東京で大地震が起こる確率と全国の危険箇所を調べる方法

東京で大地震が起こる確率と全国の危険箇所を調べる方法

近年、引き続き起こる大地震は東北、熊本、北海道と日本を網羅していることから、地震発生に対する国民意識も年々高まっています。

しかし、現在一番懸念されているのが日本の首都である東京の大地震です。2020年に開催される東京オリンピックの開催を考えれば、もしも大地震が起これば一大惨事の可能性も懸念されています。

そこで今回は近い将来、本当に東京に大地震が起こるのか、その専門予測を紹介していきながら、他に大地震が起こる可能性のある危険個所が全国にどれくらいあるのかを見ていくことにします。

東京で大地震が起こる確率

近年、科学的に想定される地震の中でも最大級とも予測される南海トラフ地震への懸念が高まっていますが、それとともに以前より懸念されているのが国の根幹を揺るがしかねない首都直下型地震です。

この地震予測については2020年までに発生するという説もあれば、30年以内に70%の確率で起こるという説もあり、その発生予測については様々な説が展開されています。しかしながら地震発生の予測が後を絶えないのが事実で、首都が大地震による被害を受ける危険性が懸念されています。

そこでまずは東京で大地震が起こる確率について、主な予測説を紹介していきながら、その可能性について見ていくことにしましょう。

全国地震動予測地図による見解

全国地震動予測地図は東京大学地震研究所や防災科学技術研究所などの研究者で編成された地震調査委員会による地震発生の予測資料で、1995年に起こった阪神淡路大震災を警告できなかったことを教訓に2005年以来、毎年最新のものが改定・公表されています。

全国地震動予測地図には今後30年間に大地震とされる震度6弱以上の地震が発生する確率が示されていますが、2018年に公表された改訂版では下記のように関東3市が80%を超える数値を示しており、首都圏での地震発生の危険性が懸念されています。

  • 千葉市 85%
  • 横浜市 82%
  • 水戸市 81%

またこの2018年版の全国地震動予測地図で前年予測から地震発生確率の上昇が目立っていたのが北海道東部で、その発生確率は下記のとおり大幅な上昇予測がなされていました。

  • 根室市 78%(前年より15ポイントの上昇)
  • 釧路市 69%(前年より22ポイントの上昇)

これは新たに千島海溝沿いの地震研究が評価され、それが影響した結果ですが、2018年9月6日午前3時8分頃、実際に北海道では統計上初の震度6強の大地震が起こりました。この結果を考慮すれば、全国地震動予測地図による地震予測の信ぴょう性は高まったと言えるでしょう。

グーテンベルク・リヒター則による見解

先にも紹介した今後30年以内に70%の確率で首都直下地震が起こるという説を想定したのが、古くから地震発生の法則として用いられているグーテンベルク・リヒター則です。

このグーテンベルク・リヒター則はドイツの地震学者ベノー・グーテンベルグとアメリカの地震学者チャールズ・リヒターが発見した地震発生を想定する法則で、地震発生の回数はマグニチュードの大きさに反比例するというものです。

地震はマグニチュードが1小さくなる毎に発生回数は10倍になると定義されています。これは東京都周辺の1965年から2010年までの下記の地震活動に照らし合わせても、概ね成り立つことが証明されています。

  • マグニチュード4程度 約200回
  • マグニチュード5程度 約20回
  • マグニチュード6程度 約5回

東京周辺で起きたこの期間内の地震回数は約3000回で、この発生頻度からマグニチュード7程度の大地震が起こる周期を計算すると平均して約25年毎に1回のぺースで発生することになりますが、幸運なことにマグニチュード7程度の大地震が発生することはありませんでした。

しかし、グーテンベルク・リヒター則に基づき地震発生頻度を計算すれば、今後30年以内に東京を中心とする首都圏でマグニチュード7程度の大地震が発生する確率は70%という高い数値が算出されています。

東京大学地震研究所による見解

2012年に先ほど紹介した地震調査委員会に所属する研究者がいる東京大学地震研究所によって、首都圏で4年以内にマグニチュード7程度の大地震が70%の確率で発生すると発表した見解が各メディアで大きく取り上げられました。

これもグーテンベルク・リヒター則に則った計算によるもので、東日本大震災後の余波が影響して半年間でマグニチュード3以上の地震が発生以前の約7倍にも膨れ上がったことから計算された地震予測でした。

東日本大震災による影響で首都直下地震が起こる確率が高まったというわけです。これも幸運なことに予測が外れはしましたが、首都直下地震が起こる確率が高まったという可能性は否定できない見解と言えます。

全国の危険箇所

地震が起きるメカニズムを知れば、地震の起きやすい地域は自ずと推測できます。そのメカニズムは大きく下記の2つに分類できます。

  • 活断層型
  • 海溝型

それではこのメカニズムの検知において、地震が起きやすい地域がどこかを検証していきましょう。

活断層型

活断層型の地震は地面に引っ張られる力や圧縮される力に断層が耐えられない状況になったことが原因で、断層にズレが生じて地震を発生させます。また断層が長いほど地震の規模は大きくなりますが、海溝型と比較すれば地震規模は小さいのが特徴です。

しかし人々が暮らす内陸部で発生するため、大被害を引き起こす危険性があります。その要注意断層と該当する地域は下記のとおりです。

  • 有馬、高槻断層帯 神戸市北区の有馬温泉西方から高槻市街地北部に至る地域
  • 阿寺断層帯 阿寺山地と美濃高原の境界に位置する地域
  • 伊那谷断層帯 木曽山脈とその東側の伊那盆地の境界に位置する地域
  • 糸魚川、静岡線 新潟県糸魚川市から諏訪湖を通り、静岡市駿河区付近に至る地域
  • 富士川断層帯 静岡県富士宮市から富士市を経て静岡市清水区に至る地域
  • 国府津、松田、神縄断層帯 、富士山の東麓から、丹沢山地の南麓、大磯丘陵西縁、国府 津を経て相模湾に至る地域
  • 柳瀬、養老断層帯 岐阜県西濃地域と三重県北勢地域に跨る地域
  • 西関東断層帯 関東平野北西部と関東山地との境界付近から関東平野中央部に至る地域
  • 信濃川断層帯 新潟県から長野県境に至る地域
  • 北由利断層帯 秋田県秋田市沖から同県由利本荘市沖に至る地域

活断層の活動は1000年にも及ぶ長期となるため、歴史後記で地震が発生していない地域は特に地震発生確率が高いと推測される要注意地域となります。

海溝型

私たちの住む日本列島は下記4つのプレートの境界に乗っかっている状態です。

  • ユーラシアプレート
  • 北米プレート
  • フィリピン海プレート
  • 太平洋プレート

そしてこれら海側プレートが陸側プレートに沈み込み、元の状態に戻ろうとする反動で一気に力が解放されることにより引き起こされる地震が海溝型となります。代表的なのが大惨事を引き起こした2011年に発生した東日本大震災で、大規模な地震だけでなく津波を発生させます。その惨状は未だ記憶に新しいことでしょう。

この海溝型地震で現在最も懸念されているのが、四国から南に位置する深い溝が地震発生帯となる南海トラフ地震で、静岡から東海、そして四国を経由して九州の南沿岸地域の太平洋側に位置する広範囲な地域で、最大32万3000人の死者数を伴う甚大な被害が発生するという分析結果が内閣府中央防災会議から発表されています。

まとめ

先にも言いましたが我々が住む日本列島は、プレートの境界に乗っかっている状態のため地震が起きやすい状況に置かれています。よって、地震に対する対策は日本国民全員が高い意識を持って取り組んでいくべき問題と言えるでしょう。

しかし、対策を立てたからと言って未然に防ぐことができる類の問題ではないため、将来起きるであろうと予測される地震を回避することはできません。しかも、今後30年の間に最大規模の南海トラフ地震や首都直下地震が起こることが予測されているのも、大きな懸念材料となってきます。

未然に防ぐことができない問題ですから、余計に起きた場合に被害を最小限に抑えるリスク対策が必要になります。この点をよく理解して、国民意識を高め、最大級のリスク対策を講じる必要があるでしょう。

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