投資及びGDP比(実質)の推移のグラフを見ると
住宅投資及びGDP比(実質)の推移
出典:
内閣府「国民経済計算」
このように、住宅投資とGDPには正の相関関係があります。つまり、万博開催決定から開催数年前に物件価格はピークを迎え、その後下落すると予想されます。
今回の万博の開催概要と不動産動向の予想
万博の経済効果は2兆円と言われていますし、消費税の増税が来年から始まる予定です。
そのため、今後も大阪のマンション価格は上昇すると思われます。住宅の建設費は、万博が終わっても下がりませんので、急激に不動産価格が下落することは考えられません。
下がったとしても緩やかに下降していくと予想されます。
2025年万博の開催概要
2025年万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。2025年5月3日~11月3日の185日間、大阪市内の夢洲(ゆめしま)エリアで行う予定です。
100ヘクタールを会場にし、うち約60ヘクタールにテーマ館や各国のパビリオンを配置。世界の人が未来社会を「共創」するためのアイデアを交換する場所となります。
日本経済、特に大阪・関西の地域経済やビジネス機会の拡大に伴い、中小企業の経営を強化することが狙いとなっています。約2兆円の経済波及効果を見込んでいます。
また、世界の主要都市からのアクセスを良くするために、先進的な交通インフラが整備することも予定しています。
不動産動向の予想
(株)不動産経済研究所によると近畿圏のマンション価格とマンション販売初月契約率は下記の通りです。販売価格については平成28年にピークを迎え、契約率は平成25年にピークを迎えています。
契約率については、消費税が5%から8%になることが影響していると考えられます。
1)マンション価格の推移
2)販売初月契約率の推移
出典:国土交通省
経済効果が2兆円あるとすれば、経済効果が周辺地域へ波及することが予想されます。
商業施設関係は、ホテルや商業施設の需要が高まり、GDPが上昇することと、消費税の増税も控えていることを考えると、住宅購入数来年から増加するのではないでしょうか。
また、街区が整備されることにより、物件価値も予想されます。マンション価格については、万博が終わっても大幅に下落することはないでしょう。
人件費の高騰などから建設費が一気に下落することは考えられないためです。下落したとしても緩やかな下降にとどまりそうです。
まとめ
万博開催のほか、インバウンド効果、カジノ建設、消費増税の影響が加わり、大阪の中心部の住宅、とくにマンションは価格が上昇傾向になるでしょう。
将来性を考えると今が買い時かもしれません。
ただし、短期での転売はお勧めしません。以前の万博の時とは違い、短期譲渡所得があるため、税金が高くなるからです。
投資の場合は転売益よりも長期的な利益を目的とした投資のようがよさそうです。